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表題作2世と器

東春一
高校1年,16歳
賽原永真
宗教の神(燈主),高校1年16歳

あらすじ

宗教2世と教団の神様。
2人はクラスメイト――

高校生の東春一は、新興宗教にのめり込む母を持つ宗教2世だ。
ある日、母にむりやり連れて行かれた集会で登場した「燈主様」は、クラスメイトの賽原永真で、春一は仰天する。
学校では話したこともない永真は、ここでは神様のような存在で、彼の人格を無視して崇め奉られていた。

そしてその晩、春一は一心に灯油タンクをひきずって宗教施設をめざす永真を目撃し――!?

それが、周囲の大人に心身を追い込まれてきた永真と、彼に寄り添う春一の、不思議な出会いだった。

作品情報

作品名
2世と器
著者
戸ヶ谷新 
媒体
漫画(コミック)
出版社
祥伝社
レーベル
on BLUE COMICS
発売日
電子発売日
ISBN
9784396785819
3.9

(77)

(29)

萌々

(33)

(6)

中立

(2)

趣味じゃない

(7)

レビュー数
17
得点
297
評価数
77
平均
3.9 / 5
神率
37.7%

レビュー投稿数17

アロマンティックと宗教2世

恋愛が分からない男が運命の相手に出会って初めて人を好きになる!みたいなお話はBLの定番でよく見かけますが、この作品では恋愛感情を持たない指向であるアロマンティックをそのまま尊重して描かれているのが素晴らしいと思います。愛の種類は沢山ありパートナーとの関係性もそれぞれ違っていい。否定されるべきではないというのが話の幹になっていて正に令和のBL!!
そしてアロマンティックと並んで作品のテーマになっているのが宗教2世について。教団側、信者側それぞれの苦しみが描かれていてBLにはイチャラブだけ求めてる!という方には向かないかもしれませんが、お互いの存在や友人達が救いになるストーリーが非常に美しい作品です。

9

とても深すぎて…

宗教にのめり込む母親とふたりで暮らしている高校生の春一。
宗教2世としての葛藤を抱える中で、母が信仰する宗教の"神様"が同じクラスの永真だったことを知る、というところから始まるお話です。

重たくて深いテーマだけれどもその日々の中にまったく光が見えないわけではなくて。
一緒に過ごすようになってからそれぞれ自分と向き合えるようになったり、周りに助けを求めることで道が拓けていったり。
様々な道を選びながら共に救われていくまでを描いたお話でした。

信仰する側とそれを与える側である春一と永真の関係は宗教を通してみれば対等になるわけはないけれど、そこから離れるとただの同級生で友達。
そんなふたりの間に隔たりなんてあっていいはずがないんですよね。
というか、言ってしまえば親に振り回されているただの被害者たち。
なので色々と話をしていくうちに距離は自然と近くなり、永真は恋愛感情を持って春一に惹かれていくのですが…
どうしても同じ気持ちに"なることができない"理由があって。
それが深い話だなーと思ったポイントの2つ目でした。

春一の恋愛的指向は「アロマンティック」というもので、他者に"恋愛感情を持たない人"なのだそうです。
恋愛をしたい欲求がそもそもないので恋人になっても同じ熱量で付き合うのは難しく、それをこれまで付き合ってきた人には理解してもらえなかっただろうし、春一自身もこの答えに辿り着くのは簡単ではなくて。
仲の良い友達にさえ理解してもらうことに関しては諦めていたのでしょう。

でも。永真は春一のことを好きだからこそ、春一にはありのままで生きてほしかったのだと思います。
同じ気持ちになれないからといって離れたり諦めたりせずに自分達なりのカタチを探したい。そんな提案をした永真の強さに心を打たれたのでした。

乗り越えるべきことや目を背けることができないものなど、これからも大変なことはまだまだあるけれど、そんな中でも自分を信じてくれる人がいるだけで前を向くことはできる。
それを教えてくれるような結末に感動。 
春一兄登場のエピローグにもめちゃくちゃ心を揺さぶられました。

ストーリー展開や言葉の選び方にグイグイ引き込まれ、それと同時に色々なことを考えさせられ。
読み終えてちょっぴり放心状態になるような、ものすごく深くて読み応えのあるお話でした。
スト重派の方にはぜひ読んでほしい。グサグサ刺さると思います。

7

間違いなくそれは「愛」

とてもレビューが難しい、だけれども知って欲しい1冊でした
センセーショナルなテーマを扱ってはいるけれど間違いなく彼らや彼らの周りに在る「愛のカタチ」を教えてくれる内容です

人の数だけ感情はある
例えばある人にとったらそれを「努力」と思う人もいるけれど、同じ行為をある人には「足掻き」と思う人がいるような、真実は表裏一体で人の数だけ解釈はある
それが「愛」であっても同じ事
自分のマインドをフラットにしてくれたり、新たな角度での考え方を教えてくれるお話しや刺さるセリフがとても多くて、私にとっては見る作品と言うより「読む」作品に出会えた、という印象が残る作品でした


相手がどう思ってるのかな?アノ人を知りたいなって「知りたくなったり」「理解する」事の大事さを春一が教えてくれます「全部知ってんの?知らないから怖いんじゃねーの」
そして同時に彼自身も「お前に俺の事知って欲しくなった」と言える相手に出会います

相互救済的なお話しだとは思いますが、救済という救い出されるという受け身なイメージよりも「取り戻す」というような前進を感じさせる力強さのあるお話しでした

最終話にあるモノローグとセリフがとても心に響きました
「こんなのは愛だ 愛でしかない」
そして最後の永真が最高の笑顔と共に口にしたセリフ
是非、実際ページを捲り、彼の声を聴いて欲しいです
きっと春一の「…おまえほんと最高なヤツだな」に大きく頷いてしまうはず

作者さまのあとがきもとても素敵でした
「誰か特別な人を見つけることが人生の全てではありません」
すごくこの言葉、好きです
勿論パートナーとの時間が大事であってもいいし、その大事な対象が友人や家族、ペット、趣味ナドナド…自分にとって「愛」を感じられたらそれだけで潤いますよね、十人十色・百人百様・千差万別‼
誰かに「愛」に見えなくても自分が愛を感じられたら「それでいい!」って思える!そんな力強さと作者さまからの愛を貰えた気がします

修正|直接的に性器を描かずに表現している為修正は不要

3

難しい題材でした。奥が深い。

宗教2世が、ある日集会に連れていかれ、教祖がクラスメイトだったことに気がつくという、衝撃的な冒頭。

そこから2人の交流は始まり、やがて教祖にさせられ、虐待のような制約された生活を送る永真を助けようと、クラスメイトたちで奮闘するお話でした。


恥ずかしながらこちらの作品で、「アロマンティック」という言葉が存在することを知りました。


ちなみにアロマンティックとは、誰にも恋愛感情を持たない人のことを指すそうです。

宗教2世の春一が、それでした。


そして、春一に救われた永真はそんな春一を好きで、パートナーとして一緒にいたいと思う。
そんな結末でした。


宗教という強烈な題材のインパクトにかき消されがちかもしれませんが、相手のことを「分かりたい」と伝えること。
それから、相手に諦めずに伝えようとすることの大切さを、改めてこちらの作品で認識しました。


大人になるとどうしてもこの作業って、諦めがちだったりしますよね。
(少なくともまりあげははそうだった)
でもそういった忘れていたものをこちらの作品を読んで、ふつふつと思い出しました。


BがLをしているかと問われると、正統派ではないかもしれません。
が、多様性が叫ばれる昨今。

ほかの友達ともちょっと違う好きで、なんか特別。
こういった愛のカタチがあってもいいし、ゲイでもなんでも自由でいいのではないかと思いました。

ただ、相手も自分と同じ考えなのだということはなく。
相手の自由を奪うことはないように。
常に、相手のことを知ろうとしようとする気持ちが大切であることを忘れずに。


最後の「僕は人間だ!」のスピーチに涙。

そしてカバー裏の永真の「好き」欄に、外出と肉って書いてあったのが、エモしでした。
そっか。
あれから永真、肉が好きになったんだね、、、(感慨深げ)


また1作、すごいお話を読んでしまいました!!



2

知ってほしい・教えてほしい

新興宗教を信仰する母と暮らす「宗教2世」の東春一(はるひと・攻め)と、幼少時に新興宗教の神、燈主様の「器」とされた賽原永真(とうま・受け)の伝えることと、わからないことをわかろうとすることを考える、大きな意味での救済ラブストーリーでした。

東親子の関係は、繰り返し読めば読むほど、はがゆくなりました。春一に宗教活動をして欲しい母と、宗教の思想を拒絶する春一。宗教関係の話をしていないときは何気ない会話や日常が送れているようなのに、 そこだけがわかりあえない。自分の正しさをわかってもらおうとお互いがもがいて苦しくなっている様子が辛かったですね。

そして春一は心の中にもう一つ「どうせわかってもらえないと諦めようとしているもの」をかかえているわけですが。
何百何千と様々なラブストーリーを読んできましたが、恋愛とは何か?ということを改めて考えましたね。結論はまだ出そうにありません。

わかってもらえないという孤独
わかってもらえた安心感

ちょっと私の中で「わかる」がゲシュタルト崩壊しそうになってますが、
お互いが同じ形や思いじゃないと一緒にいられない、という訳じゃない
違うことをお互いがちゃんとわかってればいいのかもしれないなと思いました。

ちなみに、春一と永真と友人2人で、2回、事を起こすのですが、その時その時で、ちゃんとした大人の力を借りていたのが、何か良かったです。大人を当てにすることができて、大人も信頼に応えられてるって描写はなかなかないんだよなぁと、思いました。

色々考えることができて、とても面白かったです。

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