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公園で偶然出会った謎のお兄さんに恋してしまった中学生、と言ってしまうと淡い初恋を描いた可愛いお話を想像するが、このお兄さんの背景が重苦しくて、心にズシンと来る。
主人公はなにかしてあげたいと思いつつも、中学生なのでなにもできないまま離ればなれに…そして十年後、という流れ。
淡々としていて、年齢差もあるせいかなかなか恋愛も進まない。自由のない閉塞した環境で、家族が毒でどうのこうの、というお話はやはり重すぎて萌えづらかった。若い頃の十年って長すぎるよ。カップリングも逆がよかったなあ…。
読み終わってからも余韻に浸っていた作品。メイン二人の拙くも素朴で優しい交流に、読んでいてとっても癒されました。
中学生の聖がスナックで働くカイネと出会ったのは、塾をサボった夜の公園。きっかけは滑り台の下にあった、黄色い花を咲かせた植木鉢。気さくで兄のように接してくれるカイネと一緒にいると、苦手な勉強も頑張れる。最初は十分だけ、それから少しずつ二人で会う時間を増やしてくれたカイネ。でもどこに住んでいるのか、詳しいことは教えてくれない。
カイネというキャラクターに、聖と一緒に魅了されていきました。純粋で優しい。そしてその純粋さゆえに誰にも言えない秘密を抱えて、一人で必死に生きている。聖は彼を守ってあげたいのに、子供すぎてそれが叶いません。信頼できる大人たちの助けを得ながら、彼はカイネのことだけを思って成長していきます。再会できることを願って。
シンプルなストーリーなのに強く心に残るのは、やっぱり純愛だからかなぁ。聖を大切に思っていて、きれいなものを汚したり傷つけたくないカイネの気持ちに触れるたび、彼自身の清廉さや男気が伝わり、読んでいるこちらの心が改まるというか…。
前半、ちぐはぐなようにも思える二人の間に見え隠れする恋情らしきものにきゅんとさせられます。キツい描写もあるのに、なぜかお伽話みたいに柔らかい物語なんですよね。キャラクターの力もあるのかもしれませんが、お話の中にたくさん出てくる花の名前や、各章につけられたタイトルのせいもあるかもしれません。花がイメージさせるフェミニンな雰囲気とは裏腹に、密かにカイネの職業で萌え度アップ。しっかり男らしいやつで、、そのギャップにクラッと。。
ピュアなカップルが大好きなので、お気に入り作品の一つとなりました。
久我さんで標準語は珍しいなーと思ってたらなんとこれが初オール標準語作品だったんですな、地味にびっくりだ。
14歳で両親に勉強ばかりを強いられてる14歳の聖[攻]は、公園で黄色い鉢植えを見掛けます。
その持ち主はカイネという5歳年上の青年の物で、カイネの頼みで聖はその花を持ち帰り、その花の写真を撮ってカイネに渡すのです。
一緒にラーメンを食べたり、コロッケを買い食いしたりとそんな短い時間の出会いを聖は望み、カイエはそれに答えて付き合ってくれます。
年齢差は5歳差だけれど、14歳と19歳との差は大きな物で特にカイエは水商売で働いているので厳格な家庭の息子である聖とは住む世界からして違うのだけれど、聖にとってそんな事は問題ではなくただひたすらカイエに魅かれて行く。
平和で穏やかな2人の時間は、カイエのロクデナシの兄の出現によってブチ壊されます、兄を殺そうとするカイエと止める聖。
14歳の聖にはカイエを救う力は無く、ただ彼に伝えます、10年後に自分が大人になってカイエを守れる男になったらまた会って欲しいとそう伝えます。
カイエからの返事は無く、10年が過ぎ、それでも聖はまだカイエを想い続けていてそして10年後再び彼等は出会います。
看護士になった聖とカイエは一緒に暮らし始め、聖が望んだカイエとの時間が再び流れ始めるのだけれどもう聖は14歳の子供ではなくカイエを思いやれる男に育っている。
2人でシャチのショーを見に行くシーンは目映くてとても優しい。
ひたすら10年カイエを想い続けた14歳の聖の想いが読み手に何ともいえない感慨を与えてくれるそんな作品です。
久我有加さんに惚れました。感動しました。
今まで読んだBL小説のなかでも、10本の指に入るぐらい、大好きな小説になりました。
読んでるあいだずっと、胸の奥がジリジリと焼かれるような感覚がしてました。
とくに前半の少年時代編が好きです。
主人公は中三の少年。
勉強ばかりしてる毎日のなかで出会った、カイネという五歳年上の青年に惹かれる。
カイネに癒され、カイネの懐に入り込み、カイネの闇を知る。
まだ無力な少年であることをきちんと自覚している頭のいい主人公。それでも、自分にできることを精一杯にやる。
気持ちをぶつけ、引くべきところでは引き、進むべきところでは進む。主人公にあるのが勇気と優しさだけじゃない。ずるさも計算高さもある複雑さが人間らしくて良かった。
後半ももちろん良かったです。
前半部分の閉塞感をすっかり解消してもらえて、ホッとしました。
この主人公、大好きだよ。
泣かされました。
久我さんにこんな名作を読まされたら、関西弁なんて捨てて標準語で書いて!と言いたくなってしまいますw
や、関西弁小説も好きなんで、また、たまにはオール標準語小説書いてください。
家庭内のプレッシャーに窒息しそうな日々を送っていた聖と、
事情で他人と深く関われず、独りきりで生きているカイネ。
寂しくて孤独を抱えた二人の出会い。
理不尽な世の中で力のない子供達(カイネは19歳ですが、やはりここでは子供でしょう)が傷つき、
押しつぶされそうになっている描写が、辛くて泣けます。
読んでいて、無理解で傲慢な大人達に腹を立てることも度々有りましたが。
カイネや聖を理解し、優しく見守ってくれる大人や友人も存在し、救われます。
どちらかというと重いお話だと思いますが、読後感はとても爽やか。
ひとりの人間の人生を受け止めるには、愛情だけでは駄目。
小さな子供だった聖が、カイネの為に力のある大人になろうと決意した一途な思い。
そんな聖を信じて待ったカイネ。二人の深い愛情に、胸を打たれます。
そしてこの作品は、関西弁で書かれて来た久我さん初のオール標準語作品です。
私はお国言葉が大好きで、関西弁に限らず方言小説は大好きなのですが。
方言(特に関西弁)で書かれた文章がダメで、久我さんを避けられて来た方には、
この作品をぜひ読んでいただきたいです。