イラスト付き
作者買いです。小中大豆先生の作品はハズレが無いので大好きです。
今作の主人公であるアンジェリンがとにかく気の毒で可哀想だし、でもきっと最後はニカっと笑顔になるような結末になるんだろうと信じてページを捲りました。
そして私は何を考えているのか分からずちょっと意地悪だけど優しいヨハネスがお気に入りになりました。
最初はアンジェリンのことは親戚の子くらいにしか思っておらず、途中では周りが勝手に2人のことを騒ぐので腹が立って意地悪してみたり、でもやっぱり可愛く思えて気になってしまう…そんなヨハネスのアンジェリンに対する気持ちの変化がちゃんと見え隠れしてるんですよ。
でもお子ちゃま単純なアンジェリンは表面しか見えていません。そこにもってヴァツリーク侯爵家を狙う陰謀に巻き込まれて2人の恋路は複雑に絡み合ってしまうんです。ここら辺が凄く焦ったくてかなり苛つきました。
本当は相変わらずヨハネスのことが大好きなのに、ついつい昔のことを思い出して許せなくてツンケンしちゃうアンジェリンなのでなかなか上手く行かないんです。ヨハネスもアンジェリンが何に引っかかってるのか分からないので見当違いな事ばかりしちゃうのです。でもそこに愛はあるんですよ。女将!www
このアンジェリンが意固地になってしまう過去のとある出来事がなかなか明かされないのですが、ここに鍵が隠されているんです。
この鍵が明らかになって新たな陰謀が起きた時にヨハネスが取った行動と、アンジェリンが自分の気持ちに素直になるところがとても好みでした。
かなーーりの紆余曲折があるので甘さは少ないです。でも一筋縄では行かない恋が好きな人には堪らない作品だと思います。
王道オメガバースなのでお話の先は読みやすいと思います。けど、そこは小中先生。キャラクターの心理描写が絶妙で、お話に引き込まれます。
ヨハネスに恋をして認められたいと願い努力するアンジェリンが健気で可愛い。可能性が見えた時に事件が起こる。事件そのものも酷いけどそれ以上にヨハネスに避けられたのが辛かったな、アンジェリンが絶望するのも当然。
事件後、自立しようと頑張るアンジェリンはすごいけど、自分を守ろうと殻にこもってる様子は痛々しかった。留学を考えた時に再読ヨハネスから婚約の申し込みが。どれだけ甘い言葉を囁かれても信じられないのは解る。それでも同居する中で互いの想いを知れたのは良かった。
政敵によりヨハネスが事件に巻き込まれるもヨハネスがアンジェリンへの想いを貫いてくれて安堵。捻くれてたり素直になれなかった2人が幸せになって大満足。
アンジェリンの心情に右往左往し、ヨハネスの不器用さをもどかしく感じ、想いが通じた2人に幸せをもらえる作品でした。
もう私の好みドンピシャすぎて、読んでて怖くなってくるぐらい攻めも受けも大好きなやつでした。
攻めのヨハネスが人間くさくていいですね〜そんでアンジェに意地悪したり冷たい態度を取ったりしてしまう…
そんなヨハネスの態度に一喜一憂するアンジェがいじらしくって可愛いです。こう、自分の気持ちに素直になれない受け最高すぎる。大好き〜〜
オメガバースものによく出てくる運命の番。運命の番同士のお話も大大大好きですが、運命の番を超えた2人の話も大大大大好物です。
あと脇キャラの存在も良くって、特にアンジェのお母さんがいいですね。アンジェのとある時間の後の、お前は何も悪くないって言葉。普段は似てる故に喧嘩ばかりの2人だけどってシーンで、何だかジーンと来ました。
今年度読んできたオメガバースもので1番かも!いやーー最高!みんな読んでくれー!!!
小中先生のオメガバ設定が大好きなんです!!
男のみにアルファ、ベータ、オメガの第二性がある。男の中でオメガだけがアルファ男性との子供を孕める。そしてアルファとオメガの間に生まれる子供はほとんどが男で、アルファ性かオメガ性が多い。
逆にヘテロ夫婦の子供は、ベータか女が生まれることが多い。
ベータは女と、アルファはオメガと番になるのが一般的。それ以外の組み合わせは、法に反してるわけじゃないけど、周囲からは歓迎されない。
アルファ性優位の社会だから、アルファを産むオメガはとても貴重。だが、ヒートやアルファを惑わすという性質上、忌むべき者とされてもいる。
余程のことがない限りは、アルファの両親もオメガの両親もどっちも男性(アルファ×オメガ)ということ。
アルファのことを父、オメガを母っていう呼び方がめちゃくちゃ好き(男がママお母さん母上って呼ばれてるのが最高)なので、この部分も性癖をぶっ刺してくれて有難い。
色んなオメガバース作品を読む度に、既に妊娠できる女にバース性いらねーだろってモヤモヤしてたので、小中先生のこの設定は本当に素晴らしい。他の小中作品にも同じオメガバース設定の本があります。
受けアンジェリンが攻めヨハネスを避けてるメインで話が進むが、その発端となった事件を匂わせるだけ匂わせて、詳細を語るのを引っ張りまくるとこは少しモヤモヤしました。(めちゃくちゃ引っ張る)
設定、ストーリー、キャラクター全部神評価の最高の一冊です。
ただ、このイラストレーターの描くキャラの髪型が昭和臭すぎるのだけが残念。
あとがきの後の特別SSで、アンジェリンがつんつんしてた頃のヨハネス視点の過去話と、現在のイチャイチャ話があります!
アンジェはひっそり恋心抱いてたけど、ヨハネスはうんざりしてたって関係性がまさに私の好きな攻め受けのシチュで最高でした。
あらすじでは分からなかったけど、私の好きなヤツっっ!
"運命の番"が大きく関わっていくお話です。
これね、あらすじの印象と作品の内容とでちょっとギャップがありますね。甘さ・溺愛ベースのお話かなと思いましたが、切なくて胸がジクジクするシーンが多い。
特にアンジェリンのトゲトゲパンチが随所に光ります。
ヨハネスは基本優しいけど、彼もまた嫌味を言ったり意地悪スパイス効かせる性格なんで、思ったよりかは甘さ控えめ。ひねくれ王子とトゲツン妃候補のしょっぱい恋の物語です。
全体的には溺愛、中身は紆余曲折・波瀾万丈っていう中身の濃いストーリー展開で、王道から一歩踏み込んでいます。
2人の気持ちも、彼らの結婚を後押しする両家両親の存在も、何の障壁もない環境にありながら、問題ありありの2人を取り巻く状況が、彼らのハッピーエンドを簡単にウェルカムにしてくれません。…だから面白い!
環境は整えど、機は熟していないっていう感じかな。アンジェリンの過去に受けた心の傷とトラウマがヨハネスとの恋にブレーキをかけています。
アンジェリンのトゲトゲツンツンな性格は強烈です。王の御前でもブリザード級の言動パンチ。ひやひやさせられて、し…心臓に悪い〜…
アンジェリンにしか分からない心の傷が分からないうちは、彼の冷たい態度に嫌な印象を持ってしまうかも知れません。私もアンジェリン、生意気で可愛くねぇ〜〜…って思いました。
けど、この作品は中身が大事。表面的に見えていていることが全てではないので、あとからの真実回収が面白くなっていきます。
アンジェリンのカラッカラの塩対応の原因が分かると彼の印象が違ってみえてくると思いますよ^ ^
さて。この作品の中で基軸となるのは「運命の番」。この作品ではこの「運命の番」が重宝されている設定です。
運命の番と言えば、会えば一目惚れ、触れると雷が落ちた感覚のごとくビリビリ……なんて描写されることがありますよね。この国では血液検査で科学的に運命の番判定を行っています。
アンジェリンとヨハネスの血液判定は、「A」と非常に好相性。これ以上の良縁はないだろうと思っていたところに、まさかの「特A」オメガが現れるピンチな展開になっていくのです。
惹かれ合う2人の間に、運命の番が現れるヤツ……BLでたまに見かけます。一瞬にして自分が"じゃない方"だと決定づける嫌〜な展開です。
ですが、私はこの「運命の番」ありきの世界観で、自分たちの気持ちを重視する…つまり「打倒!運命の番」な作品が大好き!後半はめちゃくちゃドキドキしました。
身体が求める本能 VS 理性で求める恋心
この対立構造がすごく楽しい。
身体が求める「運命の番」を目の前にして、心で想う好きな人のために自分の本能に抗うことができるのか。すごい試練だと思いません?そして、これをクリアすることこそ真の愛だと思うんです。
「運命」の相手と添い遂げること=幸せとは限らない。だって心がそこには伴ってないんですもん。
彼らが運命以上の"運命の番"になり得るのか必見です。身体や血か?それとも心か?2人が辿り着く運命の結末を最後まで見届けて下さい。
ストーリーは好きな設定だったんですが、アンジェリンのツンデレ度が高過ぎて好みから外れてしまったので、−1の萌2にしました。ヨハネスの気持ちに積極的に向き合い、理解しようとする能動性があれば良かったかなと思います。