電子限定書き下ろし短編付き
2人の幸せに笑顔になる、心に沁みる作品。
まずキャラが魅力的。リーラは美しく才能があるだけでなく、優しく前向き。アルブレヒトも王子という肩書きに甘んじず努力し公明正大な人。
2人の向き合い方もよくて、学生時代に周りの妬みから辛い思いをするリーラに寄り添い応援したのがアルブレヒト。一方的守るのではなく、リーラの意思を尊重しながら応援してるのが素敵。互いを尊重しつつも惹かれ合ってたんだな。この関係のまま卒業かと思いきや、策略により2人は関係を持ちリーラは妊娠。アルブレヒトを思って身を引こうとするも、アルブレヒトの告白で結婚する事に
…けど、ここからがしんどかった。
事件に巻き込まれたリーラとお腹の子を守ったアルブレヒトは記憶を失くし、結婚は破断。王妃からの破断の申し入れを潔く受け入れ、子供との生活の為に手切れ金を受け取るリーラは切ないけどかっこよかった。何があっても子供を守るって決めてたんだよね。
子供を産み育てながら、医師としても身を立てたリーラ。治療の為に王妃の担当医となり、アルブレヒトと再会。ここからやっと歯車が回りだしたように思った。記憶を失ったままリーラに惹かれるアルブレヒト、一方距離を保つリーラにやきもき。リーラがバルドゥール公爵の孫だと分かり、身分の壁が無くなり、リーラとの結婚の為に奮闘するアルブレヒトから強い想いを感じた。でも、これがティルダの焦りを生んだと思う。彼女はアルブレヒトが好きなだけ、でも罪が大きすぎた。自分を犠牲にしてもエミールを守るリーラ、そんなリーラを守るアルブレヒト。同じ光景から記憶を取り戻したアルブレヒトに2人の強い絆を感じました。
すごく遠回りしたけど、3人で幸せになれて嬉しかった。オメガバースと魔法が効果的に使われていて、伏線回収も完ぺき。大満足な作品でした。
はなのみやこ先生の作品は「虎族皇帝の果てしなき慈愛」や「後宮を飛び出したとある側室の話」シリーズしか読んだ事がないのですが、どれもが面白くて新刊が発売されると知り楽しみにしていました。
まだデビュー3年目との事ですが、文章力と構成力に優れてて既にベテラン作家さまの様に感じました。
今回の作品もとてもテンポが良くて、アルブレヒトやリーラの王立魔法学院での心を通わせる様子、そして卒業間近のリーラの妊娠とアルブレヒトとの婚約と物語の進め方がとても秀逸でした。
そしてとある事件があり記憶を失ったアルブレヒトとリーラは離れ離れになってしまいます。
ハッキリ言ってしまえば、事件の黒幕ってきっとあの人だよねって想像は付いてしまうと思います。
でも記憶を無くしたアルブレヒトが徐々にリーラが気になって行って、黒幕が追い詰められて行くのをザマァと思いながら楽しく読めました。
アルブレヒトがとにかく真っ直ぐな人間で気持ちが良いのと、リーラの人を許せる強さがとても魅力的でした。
リーラの出自の秘密もそうじゃかいかとワクワクしたし、何より子どもが本能的にリーラに近づく男性を牽制してるのが微笑ましかったです。
そして特筆すべきはアルブレヒトの異母弟のエーベルシュタインの存在だと思いました。
彼にも幸せになって欲しいので、先生スピンオフを是非お願いいたします。
大好きな西洋ファンタジー、魔法、オメガバース、健気受け、一途攻、が全部詰まっていました。
読み初めはどちらの王子が、ヒーローか当て馬か分からずめちゃめちゃ気になりました。
後日談で判明したエピソードの続きが知りたいので、続編が出れば良いなぁと思っています。
王道と言えるオメガバース・ファンタジー。
王道で月並みだからつまらないというわけじゃない。
面白いというより、幸福感に満ちる読後感・・こういう構成、好き。
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リューベック王国 王立魔法学院:
15才の時に一度だけ受験できる。
王都にある全寮制の王族や貴族の子女が多く学ぶ学院
リーラ:
平民出身の魔法学院特待生 オメガをベータと偽り入学。
地方農村出身、淡紅色の「光の魔法」を、流行病で亡くなった母から教わる。
ミヒャエル:
高位の貴族出身。
金赤毛、魔法学院のリーラの友人。
エーベルシュタイン・リューベック:第二王子
母は第一王妃
リーラが入学して以来、親切に接してくれる上級生。
学院の医科でリーラと一緒。
アルブレヒト・リューベック:第一王子
リーラの二学年上級。
リーラの卒業試験の三日前、ライリーが抑制剤を栄養剤とすり替えていた。
ここからリーラの波乱の人生が始まってしまう。
★キンドル書き下ろし短編 「運命のΩが王子の番になる」
リーラの母の素性が分かり、実父の存在も判明。
せっかく構成した世界観が、書き下ろし短編でうやむやになるのは勿体ない。 続編を希望。
Kindle Unlimitedにて。
記憶喪失だったり、駆け落ちだったり、王道要素が多いから安心して読めるのが良い。
ヒール役もいい具合に痛いめを見たり、憎みきれなかったりでちょうどいい具合。
ちょっと切ない系の話が読みたくなった時に手を取りがち。