電子限定特典付
片やカルト宗教の燈主、片や永真が燈主をしているカルト宗教の二世。
彼らの悩みは二世にしか分からない苦しみで、きっと友人たちにもその苦労を打ち明けられなかっただろう。
そんな苦しむ当事者同士が巡り会う。
幼少期からの制限、体罰、精神的困窮……立場は違うけど抱えた苦しみは同じで、誰も気づいてくれないギリギリの心に気づいて───。
永真もいい子なんですが、春一がまたいい子なんです。
私は灯油で放火しようとしている人をあんなふうに引き止められるか自信がないです。
止めるのも勇気がいるけど、やめろとか何してるんだとかそういう止め方じゃないんですよ。
優しい……。
春一は友人達に永真とは関わらない方がいいのではと忠告されるのだけど、永真はいいやつだとちゃんと庇うし、友人のことも咎めるわけでなく心配してくれてありがとうとフォローする。
親御さんがこの状態の中よくこんなにできた人に育ったなと、この子の持って生まれた優しさなのだろうと関心しました。
学校でもヤバい宗教の奴扱いされて遠巻きにされている永真のことを春一は放っておけず気にかけます。
死にそうな顔をしていた永真が、春一と楽しい時間を過ごして破顔するのが胸に響いて……。
ほんとうに美味しいのに、体が受け付けなかったあの苦しさがまたつらく......。
表紙の笑顔がとても印象的だったんですが、読むともう。
胸が痛すぎる。
人はしんどいことがあると泣くし、理不尽には怒って心の均衡を保ちますが、病みすぎると泣くこともできなくなったりするじゃないですか。
私は腹も立たなくなってしまうほど疲れるという経験はした事がないのですが、泣けなくなるという経験はあるので、それと一緒にしていいのかは分かりませんが、永真が怒ることもできない状態だということが他人事に思えずとてもつらかったです。
そして、永真はゲイで春一はアロマンティックです。
永真が女性が苦手なのは母親が原因だったりするのかな……。
ここでもサラッと春一の優しさが描かれていて好きでした。
永真のゲイだと思うという告白に、そうなの?と受け入れるのはきっと私も同じですが、(男女のAVを見せたことを)気持ち悪くなかったかと言うんです。
そうですよね、男性が好きな人にとっては気持ちが悪いものかもしれない、でも私はこんな気遣いが咄嗟にできないと思う...本当になんて優しい子なんだ......。
自慰を手伝う...という流れはBLではわりとよくあると思うんですが、環境や制限でやり方を知らないという背景があるので流れに違和感を感じませんでした。
自慰の教授だけでなく一緒にしごくところまでいくんですが、普段の私ならその展開にはなぜそうなるとなりそうなのに、ここでもイケそうでイケない永真を助けるための春一の優しさを感じることができ、ひっかかることなく読めました。
宗教、アロマンティック、それぞれ1つだけでも描くのが大変だと思いますが、どちらもしっかり描ききっていらっしゃいます。
とても面白かったです。
シーモア→見えない描き方なので修正なし
【こんなのは愛だ。 愛でしかない(春一)】
エロス度★
おやおやおやおや。闇に囚われた少年たちが夜明けに向かって足掻き進む姿・・・なんと、素晴らしい。
宗教2世の春一と神の器に選ばれた永真が紡ぐ恋物語で、大人たちの勝手な信仰を押しつけられる理不尽さ・器として永真としての個人を抹消される悍ましさが刺さります。
春一と知り合い学生・人間らしい経験を初めてできて喜んだり感動の涙を流す永真の境遇が不憫でならず、〝永真〟として見られないことに諦観しながらも現状から抜け出したいともがく永真の姿や永真のことを知って春一や彼の友人たちも宗教の檻に閉じ込められた永真を救おうと動いていくのが胸熱。
実の母親であっても話が通じ合わない・言葉が届かない不気味なもどかしさ・・・宗教にのめり込む母親の姿に抱く春一の気持ちが切ない面があったり、春一自身も恋愛感情を持てない〝アロマンティック〟な恋愛的指向があり、春一に対して抱く永真の恋愛感情と永真に対して抱く春一の気持ち・・・形は違うけれど一緒にいたい気持ちは同じで、ふたりが辿り着いた夜明けに涙腺が崩壊するレベルでとてもよかった。
宗教モノってバドエンまたはメリバなイメージがありましたが、こちらの作品はそのイメージを払拭するインパクトがあり、春一と永真の関係性や器ではなくようやく永真として生きることができる救済がたまらなかったです。
作品の雰囲気がダーク過ぎて無いのは夜明けに向かう彼らの姿が希望に満ち溢れているからかもしれませんね。
どうか・・・どうか春一と永真が進む未来にたくさんの祝福がありますように。
永真はカルト宗教の教祖として、春一はアロマンティックであることを知られていないと「恋愛するのが普通でしょ」の圧にさらされ、2人ともそれぞれ違う形ではあるが尊厳を踏みにじられている。
この2人とは形は違っても現実に尊厳を尊重されないことってよくあると思うんです。それを痛切に感じました。
カルト宗教についてはステレオタイプの域を出ていない印象ですが、本作ではそれよりアロマンティックな春一を通して普遍的な愛を描かれたかったのかなと感じました。前作も恋愛ではなく絆としての愛のお話でしたし。
前作は医師の話でしたので、セリフがとても論理的でわかりやすかった。
本作もそれは変わらず、アロマンティックに関して納得することばかりでした。あとがきも。
知らなければ傷つけることもわからない…その通りですね。
永真の瞳が炎のような揺らぎで、洗脳されている心理の時は不気味で、その後は意志を持って輝いている、真逆でありながら気持ちが伝わる表現が興味深かったです。
毒親持ちで大変な2人の高校生のお話……
なんて括りでは済まされないのですが、こんな境遇地獄だわ。
主人公は、母親が新興宗教にハマってる宗教2世の東 春一。
その新興宗教の生き神に仕立て上げられた賽原 永真。この2人が同じクラスに存在してる。
春一の母は、宗教にのめり込む事で救いを求めて精神の安定を得てるんだけど、息子にも強要。勝手に息子の名前も加入させてたり騙して教団の集会に連れて行ったり。父親は数年前の交通事故で意識が戻らず病院に入院。兄は自宅に嫌気がさして家を出て寄りつかない。
春一、盲信的な母親と2人きりしんどすぎる…。
永真は数年前に自己が死んで神が宿ったと言われて教祖に祭り上げられて日常生活をいろんな制約で縛られている。肉類、匂いがきついニラ、ニンニク、ネギ、玉ねぎなど禁止。外食禁止、自慰禁止。
そんな事を強いてる母親は外食するしステーキ食べるし、何だか男が居てる。(この男の言いなりで宗教してる?)
結局金儲けと地位と名誉の為の宗教だと思うんだ、胡散臭い。なのにそこそこ信者がいる。
まぁ、信じるのはいいけど人に強制すんのやめようか。
息子のビジュがいいから教祖に仕立てたんかもだけど、母親のアンタがやればいいやん。
と、タイトルの2世と器の部分では思う。
そして、BL的な部分では私はわからないんだ。
春一は、ずっと友達の恋愛話にピンと来ずモヤモヤしてた。恋愛感情を持たない人→アロマンティックって言葉を知りしっくりいったらしいんだけど、何だかなーです。恋愛感情ってこんなのだよって人と比べられないやん?数値化出来るわけでもないし。恋愛の意味で好きがわからないといいつつ、春一は永真の事を気に掛けてるしそれは他の友達と同じには見えないんだよ。SEXも出来るんでしょ?
じゃあ、鹿島や鵜飼ともSEX出来る?しないでしょ?それって友達以上の感情じゃないの?
私がアロマンティックの事をわかってないだけなのかもしれないけど、あまり区別しないでいいんじゃないかな。最近色々名称ありすぎてわからない。差別はいけないと思うけど、決めつけも危険だと思う。もっと曖昧でいいんじゃないの?
私は永真と春一の関係性、よくわからないです。
たとえば、永真にこの先「他に好きな人ができたよ、その人と付き合う事にする」って言われても心は動かないの?「へー、そうなんだー、よかったね」で済ませられる?
アロマンティック、わかりません。
シーモアで購入
そう言うことしてても見えない描き方
ちょっと重めの題材を扱っているので、好みは分かれるかも。
宗教とアセクシャルが主軸にあるので。
ものすごく今っぽい(令和)感じです。
連載を追ってるときすごく面白く読みました。
文芸にカテゴライズされるような内容だなと思います。なので軽く読めたり、明るい気分になりたい時には読めないかも。
思ったより評価がついてないのですね。
やっぱり性愛が全面に出てる方がしっくりくるというか、受け入れられやすいのかな。
読むとなんかぐるぐる考えて、脳内で幸せに過ごしてる二人を思い浮かべたりします。
