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表題作櫻狩り 上

斎木貿易商会代表取締役 斎木蒼磨
書生 田神正崇 17歳

あらすじ

『ふしぎ遊戯』『妖しのセレス』等超人気作をもつ渡瀬悠宇が満を持して放つ!これまでの渡瀬作品とは一線を画す記念碑的作品。其れは、大正九年。僕が、数えで十七の春だった。僕を殺して呉れないか。時は大正九年。一高入学を目指して志高く上京した田神正崇(たがみまさたか)が奇しくも出逢ったのは、謎めいた美青年、俟爵家の御曹司・斎木蒼磨(さいきそうま)だった。その時から、正崇の運命が狂おしく迸りはじめる――。 愛憎入り乱れる、美しくも悲痛な大正浪漫幻想譚!
出版社より

作品情報

作品名
櫻狩り 上
著者
渡瀬悠宇 
媒体
漫画(コミック)
出版社
小学館
レーベル
Flower comics special【非BL】
シリーズ
櫻狩り
発売日
ISBN
9784091790262
4.6

(92)

(76)

萌々

(6)

(4)

中立

(4)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
19
得点
420
評価数
92
平均
4.6 / 5
神率
82.6%

レビュー投稿数19

既視感あり

同じ時期に2人の方にオススメされて読み始めました。世代が違うのでこの作者さんの少女マンガは全く読んだ事がないです。

この時代設定の光と影感。確かに好きな感じではあります。美しい当主と、美しさに狂わされた人達。なんでそうなるかねーってお耽美感。

蔵に閉じ込められたアルビノの妹。
家族との問題、キャラクターのいろんな感情が入り乱れてます。

上巻だけの感想としては、なんか既視感あるなーと考えてたら横溝正史作の映画[蔵の中]のテイストに似てる。(話は全く違います)
あの映画にインスピレーション受けたのでは?なんて思ってしまいました。

コロッケのエピソードやお古のタキシードに着替える時ガラス越しに映る姿を見てる所とか好きでした。

なんか表紙の感じからしてこの作品バッドエンドっぽいですよね?

先に進みたいと思います。

0

大好きな作品!

激動の時代の中、環境や周りの大人たちに強いたげられた少年(青年)の物語です。
ぜひ、男性同士の性的な描写に抵抗がない方には読んでほしい作品です(笑)
決して明るい作品ではありませんが、オススメです。作品の内容はもちろんですが、コマの流れが素晴らしいなと思います。←説明が難しいのですが、映画を観ているような気分になります。

作者の渡瀬先生はBLのつもりで描いたわけではないと仰っているので、ご本人に伝える時には注意した方がよろしいかと…

1

お耽美ドロドロ

おススメされて紙で購入しました。デカい(A5)、ハードカバーでずっしり重い。

お耽美ドロドロメロドラマですね。

主従モノは好きなんですが、田神が私が思うそのイメージじゃないのが残念。
書生だとしてももっとキリッとストイックな感じだと好みだったんですが。

田神は世間知らずで向こう見ずな感じが、少年漫画によくある主人公みたいでそこが苦手で。
こういうキャラだから蒼磨みたいなタイプを動かせる設定なんでしょうけれども。

蒼磨は蒼磨で、どんな時でも、たとえ動揺していても、田神を襲う時でも同じ顔なんですね。能面みたい。あ「西洋人形様」と呼ばれてるんですもんね。そりゃそうか。

2人に全く感情移入できないので、客観的に読めます。今のところ萌えどころもなく、既視感しかないですがw

1

打ちのめされた

表紙の雰囲気、フォロワーさんのツイなどから心して読んだ方が良いだろう。
まぁ、お耽美グロ耐性あるから大丈夫やろ!!
大正浪漫、お耽美うふふ~と思って読んだら上の上の上いく魂のぶつかり合いで!!!
一気に3巻読みましたが、感情どちゃくそゾワゾワ。
すごいの読んでしまったという充足感と喪失感がすごすぎて変に爽快な気持ちになりました。

上巻は序章なのもあって、血なまぐさい雰囲気をそこかしこで感じながらも、
訳ありな美しき華族の主人と洗練潔白猪突猛進型の書生が
この時代ならではのしがらみの中で心を通わせてくのがとても美しい。
なんといってもセリフ回しが美しい。
純文学的なまっすぐで儚い言葉。ちょっと堅苦しい感じが物語を底上げしてます。

パーティーのごたごたや川開きでの会話は
二人それぞれ想う気持ちの特別さを感じられてとても好きなシーンです。
特に、「好き」という言葉は~という田神のセリフと笑顔。じんわりきました。

主従関係の中で特別さを増してくの良いですよね~
不穏な雰囲気とこの優しいエピソードの入り乱れ方が絶妙で!

モノローグなどから何かしらでこじれるのは予測してましたが
田神が何があっても付いてくっていったくせに拒絶するとか酷い!
信じてた人の汚い面を見て衝撃受けただろうけど、そりゃないだろー
蒼磨が求めるほどに田神との溝が深くなるのが切なくて辛くて。
周りも不穏な人、見て見ぬふりの人ばかりでどうなってくのか…
これってハピエンになるのーーー
怖いけど止められない…で一気に読んで、読み返し…

エロスは「死に至る程 我を忘れる愛」~
の一節が、潔癖な田神に対し肉欲と愛を諭しているのかとか
ぐっちゃぐちゃに相手を求めるほどの溺れる愛~えろいなとか
ムフフって気分で読んでたんですが、
エロスより無償の愛を求め続けてたことを深く感じ入った今は
また違った印象を受けます。難しすぎて言葉では表現できないんですけど!!

衝撃的な展開やキャラクターが印象的ですが、
大正時代の雰囲気や言葉も本当に素敵で文学作品としても良質でした。

1

或る家族の赦しの物語

上中下の感想 
キーパーソンは、櫻子。
赦しても、いまある形はゼロにはならないけど、心持ちの問題。
無意識に選んだ原案は、「ハムレット」じゃないのかな??

櫻狩り 
冒頭に「亡き 原口しのぶさんに捧ぐ」とありました。
誰なんだろう 原口しのぶさんとは、当時のそのアシさんのことかな?
年数かけて仕上げた作品。
内容ではなく、装丁がハードカバーで重い本らしいです。

あとがきから:
14年前 当時のアシさんと、パロディをいたずら書き程度のノリでエピソードを作成、そのままお蔵入り。
2002年 漫画を描くのに疲れて、自由に描きたくなる。ノートにラフ画とネーム作成。
2003年 いったん完成。
2004年 ネームやり直し。1200数枚に仕上がる。
2007年 新刊の「凛花」に発表。・・書ききれない部分があるので、続篇をかんがえている。

不思議世界の不思議な愛の形を綺麗な耽美風に描いた作品ですが、参考に読んだのは、三島由紀夫の作品「禁色」だそうです。
でも、著者が書きたかったのは、ゲイでもホモでもBLでも男色や衆道ではない、しかも恋愛でもないのだそう。
著者自身にも「何を書きたいのか?」明確な答えが出せない粗筋だったらしくて、葛藤をあとがきに書いてました。
著者が描きたかったのは、下巻のあとがきによると、
【「田神正崇と斎木蒼磨」の関係とは何か?】・・だったみたい。
傷ついた魂を救う人間同士の物語なのだ、と同性愛をあえて拒んでいます。
(男色は、著者が受け入れられない世界感みたい。でも、これはジャンルでくくるなら、これはやっぱりBLです。)
著者が、葛藤しながら練って仕上がった作品だけあって、表情にも深い意味がこもっている作品、一度読んだだけじゃ作者の意図を汲めない仕上がりになっている、という事だけは、下巻のあとがきから理解出来ました。

分かった事:マイノリティのBL作家への世間の風は凄く厳しくて、作者自身が抱える葛藤がとても深い場合がある、ってこと。作品が良作であっても、ヤオイのレッテルを貼られることに抵抗があるんでしょうね。
難しすぎる著者の理念に敬服、神評価。

---
★話題になった作品で、ウイキに頁がありました。wiki/櫻狩り
『凛花』(小学館)創刊号(2007年6月発売)から9号(2010年1月発売)まで連載

0

逆に、田神の欠けた部分を蒼磨は埋められるのか?

 ストーリーも抜群に面白くぐんぐん引き込まれ、各キャラクター達もそれぞれが魅力的で個性も色濃く、この時代、この階級ならではの重厚感の中に、純情さも淫らさも両立して描かれている、どこを取っても素晴らしい作品でした。個人的にシリーズものは巻数が進むごとに惹かれていくことが多いのですが、こちらは上巻の時点で既に続きが気になって仕方ありません。最近の作品でもこれくらいシリアスを極めた作品が出てくるといいなぁと切に願います。昔よりいろいろ規制なども厳しくなり、描けないシーンとかが増えているのだとしたら残念ですね…。

 表には出さずとも内心は病んでいる人間ばかりの屋敷の中に、1人で飛び込み、泥棒扱いされた当初から、御曹司・蒼磨が最も気を許す書生にまで成り上がった田神。愛されて育ったわけではなく、元々の家族からは疎まれて育ったが故の処世術で、常に真っ直ぐで、明るい笑顔で振る舞う彼に、蒼磨は感化されていく。彼の身の上話を聞くと、それは単なる仮面なのか?とも一瞬思いますが、やっぱり彼が元から持っている素質なんだと思います。彼は他人のために、真剣に己の喜怒哀楽を伝えることができる。並の人間にはなかなかできない、彼の強みなんですね。

 対する蒼磨は、その美しさ故か、自身に接する者を皆虜にしてしまい、勝手に束縛や自害される人生にうんざりしている。鬱陶しい、死ぬなら勝手に死ねばいいと吐き捨て、冷たい人間に見える一方で、実は心のどこかに、そんな自分への嫌悪や恐怖、相手を墜とさずには生きれない地底に沈んだ自分が、このまま1人で死んでいくことへの絶望的な孤独を感じているようにも見えました。田神まで堕としたくはない、彼には自分らしく真っ直ぐに生きて欲しい、けれど、もし彼がどんな自分でも受け入れてくれて、一緒に堕ちてくれるというなら、これ以上の幸せはない…。最後はとうとう逆上して手を出してしまった蒼磨。私も、田神には綺麗なままでいて欲しいと願う一方で、堕ちていく彼への興味も拭いきれず。続きが本当に楽しみです。

1

傷付きながらなぜ生きていかないといけないか

BLというエンターテイメント傾向の強いジャンルではくくりきれない。ヒューマンドラマとして傑作。

読んだ後は綺麗事じゃなく自分の生きることへの執着に悔し涙を流させられた。

他の方々おっしゃられてますが大正版「残酷な神が支配する」です。まだ桜狩りの方が可愛げがあるほうかな…。

ずるずる引き込まれます。難しいテーマかもしれないけど、読んで損は絶対無い。

わたしには「生きること」「人と向き合うこと」が綺麗事無しで生々しく描かれていると感じられた。
時代柄、心の傷を誰も、誰にも助けてもらえないまま皆が大人になり、歪んだ関係が折り重なってしまう。
がんじがらめになっているそこに、正宗も深く傷付いてなお、向き合っていこうとする。それは想像も絶するくらいだし読んでるだけのこちらも血を吹きそうなほど苦しい。
歪んでしまった大人達だが、でも、子供の時に愛したかっただけ、愛されたかっただけ。

でも人生ってこういう難しさがある。
あとがきまで読んでもらいたい。
桜狩りというタイトルが痺れる。
私はこの作品と出会えて良かった。

2

大正ファンタジー版「残酷な神が支配する」

上中下巻合わせての感想になります。
内容を簡単に言えば「残酷な神が支配する」+大正ロマンス+万華○奇談的ホラーでしょうか。
全編通してどこかで見たような話の印象を受けます。
さらに作者が元々ファンタジー畑のせいか上記の作品たちとは違い、本作では魔法の魔の字もないのにファンタジー臭が漂います。
悪く言えば深みが足りません。
有名な作者ですので漫画はうまいんですが、ただその演出のうまさが娯楽性を高めるかわりに重みを殺しているように感じました。
主人公たちが背負うトラウマは余りにも重い。なのにその決着の付け方が偽善的です。前半の冗長ぶりとは対照的に、巻きが入るとキャラクターの心理はただ話が収束する方向に従って都合よく動くだけ。その終着駅は中高生向けの少女漫画のような、過程もなくただ”許す”ことを至上とした世界。
読者置いてきぼりで余りにもあっさり憎しみを捨てるのですっきりしません。2巻分も受けの苦しみを描写し続け、そこに感情移入できる分、出口がこれでは不満が募ります。
いろんな要素がありますが、すべて10点中7、6点のような中途半端さ。似たような話が読みたいなら、よりクオリティが高い作品が他にあるなあと感じる作品でした。

6

ずっと気になってた本

小学生の頃、ふしぎ遊戯と妖しのセレスが好きだった。(ちょっと、エロチックでいけない気持ちで見てた部分もある)

櫻狩りは発売当初からずっと気になっていました。ふしぎ遊戯を描いてる人と同じ作者がBLを描くなんて衝撃だったんです。(私の中では)

読んでみたら、ちょっと影のある話で怖さもある。一言にBLって表せないです。(頭悪いから納得の行く表現も出来ない)

この櫻子の存在は恐怖でしかない。その呪縛から蒼磨を開放してあげて欲しい。

2

鮮烈…80年代的耽美の残照

一般少女漫画家が、ここまでBLを描いてしまったら、
BLだけ描いてる漫画家は、これから何を描けば良いのだろう!?
思わず…こう呟きたくなるほど、鮮烈な男色ドラマなのである。
そう…この漫画が掲載されたのは、BL誌ではなく少女漫画雑誌「凛花」創刊号からだった。
この雑誌「凛花」が創刊された頃の少女漫画誌は(というか小学館の少女漫画誌は)、
はっきり言って(JUNE世代的腐女子には)かなりつまらなくなっていた時期なんです。
24年組の絢爛豪華な執筆で有名な、80年代の伝説的少女漫画誌「プチフラワー」が、
2002年あたりで「フラワーズ」にリニューアルされたあたりから、
急速に普通の少女漫画誌と化してゆき、読み応えが無くなってきた時期なんである。
そんな数年後に満を期して創刊された「凛花」の中でも、
ひときわ80年代的耽美の薫りが高かったのが、この「櫻狩り」。
実際…少女漫画誌で、ここまでやっていいの?的ショッキング展開なのですが…
作者的にはあくまでも「BLではなく人間ドラマ」であるとのこと。
お話としては、大正時代のとある華族の名家に秘められた倒錯した人間模様と、
その中に関わるひとりの書生さんの、愛憎劇…なのですが。
そのドロドロとした(くどいまでの)ドラマ展開は、昼ドラを通り越して、
菊池寛の「真珠夫人」ばりの重さアリ、どんでん返しアリなんです。
BL的「萌えドコロ」は、さらりと外しているにも関わらず…
JUNE的「耽美の欠片」だけを、後に残して去っていくような~
結果として、「少女漫画でもなくBLでもない」人間ドラマができちゃった…という感じ。
80年代的匂い系の薫りが、とてもとても濃厚なんである。
でもそれは「香りを連れてくる」的、取ってつけたようなワザとらしさじゃなくって、
「香りがついてくる」ような、計算されつくしたような完成度!
例えるならば「香水の使い方が極めて上手な女性」のような、
緻密で巧妙で、ひどく鮮烈な作品とでも言うのだろうか。

12

渡瀬先生の渾身の作品

年末の大掃除をしている最中に、
本の整理をしている時、昔読んだ本をついつい読み出して止まらなくなることってよくありますよね!?
というわけでついつい読み返してしまった本の感想を書いてみましたwww

こちらの作品はノスタルジック+暗くじめっとした陰湿な雰囲気を持っています。
エロ・グロ・耽美が詰まった大正浪漫系BL!!
攻めの執着と受けの純粋さが絶妙な全体的に大変病んでる漫画でございます。
受けの田神の友達以外、ほとんどの登場人物が病んでます。
櫻子様もキャラが昼ドラ系ドロドロの中身でいい味を出しておられる。
これ現代だから発売出来る内容ですよねwww

私は病んでる系やエロ・グロ系は苦手なはずなんですが、
ちゃんと読めました!さすが渡瀬先生。

漫画的な美味しい展開の仕方に卒がございません!!
そういう意味では読んで安心の内容です。

本当に内容は大変病んでおります。
読んだことのない方で挑戦して見たい方がおられましたら是非ご一読なさってみてください。
こういうのに慣れている方は意外と大したことないと思われます。
この手のお話にはよくあるお約束の展開が満載なので。それでも是非読んで欲しいです。
なぜって、絵が綺麗で耽美ですし、割と雰囲気に浸れると思いますので。

8

究極の耽美BL

渡瀬さんの繊細なタッチと強烈な心情描写が見事に生かされ、究極の耽美作品に仕上がっていると思います。蒼磨の美しさの裏に孕む様々な人間模様を上巻では想像させるだけで終わり、読者を飽きさせないです。
時代背景・設定・描写がかなり細かく、臨場感もあるので、普通のBLとは技巧や見せ方が圧倒的に違う。芸術本のような感覚でも楽しめます。
田神も同じように堕ちていくのか、屋敷の秘密は?と本を開けば、色濃い世界にすぐに引き込まれてしまいます。

4

漫画としての地力が高すぎです

時代背景を考慮したキャラの作り込みはもちろんですが、「語り方」が巧みです。
すなわち画面の作り方がすごい。明喩・暗喩を含む演出、構図、コマ割りがバシバシ決まってます。そしてその意図が読み手に良く伝わってくる判りやすさ。
アニメを観ていて「うわーコンテ上手いなあ」と思う時と似た感覚です。読んでいて心地良い。
長編のメジャー漫画をずっと書かれてきた先生はやっぱ違うんだな…と思いました。(とはいえ現在連載中の少年漫画しか読んだ事はないのですが。)

話の方に触れていないのですが、一人の妖婦ならぬ妖夫と彼に翻弄される少年の運命といったところでしょうか…というところで中巻へ。とはいえもう下巻まで読み終えてはいるのですが。

不謹慎にも萌えポイント。
袴の裾から…と、鉛筆銜え視姦と、寝顔観つつ腕を握り締める、の3点です。
さーて次巻は?

6

一体どこへ向かおうとしているのだろうか

間もなく完結の下巻が出ると言うことでおさらいをば・・・

時代は大正デモクラシーの頃、関係は主従とBL的にも萌え要素で構成された作品ですが、何よりBLではない作家さんが、自らの思うままのストーリーで作られた作品ということで、結果そんな要素も入っているということになっただけのことですが、とにかく魅せる・読ませる!
その人間関係、主人公達の気持ちの行方、因果関係、まだまだ含みを持たせた展開にくぎ付けになること必至です。

後は帝大を、その為の一高受験へと上京してきた田上正崇が、あるきっかけで書生住込みすることになった華族の家での因縁まつわるその複雑極まるドロドロした関係にひきずりこまれていく話。

西洋人形とあだ名される蒼磨の持つ暗さと魅力に囚われた人々が次々と死んでいく不可解。
彼には誰もが口を閉ざす過去がまとまりついているのだが、それを知らない正崇の純粋さ、白さが、蒼磨の救いになっていたのだろう。
しかし、亡くなったとされる櫻子が出てきたことで、この少女の存在もまた不気味さを増して、キーパーソンとなっている。

正崇の潔癖さは正常なはずなのだが、読み進めるうちに、蒼磨の暗い部分に引きずり込まれて、自分でさえ、正崇のまっすぐさがまぶしく感じるほどだ。
一体この本のラストは一体どこへたどり着こうとしているのだろうか。
魅力にあふれた奥が深い作品です。

5

神のなかの神作品です…アテクシ死亡。

一般作品を描かれる漫画家さんがBL作品を描くと超名作になる…という話をちるちるの掲示板のほうでしたことがあるんでますが、この作品もまさにそんな感じだと思いました。
背景をしっかりと作りこんでるのが伝わってきます。
萌え要素には一切こだわっておらず、作家さんの「描きたいものを描いてるんだ」っていうのが伝わってきて、それがゾクゾクするほど面白いのです。
BL漫画家さんなら必ず入れるであろう「萌えを演出する描写」みたいなものが無いぶん、BLを読み慣れた人ほど新鮮で、逆に萌えるんじゃないかなァなんてことも思いました。

時代背景も好きです。
小説ですが、秋月こおさんの『大正青夢譚』シリーズや、かわい有美子さんの『今、風が梢を渡る時』を思い出しました(どちらも名作です。この時代に萌えるという方には心からオススメします)。

お話じたいはまだまだです。
この巻は伏線を引くだけ引いてる巻です。
とにかく続きが気になります。

少しずつ心を通わせていく主役ふたり。
あたたかくて微笑ましいのに、痛いほどの切なさを感じるのは、今後起きる悲劇、そして明らかになっていく過去の悲劇を予感してしまうからでしょうか。
そして衝撃のラスト。
中巻を買いに走ってしまうこと間違いなしです。

6

あさみん

はじめまして★

純情ロマンチカ好きのあさみんと申します。
もしよかったら私のレビューにコメントください!!!

鮮烈な、余りに鮮烈な

美とは憧れであり宝玉であり幻影であり、
そして、ひたすらに残酷なものであります。

滅びもまた一つの救いの形なのでしょうか?
それとも、本当の救いに至るまでの寄り道
なのでしょうか?

物語が一先ず幕を引いても明かされない
かも知れませんが、暫し次の幕開けを
待ちたいと思います。

2

耽美です……

この作品は自分が好きな要素が重なっていることもあってとても楽しめました。読んでいて、斎木家には一体何があったんだろう!?とドキドキ。因習や過去の事件などが絡んだドロドロした話って好きです。

しかもそこに時代ものという要素も加わって魅力倍増でした! 

そして今回気が付いたのですが、書生や士官学校の生徒など、見習い的立場の受けってイイですね!
この話の場合もそうなんですが、志が高く真面目、真っ直ぐな心を持つ青年が妖しげな世界に巻き込まれていく様は、かわいそうでもあり、魅力でもあり不思議な感じなんです……。


ところで、読み終えて思ったことは、この本は数あるBL本の中でも、保管に注意を要する部類に入りますね……。もし、この本何? と聞かれたら返答に困る内容です。

3

まだ物語が展開してはいないのでなんとも言えないですが、よく作り込まれた漫画です。

第一次世界大戦後の日本を舞台に繰り広げられる妖しく美しいドラマ。続きが非常に楽しみです。

ちょっとお値段高いですが、それだけの価値がある漫画。

2

中、下巻があるんですね

貿易会社取締役 斎木蒼麿
帝大合格めざし蒼麿の書生をする 田神正崇

ち、ちょっと古いですが、今のBLを普通のアダルトビデオとすると、「櫻狩り」はにっかつロマンポルノという位置づけですね。エロがあるけど、見終わった後、あまりすがすがしい気分になれないところとか。でもそのモヤモヤ感がたまらないのです。
量産されるBLとちがって、重厚、バックグラウンドがしっかりしています。
ただし普通にアマアマなBLな好きっていう人には、胃もたれする可能性もあります。
私は、なぜかしらないけど大正時代~昭和初期というだけで、条件反射的に萌えてしまいます。耽美でエロスな雰囲気が出ますよね。
でも実際、記録写真などと見ると、実際に生きていた方たちはあまりイケてないのですが(笑)。
櫻狩りは、うまい具合に大正ロマンを漂わせながら、今っぽい要素をわからないように配合しています。
主従、健気、大金持ちに拾われる健気な少年…BLで一般的にあるパターンとはいえ、ちゃんと計算して描かれているので、ついつい世界に引き込まれます。
登場人物もそれぞれ過去に秘密を持っているようで、いったいどのようにふく線を回収していくのか、う~ん、とても楽しみです。
そしてラストは、これからいったいどうなるの? という一番いいところで終わっています。また1年待たないといけないなんて~。この間に自分で勝手にストーリー考えちゃってだめなんです。あまりに期待が膨らみすぎちゃうんですよね。このコミック界にはびこる1年発刊サイクルってどうにかならないんですかね。私の期待以上の展開よろしくお願いします!


2

この作品が収納されている本棚

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