SS付き電子限定版
ルスキニアの祖であるコルウス王は胸に“薔薇の花の痣”を持っていて、宰相であるレムレースは“刺草の痣”をもっていたそうです。
2人は国に災いが起きた時に生まれ変わって産まれるという伝承があり、エセルの胸にはコルウスと同じ“薔薇の痣”がありました。
その為、三男ながらエセルは王太子となりました。
エセルにとって唯一の特別な存在で恋しているのがオズワルド。
オズワルドの胸にはレムレースと同じ“刺草の痣があり、2人は偉大な存在の生まれ変わりの対の運命同士だと信じていたが───。
物語冒頭、エセルは見目は美しいけど我儘で気難しくて周囲に毎日当たり散らす厄介な子で、大丈夫かな好きになれるだろうかとちょっと不安になりました。
ですが、真実を映す鏡が出てきてから本当のエセル、可哀想なエセル、真実がさらけ出されていきます。
この鏡が出てきてからすごく面白くて、エセルのことも好きになりました。
エセルも真実を見せられるけど、読者も真実を見せられるので今までと見え方が変わるのですよ。
大切にしてくれる大人が1人もいなかった中、アンナという姉のような存在が本当にエセルのことを愛して大切にしてくれていたことや、アンナの人間性に心打たれたし、庭師の存在にも胸がきゅっとなりました。
周囲から厄介な存在と思われていた時も、本当のエセルに気づいてくれていた人は少ないけど確かにいたということが自分の事のように嬉しかったです。
オズワルドは少なからずエセルに同情して情が湧いていた時もあったようだったけど、今では心底嫌悪感でいっぱいで...。
改心して人の上に立つのに相応しい人になって歩み寄っていくのだろうけど、ここまで嫌われていたら挽回が大変そうだな...和解は大分先だろうなと思っていたのですが、オズワルドは根っこが優しい人でした。
嫌悪感いっぱいでエセルを貶し嫌っても、正しくある者には正当な敬意を持てる人だし、野心はあれど国のことは本当に真剣に考えている。
そんな彼だから、以前と変わったエセルを受け入れてくれるのも早くて。
いや、彼の場合愛しさ余って憎さ100倍というか、愛しさと憎さは表裏一体というのもあってかもなんですけど。
私は彼がいつエセルに恋情を募らせたのかを正直1度読んだだけでは把握できなかったのですが、怠惰で我儘に過ごすエセルの悪い面を見る度に嫌悪感は増えていき軽蔑しかしなくなってしまい、心の奥底に灯っていた愛しさには本人も気づいていなかったけど、小姓の頃から少しづつ積み重なったものなのかもしれないなと思いました。
冒頭ではエセルが気難しい王子なのだけど、彼は本当は気難しくなんかなくて、実はオズワルドの方が難しいというかひねくれてるというか複雑だなと思います。
途中味方になるマルジン。
彼は知力もさることながらエセルのことを主であり親友と思ってくれていて、オズワルドとも段々喧嘩するほど仲がいい好敵手のような感じでとても好感度が高いキャラクターでした。
お恥ずかしいんですけど、私はマルジンがエセルに気があることを懸想していると言われるまで気づかなくて。
オズワルドに初めの頃は間男と勘違いされてたけど、あの時は本当に勘違いだったのに……えぇ?いつ?いつ好きになったの?!
この作品、すっっっごく面白いけど、オズワルドとマルジンの恋愛感情を汲み取るのは難しかった~。
BL作品ですし、愛し合っている終盤ももちろん楽しめるんですが、私はこのお話に関してはエセルが未来を回避する為に尽力し国を再建しようと足掻くところが1番面白かったです。
BLを読んでいるのを忘れてのめり込んで楽しませてもらいました。
この著者は、毎回、テイストが違ってサークルで書いているのではないかというほど、幅があって凄い。
新作が出ていたので、過去の人気作を読んでみました。この話は、映画のように、ストーリーがしっかりしていて読みごたえがあった。
嫌われからの溺愛の過程に萌えがつまっています。近年の中でトップクラスのBL小説と思いました。
展開的にはクリスマス◯ャロルのようだったのは、少し気になりました。まぁ、異世界転生とか、死に戻りとかと同じようなものかもしれませんが。
求めてるものが全部詰まってるような1冊でした。
まず、すごく上質な攻めザマァがここにあり。
攻めザマァって、受けが不憫な思いをして、でも結局その分攻めが痛い目にあってないじゃないかってヤキモキすることがあるのですが、
この作品は、受けが語らずとも受けがビクついたり、受けにつく家庭教師の言葉で、攻めがいかに受けを誤解していて、自分が思い上がっていたかを知っていきます。そしてその反応もわざとらしくありません。
受けが攻めの前で眠ってしまったり、無防備な面を攻めの前だけで見せるなど、萌えポイントもしっかり入っていました。
そしてそして、BLとか恋愛だけでなく、エセル(受け)自身が、自身が現実を無視して怠けていたところから、過去〜現在〜未来を見たことでこのままではいられないと奮起し、怖いながらも前に進んで行こうとする姿に、私もエセルのように逃げてちゃだめだと感化されました。
(忘れないようにしないと…笑)
受けは自身で仲間や信頼できる人を増やしていき、最後はとてもあたたかい気持ちで終わりました。
すごくいい読書時間でしたー!ぜひ読んでください^_^
「この受け(エセル)を好きになれるのだろうか…」という疑念を持ちながら読み始めました。読み進めるうち、気がつけば全力でエセルのことを応援していました。
エセルが変わったのは、エセルが自身の未来の姿を見たことがきっかけでした。エセルを変えたのは、他の誰でもない、エセル自身の力と強い意志でした。
エセルの生い立ちと辛い過去、環境は想像を絶するもので、悪辣な性格にならざるを得なかったのだと思います。過去の真実と起こり得る未来に大きな衝撃を受けながらも、本来持っていた賢さ、強さ、美しさを武器に、困難や壁に立ち向かい、道を切り開き、未来を変え、国と国民を救ったエセル…。めちゃくちゃカッコよかった。眩しかった。
胸を抉られながら、ドキドキしながら読み進めましたが、爽快で大満足のラストを見届けることができ、最高の読後感に浸っています。
高評価納得の、素晴らしい作品でした。記憶消してもう一度読みたい………!!
構造としては回帰モノと似たようなお話。凄惨な未来を視た主人公が、生き方を変えていく。メイン二人の印象がぐるんぐるん変わっていき、感情に振り回されながら読んだ。とても面白かった。
エセルは冒頭から酷い態度で、これはドン底に落とされる主人公、と思った。その落とされ方が人為的な攻撃とかでなく、自分自身の未来の姿なのが良い。自分に怒りを向けるしかない状況で、急激な成長を遂げる。
そんなエセルの変化についていけないオズワルドは、いつまでも表面しか見ようとしない。エセルの想い人として見るとモヤモヤするが、エセルのそばにマルジンがついたことで、仕事面でエセルはオズワルドを抜かしていきそうな気配が見え、まあいいかとなった。追う者と追われる者が逆転しそうだし。
オズワルドが取り繕うのを止めてからは、国の立て直しの話になり、楽しく読んだ。それにしてもまさかマルジンが恋していたなんて。BLなのでエセルとオズワルドがくっつくのは見えている、こんなに良い人が失恋確定か、と辛かった。
細かなエピソードは回帰・転生系(男女モノ)でよく見た内容。小中さんて組み立てが本当に上手く器用だと思う。既視感があっても楽しめる。現状を変えるための計画が論理戦っぽかったのは好みの展開。結局は物理的な排除で終わったが。
その後のBLは、オズワルドが甘々になっていて驚いた。途中で描かれていた、深い憎悪と共にある執着と恋慕といった狂気をエセルの前でも見せて欲しかったかな。
電子限定の短編は、二人がくっついた翌朝の様子をマルジン視点で綴ったもの。二人のつやつやぶりに笑いつつ、胸の痛みを耐えるマルジンに泣く。この短編めちゃくちゃ好き。
