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表題作雪原の月影 三日月

ガンチェ,26歳,元王宮の下男の傭兵,エルンストの体液適合者
エルンスト・ジル・ファーソン・リンス・クルベール,60歳,メイセン領主,元皇太子

その他の収録作品

  • 朔月
  • 上弦の月
  • メイセンの春

あらすじ

老人となっても少年のまま、成長することのない病、クルベール病。皇太子でありながらこの病に冒されたエルンストは、位を剥奪され、国内で最も貧しい領地メイセンの領主に任じられる。初めて見る城の外の世界。微かな不安と、不思議な高揚。エルンストは彼にひそかに想いを寄せメイセンまで追ってきた戦闘種族の男ガンチェと恋に落ち、共に生きることを誓う。そして、窮乏するメイセンで極貧生活をおくる領民を救うため、二人は共に、未来に向けて種を蒔き始める。だが、エルンストの病をめぐる謀略が明らかになり始め…!

作品情報

作品名
雪原の月影 三日月
著者
月夜 
イラスト
稲荷家房之介 
媒体
小説
出版社
リブレ
発売日
電子発売日
ISBN
9784799754139
4.6

(145)

(121)

萌々

(14)

(4)

中立

(2)

趣味じゃない

(4)

レビュー数
24
得点
675
評価数
145
平均
4.6 / 5
神率
83.4%

レビュー投稿数24

辺境地の開拓に奮闘する体格差カップル

上下巻で長かったですが、読んで充実感がありました。
皇太子でありながら病気で成長が止まり跡継ぎを望めなくなった事が理由で皇太子の位を排されたエルンスト。
王宮を出て、一貴族として与えられた領土は、雪深い辺境地。更には何の産業も無く貧しさから人々が疲弊しきっている土地でした。
エルンストの伴侶となったのは、王宮で皇太子だった彼の下男をしていたガンチェ。
この2人がとにかく、運命で結ばれた2人で。最初からラストまでずっとお互いを溺愛していて、途中、邪魔が入るとか、離れ離れになる事も無く話は進むのに、2人のラブラブが飽きることなく読めました。

話の主軸はエルンストが領主となった土地メイセンで極貧生活から抜け出す為に奮闘する事。
王宮での生活しか知らないエルンストが、急に暖炉の薪も、食べ物も節約しながらの生活を強いられます。しかし、元皇太子として学んできた帝王学を活かして、ガンチェと二人三脚で兵士や農民を巻き込んで領土の抱える問題や領民の意識改革など様々な角度から貧乏脱却を目指します。このエルンストの思いつく施策が丁寧に描かれていて、エルンストがとにかく思慮深く人を見極める目があるのが読んでいて爽快でした。
周りの環境は厳しいけど、その厳しい生活の中で、エルンストとガンチェが2人だけの時間を過ごす時は甘い生活なのが読んでいて癒しでした。
三日月ではエルンストが住民の信頼を得て、土地改良に着手しますが、エルンストには王宮の陰謀が立ちはだかっているところまでが描かれています。
忠実で、誰よりも力強い伴侶ガンチェがエルンストを護ることができるのか?気になるところです。

2

静けさを感じる綺麗なファンタジーでした

初見ですが、同じ作品が過去に別の会社からも出ているご様子?

新しい方が良いのかなとこちらを選んでみました。
二冊あるようで、一冊しかまだ読んでないですが独特の静けさみたいなものを感じる作品世界でした。

攻めと受けが別の人種で
攻め=逞しい兵士さん。短命。大人だけど年下。
受け=見た目が少年(種族特有の病気で体の成長が止まった)の元皇太子。世間知らずで下々と大分感覚が違うけど思慮深く、年上。

・受けが種族特有の病気で体の成長が止まり子を作れないと判断されたので廃太子される
・元々一目惚れしてお風呂のお世話係してた攻め(受けにとってはたまに思い出されるモブみたいな認識だった)が受けを追いかけて、というか…先回りみたいな形で再び従者になる(美味しい)
・好きです→慕われて嬉しい→そういう好きじゃないんです、みたいな(萌え)
・受け側が性知識や常識ない感じでとても初々しい

・体液適合者、という設定があってお互いの体液が好ましく感じられるようです。

全体的に静謐な雰囲気があり、視点の関係で少しずつ世界の解像度があがっていったり他人がみえてくるような感覚がとても良かったです。

1

BL界の歴史を動かす物語

人間は本当に美しいものの前に立つと「美しい…」しか出てこなくならし、圧倒されるほどすごいものに出会うと「す、ごい…」しか出てこなくなる。

本当に、すごいしか出てこないです。
すごい…。

何を書けば、このすごさが伝わるのか三日三晩考えました。

まず、私たちは当然、BLを求めて彷徨っているわけで、これはカテゴリ的にはBLとして販売されています。
ボーイズ・ラブの名が表す通り、その大半は男同士の恋愛に終始するわけです。

これは、恋愛のボリュームももちろんすごいのですが、それよりすごいのは2巻に渡って描かれるリンス国メイセン領第十七代領主、エルンスト・ジル・ファーソン・リンス・クルベール公爵が治めたメイセン領の物語です。

何か素晴らしいものを読んだ時、「この作者すごいな」とか、「どういう経験したらこういう話思いつくのかな」とか、考えてしまうんですけど、殊これに関しては実際にいた人の人生を綴ってるのではないかと疑うほどです。
帝王学でも履修したのかというほど、領主としての如何、領内の運営など詳細に描かれていて、敬服してしまいます。

これは、本当にすごい。
長いこと腐女子やってきましたが、こんなにも物語の精巧さに感心しきりになったBLは初めてです。100年に1人の逸材。
ウェブで連載された伝説的ファンタジーみたいなことをどこかでお見かけして、「伝説てwwww」などと小馬鹿にしていましたが、謝りたい。これは、まさしく伝説です。

これを読まずに腐女子やめたり、死んだりしたら、絶対後悔していましたよ、私は。
しばらく、何も読みたくない。
これを咀嚼しきるまで、このガンチェとエルンスト、そしてそれを取り巻くメイセン領やリンス国に浸っていたいと思います。
今後どんなBL小説を読むにしても、おそらくこれが私の中の基準になるんだろうなってくらいには神作品でした。

12

読めて良かった神作品

素晴らしいとしか言いようがない作品です。
エルンストとガンチェ、お互いに唯一無二と想い合っている様がとても良かったです。

13

後世に残したい名作です!

後世に残したい名作です。
BL枠に納めておくのがもったいない。
エルンストのじっくりと深く考え行動する様が何度読んでもグッと来ます。
ガンチェとの甘い時間も程よいエッセンスになっていて、とても良い。
登場人物の個性もそれぞれ際立っていて、いや、もうホントに、みんな!読んでみて!!!
ドキドキはらはらの展開も喜びも悲しみも、全てのバランスが良いです。
中学の頃、三銃士やモンテ・クリスト伯を読んだあのドキドキとわくわくを40年ぶりに味わいました。月夜さんは現代のデュマだと思う。

18

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