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護衛と坊っちゃん~生まれ変わってもお仕えします~

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表題作護衛と坊っちゃん~生まれ変わってもお仕えします~

銀次
秋成の護衛,31歳
御堂秋成
御堂コーポレーション社長の息子,大学生,19→20歳

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

銀次には前世の記憶がある。
色のない夢で繰り返される生。
何度生まれ変わっても出会い、「彼」のために命を散らす運命。

護衛を務め、大企業の御曹司で大学生の秋成と寝食を共にする今生でも、この人を守って死ぬために生まれたと信じている。
ところがその秋成に突然解雇され、銀次はハウスキーパーとして主を見守るだけの生活に。
そのうえ今度は恋人ができたと言われて!? 
命より大事な坊ちゃんに遠ざけられ、銀次の輪廻が狂い始める…。

作品情報

作品名
護衛と坊っちゃん~生まれ変わってもお仕えします~
著者
海野幸 
イラスト
サマミヤアカザ 
媒体
小説
出版社
二見書房
レーベル
シャレード文庫
発売日
電子発売日
ISBN
9784576240411
4.2

(49)

(26)

萌々

(11)

(11)

中立

(1)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
15
得点
208
評価数
49
平均
4.2 / 5
神率
53.1%

レビュー投稿数15

確固たる死生観を持っている攻めの物語

 前々々世・前々世・前世ーーー、
 何度生まれ変わっても攻めと受けは出会って
 そして攻めは受けを守って死ぬのが絶対事項。

 受けを守って死ぬ前世の記憶を夢に見る度に、
 自分は今世でも彼の為に生きて死のうと誓う。

前世の記憶があることによって
確固たる死生観を持っている攻めの物語です。

個人的な率直な感想として、
 思ってたんの違うーーーーーー!!!
 もちろんいい意味でッッ!!!!!!
ってなったんですよね╭( ・ㅂ・)و ̑̑

今世でも出会って、
またも受けを守って死にそうになって、
今度は死なずになんやかやハピエン…?
ーーーって話じゃないんです。

いや、あくまで基本ベースはそうなんだけど、
物語の本質はそこじゃないっていうのかな…。

上手く言語化出来ないんですけど
一緒に生きる為に必要な"気付き"が刺さるのです。
攻めの中にある問題点が次第に浮かび上がってね。
家族愛なんかも絡むから泣けた……(;ω;)ウッ
(家族関連にはめっぽう弱い民)

あーーーーー面白かった!大満足!!!


さてさて。

冒頭に書いたのと重複しますがこのお話は、
前世の記憶があることによって
確固たる死生観を持っている攻めの物語です。

坊ちゃんに出会った瞬間に前世を思い出し、
護衛として側で支えながら守り死ぬ日をただ待つ。
生きる意味も死ぬ意味も全力で坊ちゃんに捧げる。

攻め(銀次:護衛)はそれが望みで生きがいです。

一方の受け(秋成:坊ちゃん)は銀次を慕ってました。
銀次のことが大好きで大好きでずっとアプローチ。
幼い頃には既にプロポーズ済みだったりしますw

銀次を楽しませたくて、
銀次に笑ってほしくて、
銀次を幸せにしたくて、
一途に真っ直ぐしつこく銀次を想い続けてました。

そんなある日
急に坊ちゃんの雰囲気がガラリと変わるんですね。
銀次はもう必要ない、
恋人が出来た、
護衛も同居も解消したいーーーと。

それまで銀次は坊ちゃんのアプローチに困ってて
系統的には"ヤレヤレ系"の保護者だったんですよ。
坊ちゃんには困ったもんだ…って呆れる感じのやつ。

でも急に突き放されて
銀次の肝がジワジワと冷えてくのが切なくて…!
銀次視点で進んで坊ちゃんの腹の中が見えないから、
銀次の不安がこっちにまで伝わってジリジリする…!

これが個人的にめちゃくちゃ刺さりました。
(焦燥感でゲッソリ落ち込む攻めは萌え的に美味)

そもそもなんですが、
銀次の死生観って希死念慮寄りなんですよね。
坊ちゃんを守って死ぬ瞬間を待ってるんです。
死ぬことだけを考えながら護衛してるんですよ…!!!

それには前世の記憶の影響も強いですが
今世で生まれ育った環境に寄るものも多くて(泣)
自分が必要とされる概念が薄いっていうのかな…。
(そんな人だから坊ちゃんのアプローチを)
(本気にせずに適度にあしらうんですが…;)

生きるコトへの執着がない銀次を
生きる方へ引き寄せる坊ちゃんの姿にも刺さる。
必死に銀次へ"生きるって楽しいよ"って伝えて…。

これって結局
 やれやれ系で自分が守ってきたつもりが、
 実は守られていた救われていた側だった。
っていうさーーーー!!!!
この関係性がめっっっっっっっちゃ良いッ!!!!

他にも前世の記憶なども詳細に描かれていたり、
坊ちゃんの生きる環境の大変さも深掘りされて、
読み応えがあってすごく面白かったです。

あと坊ちゃんは男前受けで頼もしいんだけど、
銀次の前だとちょっと幼く見えるギャップ最高。
最初の出会いが6歳と17歳ですからね~!
成長過程なども大変萌えでしたヾ(*´∀`*)ノ

7

ドストライクだった…!攻め視点・圧巻の主従愛

もう最高of最高の、生まれ変わり主従愛だった…!激しく萌えたし、刺さったし、沁みました。

待ちに待った、大好き海野幸先生の新刊。貪るように読みました。読み始めたら止まらなかった…

なんと全編攻め視点!かつ、主従愛。プラス、歳の差!(攻めが10歳以上年上)
好きすぎる要素が詰め合わされすぎていて「最高」としか言えません。

舞台は現代。主人公の銀次(攻)は、御堂コーポレーションの御曹司である秋成(受)の護衛を長年務めています。
実は銀次には前世の記憶があり、何度生まれ変わっても最後には主である前世の秋成を守って死ぬということを繰り返しています。

今生でも秋成を守り抜いて死のう、と密かに固い決意を胸に抱いているのですが、ある日突然秋成から護衛を解雇され、恋人ができたと宣言されてー

と続くお話。

衛兵、天子の毒見役、日本軍の一兵士ーー
どんな前世でも凄惨な死に際ではあるのに、いつも同じ言葉を囁き幸せそうに死んでいく銀次の愛の深さがこれでもか!というほどに伝わってきて、心を打たれました。
文字どおり、命を懸けた愛。

受けの秋成はかなり早い時期、それこそ子供の頃から銀次に想いを伝え「結婚して」なんて言っているのですが、銀次は長らくその気持ちに応えてきませんでした。

銀次が自分の中の特別な気持ちに気付く(というより、見ないよう蓋をしていた気持ちをちゃんと見直す)までの過程が、起こる事件や秋成の態度の変化とともにじっくり描かれているのが良かった…

秋成から「お役御免」と言われ突き放されることで、自分が今まで秋成を守ろうとしてきたことが「自分の生きる意味」を求める自分本位のものではなかったか、前世の記憶があるから秋成をまた守ろうとしているのか?
等々、自分自身の内面を見つめ直すんですよね。

銀次という人物の背景やその思い、抱えているものをとても深く理解し共感できて、途中の”突き放されパート”は本当に切なかった。。

そこを乗り越えて、の最後の大団円。そして描写少なめながらも愛と幸福感溢れる二人のえちに、もうじーんとしてしまって震えました。

前世の人物たちの持っていたアイテムが重要な役割を果たしており、”生まれ変わり”にきちんと意義を持たせてくれているところ、そしてそのアイテムにまつわる現代での思い出がきゅんと胸を打つものであることなど、「さすが海野先生!!」と(心の中で)叫ばずにはいられません。

何度生まれ変わっても主のために生きる苦労人攻め様の物語、深く深く堪能しました。文句全くなし!!!の「神」です✨

7

巡り巡る運命の歯車。深く強い想いで結ばれた主従輪廻転生BL!

素晴らしい輪廻転生BL!
時代を超えた巡り巡る献身的な愛の重さに身震いしました〜!( ˃̶͈̀∀˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾
ストーリーが秀逸。まさか坊ちゃんもかよ…のサプライズにはビックリしました。

主人の為に盾となってこの世を去るという、前世から続く使命感を背負う護衛の男の生き様がありありと描かれている物語です。
護衛の銀次の揺るがない信念がこの物語のキーポイントで、彼の頑なな使命感を主軸に、彼の主人である明成との関係が大きく変化していくところが見どころ。数奇な運命に彩られたその顛末は非常にドラマチックです。

銀次は、秋成のために死にゆくことで自分の存在価値を見出しているような男。秋成の側にいたいと思う欲は、彼のために死んでいくことが本望だと思っていることで満たされています。だからなのか、銀次は自分の命を大事にしていない。それは、自分の死=秋成が生き続ける、の図式が出来上がっているからです。
しかもそれはこれまでの自分の前世で何度も何度も繰り返されてきたこと。だから、それに抗わず黙って"その時"を待つことが、自分の生きる意味そのものだと言わんばかりなんです。

いつでも死を覚悟し、しかもそれを望んでいる銀次の言動は、自分の意思のようでそうじゃない。前世の夢に洗脳されていると言っても過言ではなく、銀次本人の思いが前世の記憶によって操作されているようで、痛々しく感じてしまいました。秋成のために死ぬ以外の選択肢を得ようとしない頑固さと、生に執着心のない愚直な使命感は、ある意味凶器。銀次のことが幼少期から大好きで、今も銀次にプロポーズしまくる明成にとって、銀次の態度は良いものには映りません。


秋成はとにかく銀次のことが好きで、幼いときから求婚する惚れっぷり。銀次を好きなことを諦めないタフな青年ですが、健気で可愛く、でも男気ある素敵な坊ちゃんです。
それに引き換え銀次の方はというと、そんな秋成の告白を冗談だと真面目に取り合わないから、まー…ムカつきます(笑)
秋成への想いを自覚してないからってのもあるんですけど、自分は秋成のために絶対死ぬって思っちゃってるので、秋成の想いに真剣に向き合おうとしません。なので、秋成の気持ちがいつも一方通行でなぁなぁにされてるのがすごく切ない…。

そうした2人の関係が、銀次の護衛役解消という大きな転機を迎えることで大きく変化していくことになります。これは銀次にとって自分の気持ちを見つめ直すいい機会。ここから銀次のクールな感情が大きく乱されていくので、ご注目です!
秋成から護衛役を外されることは、銀次にとって最も辛いことなんですが、私からしたら、それ見たことかって感じ。いわば、攻めザマァってヤツです。
これまで秋成の気持ちに向き合うどころか、自分の気持ちにすら向き合おうとしなかった銀次に課せられたツケがそれ。大事な存在を失ってみて初めて気付く典型的なパターンです。

銀次にとって秋成は何よりも大事な存在です。でも秋成にとっても銀次は大事な存在なわけで、そんな大事な人が自分のために死ぬことを望んでいると思ったらどう考えるか、って話なんですよ。
命を大事に生きて欲しいと願う秋成の気持ちを踏みにじっていることに気付かなかった愚かな男は、ここにてようやく気付き始めていきます。

銀次の幸せとは?秋成の幸せとは……?
"死んで守る"より"生きて守る"を選択することの大事さに気付くことができたのがその答えです。

結局、精神的なところで秋成に守られていたのは銀次の方だったんだなと思うと、命をかけることだけが"守る"ことだけではないんですよね。
銀次の死に悲しむ人がいるということを忘れずに、これからは生きて好きな人と共に歩む未来を生きて欲しいと思います。

5

超面白かった!!!

流石、海野先生の新作。めちゃくちゃ面白かったです!
全編攻め視点の今作。何より攻めの銀次がいいですね!ワンコ系、しかも大型の、厳ついけど落ち着いたシェパード系といいますか。
抱く側か抱かれる側か確認するのは、坊ちゃんのことを心から思っているのだなと思いつつ、強面が真剣に聞いてる姿を想像すると少し笑ってしまいました。

銀次視点で話は進むんですが、読者は坊ちゃんの気持ちが手に取るようにわかるので、二人のすれ違いの切なさに胸が締め付けられます。
特に銀次が吹っ切れて、部屋を去る前に食器の分別をしようとするシーン。思わず、バカバカ!と声が出てしまいました笑

色んな時代の二人の別れが、入れ子状態で描かれる今作。二人の離別にうるっと来てしまうのですが、思わず泣いてしまったのが序盤のお弁当のシーン。
銀次の気持ちになったら不思議と泣けてしまいました。

あと坊ちゃんが男前で良いですね。だけどいつかの為に日々後ろの準備をするような健気さもあって、こんなの銀次じゃなくてもメロメロになってしまう!

電子限定のショートショートもすごく良かったです。ここでもうっかり涙が…。

さすが海野先生といいますか、隙のない面白い一冊でした!!!超おすすめ!

3

攻めの頑張りを堪能しました

海野先生の新刊!電子配信をたのしみに待ってました!電子版だとSS付。なんてお得…!
タイトルからライトな読み口なのかな?と思って軽い気持ちで読み始めましたが、そんことなかった…!
海野先生の作品ですもの、「ライトでサクッと☆」なお話のわけなかった…!

生まれ変わるたび彼と出会い、守って死んでいくー

今世でも命をかけて守るべき坊っちゃんに出会い、いつでも命を散らせる覚悟で護衛してる男・銀次視点で描かれる壮大な物語でした。
銀次が夢で見る前世は、彼と出会い、護って死ぬまでの場面が描かれてるのですが、それが!どの時代も!!めちゃくちゃ切なくて!!!
銀次がとんでもなくかっこいいです…!坊っちゃんへの思いを自覚するまでは情けないところもあるのですが、自覚してからの肝の座り方がはんぱない。その覚悟、あっぱれです!
また坊っちゃんも「男に護られる儚げ美人」ではなく、男気溢れるイケメンでした…年下一途の男前受け…かわいくてかっこいいです…!前世も今世もかっこよすぎる美人さん。

輪廻の原因もしっかり描かれており、何度も銀次が命を落としてきた理由も「なるほどそうきたか!」と膝を打ちました。さすが海野先生です…予想外の展開に、読後感スッキリ!!
読む前まではタイトルで「軽い物語かな」などと思いましたがとんでもない!!深い愛の物語でしたし、タイトル通り「護衛と坊っちゃん」のお話でした…タイトル深い…ほんと、ほんとに深いです…護衛と坊っちゃん…

2

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