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表題作王を統べる運命の子③

ルスト・フロシフラン
25歳,国王陛下,王の剣
リオ・ヨナターン
16歳,王の鞘

あらすじ

俺は生きた人間じゃない、命を与えられた
土人形だった──!! 愛する王ルストに命を
返すため、自ら川に身を投げたリオ。ところが、
目覚めたリオの傍らにいたのは、敵対していた
はずのフェルナン!! 殺したかった俺を
なぜ助けたの…? 混乱と不信を抱えつつ、
未来を予見する塔主が待つ「北の塔」へと
連れられて!? 命の期限を切られたリオと、
認めたくない王の激情が狂気と執着を孕む彷徨編!!

作品情報

作品名
王を統べる運命の子③
著者
樋口美沙緒 
イラスト
麻々原絵里依 
媒体
小説
出版社
徳間書店
レーベル
キャラ文庫
発売日
電子発売日
ISBN
9784199010545
4.1

(94)

(56)

萌々

(14)

(12)

中立

(8)

趣味じゃない

(4)

レビュー数
13
得点
380
評価数
94
平均
4.1 / 5
神率
59.6%

レビュー投稿数13

新たな旅で分かること

3冊目。前作で真名をルストに返して死を選んだリオ。
でもウルカの神がリオと2番目の土人形ユリヤの命を救い目覚める。
魔女に奪われた土人形再生方法を記した禁書を探しに、新たな旅が始まる。

今回は1人目から3人目のリオまでの土人形の話や、
フロシフラン王国が出来た歴史や十六代国王ハラヤの謎が明かされていく。
そして、核心は二柱ウルカとエラドの神竜。

この説明が膨大で、でも話を進めるには必要不可欠な回であったと思う。
それを樋口先生は、間にちょっとした出来事を挟みつつ、
また、ルストとリオの心のすれ違いを描きながら、
読者を飽きさせずにまとめてくださったと思う。
これが少しでもバランスが悪いと、退屈になってしまっていたと思う。
そこは樋口先生の文才の成せる技。

*ここからネタバレ

ルストが急に狂気じみた感じになってしまったことは、
正直最初は違和感があって、「そんなキャラだった?」と思ったが、
読み進めていくうちに、ルストとリオは表裏一体の関係であり、
オメガバで例えるなら「運命の番」的なものだと思った。
狂ったように相手を求めないといけなくなる。
それがルストとリオであり、ミカエルとルシファーや、
大日如来と不動明王の関係のようなものだと感じた。
(どちらも元は一緒)
そして、後半、それが事実だったと判明する。
ウルカが一人だと寂しくて自分を二つに分けエラドを作ったということ。

今後の展開はもちろんリオが死なずに昔のように
ウルカとエラドが選んだ王と妃として過ごすようになるまでだが、
あと1冊と言わず、続いてほしいなとも思う作品。

ここからは自分の疑問点。
ウルカは強く逞しく、エラドは愛情深く聖母のような。
そんな印象を受けたが、魔女を生み出したのはエラド?
魔女は一体何をしたいのかがはっきり分からない。
魔女はエラドの心臓を使って土人形を作り、ルストを惑わせて、
天下を取りたかった?
ハラヤはなぜ花嫁を殺した?(花嫁は男性のような感じ)
ウルカもエラドがそんなことになって自分が分けたのに
民の意見を聞いてしまって、なんとかしないのはなぜ?

まだまだ謎があるので、どうか丁寧に最後まで描いて欲しいと思う。

今回も謎が謎を呼んで、説明が多いのでBL感が少し薄いのと、
ページ数も多いので、疲れてしまった読者もいると思うが、
私は最後のハピエに続く大切な伏線回としてとても読了感があって
やはり神評価で満足^^

先生素晴らしい作品をありがとうございます!
二人がどうか幸せになってほしいと願います。


6

苦しいけど読んでしまう

2巻の終わりがアレだったので、リオにとって苦しい展開になるだろうとは想像していました。

でも何て言うか…ここまで苦しくて辛い展開になるとは思わなかったんです。

せっかく生きているんだからリオ諦めないで!生きて!と何度も心の中で叫んでました。

リオを取り巻く全てが絶望的で、辛くて悲しいのだけれど、刻々と明らかになる事実と謎解きのような展開が面白くて、リオもルストもフェルナンもアランもとても苦しんでいるし、何なら読んでいる自分も苦しいのに、読ませてしまう力が樋口美沙緒先生にはあると思いました。

第二王子のユリヤの死によって、せっかくリオの目が覚めたというのに、またとんでもない展開が待っていました。

次巻ではリオもルストも幸せになれるように、ウルカの神に祈りたいと思いました。

3

謎解きと自分探しの旅でした

2巻の終わりで衝撃的な終わり方をしていましたが、とりあえず、リオは期間限定で生きながらえる事が出来ました。しかし、残ってる命は生き返ったユリヤと100日も満たない日数しか生きられない。
3巻では、リオがこの期間限定の残された命と、自分の命の価値、生きることの意味、幸せの意味。延々と考えながら旅をします。北の塔の謎、そこから、魔女が先王の妃になって何をしようとしていたのか?目的を探る為に魔女の行動を辿って、国のあちこちをルスト、フェルナン、ユリヤで見て回ります。
北の塔の謎は建物や街並み、とても興味深く、魔女とこれから戦う為に重要になるであろうキーパーソンが現れます。実際にこのキーパーソンは読んで確かめでください。
旅の途中で1日1日、リオ残りの命が短くなっていく様子は、元から自己肯定感が低いリオでなくても、読んでる読者も辛い部分ではありました。しかし、そこにユリヤを登場した事で、その先の見えない絶望感がかなり軽減されていました。ユリヤは本当に癒しでしたし、ユリヤなしではこの本は読めない!って思いました。心臓が無いので、自分の命に拘らない分、真っ直ぐな感情をリオにむけます。旅の途中、ゲオルグやルースの実家のある領地を訪ねたりもあって、2人が登場する訳ではないですが、その土地ならではの話があって、よりこの2人を理解できたのも面白く思いました。
魔女の謎も少しずつ解って来る部分もあり、最後はいろいろと本当のクライマックスを迎えていますし、ユリヤがラストどうなるか?は、読んで確かめて欲しいです。
ユリヤとの交流やリオの育った故郷にも帰ってセスの墓参りをしたリオ。セスの人生は幸せだったのだろうか?そういったずっと心のでモヤモヤだった物が最後、リオは心が千切れそうになりながら決着出来ている様なきがします。
ウルカの神の謎もわかってきた部分と謎の部分がまた出てきたりで、最後はいよいよ魔女との直接対決に入るところでまたまた衝撃的なラストで終わっていますが、
続編、待ち遠しいです。
ルストとの事に全く触れてないので付け足すと、死を覚悟してこれが最期と抱かれるシーンは切なかったです。

2

土人形3体の記憶が統合、旅に出る

3巻目は、次巻に続く経緯説明の様な構成。

複雑な展開で、面白かった。
夫々に成し遂げたい願いがあって、理由がある。
想いを果たす動機と手段が問題だ、といった寓話調。
次巻を早く読みたい。

---
心に残った部分のメモ。

神の気まぐれ?で、3体目の土人形、リオは復活。リオの外観は本来に戻っていた。
土人形2号のユリアにリオの寿命を半分譲り、ユリアは心臓が無いまま復活。
リオは、1号と2号の記憶を取り込み、過去を知る。

魔女の母と外観そっくりに造られた2体の土人形、傍には黒い竜=黒い竜神が居る。
1号と2号は、「王子を近づき、真名を奪え」と母から密命を受ける。
土人形の寿命は心臓を入れてから10月10日の設定。
2号は、1号と同時に造られて、1号が消えるまで待機。

1号は、「ユリア」という名の連れ子の第二王子になる。
1号は、王子の目の前で寿命が尽き、2号に心臓が移される。
・・土人形2号は、1号から心臓と記憶を受け継ぐので、
1号の「王子を悲しませたくない」という思いも引き継ぐ。

魔女の命令に背くユリア2号から、魔女は心臓を抜き取り、3号(リオ)に移す。
2号の抜け殻を、王子に悲しみを与える為に保存する。
・・・という経緯の説明が前半。

後半は、旅。
「せめて誰かの役に立つ事を残して消えたい」と
土人形3号のリオは1号と2号の記憶を取り込み、90日の命をどう生きるか悩む。

「塔」から無害の証明を受けて解放。
リオは魔女と共に消えた禁書と先見師を探す旅に出る。

会話なしでリオの気持ちがわかる2号のユリアは、「リオから絶対離れない」と譲らない。
リオ達二体の土人形は、夫々が別の人格を持つ意識体。

巻末は、リオは考えが錯綜してグチャグチャ。
土人形2号は、優しいリオの傍に居たかっただけと分かる。
・・あの魔女は悲しい存在を幾つも作る鬼。

リオが受け継いだ「土人形の心臓」は、元々誰の心臓だったのかが、鍵。
次号は鬼魔女=リオの母と対決になりそう。


麻々原絵里依先生のイラスト、作画に力を抜いているような??

2

限りある時間への恐怖と絶望で苦しむ新たな旅路

2巻で記憶を取り戻したリオが真名をルストに返し自ら命を絶ってしまい、絶望的な気持ちになっていたのですが、リオが生きていてユリヤ殿下も目覚め、フェルナンと共に北の塔へ向かうという急展開が面白く先が読めなさすぎて、読み始めて早々に物語に入り込んでしまいました。

北の塔は俗世とは離れた神秘的な描写が想像を掻き立てられ面白く、ファンタジー要素が強いところにワクワクしつつも、物見の賢者の背負うツラさを知りリオやルストを欺いてきたフェルナンの苦しみに触れて切ない気持ちになりました。

追いかけてきたルストとリオの再会はとても苦しくて、以前のように心のままに愛を向けることができないリオがとても可哀想になりました。

リオが自分の命が残り90日しかないということから、少しずつ迫りくる死への恐怖と、自分が原因で戦争を引き起こし人々を苦しめてしまったという現実にずっと苦しみ続けるので、読み進めていけばいくほどしんどい気持ちになりました。

リオはせめて残りの時間を善いことに使いたい、ユリヤに心臓を戻してあげたいと、頑なになってしまうので、アラン、フェルナン、ユリヤ、ルストにひどく心配をかけるのですが、みんなそれぞれの形でリオを励まし、逃げ出してもいいし好きなように生きて欲しいと願う場面がたくさんあり、リオへの尊敬や愛情の念がすごく伝わってきました。

不器用なリオとルストはお互いを想うばかりに度々言い争い傷つけあうのでなかなか甘い雰囲気になることがなく寂しい気持ちになりますが、ハーデに入る前に立ち寄ったセヴェルで、ルストが街を豊かにするべくいろいろ尽くしてくれていたこと、セスに籍を与えお墓を作ってくれていたことを知り、ルストに対する危うい気持ちが少し晴れてやっと身を委ねることができ、もうこの甘い時間のまま時が止まってくれればいいのにと強く願わずにはいられませんでした。  

たどり着いた魔女の根城で蛇に襲われ自分をかばって死んでしまったユリヤとの突然の別れによってひどく悲しむリオが、セスやユリヤには生きる価値があった、そもそもどの命にも等しく価値があることに気が付くシーンはやっと頑なな考えから吹っ切れてくれてよかった・・・と安心したのもつかの間、魔女の登場で一気に状況が代わり新たな真実も明らかになって・・・うわーーーーーここで終わるのかーーーーー!!とまた続きが気になるところで終わってしまったので、すぐに心の準備をして次の最終巻に読み進みたいと思います。             

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