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誰が見ても明らかな、分かりやすい恋愛感情を求めて読むとかなり物足りないだろうと思いますが、そこはかとなく形容しがたい情は確かに存在していて、終盤になるにつれてたまらない気持ちになってくる。そんな小説でした。BLレーベルから出ていなくても、木原先生の色はしっかり出ていたと思います。ムラの未熟さの原因が何なのかは最後まではっきりせず、ずっと彼の記憶に強く残っていた両親のことも曖昧なまま終わってしまう。けれど、それだけ過去の両親との思い出だけを頼りに生きてきた彼が、カンさんと出会って、見返りを求めない穏やかな情に触れて、彼の隣が居心地が良い、自分の帰るべき場所だと感じたことは、大きな成長であり、変化だった。流されるまま生きる彼が今後どんな道を辿るのかは読者の想像に委ねられましたが、カンさんと過ごした時間は彼の中に永く濃く残り続け、それによって今までとらなかったような行動を衝動的にとることもあるんじゃないかなと思いました。
他の方も書いていらっしゃるのであらすじは省略させていただきます。
まず第一に読後感が唯一無二の作品に出会ってしまったなぁという感じでした。(もちろんとてもいい意味で!)自分はハッピーエンドよりも、メリバとか仄暗く今後の展開を考えさせられる系の作品が好きで、今回も主人公が報われないという前情報だけで読み進めたんですが、本当にとことん報われなかったですね…。もちろん作中ずっと暗い訳ではなくて、心温まるシーンとか少しドキドキするシーンとかもあったりもするんです。でもだからこそその幸せな部分と報われない現実とのギャップが大きくて余計苦しくなりました。
おそらく少し知的な障がいをもつムラさんは、周りの人が言っているとこや起こっている事をあまり理解することができずにいて、自分のことを宇宙人だと思っています。そんなムラさんはいつか自分の惑星からの迎えが来るのをずっと待っているのですが、読者からするとムラさんは宇宙人ではないし迎えも来ないとわかっているからこそとても心苦しかったです。
カンさんとムラさんの距離がだんだん近くなるシーンはドキドキしてこれからどうなるんだ?と心を高鳴らせていたのですがさすが木原先生、2人が上手くいって幸せになりましたとはならない。そう終わらせてくるかぁーという結末でだいぶ心がやられました、笑
ムラさんのラストが明らかにその道は幸せや安定とは遠ざかるようなものではないだろうか、その先は破滅ではないだろうかという結末を迎えるので、このページで最後だとわかりつつも次のページに何か書いていないか確認してしまうほどでした。いやー、木原ワールド炸裂っていう感じで、読み終わった後静かに涙を流しました。
結末を見ると、今後おそらくカンさんとムラさんの2人が出会うことはないのかもしれない。ムラさんもおそらく遠い場所で大変な仕事をしていくことになるだろうし、カンさんもムラさんのことで自分を責めるかもしれない。でもそれが人生で、出会いもあれば別れもある。おそらくカンさんもムラさんもお互いのことは一生忘れることができ無いんじゃないかなと思います。本の小冊子の「ジブンの星」は結末を迎えた後のムラさんの心情が描かれていました。内容を読んで、あぁムラさんの中には一生カンさんが生き続けるんだろうなと思ったし、その一途にずっと思い続けるムラさんの純粋さが伝わってきてまた涙が溢れてしまいました。ムラさんの一途に待ち続けることができる愛というのは本当に美しくて、でも残酷ででもやっぱり純粋無垢さがキラキラしてて自分が忘れていたものを思い出させてくれます。何がガツンと強い衝撃とか感情を与える作品ってよりかは、じわじわと心に染み込んでいくような、ふと彼らを思い出してぼーっと外を見てしまうようなそんな作品です。
さいごに、この作品は確かに報われないし辛いシーンも痛いシーンも多いけど、その中にあるわずかな幸せとかささやかな人の温かみも感じさせてくれます。そしてそういう一つ一つの温かさを大切にしていこうと思わせてくれるものでした。
気になった方がもしいらっしゃいましたら、是非読んでみて欲しいです!(だいぶ覚悟が必要ですが笑)
木原音瀬先生素敵な作品をありがとうございました!
これは色んな意味でつらい、しんどい話です。
主人公は頭が弱いんだけど心優しく、そしてたぶん顔がいい四十男。こういう人にありがちな小ずるいところが全くなく、子どものようなあやうさが、奇妙な魅力を醸し出しています。
なにしろ知能が人並み以下なので、言葉の意味もわからなければ左右の違いも怪しく、すぐに道に迷ってしまう。こういう主人公を一人称で書くのはずいぶん難しそうだなあと思います。しかしとても巧みな描き方で、彼の生きづらさと混乱が、息苦しいほどに伝わってきます。
そんな主人公に心惹かれて世話をする青年がいるのですが、彼もまた屈託を抱えている。はっきりと書かれていないが、ゲイで父との葛藤があり、芽の出ない芸術家です。そんな彼が主人公の無垢さに安らぎを見出し、必要とし、必要とされる。しかし結局は勝手に描いた理想に復讐され、主人公を拒絶してしまう。ラスト直前でこれ……。
主人公は自分を宇宙人と信じていて、別の星からお迎えが来るのをずっと待っています。しかし最後は、お迎えではなく、カンくんに再び受け入れてもらうことに希望を見出すようになる。お迎え=現実からの離脱だとすれば、まだ希望の見える終わりなのかもしれません。しかし二人がまた出会えるかわからず、さらなる破滅に向かうかもしれない予感……つらいよー。
終始不憫で残酷な話ですが、それでも主人公の無垢さに救われるところもあり、情緒をメチャクチャにされます。奈落の底のような小説を読む、暗い愉しみを久々に味わわせてもらった気がします。
それにしたって、少しは救われておくれよ……。
絶望と希望に頭ワンワンする…
自分を宇宙人と思ってるムラさん。
いつか来るお迎えを信じ、お父さんの教えを守り淡々と生きていく姿、
カンさんとの生活の温かさが愛おしく芯の強さに打たれる。
けどもカンさんの言う一方的に癒しを求めても相手は…のエグさ。
ムラさんは圧倒的に理解力と言葉が足りないけど、
カンさんから醸し出される雰囲気に寄り添って懸命に言葉を紡いでるのや
自分が感じた優しい気持ちをストレートに言葉にするところがとても可愛らしい。
カンさんをかわいいって言うとことか、ムラさんが可愛いよ!!ってなりました。
ムラさんはどうにか頑張っていればカンさんに許して貰えるかもって
道標に向けて生きてけそうなの希望が見える。
それはそれで辛いんですが。
ムラさんの思考回路は子どものまま、受けられる支援も受けられず…
というところに延々と唸らされる。
ムラさんの報われなさをしんどく思うのは外野の意見で、
カンさんと同じで見たいように見てることに気付いて
自分もムラさんでもありカンさんでもあること、
どう頑張っても上手くいかないことに苦しくなってしまいました。
ムラさんはコツコツ生きてて光を信じて求め耐える強さがあるのがせめてもの救い。
その強さを作ってるのは…って戻ると!頭ワンワンしちゃうんですが!
何かのきっかけで、もしかしてムラさんは…ってとこカンさんは気づいて、
死ぬほど後悔して永遠に引きずって欲しいし、
いつかどこかで救いも欲しいと願わずにはいられないです。
42歳のムラさんが主人公のお話。
今風に言うと生きずらさを抱え、福祉とかそういったものに頼ることも分からず、ギリギリのところで生きている人物。
いい人なのですが、そのせいで、色々と割に合わない思いをしているのもまた、現実。
そんな日常のなかで、ムラにとって父のような存在――芸術家のカンさんが現れるのですが、、、
カンさんとの同居生活。
辛く苦しい生活が、カンさんと出逢ったことで変化していくのですが、大幅にすれ違う違和感がいったいどこでカタチとなって外へ表出されるのだろうもいう不安感が、終始ついてまわった作品でした。
で、衝撃的なラスト。
く、苦しすぎました。
救いようのないエンディングは、おそらくこの先ずっとムラについてまわるもの。
安易にハピエンにさせなかったこと。
かえって、木原先生の凄さ(語彙力皆無ですみません!)をそこに見たような気がしました。
今、こちらの作品を読もうかどうしようか。
悩んでいる方がいらっしゃったら、ぜひここで肩をソッと押したい。
ひとりでも多くの方に読んでいただきたい。
そんな作品でした。
惑星っていうタイトルもまた、読了後に意味を考え始めると深いです。
