電子限定おまけ付き
ARUKU先生の作品は一方的な執着攻めのイメージがありましたが、これは少し違った設定。
アウティングという現実的な問題を扱いつつ、ストーリーや言葉一つ一つにぐいぐい引き込まれていくその力に、ARUKU先生ならではの読み応えを感じました。
20年前、高校生の頃、クラスで好きだったキラキラした男に、みんなの前でアウティングされた。
それ以来、二度とその男(攻め)とは会いたくないと思うほどその件をずっと引きずってきた受けだった。
が、偶然義姉からの電話で、偶然その日が同窓会だと知る。
会場の前へ行くだけだと思っていたが、攻めと会ってしまい、、、
過去のことがあるから本気になっちゃいけない。
でも、前からずっと好きだし、、、
という展開が予想を裏切らない、胸の奥のほうがギュッと鋭利な刃物で一突きされたようなARUKU先生の作品でした。
そして、攻めざまぁ展開になるかと思いきや、攻めも受けのためにすべてを捨ててきちゃう展開に、やっぱりそうきたかぁ!! と、緊張感が最高潮に。
で、ARUKU先生の言葉運びが本当に天才的すぎるのですよね。
頭の中や感性がどうなっているんだろうか。
とても気になる苦しい作品でした。
でも、間違いなく名作です。(読んで確かめてみてください!!)
優しくて美しくて切ない作品でした。
2人のことで何か起こる時には雨か雪が降っていて、そこから感じる冷たさがより切なさを助長していた。
高校の時に天花寺がみんなの前で五映のことを『ゲイだから』と言ってしまった…この出来事は五映の心に深い傷を残した。
数年後の同窓会で五映と天花寺は再開‥という話
五映のモノローグから天花寺への矛盾した気持ちが痛いほど伝わってきた…ARUKU先生の語彙力がすごい!!!
どうしたらこんなに素敵な表現を身につけられるんだろう
天花寺の『俺がつけた傷も含めて丸ごと好きさ』って言葉がきけてよかった。恋を超えて愛ですね!
この2人なら最初は罪悪感や同情だったとしても、これから一緒にいることで傷つけて傷つき合うことになったとしてもすべてを乗り越えていけそう…乗り越えていってほしい!
描き下ろしの汗だくになりながらエッチして、アイス食べながら一緒にいる未来の話をする…これからもこんな風に2人で過ごしているといいなぁ
先生の「百年でただ一度だけ恋した」「嫌い、大嫌い、愛してる」「発熱バスルーム」がとても好きな作品。こちら試し読みして面白そうだったので読んでみました。(以下ネタバレあるのでご注意ください)
初めは受け視点。
高校時代に天花寺(攻)にゲイだとアウティングされてから、孤独に生きている五映(受)。20年後天花寺が現れ、謝罪したいとつきまとう。そして離婚してきたから恋人にしてくれと言う…。なんだかトンデモ展開ですね!
五映は天花寺を憎む反面恋していて、不信感を抱きながらも不思議な恋人関係が始まる…。
途中で攻め視点もあり、20年前や現在の天花寺の心情も明かされていくのですが…。どうも、この天花寺の気持ちがよくわからない。
五映に惹かれる気持ちはあるけど、はっきり好きというわけでもないみたい?「自分で自分がよくわからない」というセリフもあるから、そんな感じなのかな。天花寺の気持ちがはっきりしないので、読んでいてちょっとモヤモヤします。
ただ終盤になってくると、天花寺も当て馬の鍵原にイライラしたり、五映に好きという言葉を求めたり、さすがに気持ちがはっきりしてきますね。
五映は天花寺を好きなのに、天花寺はそのうち去っていくから本気になっちゃいけないと思っているのが切ない…。
五映は36歳だけど童貞で、キスされただけで震えてしまったり、狐のぬいのプレゼントにニコニコ喜んだりして可愛らしい。
終盤、五映が鍵原に「天花寺を解放したい」と言って涙するシーンはすごく綺麗でキュンとしました。
最終盤に、またまた五映を追い詰める出来事が。最後まで五映が可哀想で、読んでいてつらくなります。
天花寺の優しさを思い出し「保護猫みたいにいたかった」と涙するシーンは、もらい泣きしてしまいました。
当て馬の鍵原が天花寺に「最悪だな」と言うシーンで、読みながら「本当にやってることが最悪だよ」と思ってしまった(汗)
個人的に、執着攻めや溺愛攻めの方が好きなので、天花寺は気持ちが揺らぎすぎていて、正直本作にはあんまり萌えられませんでした。
またラストまで、ほぼずっと五映がかわいそうなのも、読んでいて少々しんどいです。途中甘いシーンやほっこりするシーンもあるけれども、う〜ん。
あと悪役的な女性が二人出てきますが、ここまで女性が悪者として描かれるのも、あんまり好きではないです。
ストーリーは、一筋縄ではいかない展開が面白くはありました。さすがARUKU先生!
まだ未読作あるので読みたいし、今後の作品も読んでいきたい先生です。
ちなみに濡れ場は最後と書き下ろしに2回で、かなり少なめでした。
紙本 白抜き修正
アウティングの罪深さを題材にした作品。した方もされた方もまさか20年もの間罪悪感や恨み、後悔に悩まされることになるなんて、当時は思わないでしょうね。何度邪険にされてもめげずに贖罪をなそうとする天花寺が段々可哀想にも思えてくるけれど、あの時天花寺の一言がなかったら20年の間五映は今とまったく異なる人生を歩んでいたかもしれないと思うと、たとえ悪気もなく犯罪でもなくても、1人の人生をここまで変えてしまう言葉って本当に恐ろしいなと思いました。具体的な贖罪の方法にはあまりリアリティはなかったけれど、そこはARUKU先生節。一度別れた後、天花寺が穏やかさを放り投げて乱暴な口調で五映に言葉をかけたシーンはとても良かったです。鍵原も嫌な当て馬でなく、2人に対して誠実でいいキャラでした。言葉の重みを考えさせられる作品でもありました。