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表題作いつか君とはなれ

野村喜一 高校生→大学生
野村次郎 喜一の義父 アパート管理人/人形作家

あらすじ

父ちゃんより大事な人なんて、できるのかな。

出会った頃の次郎は喜一の父親ではなく、アパートの管理人だった。
喜一の母と結婚し家族になって一年、二人きりになって二年。
なんでも話せる友人のような人、たった一人の家族、それから──ずっと一緒にいたい人。
この気持ちがなんなのか、ずっと考えていた。
だけど見てしまった次郎の古いスケッチブックには、物心つく前に亡くなった実父の姿があって……。

…終わったはずの初恋が戻ってきたようだった。
息子×義父 禁断の純愛。

作品情報

作品名
いつか君とはなれ
著者
井上ナヲ 
媒体
漫画(コミック)
出版社
プランタン出版
レーベル
Cannaコミックス
発売日
電子発売日
ISBN
9784829686867
3.8

(25)

(7)

萌々

(7)

(11)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
10
得点
96
評価数
25
平均
3.8 / 5
神率
28%

レビュー投稿数10

拗らせた初恋。向けられた方の気持ちは?

喜一が好きなひとは、母に連れられて引っ越してきたアパートの管理人である次郎。子供の頃からずっと変わらない。
高校生になってだんだん分かるようになってきたが、次郎は喜一の亡父を好きだったのだと気付く。
次郎にとって、自分は亡父の代わりなのか。
というように、主には喜一の視点で綴られていきます。
こういう、子供の頃の初恋を拗らせたまま大人になっていくお話は大好物でして、楽しく読みました。
自分の恋心に戸惑ったり、直接次郎にぶつけてみたり、やっぱり引いてみたり、という不器用で純な喜一の気持ちや心の動きがすごく丁寧に描かれています。
ですが一方で、次郎の気持ちの書き込みがちょっと不足していると感じました。
次郎はどう思っているんだろう。喜一のことを可愛いと思うのはそうなんでしょうけど、果たして恋の相手として見ることはできるのか? 
やっぱりまだ喜一の父親のことが忘れられずに、代わりとまではいかないにしても、透かしてその影を見ているのか?
それとも子供を見る親の目線なのか?
いろいろなことを諦めて、虚無感に捕らわれて、生きるだけでもう精一杯なのか。
その辺りが分かりづらかったです。
絵柄は素朴で、画面は総じて白いのが味わい深くて、作風にも合っていると思いました。

0

ストーリー重視

タイトル通りの作品。えちはないしキスはほんの触れただけの重的向きはBL感があまり強く見えないものの内容はとても禁断な設定の作品。
個人的には年上×年下が好みなのでその逆はあんまりなものの、こういう最初からストーリー重視っていう作品は話に集中させてくれるから好きです。それに現実離れ感もなく、本当にこの日本のどこかにこんな二人が居るのだろうなと、それはもう切実に想像が出来てしまう心が温かくなる作品でもありました。
本当にドラマでも観たようなそんな感覚でもありました(=^・^=)

0

えちはない。だが、、、

帯に、「息子×義父 禁断の純愛」とあったので、義理関係好きの私には読まずにはいられなかった1冊。


Cannaさんだし、一筋縄ではいかない展開なんだろうなあ、、、なんて思っていたら、スト重視のエモ作品でした。

義理の息子(DK)×人形作家の父。

今は亡き攻めの実父を好きだった受け。

愛する人を失った息子と妻を自らの元へ呼び寄せ、ともに暮らしながら好きだった相手の面影を息子に見てしまう。

やがて籍を入れ、3人は家族に。

しかし妻はほどなくして病で亡くなり、2人家族に。

少しずつ親子関係が歪んでいくのが分かっているのに、受けは終わったはずの初恋が戻ってくるような夢を見てしまい、曖昧なままにしてしまう。

けれど、攻めはアクションを起こして、、、


という感じ。
本編のほとんどが攻めがDKであるからか、キス止まりなんだろうけれど、それでも心の機微が丁寧に描かれているので、満足感はある1冊でした。

これはえちがなくていい。

そう思える作品でした。

ちなみに、コミコミさん限定の8P小冊子の中華鍋のお話は受け視点でしたが、小さい頃から攻めの健気な愛がかわいいと思えるお話でした。



0

ひとつ屋根の下のはなし、かな


途中まで、試し読みしてから
ずっと気になっていて、やっと読みました。
話の流れは予想ついてしまってはいたんですけど、いいお話でした。

ただ、影をつけすぎではないかと。
作家さんの作風なのだと思いますが、
どうしても閉鎖的で重くなるのが
読んでいて、萌えるポイントでそれほどキュンとしないというか…
2人が離れたあとは、一瞬、年上受けのモノローグも読みたかったかもしれないです。
気持ちがぐっと近づくプロセスを、もう少し味わいたかったかなぁ

1

ただ人を好きになっただけ

井上ナヲ先生の久々の新作と聞いて。

先生の作品とのはじめましては「捨て猫の家」でした。
無機質ながらも重く深い愛の形を描いたその世界観に引き込まれ、
読み終えてからもしばらく頭の中に居座って離れなかった記憶があります。

一歩踏み間違えればバッドエンドを彷彿とさせる不安定さと、
繊細な心理描写、そんな井上先生ならではの作風は今作でも健在でした。
少し時間が空いての新作だったので少し緊張しながら読み始めたのですが、
どうやら杞憂のようでした。

死んだ母の再婚相手で義父の次郎に恋をした義息子の喜一。
「ずっと一緒にいたい」と次郎に想いを伝えるも拒絶され…。

親子の一線を越えてはならないと自分の気持ちから目を背ける次郎と
親子であろうと男同士であろうと「ただ人を好きになっただけ」と
自分の気持ちにまっすぐな喜一のすれ違いが切ないのです…。

結婚してもなぜか恋人同士には見えなかった次郎と喜一の母ですが、
次郎視点で二人が結婚に至った経緯が明かされて納得でした。

次郎のことを「ライバル」や「同士」と表現した喜一の母ですが、
それってつまり次郎が自分の夫に密かに寄せていた恋心にも気付いていた、
ということなのですよね?
同じ男を愛した者同士という歪にも見える二人の関係ですが、
同時に二人の絆がそれまで以上にずっと深いものに思えて、
胸がぎゅっと詰まってしまいました。


義理の親子の道ならぬ恋というセンシティブなテーマであるにもかかわらず、
どこか淡々と展開してゆく物語は井上先生らしく、嬉しかったです。

けれど、義理とはいえ親子の恋はどうあがいても禁断。
恋が実っても実らなくても、完全無欠のハッピーエンドなんて難しく、
だからといってメリバだって耐え難い。

そんな私にとって、この緩やかなハッピーエンドは程よく馴染みました。
一応は想いが通じたということで決着はついたけれど、
だからといって突然恋人らしい生々しさを醸し出すでもなく、
だからといってこれまでの歪な親子関係でもなく、
穏やかさと切なさが入り交じったような奇妙な幸福感が湧いてくるのでした。
喜一が言ったようにずっと一緒に、二人で幸せになってほしいな。

1

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