• 電子書籍【PR】
  • 紙書籍【PR】

表題作今宵、雲の上のキッチンで

眞宮春臣 精悍な男前の天の邪鬼
久住新 オトコ殺しの毒舌家

同時収録作品春風・前夜

その他の収録作品

  • 春風の頃に
  • あとがき

あらすじ

小さなカフェ「ルフージュ」で働く新は、オトコ殺しの笑顔の持ち主だが、中身はハバネロ級の毒舌家。近くに建つ高層ビルの最上階に住む実業家・眞宮は、精悍な男前なのに好きな人には心と逆の態度を取ってしまう天の邪鬼。そんな二人が偶然出会い、新は眞宮に正体を隠して、毎日食事を届けることに!
 会えば喧嘩の意地っ張り同士だけど、顔も見えない夜のキッチンの暗闇では、なぜか素直になれて…v
 大人気ラブ新装版、書き下ろし続編も収録!
出版社より

作品情報

作品名
今宵、雲の上のキッチンで
著者
ひちわゆか 
イラスト
紺野けい子 
媒体
小説
出版社
リブレ
レーベル
ビーボーイノベルズ
発売日
ISBN
9784862634238
4.1

(49)

(27)

萌々

(10)

(9)

中立

(0)

趣味じゃない

(3)

レビュー数
13
得点
202
評価数
49
平均
4.1 / 5
神率
55.1%

レビュー投稿数13

天邪鬼と毒舌家という素直になれない二人が……

お互いに一目惚れしておきながら、顔を合わせればそれを言っちゃおしまいよ的な事を言ってしまう二人です。

受けの新がマネージャーをやっている小さなカフェで攻めの後輩が無礼を働いてしまった際、その場をとりなした攻めの眞宮。
その立ち振る舞いは非常にスマートだったのに、弁償を申し出た際の言い方が上から目線&嫌味な金持ち風情を漂わせたものだったので、新の中で眞宮の印象は最低最悪になってしまいます。

実は眞宮は、御曹司で仕事もできる精悍な男なんだけど、好きなタイプにはついつい心にも思っていないような事を口走ってしまうという厄介な天邪鬼タイプ。

対する新は「辛子入りシュークリーム」と言われているキャラで、甘く蕩けるような笑顔を見せて相手が油断したところでハバネロ級の毒舌をぶち込んでくるようなタイプなんです。
後日、眞宮と再会した際に極上の笑顔を見せつつも「あなたのことを思い出すだけで不愉快で吐き気を催す」と面と向かって言っちゃうような人でして、いくら毒舌といっても、これはない……と正直引いたのだけど。
(後日、受け自身も反省してちゃんと謝罪してるし、毒舌だけど心根は優しい青年なので悪印象にはならないはず。)

多分攻め受けだけだったら永遠にくっつかなかったと思うのだけど、ちゃんとキューピッド役がいます。
眞宮の私設秘書である多岐川という爺がおりまして、彼のナイスサポートのおかげで二人が接点を持つようになります。

幼い頃から、眞宮の好きになる相手が同性だという事を知っている多岐川。
せっかく雑誌の記事で見知った美青年(受け)を目当てに店に行ったのに、坊っちゃまときたら好印象を残すどころか、喧嘩を売ったような言い草をする始末。
そんな眞宮に対して「……実に、実に嘆かわしい」と苦言を呈する事ができる存在です。
眞宮もかつての教育係であった多岐川には頭が上がりません。

そして多岐川の計らいで、新は眞宮に正体を隠して毎日食事を届けることになります。
「絶対に正体を明かさない」ことを条件に引き受けた新は、顔も見えないような暗闇のキッチンで、うっかり遭遇してしまった眞宮の話を聞いたりしているうちに、嫌なやつだと思っていた彼の意外な一面を知っていくようになります。
そして彼の悩みに対して手の平に筆談でアドバイスをするのですが、普段の毒舌は鳴りを潜め何故か素直な気持ちになれる新……。


私は眞宮のキャラが好きでした。
上から下まで隙のない格好で決めており、住んでいるところは47階の億ションなんだけど、それはあくまでトップとしてふさわしいものをとお膳立てされた舞台と服装で成功者として振舞っているだけで、休日はジャージだし高所恐怖症ぎみだから自分の住まいが怖くて仕方ない。
セレブマンションで決め決めの暮らしなんかどーでも良くて、本当はプリン食べた食べないというたわいない喧嘩ができるような心許せる相手が欲しい……と思ってるところがかわいいなと。

恋人同士になってからも、ついうっかり「実に実に嘆かわしい」言い方をしてしまい新を怒らせてしまう眞宮だけど、それでも一生懸命、正直に気持ちを伝える努力をしていたり、新がどうやったら喜んでくれるか必死で考えてるところがかわいい。

そしてそんな彼に新も感化されていく着地点が描かれた「春風の頃に」も良かったし、新への誕生日プレゼントに悩む眞宮の姿が描かれた多岐川視点の「春風・前夜」はコミカルで、眞宮が考え抜いた誕生日プレゼントリストの内容には思わず吹きます。
株とか…金の延べ棒って……


3

なかなかよいですが

高評価だけあって面白かったです。

受けは美人でモテモテだけど未経験のウブな青年。これはよくわかった。
一方、攻めは御曹司だけど寂しくて人付き合いが下手、でもHのテクニックは○で助成の扱いもお手の物。この攻めのキャラが今一納得できなかった。

ストーリーは、初対面ではうまくいかずお互い意地ばかりはっているのですが、主に老執事の暗躍で、受けが身を隠してお昼を毎日健気に作ってあげるとか、明かりを落とした中での語らいなど、次第に心を通わせるというもの。
色々工夫がしてあって面白いのですが、夜景を見たいからといって、誰かも分からない人を明かりを落とした自宅で好きにさせるかな、というところがひっかかりました。

ベッドで別人になるのもお約束ですが、他が全て完璧といってもいいのに、受けの前でだけ思ってもいないような憎まれ口をきいてしまう、という攻めのちぐはぐさもちょっと気になった。まさお三月さんのコミックによく登場する変な人を彷彿とさせます。

4

よかった

以前から読みたいと思っていた本です。やっと購入。
思ったより分厚いので驚きました♪
ハイスペックなヘタレ攻めと毒舌笑顔の美人受け
最悪な出会いからの徐々に距離が縮まっていく様子がよかったです。
秘書のおじいさんキャラもよかった。

ただ受けがなかなか自分の正体を明かせない理由が自分的には「そこまで気にすることかな?」と思ってしまいなかなか入り込めず。
攻めも仕事が出来るようなスペックでしたが仕事風景はあまり出てこず、ヘタレな部分が目立ちちょっと残念でした。
中間とって萌えで。

2

素直になれない大人同士のロマンティックコメディ

まるで映画のよう。登場するいろいろなシーンが目に浮かびます。

舞台は小さなカフェ「ルフージュ」。
店長の新が、店の2階テラスより眺める煙突みたいな高層ビル。
その高層ビルの最上階、実業家である眞宮の部屋の夜景。
暗がりでの目測誤ってのキス。冬の公園のベンチ。届けられるランチのかご …

魅惑のスマイルで惑わせるも、毒舌でバッサリ斬り込む新。美人でモテるのに、身持ちが堅く、毒舌ゆえに最後まで恋が続かないのがコンプレックス。
かたや、好みの相手にかぎって、心と逆の態度をとってしまう天の邪鬼の眞宮。青年実業家という派手な肩書きとはうらはらに、高所恐怖症、ワインよりは芋焼酎、オペラよりは落語という庶民派。

そんな彼らですが、一生懸命に仕事ばかりしてきたら、気がついたら、あら、ひとりぼっち。
この先の恋愛にも期待出来ず、冷蔵庫のプリンを食べた食べないでケンカする相手もできないまま、このままひとりなんじゃないか?
そんなふうに、どこか恋愛を諦めちゃっていたようなふたりが、恋に落ちて、さぁ大変。もう、どうしていいものやら、右往左往。

社会的にはランク上位なはずなのに、じつはどこか”残念”な彼ら。そんな大人が、口喧嘩をしながら大人げない恋愛をする…それが最大の萌えポイント!
ふたりのポンポンとやり合う会話もこぎみよく、その一方、暗闇での逢瀬では、スローでじっくりしたやりとり。
そこで、相手が新とは知らない眞宮は、素直な気持ちをポロリと口にし、新も正直な気持ちで答えていくわけです。その対比がいい演出となっています。

仕事への姿勢や、周りに対しての接し方、ほどよい生活感。そういった落ち着いた描写があるのも、30代が登場のBLならでは。キラッキラのセレブリティは、もういらないんですわ。
欲しかったのは、この『ちょっとの現実味とロマンチック』のさじ加減。

名脇役の多岐川さんも、大活躍(この多岐川さんは、BL三大爺やのひとりに決定!)。その人生の大先輩からのこの言葉、このお話はこの台詞につきますね。
「恋に落ちるときというものは、あらがいがたく真っ逆様に落ちていくものです。」
底無しの穴に落ちた彼らのジタバタを、ぜひお楽しみあれ。

1

やっぱり面白い…!!!

かなり久々に読み返しましたが
展開も結末も知っているのにドキドキしました!!

社長でどこにも隙が無いようで皮肉屋の眞宮と
辛子入りシュークリームと揶揄される毒舌家、
カフェのマネージャー新(あらた)のラブストーリーです。

お互い一目惚れみたいなものなのに、
ちょっとした行き違いや勘違いでどんどん溝が深まってしまう
すれ違いラブの典型といえばそうなんですが
とにかくキャラの特徴がいとしくなっちゃいます!
眞宮は、完璧に見えて実は高い所が苦手だし、
ちっとも豪勢なビルの最上階に住みたいわけではない、
甘いものも実は好きなのに体裁を取り繕ったり…。

新は、営業スマイルが天下一品で
ノンケすら落としてしまいそうな威力がありますが
中身はサバサバしていて言いにくい事もズバッと言ってのけ、
そのせいで過去の恋愛もダメになってしまった男なのですw
でも情に厚く、眞宮の秘書・多岐川の話にうっかりノッてしまい
忙しいのに眞宮のランチを作る事を了承してしまうのです。
素性は明かさず。
最初は、新がいけすかない眞宮をぎゃふんと言わせたい気持ちもあったのに
意外な面を知っていくにつれ、そうとは別の感情が…。

この、顔を合わせればお互い良い気なんてしないのに、
近づいてくる心の距離が愛しいわけなんです!!
誰がご飯を作ってくれているのかどうしても知りたい眞宮が
自分の部屋の暗いキッチンで会う事を望み、
詳しいことは何一つわからないのに惹かれるのを止められない。
顔を合わせないからか、胃袋を掴まれたからか、
正体を隠したままの“N”の前では素直に悩み事も打ち明けてしまう眞宮が
可愛かったなぁ…。
そういう素を知っていて、カフェではそれとない態度の新が小憎たらしいw

いくら明かりが無いからと言って、
キスまでしたらわかっちゃうんじゃないか!?というツッコミは置いといてw

眞宮も新も、身近な人達に愛されている様子が微笑ましかったですし
なんといっても、印象が悪い二人が想い合うのが大好き!!
どちらもゲイなので、そんなに難しいことじゃないかもですが
新がまさかのバ……なのが驚きでした!!w

もしこれからお読みになる方がいらっしゃいましたら
全力で新装版をおススメ致します!!
書き下ろしのSSも楽しくて、最後まで満足させてもらえるはず!

はぁ…いい年した大人が恋愛でもだもだするのがとても愛おしい!!
神寄りの萌×2です!!

8

この作品が収納されている本棚

マンスリーレビューランキング(小説)一覧を見る>>

PAGE TOP