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大好きなシリーズの5作目。4作目までは少し怖さを感じる耽美な世界観が多かったけれど、本作はキラキラと精霊の舞う美しい世界。子供の頃に読んでいた不思議な世界観の外国童話を思い出す。奔放が過ぎて呪いを受けた美しい王子と、孤独の中で誰かに愛情を注ぎたい家具職人の男の子。職人ゆえに手荒れをしている小さな手の描写には、いたく萌えを刺激されます。受けの美徳に触れるにつけ、心を入れ替えて本来のポテンシャルと甲斐性を発揮し始める攻め。月の作用で親指サイズに戻ってしまった王子が、紆余曲折の冒険の後にボロボロになりながらも受けのところへ帰ってくるシーンにじんと来ました。キラキラの余韻に浸れる読後感◎ このシリーズでタッグを組まれている笠井先生のイラストはいつも美しいですが、今回は特に世界観も相まって超絶美麗で可愛くて切なくて最高。このシリーズの耽美さが気に入ってる勢は戸惑う方も多かったようですが、個人的には一番のお気に入りです。ビタミンBL系お好きな方にもおすすめ。
官能童話シリーズ、個人的には二冊目。前に読んだのが「白雪姫の息子」で、あのどろどろ感を想像して最後まで何かあるかも?と警戒しながら読んでいたので、あっさり終わってびっくり。
今作単体で見ればほっこりできる読みやすい作品だと思う。
おやゆび姫がモチーフの作品。ミルフェは家具職人として一人で生計を立てる19歳。自分に自信がない、いつものBLの受けって性格でも、謝るばかりでなくお礼も言える子だったのが良かった。
王子は百年前には蛮行を働いていたらしいが、全てが具体的に描写されることもなく、ミルフェが夢で見たエピソードでは印象が悪くなるほどでもない。ミルフェに出会って改心したとあるので、対比を分かりやすくする意味でもう少し過去の悪行を知りたかった。
二人が離れ離れになって王子視点になると、王子はミルフェの内面を理解していたのが分かって良かった。意外にちゃんと見てたんだなあと。
百合の王に見初められる展開は、簡単に逃げ出せてしまって肩透かし。王子がグラつきながらも浮気しなかったってとこが重要なのかな。
魔女に会いに行ってからも、ちょっと説教されるくらいで、あっさり人間に戻る薬を手に入れる。その後に襲って来た花の王国の追っ手も、小さな嫌がらせだけであっさり去ってしまう。
ここからさらに何かが?と期待していたら終わってしまった。電子で残りページ数が分からない状態で読んでいたので、終わったことに本気でびっくりした。王国を怒らせたなんて、もっと大変なことが起こるかと思って読んでいた。
これが短編なら神評価!ページ数が少ないのもあるが、作品の重さ的に文庫一冊分の満足度には届かない。どろっと濃いシリーズだった印象が強く、読む前に覚悟しすぎたのかも。正直物足りない内容だった。
まるで童話ですね!まあそういうシリーズで設定なんですけど。
先が気になって一気読みでした。童話の元ネタもちゃんと知らないので、ハラハラドキドキ。どうなっちゃうの〜?と。
自信は愛だ!
この言葉につきますね。
ミルフェの自信のなさ、いつか来る別れに諦めと足掻くズルさ。
犬飼ののさんのお話って、主人公のズルさやエッチなことしたいって頭がいっぱいなお話がいくつかありますよね。いいです!
王子がミルフェと出会い身も心も生まれ変わって。あ〜なんて素敵な日だ〜♪
ミルフェを愛しミルフェと共に生きていく覚悟にしびれました。さすが王子、賢い!
駆け足気味な印象もありますが、とっても良かったです。王子がまっすぐで、ズルさや傲慢さもなく。ミルフェもやっぱり良い子だし。
童話要素に沿ったのか王国の部分がなぜ必要?と思いました。いや、元ネタ知らんけど。
ミルフェが幸せの種を自分で育てて、お世話も頑張ったからだよ!って言いたい。
あと印象に残ったのが笠井あゆみさんのイラストが怖くないってことかな?
個人的な印象ですが攻めはいつも怖い顔してるイメージがあって。挿絵はエッチか受けが困ってるところか攻めの悪い顔かが多いと思ってて。
でもこのお話の挿絵は明るい表情やシーンなのが新鮮でした。
おやゆび王子というタイトルから攻めが小さいのは知ってましたが、いったいどのくらいの大きさなんだろうと疑問を持ちながら読み始めました。
そうしたらある界隈の方々には堪らない内容じゃないですか⁉︎
青薔薇から誕生した時はおやゆびサイズで、そこから転げ落ちた時には6分の1サイズなんですよ。そしてミルフェは人形の家具職人として人気があるんです。ミルフェが作った部屋を占拠するほどの箱庭(模型)の描写なんて堪らなかったです。思わずグレインロードならあのドールかしら、それともあちらかなと妄想を楽しんでしまいました。
そしてストーリーもスッキリとしていて、本筋に関係無さそうなところはカットされてて分かりやすかったです。
本来のおやゆび姫は花の国の王子様と結婚するんですが、グレインロードが花の王国の王の誘惑を振り切ってミルフェの元に戻ろうとするのが面白かったです。この王が人間だった頃のグレインロードの好みドンピシャなんですよ。この辺りの描写が上手くてドキドキしてしまいました。
このお話で好きだったのはミルフェがグレインロードに愛される事によって変わっていくところでした。それはグレインロードも同じで出会ったことで成長する2人に感動でした。
童話を題材にして制限のある中でBLを書くって難しいと思うんですが、上手く書き切っていたと思いました。このシリーズ続いて欲しいです。
犬飼先生の官能童話シリーズ過去作、原案の「おやゆび姫」ともに未読です。
内容のリンク点などの評価はできていません。
ただただファンタジーを読みたくて手に取りました。
その点、攻の王子様がボトルサイズの妖精かつ箱庭で生活、
尽くし系受の方がまさかの巨人扱い、
なのにこのトンデモサイズ感のまま両想いに?という設定は、
作りはわかりやすいわりに、ファンタジーBLに落とし込むには斬新さもあり◎。
現実を忘れ、欧風の世界観にしっかりと引き込まれました。
ただ、設定は結構キャッチーでパワフルなわりに、中身や展開はあっさり軽めだったかなぁー。レーベルの雰囲気やページ数の制限もあるのでしょうが。
良く言えば難しいところがないので、サクサク読める。
悪く言えば深みや考察しがいが少ないので、繰り返し読みたい気持ちになりにくい。
犬養先生の文章自体はお上手で、事実ベースの展開描写はかなりわかりやすいです。
つまり
「庶民の受が、妖精の姿をした王子様と出会いました。
王子様は箱庭での生活を始めました。
しばらくして妖精から人間に戻してもらうために2人は旅に出ました。
ある晩、月の力で王子が大きくなり、2人は愛し合えました。
しかし再び小さくなってしまい、2人は一瞬はぐれてしまいました。
けれど、再会して最後には王子様は人間に戻り、仲良く暮らしましたとさ、めでたし、めでたし。」
というアウトラインの書き込みは無理無駄がなく美しいのです。
ラブシーンの描写もわりと濃厚でライブ感や迫力があり楽しめます。優美なイラストとの相性もばっちり。
一方、背景や葛藤の心理描写はことごとく控えめですね。
基本的なところで言うと、ロードがミルフェに恋をした、しかも初恋だった理由やきっかけ、情熱の高まり方はほとんど書き込まれていないような。
尽くしてお世話してくれたから?同性愛を責めなかったから?熱い視線を向けられていたと感じたから?……くらいの情報ですかね。もうちょっと欲しいかなあ~。
あと、なぜ放蕩息子を演じなければならなかったのかももう少し解説して欲しかったかなあ~消化不良気味。でもそこを掘り下げると、たぶん長くなるし暗くなりそうなんだよな~。
魔法使いも1回人間に戻るの無理って言った後、ウソウソ戻せるよーってあっさり翻ったのがちょっと肩透かしかなあ~。でも童話ベースならこんなもん?
ロードを誘惑してくる綺麗な妖精さんも、結局かき回すほどではなく、モブよりちょっと上の扱い止まりでキャラの使い方もったいないかなあ~
などなど読みながら多少もんもんとしました。
とはいえですね、最初に言ったようにレーベルとぺージ数的にはこのくらいが妥当なのかなと納得できるクオリティではあるんですよ。完成度が低いわけではない。
BLや小説の超初心者でもなければ(一応シリーズものだし、トンデモ設定だしそんな方は今作の読者には少ないとおもいますが……)、既定路線で予測、補完しながら読めば全然問題なく楽しめると思います。
むしろ一から十までダラダラ説明されるより快適と感じる人もいるかも。
ルビー文庫らしい手軽さと、物語の深堀り描写は、ページ数のトレードオフ関係なのかもしれません……悩ましい。
個人的にはページ数が増えても深堀りエピソードのあるタイプが好みだったので、今作は楽しめましたが萌え爆発までは行かなかったかな。
評価刻んで良いなら☆3.8くらいです。