イラスト入り
鬼畜谷脇その1です(笑)
その1はWEEDかな?
でもあれは若宮メインだし、あれがないと二人は会えなかったと岡田も言っているのでまぁよしとして、この「FLOWER」を最後まであんな形で進めて終わらせた木原さんに拍手、と言うか脱帽。
勇気あるな。
しかも商業誌で。
これは同人でも勇気いるんじゃないのかなぁ。
もしも実際にこんなやつが居たら、知っていたら許せないですよ絶対に!!
でもこれはファンタジーだから。
ある意味読んでて面白いんですよ。
人間てここまで残酷になれるんだ、とか。
ここまで卑屈になっちゃうんだ……うん、わかる。とか。
いろいろ人間てものを考えちゃう。
そして必ずそれは自分に返って来ちゃうんだなぁとか、居なくなってわかるって言うのはほんとに本当なんだろうなぁとか、痛いほどわかっちゃう。
実体験しないで納得してしまうと言うことは、ひとつ自分が経験しないで学べたわけで、大切な人は本当に大事にしようと再確認。
反面教師になる……そう思うと最高にいい本です(笑)
そう思える人には是非お勧め。
人間関係に疲れちゃってる人にも、逆にお勧め。
殺伐としていながら、自分が人間に帰れる気がする。
痛いって思うのは自分が優しいからだと思うよ。
でもただ痛いだけじゃない、そこに小さくても明日が見える。
そこが木原さんの作品を好きな理由かな。
「WEED」で登場した医師・谷脇が主人公です。性悪な鬼男が最後に見せる涙に、愛の不条理さと切なさを感じました。
外科医の谷脇は気弱そうな男子医学生・松本を弄びます。まんまと松本の体と心を手に入れますが、しょせんは遊び。傷ついた松本は谷脇の元を去りますが、谷脇は松本が心底自分に惚れていると疑わず、結婚して間もなく松本の妻が死んだときも、松本を挑発します。しかし、病に侵された松本は突然この世を去ります。すぐに忘れるだろう、そう思っていたのに、気づけば谷脇は雑踏の中に松本の面影を探すことをやめられず…。
「WEED」で、谷脇が悪友・若宮の恋人を揶揄したセリフを思い出しました。「お前にはあいつが綺麗な『お花』に見えるんだろう。俺にとっちゃただの雑草だけどな」。谷脇は、松本のことも雑草程度に思っていたふしがあるのですが、死後何か月もたって、愛していたと気づくのです。本当は大切な花だったと。なんという皮肉。タイトルの「FLOWER」は、松本のことなのでしょうね。作品中、花が出てくるのはただ一度。松本の家の荒れた庭に咲く薄紅色のコスモス。ありふれた可愛い花が、松本の人柄そのものを暗示しているようです。
松本がどれだけ自分にとって大切な存在だったか。死後、谷脇がそのことに気付き始める描写が、衝撃的です。谷脇が何気なく持ち歩いていた松本の小さな遺骨。看護師の「先生それ何、貝殻?」の言葉に、谷脇は、自分にとってのみ、そのかけらが意味を持つことに気付くのです。形見とは、そういうもの。そこにまつわる思いがあるから手元に置きたくなる。そんな当たり前のことに、松本の死後、何か月もたって気づくなんて。
松本の温かい体を抱いていたときは分からなかったことを、死後小さな骨のかけらが突きつけます。なぜ、生きているとき愛は伝わらなかったのか。不条理だと思いました。愛という形のないものを、たまらなく切なく感じました。
「WEED~one day~」は、初詣に行く若宮と岡田の話。わずか4頁の短編に、萌えがギュッと詰まっていました。谷脇にも岡田のような優しい恋人ができるといいなと願わずにはいられませんでした。
「Green Green」は、表題作とは関係のない、ツンデレ兄と体育会系弟の近親相姦もの。可笑しく甘いのですが、表題作とのギャップが大きくて戸惑ってしまいました。同時収録されたのは、お口直しの意味なのかな。
書下ろしの「Passed by~scene2」は、生前の松本の想いを描いた短編。谷脇に愛されていないのは分かっているけれど、いつか…。表題作は谷脇視点でしたので、松本の想いを知って表題作を読み直すと、さらに切なさが増します。作者様の追い打ちにやられた感があります。
前巻同様、書下ろしに登場する人物たちは、谷脇、若宮の恋人たちなのだそう。とすると、今回の自閉症の少年は…。次巻も谷脇のお話とのこと。優しい展開でないことは予想できますが、読まずにはいられません。
WEED→FLOWER→POLLINATIONの3部作の2作目。
この話だけでもすごくきれいにまとまっていますが、やっぱり1作目のWEEDから読むと谷脇の変わりっぷりが分かるので1作目からがオススメです。
冷血医師の谷脇×気弱な医学生の松本。ゲスの谷脇がたまたま目を付けた医学生の松本に無理やり迫って始まる関係から、2人の心がずっとすれ違ったまま話が進んで、何度読み返しても切ないお話でした。
あと本編に関係ない短編が1作入っていて結構面白かったのですが、これが兄弟ものなので「木原先生勘弁して下さい」という気分でした。ほんと重たくてメンタル来る1冊ので翌日予定のない土曜とかに読むのが良いんじゃないでしょうか。
優秀な外科医の谷脇と、新人医師の松本。谷脇視点。
三部作の2作目。
電子で購入したのを機に数年ぶりの再読。
松本の未来を知っているだけに気が重いし、谷脇の仕打ちは改めて酷いなと思った。
酩酊状態の相手を好き勝手犯した挙げ句、相手から誘ったと嘘八百…いや~~冒頭から最低だよ谷脇。
手に入れるまでも強引だったけど、松本と恋人関係になった後もなかなかの…。
自分の欲望、欲求を何よりも優先して、自分が楽しいと思うことのためなら相手の気持ちは顧みない谷脇。
刺激を求めて散々浮気をし、わざと松本にバレるようにする…その度優しい言葉や態度で取り繕う…の繰り返し。
表面上だけでも、松本が喜ぶ(と谷脇が思う)ような行動や態度がとれるのだから、何故夢だけを見せてやらないんだろう…とモヤモヤした。
で、挙げ句の果てに他の男に…ていう。
まぁ、これもわざわざプロを呼んでいるあたり、谷脇としては本当に余興のつもりで、松本が深く傷つくとは思っていないのだろうなとはわかるのだけど。
でも、松本としては到底許容できることではなくて、谷脇からの愛もないと感じて、彼の気持ちを考えるととても辛い。
この辺りから谷脇の思考が、相手の行動の意味や気持ちを想像する上で的外れなものばかりな気がしてきて、違う!そうじゃない!!と叫びたいような気持ちになった。
谷脇…。谷脇ってなんなのだろう。
最初は、嗜虐心の強い男なのかと思っていたのだけど、必ずしも相手を傷つけたいという意図でやっているのではないような。
谷脇にとっての「楽しいこと」がたまたま相手にとっての「辛いこと」だっただけ…みたいな。
それと相手の気持ちを顧みない点。
最初は、相手の気持ちなんかどうでもいいから見ようとしていないのかと思っていたけど、だんだんと「見ない」のではなく「見えない」…本当にわからないのではないかと思えてきた。
谷脇は、人の心がわからない。恋情とか、愛情とか、「情」というものが理解できない。
きっと谷脇自身の中にない感情だから、他人のそれもわからないのだろうなと思った。
松本が谷脇のことを「鬼」だと表現する場面があるけれど、これはとてもしっくりきた。
「鬼」、人間じゃないなにか。
「鬼」が、人間の皮を着て、頑張って恋愛の真似事をしている…その様はなんだか滑稽で、空回り具合に哀しくなってくる。
ラスト、松本への気持ちに気付く谷脇だけど、もう何もかもが遅すぎて、手遅れで、救いのなさに涙がでた。
松本への愛情は、谷脇の「思考」に上がることがなくて谷脇自身が気付かなかっただけで、その深層心理「心」の部分にはずっとあったのだろうなと思う。
でなければ、逃した魚惜しさとはいえあんなにずっと執着しないだろうし、見向きもされないのに声をかけ続けることもしないはず。
谷脇自身がこれに気付く前に松本が逝ってしまったのは本当に辛い。
これは、いち読者の願いに過ぎないけれど、
二人の最後の夜、谷脇の愛情がカケラでも松本に伝わっていたらいいなと思う。
本人に自覚はないし、相手は眠ってしまっていたけれど、「そっと」と表現された動作に私は愛情を見た気がしたから。
同時収録の「Green Green」は実の兄弟で弟×兄。
兄のトンデモな提案から始まり、明るくライトな雰囲気なので、一冊でバランスが
取れている感じがする。
ただ、シリーズの真ん中の巻なので、ここに別の作品が挟まってしまうのはもったいないようにも感じる。
裸んぼシリーズ2作目。
今作も、酔って意識の無い医学生を犯すという鬼畜スタートなお話でした。
単純で純情な受けは、主人公の手管にまんまと引っ掛かって手の内に堕ち
人でなしの主人公が演じる虚構の姿に溺れて行きます。
主人公が受けを含む遊び相手を、
釣った後水槽で飼っている魚に喩える描写が秀逸でした。
主人公にとって身体を重ねる相手は、無聊を慰めるペットか
ゲーム感覚で気持ちを操って楽しむ人以下の存在なんだと実感します。
(主人公が、人として存在を認めてる人間はほぼゼロですが)
主人公はどれだけ愛されても受けを愛し返すことはなく
刺激欲しさに浮気を繰り返して、それを受けに仄めかしたり・・・。
さらには、同意も得ずに受けを含む3Pを強行して、
とうとう受けの方から関係を絶たれます。
(しかし主人公は全く凝りません。)
その後、受けは主人公を完全に拒絶し
二人の人生は交わる事無く、受けは夭逝します。
しかし主人公は、受けが最後まで自分を愛していた事を人づてに知り、
死んだはずの受けの面影を追ってしまう無意識の行動を繰り返すうち
ようやく自分の気持ちに気付き、人目もはばからず涙して、話は終わります。
見事なバッドエンドで、読んでいて痛さが気持ちいいw
受けが気の毒なのはもちろん、主人公も哀れな男です。
「WEED 〜one day〜」
短いですが「WEED」の若宮と岡田のお正月SSも収録されています。
この二人が大好きなので、甘やかな話に安心しました。
・・・横ですが「FLOWER」の中で、谷脇に脅されて
若宮が岡田とのセックスを覗かせる場面があります。
若宮が抱く側だと思っていた谷脇は、
岡田に抱かれて喘ぐ若宮に驚きます。
谷脇は無自覚ながら若宮の事が好きらしいので、
この二人の甘々エッチを見せつけられるなんて
複雑な心境だろうな〜と想像すると、すごく楽しいww
「Green Green」「SWEET」
分量的に約半分を占める同時収録作品は実兄弟もの。
最初は実兄弟なんて・・・と、引いてたのですが、読んでるうちに、
まぁいいか・・・(*゚ー゚)トオイメ
となし崩しにインモラルを許容させられてました。。
お兄さんのツンデレっぷりが可愛いくて、萌えます (〃∇〃)
これで6歳も年上なんて詐欺だろww
「Passed by 〜scene 2」
書き下ろしSSは「FLOWER」の受け松本視点。
谷脇に浮気されて気持ちを踏みにじられ、
愛されていない事に気付いても、
なお谷脇から離れられない苦しい気持ちが、
諦観と共に淡々と語られます。
この後に起きる結末を知ってるだけに悲しい。。