猿喰山疑獄事件

sarukuiyama gigoku jiken

猿喰山疑狱事件

猿喰山疑獄事件
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神82
  • 萌×211
  • 萌12
  • 中立4
  • しゅみじゃない7

--

レビュー数
35
得点
494
評価数
116
平均
4.4 / 5
神率
70.7%
著者
ARUKU  

作家さんの新作発表
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媒体
漫画(コミック)
出版社
リブレ
レーベル
ビーボーイコミックス~BE×BOYCOMICS~
発売日
価格
¥571(税抜)  
ISBN
9784862636270

あらすじ

星グループの若き総帥、星義彦。猿喰山にある星家の屋敷に入り込んできた庭師・鷺坂貢。義彦は鷺坂の美貌と自由な心に次第に魅了されて行くが、鷺坂の意図は別にあって…? 愛を告げる義彦に応えた鷺坂の思惑、そして真実とは!? 最後まで予測不能な純愛物語、ここに開幕! 描き下ろしも同時収録!
出版社より

表題作猿喰山疑獄事件

星義彦,星グループの若き総帥
鷺坂貢,美貌の放浪の庭師

その他の収録作品

  • 第一話・王様の庭
  • 第二話・かわいい小鳥ちゃん
  • 第三話・庭師の分際
  • 第三 1/2話・アヒルの分際
  • 第四話・マイダス王の指先
  • 第五話・詐欺師の定義
  • 番外編・詐欺師の本分
  • 第六話・事件の始まり
  • 第七話・終着駅
  • 第八話・心中・猿喰山
  • 第九話・調書
  • 最終話・来世の約束

評価・レビューするAIの精度がアップいたします

レビュー投稿数35

もっと奥深くまで浸りたかったけど

 最後の衝撃に全部持ってかれるストーリー展開はお見事でした。傷モノになった受け、記憶喪失のままの受けなどは読んだことがありますが、美しい肌も美貌も文字通りすべて失って、恐らく二度と元の外見には戻れないまでにぼろぼろになった受けというのは、未だかつて読んだことはなかったと思います。ここまで徹底して安易なハピエンに持ち込まなかった先生の勇気には感謝したいです。私は美人な受け、可愛い受けが大好きだけど(もちろん終盤まではそういう受けなんですが)、本当は心のどこかでこういう作品を待っていたのかもしれない。今まで出会った攻め達に「受けが美しい、愛らしい容姿をすべて失っても、お前は本当に愛せるのか?」と、問いたくなってしまいました。

 主題はけっして見た目か本質か、というわけではなく、他のところにあるんですが。ただ、700冊以上読んできても一度も出会わなかったこの展開は、やはり私にとって最大に評価すべきところでした。あまり1つの部分にだけ焦点を当てる評価はしたくないのですが、それでも最後のシーンを見るために買って損はないと言いたくなってしまいますね。一方で、萌評価に留めた理由は、間の取り方があまり好みでなかったからです。ここはもう少し余韻を持たせて欲しい、と思ったシーンも淡々と描かれていたような気がして…。素晴らしい展開なのに、詰め込み過ぎなのが少々もったいないかなと思いました。絵もさっぱりしているのでシーンに緩急がないと、私には作品の世界にぐっと深く浸るのが難しかったかな。でも、非常に印象に残る作品でした。

0

たとえ悪人だとしても愛は消えない

読み進めてキャラクターの見え方が変わるたびに何度も読み返す。
そんな作品でした。
「アルク先生!!」って感じの重く深い邦画の様な雰囲気で、本当に素晴らしく素敵でしたし、めちゃくちゃ泣きました。
一生忘れないであろう作品の1つです。何度読んでも心臓にずしん、ときます。

ラストは本当に苦しかったです。多分アルク先生はこのままバットエンドにはして置かないだろうという謎の信頼があったので、何度も読むのをやめてしまいたい…(辛すぎるので)と思いましたが、最後まで読み切ることが出来ました。それでも十二分にしんどいラストでしたが…。むしろより残酷…?でも、2人ともとても幸せそう。
偽りの愛が真実の愛を生み、どうしても愛してしまったのだから、逃れられなくて。
今生でも、来世でも、彼らは愛し合ってしまうんじゃないかな…なんてそんなことを考えてしまった。

0

大好き

ARUKUさんと初めて出会った作品です。
絵はみなさんのおっしゃるように好みではありませんでした。
最初はよくある設定の軽いBLかなと読み始めましたが、読みおわったあとの充実感は凄かったです。
素晴らしい作品に出会った時のどうしようもない吐き口を求めて、たくさんの方のレビューを読み漁って、うんうん、そうだよね、となって再度読み返しました。


今では作者買いしています。
絵はずいぶん綺麗になりましたが、不安定なところもあります。
ただ、ARUKUさん原作で他の方の作品を読みましたが、ARUKUさんの絵でないといけないんだと再確認しました。

虹色村のチロリみたいな作品も大好きですが、こんな作品もまたぜひ読みたいです。

1

アルクさんの作品大好きです。

BL漫画でいいのかってか一冊で終わりなのか?!っていう中身の濃い内容でした。
ネタバレ厳禁だと思うから内容に関しては何も言わないけど!これは!ハッピーエンドだと思うな!
なんでありきたりな展開で締めなかったんだろう、なんであそこで終わりにしたんだろう?というのは他の作品にも共通していて、この作家さんの持ち味であるし魅力でもあるなぁと。

1

しんどいほどに感情を刺激してくる

先日ARUKU先生の「嫌い、大嫌い、愛してる。」を読み、これまでのBL観が覆されるほどの衝撃を受けました。
そこで今回、上記作品のレビュー内でレビュアーの方々が名を挙げていらした「猿喰山疑獄事件」を手に取ったのですが…

星グループの若き総帥・義彦と、美貌の庭師・鷺坂の物語。
冒頭は、冷酷で人格破綻した義彦と、その心を溶かしていく人懐こくて純真な庭師のラブストーリー…かのように始まります。
まるで猿喰山から吹き下ろす冷風のため植物の育たない庭(攻め)と、そこに咲きゆく薔薇の花(受け)のように。
2人の出会いから、義彦の心に芽吹き始める鷺坂への恋心を描くまでが序盤。

ところが中盤、鷺坂が詐欺師である、ということがわかってから物語は一変、不穏な空気に包まれます。
広い邸宅の中孤独で不可侵な義彦に対し、綺麗な微笑みで「王様」と呼び、ときに「嫌な男」と言い放ち、急に小鳥のように飛び立ち義彦の前から消えてしまいそうなそぶりを見せたと思ったら、今度は「寒い…」と抱きつき甘える。
そんな鷺坂の行動はただの詐欺師としての恋愛テクニックだったのか?
それとも彼の心にも芽生えゆく何かがそこにはあったのか?
鷺坂の本意がわからぬまま、物語は佳境に入り…

前半人格破綻しているかのように描かれていた義彦の本当の顔、一途で真摯な想い、愛によって自身が変わりゆく姿に胸を打たれました。

序盤に感じた構図とは反対に、真実の構図は、冷たく静かに吹き荒れる「受け」の心を「攻め」の愛がいかに溶かしていくのか、というものだったんだな。

ラストの静かな衝撃は非常に文学的。
ARUKU先生ファンのお姐様方が仰る「ARUKU先生のお話にはARUKU先生の絵」という気持ちが、ものすごくよくわかります。
あまり表情豊かではない独特の絵柄(これは褒めています)。
これがストーリー、世界観、セリフ回しと渾然一体となり、唯一無二のARUKUワールドを築きあげているのだと思います。

本来ならARUKU先生の作品群は間を空けずに読み漁るタイプのものではないんだろうな、とは思うけれど、
もっともっと、先生の著作に触れたい。
深深としながらも秘めたパワーと破壊力のあるストーリーと描写に圧倒されたい。
でも本当はしんどい。ものすごくしんどい。

どう処理していいかわからない、この生まれて初めて味わう名前もわからない感情を、また感じてみたいと思ってしまう。

3

何の情報も入れずただ、ただ、読んでみて下さい。

先日初めてARUKU先生の「嫌い、大嫌い、愛してる。」を読み、パニックに陥った者です。本を読み終わってからもずっと内容が頭から離れず、ならいっそ先生の他の有名作品も読んでみようと手に取ったこの作品。
…夏バテで身も心も弱っている状況で読んではいけなかったなぁ…と今は思います。
「嫌い、大嫌い、愛してる。」もかなり心にずっしり来ますが、こちらはさらにエグくてしんどい内容。そしてやっぱりどうしようもなく切ない純愛物語です。

星グループの若き総帥・星義彦。猿喰山にある星家の屋敷に入り込んできた庭師・鷺坂貢。彼はこの殺風景な庭に薔薇の花を咲かせることを約束します。義彦は鷺坂の美貌と自由な心に次第に魅了され徐々に変わっていきますが…。

物語は思いも寄らぬ方向へ進みます。
本当に心が弱っているときは読まないほうがいい類の作品です。
でも、「今は大丈夫、身も心も元気!!」そんな時思い出して読んでほしい。
どうやってこの一冊にこれだけつめこんだのだろうと頭抱えたくなる程ぎっしり詰め込まれた内容。そして読み込めば読み込むほど、感動と一緒に他の色々な感情を背負わされる作品です。


★★★ここから先ネタバレあり。作品を読んでからご覧下さい★★★

内容については各々の解釈を持つのが一番だろうとは思ったのですが、他の方のレビューで「なぜ受は人を殺せそうもない短い刃渡りの庭鋏で、攻の腹を刺したのか」とあったのでちょっと個人的に考えてみました。
それはたぶん全ての罪を自分になすりつけるためだろうと私は思います。山には攻を鋏で脅して人質のつもりで連れてきた。(殺すには刃渡りが短すぎるのはもちろん計算に入れつつ)、必要なくなったので、攻を殺そうとして刺した。そう供述すれば、攻はあくまで被害者になれる。会社や従業員を守ることが出来る。受は自分がしてきた罪の重さをわかっており、来世で会いに来てね(=今の世では二度とあなたとは会わないよ)と攻にお守りを渡し、より重い実刑判決を望みます。執行猶予がついたら心が揺らいでしまうから。だから検事の手もわざと鉛筆で刺して、懲役にさせた。攻を不幸にしないため、刑務所に入ることがベストだと判断したのではないでしょうか。
(※あくまで私個人の一意見です。)

そして、最終章。あの展開はあまりにも衝撃的過ぎた。
もはやどんなに頑張ってもあの数ページだけは忘れることは出来ないと思います。

扉絵のようにいつか包帯が外れ自立歩行出来るようになるのか、
それともケロイド状の痕が残り、介護なしでは生きられない体になってしまったのか。
いくら考えても答えが出なくて辛かった。

今はまだ読んだ後寝込んでしまいそうな程度にダメージが残っているので、
もう少し落ち着いたらゆっくり、じっくり、読み返してみようと思います。

最近ARUKU先生のファンになった方、是非一度この本にも挑戦してみて下さい。
ARUKUワールドにどっぷりハマり、抜け出せなくなってしまうと思います。
読んでいてキツイし、辛いし、しんどいし、でもすごく大切な何かも伝わってくる不思議な神作品でした。

3

ネタバレは読まずに読んで欲しい

凄い
読み終えてすぐの感想がこれ
最初から二転三転するストーリー、スパイスのようにお伽話が組み込まれている
プロローグのやりとりでこんな終わり方かな? と思ってたらまさかの……
ハピエンだけどその終わり方が凄い
とにかくネタバレなしで読んで欲しい本
どうなるのこれ??って思いながら読んでラストを迎えて欲しい
この話、雑誌で連載されていたようだけど、リアルタイムで読んでいたら次はまだか…って悶えて最初から読み直してたと思う
他の方も書かれてるけれど純愛モノ

それにしてもARUKUさんの世界観は不思議
現代モノでもノスタルジックなファンタジーさを感じる

3

まさかの一大巨編。衝撃と感動のラスト!!

金、肩書、詐欺、裏切り、欲望、殺意……
人の様々な思いを描いた巨編でした。
この軽い感じの表紙の向こうに、
こんな作品が隠れていようとは、思いもしませんでした。
初読み作家さんで心を持っていかれて、「ヤラレタ」という感じでした。

≪あらすじ≫
一大商業・星グループの総帥として君臨する攻め。
そこに猿喰山の屋敷の庭師として受けが現れます。
受けは純真無垢で自由な心を持ち、総帥の攻めすら恐れず、
博愛主義のなんとも子供っぽい魅力的な人物でした。
多忙なスケジュールの中、受けの人懐っこい姿を遠くから見ていると
妙な気分になってくる攻め。
ついには、庭師とグループ総帥と言うあまりの身分違いに
気付きながら、後悔はしないと思い立ち、受けへの恋を自覚します。
しかし、純真無垢に見えた受けには別の顔があって……?

----------

私も最初は、人懐っこくて莫迦なことにも一生懸命な受けに
完全に騙されました。
はっきり言ってしまえば、受けは「下衆な受け」です。
受けの正体は詐欺師。
それも結婚詐欺師として有名でした。
ノンケの攻めを自分の魅力で恋愛詐欺で虜にしてやろう算段
だったのです。
相棒には、「男が男を恋愛詐欺で落としてやろうなんて
逆立ちしても考えつきはしない」などと言われてしまいます。

その裏で無垢な庭師を演じながら、受けは少しずつ攻めとの
距離を埋めていきます。
もう、ここはもどかしくてもどかしくて……。
攻めもグループ総帥として、人を冷たくあしらったり、
人事で非道な遣り方をしたりと、「良い人」とは言えません。
でも、受けはそんな攻めを「寂しい王様」と呼んで、
孤独を癒そうと見えます。
でも、そんな孤独で可哀想な攻めを、騙そうとする受けが信じられない!
下衆すぎる……!!
行動と心の中が全く別で、「このやろぉぉぉ」と憎く思ってしまいます。
孤独な攻め。唯一の癒しが受け。
それなのに、ほぼ金目当てで、優しく癒そうとする演技をするなんて…!
受けのバカっ!


受けと攻めは体をつなげる関係となりますが、
ついに、受けが詐欺師であることが明るみに出ます。
それでも、どうしても受けの事が諦められない攻め。
ああ、もうここは攻めが金も肩書も、人が羨む全てを捨てたのだと
思わざるを得ませんでした。
夜の雪の中、猿喰山の屋敷から逃げ去る詐欺師の受け。
しかし、その中で攻めは追ってきます。
「追手が来るから、早く逃げろ」と。
食料と、温かいホットチョコレートを持ってきて…。
雪の中、それを食べる2人……。
被害者と加害者、雪の中で身を寄せ合って食事をとる…。
滑稽でいて、とても切ない図でした。

そんな中、ついには警察はヘリコプターで受けを包囲します。
そして受けは抵抗するでもなく、一番大事にしていた
お守りを攻めの首にかけ……
枝鋏で攻めの腹を刺し、詐欺罪と殺人未遂罪で逮捕されます。

この場面は本当に謎です。
でも考えたくて、分析したくてたまらない場面でもありました。
何故、受けはあれほど大事にしていたお守りを
逮捕される前ギリギリに攻めに渡したのか。
もし殺すつもりだったら、渡しても仕方ないのではないか。
そもそも、すぐ助けられるヘリが近くにいることを確認してから、
確実に人を殺せるとも思えない刃渡りが短く、とどめを刺すには
あまりに向かない小さな庭鋏で、攻めの腹を刺した……。
本当は、受けは攻めを殺すつもりなどなかったのではないか?

と、いうより何故、何故、罪が重くなるような
殺人未遂罪をギリギリになって犯したのか。
攻めが言ったように、詐欺罪だけであれば軽微な刑で
済んだかもしれないのに。
更には、攻めに頼り敏腕弁護士に委ねれば刑も、執行猶予付きの刑に
なったかもしれないのに。
少しでも攻めに未練はなかったのか。
万が一にも、攻めが死んでもよかったというのか。
受けに少しの良心の呵責はなかったのか。
攻めへの愛は、ほんの一欠片もなかったのか。
……本当に何をどう考えても、分析が難しいです。
謎が深いです。


受けが攻めに最初にお願いした言葉は、
「人を信じて」
受けが攻めに最後(だと思われた)時に放った言葉は
「人を信じるな」

どちらが本当の受けの言葉だったのでしょう?
詐欺師であることを全て晒し、判決で懲役を受けた
受けの最後の言葉の方が、真実だったのでしょうか。


そして、待ち受ける
衝撃と感動のラスト!!!


これについては語りたくて語りたくて
堪らないのですが、ネタバレなので避けます。
あああ、でも語りたい! ネタバレしたい!
そして心ゆくまで、このラストの謎をあーでもないこーでもないと
分析したい!><

是非、その目でラスト数ページを見て、
「いったい、この話が訴えたかったことは
 なんだったのだろう」と
考えてみてください。

よくぞ、これだけの話をコミック一冊の中に
閉じ込めたなと思わせる一大巨編でした。

絵に特徴があり、顔のデッサンも正直言うと狂っています。
まあ、言ってしまえば「下手」です。
でも、そんなものは全く考えもしないほど、物語に引き込まれます。

物語にさほど関係ない場面でも、気に入ったシーンも有りました。
星グループで重役として働いているらしき男性が辞職を
攻めに願いでた時の話です。
妻が若年性認知症と診断され、重役の肩書を全て捨て、
妻と日本中を旅するのだと……。
そのために、会社を辞職します、と。
このシーンは、攻めの心ににどのように響いたのでしょう。
「大切な人間を大事にする心」、「最後まで添い遂げようとする心」、
そんな影響を与えたのではないでしょうか。
このことは、あの感動のラストの一端を担っているのではないかと
私は考えました。

是非ともみなさまにも手に取って読んでいただき、
色々なことを考えて欲しいです。

そしてひとつひとつの台詞、コマ、構図、構成に気を配りながら、
一体この物語は何だったのだろうと考えて欲しいです。

3

犯人探しミステリーじゃなく純愛モノでした

1冊すべて表題作の長編です。
主人公二人が中心ですが、周囲の人たちの視点も入っています。

王様と庭師の長い物語、というのが読後の感想でした。
タイトルからは、何かミステリー的な事件が起きての犯人探しかと勝手に予想したのですが、全然違いました。

騙す、騙されるということ。愛する、愛されるということ。
色々なことが頭を巡った作品でした。

この作家さまの作品は切ないエンドのものも結構ありますので、最後までドキドキしながら読みました。ラスト、ほっとして涙が出ました。鷲巣は衝撃的でしたが…。

セリフもモノローグも多めなので、文字を読むのが好きじゃない方には厳しいかもしれませんが、挑戦してもらえればなと思いました。ストーリー重視の方には特にお勧めです!

2

センセーショナルな愛の結末

BLとはいっても、最近は幅が広いですよね。これも、異色な作品のひとつ。
そう、この「よくわからなさ」が本作の魅力。表紙にしても、タイトルにしてもよくわからない。
むしろ、あらすじや攻めの王子様然な表紙を見ると、よくあるパターンを読者に期待させるところが、悪趣味(褒め言葉)なくらいです。
賛否両論のアルク先生の絵についても、私はこの「よくわからなさ」の魅力をより一層ひきたてるものとなっていると思います。

BL読者としての経験値がたまりにたまった今、手に取ってみて、ようやく自分が作品に追いついたというか、ひとさまにお勧め頂き、スゴい作品だったのだな、と痛感し、頭をたれてうなだれつつ…。

まず、なんといっても、登場人物の描き方が多面的。
とくに庭師の鷺坂。義彦やお屋敷の人間たち、村山のように、読者も彼に惹き付けられる。彼の得体のしれなさが、物語を牽引していきます。
ひとに騙すときには、嘘ばかりではなく、真実をおりまぜると、より騙しやすいという話を聞いた事がありますが、まさにそれなのです。
「信じてください人を」と言った口で、「人は信じるもんじゃねぇよ」と言い捨てる。
鷺坂のどれが本心で、どれが偽りなのか。

そして、星グループの総裁でいて当主の義彦。
無慈悲で可哀想な王様の救済の話かと思いきや、彼の思慮深さや意思の強さにも好感が持てます。
最終的には、そんな彼に救われていくのです。

ふいと現れた庭師が、若きお金持ちの王様の凍った心を溶かし、ふたりの距離が近づいていき、ついには両思いに…しかし、その庭師には秘密が!
なんて、書くと陳腐に思えてしまいますが、ひとかわ剥いで、また剥いで、剥いで、核心にふれる部分に近づいたかと思いきや、はぐらかされ…と読者は煙にまかれます。
ですが、最終的に検事の村山を登場させることで、義彦の気持ちを追体験させ、読者はさらにふたりの愛(物語)について理解を深めることとなるのです。
「好き」「愛している」の言葉ではなく、事件で読ませるBL。
時間軸的にも、人物の相関的にも幾層にも物語が重なり、多くは言葉で語らせず、その層の合間を読者に読ませる物語。
アルク先生はどのように、このお話を構築していったんでしょうね。
さらにこの結末でGOした、ご本人も編集さんもスゴすぎます。

時間がたってから、また読みかえしたい作品です。
私は、実は薫彦は義彦の弟ではないかなぁ、というのがただ今の私の希望的観測です。

8

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