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実は私、昨年の「ランキング外だけど名作」の企画に(正式名称じゃないです、すみません)に「この夜のすべて」をほぼ迷わずに挙げたくらい、ミナヅキアキラ先生のファンです。ストーリー性の高さが何と言ってもミナヅキ先生の魅力であり、遺憾無く発揮されているデビュー作だと思います。
大きくは三編になってまして、表題作の「今夜はテイクアウトにて」はハンバーガーショップが舞台。店長、岩切と本社企画部のケイちゃんが主人公。
飄々として(ココがポイント)仕事がデキる岩切がカッコイイです。ケイちゃんは男でも大変な美人さん(ココもポイント)。
上手く言えないのがもどかしいのですが、とにかくキュンとくるのですよ。お仕事ものとしても楽しめ、読んでるとハンバーガーが食べたくなりました。
続いての「空より花の散り来るは」は、雰囲気が和の感じに変わります。
時代背景は昔、季節は冬。薬師の真之介が雪の中で出会った綺麗な男、季凛は体がとても冷たい。
季凛の正体は雪の化身というか、雪女のようなもので、真之介に会うまでは沢山の男たちの精を奪って生きていました。
そんな季凛が初めて人間に恋して、自らも人間になって。
身も心も深く結ばれた二人がそれでも、別れが訪れるかもしれない。季凛はもう何年も生きてきて、人間になった今、どれだけの時間が残されているのか・・・。切なさと儚さが絶妙でありました。大好きなストーリーです。
ラスト「ゆびさきの恋」は若き天才彫刻家と、脱サラした年上美大生の話。
こちらは、やや絵が荒削りな感じがしましたが、グッと引き込まれる場面がミナヅキ先生です。
珠玉の初コミックだと思いました。
デビュー前に長く同人誌活動をなさっていたから、正しくはこれを処女作とは言えないでしょうが、ミナヅキ先生の色々な魅力が一冊で味わえる、先生との相性を占うには最適な入門作と位置づけて良い本だと思います。
傾向の違う3作をまとめたことに、偶然ではない作為を感じると言えば、考えすぎだと思われるでしょうか。
コミカルで可愛らしい、いまどきのサラリーマンたちを描いた表題作に続くのは、近代以前の日本を舞台に繰り広げられる幻想的で美しいファンタジー。
そして最後にきた「ゆびさきの恋」では、(反則レビューになるかもしれませんが、どうかご容赦を。)偶然にもモチーフが同じ短編「王様のベッド」(草間さかえ先生)との、脳内アンソロジーを楽しむことができるのです。
二冊ともお持ちの人にはおわかりいただけると思います。
少し変わり者の彫刻家と、その彼に請われ、触られるモデルを務めることになる普通の青年の物語を、全く趣の違う、それぞれに面白い二つの作品として、読み比べることができる、この贅沢。
両先生が、オチや笑いどころにされたネタが、そっくり被っていながら、異なる表現を取られているのにも、非常に興味をそそられます。
同じインスピレーションが、その降りてきた媒体(失礼!)の感性の違いで、こんなにも別の物語になって表されるということが、ますます各先生方への尊敬の念を深くさせてくれました。
(「王様のベッド」には、既に評価のみを入れているため、ミナヅキ先生の本と合わせて敬意を表するものです。)
最近はまった作家さんです。
この作品も萌えました!これが商業デビュー作品ですか。。。完成度がとても高いと思うのは私の気のせいでしょうか。
ミナヅキさんの作品は表紙がとても素敵(いや、中身ももちろん良いですが)。水彩画っぽいというか、色遣いがお上手なのでしょうか。そして表紙をめくるとカラーの挿絵がドーンとあるのですが、これもまた良し。
内容は皆さま書いてくださっているので感想を。
表題作「今夜はテイクアウトにて」
一目ぼれしたケイちゃんを手に入れるためにごり押しする岩切さんと、なんだかんだで流されちゃうケイちゃんが可愛かったです。
二人とも仕事に対しては真摯で好感が持てましたが、お店で事を致したらアカンやろ~~!と思ってしまった。4つ年上で、たぶん色事も経験豊富な岩切さんが、ケイちゃんのちょっとしたしぐさで理性をぶっちぎってしまうのが非常にツボでした。
2話目「空より花の散り来るは」
雪女ならぬ雪男のお話ですね。ミナヅキさんの絵柄に一番マッチするお話だと思いました。
雪男の季凜が男の人を惑わせては命を奪っていたのは、季凜の美しい見た目だけでなく、季凜をきちんと愛してくれる人を探していたからかな~、と。季凜を本当に暖めてあげたいと思ってくれる人を待ってたんですね。その想いが通じて、溶けずに「人」になれて本当に良かった。
「人の死」を扱う話なので若干シリアスムードが漂いますが、ところどころで出る「最期にはどいつも幸せに逝った筈だしな」や「手間だったぞ 一人で始末すんのは…」などのセリフにミナヅキさんのセンスを感じました。
3話目「ゆびさきの恋」
芸術家らしいちょっと浮世離れしている先生が可愛かったです。
最後の「触って形を覚える天才」は爆笑!ぜひとも規制をかけずにきっちり絵を描いて欲しかったデスv
絵柄で好みが分かれると思いますが、ワタクシ的には非常に萌えるお話を描かれる作家さまです。
【業績トップの店長×本部の企画部/薬師×雪女(男)/美大の学生×有名な芸術作家】の3CP
初めてのコミックスだったそうで…「初めてでこの出来?!」と思っちゃう。
やっぱこの人の話好きだわー。
■本日はイートインにて/今夜はテイクアウトにて/食後■
岩切 清司(業績TOPの店長・30歳)×松本 景(本部企画部勤務・26歳)
ファーストフード店を展開する会社の企画部で働く松本景は、ある日、予期せぬ人物から一目惚れをされてしまう。
業績トップの店の店長・岩切清司だ。
それからというもの景は岩切からセクハラまがいの猛アタックを受けることに!
仕事モードに徹して岩切をあしらおうとする景だったが、ふざけているのかと思えば突然真剣な顔を見せたりする岩切に振り回されるばかりで…!?
ズッキューーーン!と仕事中にも関わらず一目惚れして即アプローチしまくる岩切さん。
なんか軽い感じと思いきやー仕事はバリバリ、住まいも店長だけあって高層で広い!
(思わず、ファーストフード店長 年収で検索かけてしまったw→【そこそこの規模の店舗の店長クラスまで上り詰めれば800万円ほどの年収を超えてくる人も出てくる】とのことなので、岩切さんは業績トップ店の店長なので…ホホゥ(*゚д゚))д゚))д゚))ホゥホゥ)
好きになった相手だからこそなのかもしれないけれど、悩んでいることに気付いてちゃんと話を聞いてその上で…ってところがやっぱり格好良いなー!って思ってしまう。
ケイちゃん、なんだかんだ流されている気がしなくもないけど、流されちゃうのも分かるよっ!!!
一夜明けて、なんかケイちゃんが不機嫌そうに視えた岩切さんがオロオロしているの可愛いwww
んでケイちゃんの「好き」発言でキュンキュンとまらず大暴走する岩切さんwww
もう2人の言動にニヤニヤされどうしでした(*´Д`)ハァハァ
■空より花の散り来るは/そして手のひらに落ちる/帰る日まで■
真ノ介(薬師)×季凛(雪女) ※雪男(イエティ)のイメージより雪女のイメージなので
雪の解けない山で一人、虚無感を補うように人の体温・心・命を奪ってきた季凛。
それでも満たされるのは一瞬だけ。
そんなある日、雪道で出会った真ノ介は季凛の誘いを断る珍しい人間で…「―欲しいな。この人の命」
初対面の真ノ介が「…人間か?」と思っちゃうぐらい妖艶な雰囲気を醸し出していた季凛。
そんな季凛がだんだんと色々な表情を見せてくるのがいい( ̄ー ̄)bグッ!
奥さんを亡くして心が凍っていた真ノ介と自分を愛してくれる人を探していた季凛。
途中、人間を好きになって溶けてなくなっちゃうのかとヒヤヒヤしたけど良かったー。
■ゆびさきの恋/その指が罪作り■
牧村 義春(美大の学生)×藤森 由高(有名な芸術家)
脱サラして美大に入った牧村は憧れの工房に研修に行くことに。
自分よりも年下の先生は不思議な人で…まるで愛しい人に接するかのような笑顔を彫塑に向ける。
そんな先生が気になって…。
先生www
いや~…天才は何するかわかりませんねwww
触れることで形を覚える由高先生…エチした翌日せっせと牧村の息子を制作しておられます( ゚∀゚)・∵ブハッ!!
煩悩まみれの自分と違って先生さっそく芸術作品を…?!な状態の牧村www
ミナヅキ先生は「この世のすべて」だけ既読で。気になったので今回3冊読みます。
本作が初単行本なんですね。
共通して、キス、絡みの絵がめっちゃ好みです。体温を感じるエモさ。いい。
惹かれ合う感じが、少ないセリフと絵で表現されるのも好み。
それが段階的に、お!おおー!とくるのがまたいい。
表情も色っぽい。特に受けキャラの。そりゃ惚れてまうやろーなお顔をされている。攻めの気持ちがわかってしまうのがいいんです。
季凛がただの人間でしたーというオチかと思ったら違うんですね。
真ノ介に恋をして人間になった。元の正体はわからない。
それでも一緒に生きていく…と密かに思っている真ノ介に萌え〜です。
彫刻家の2人がくっつく場面もよかった。
お互いの好きが溢れているのが伝わりました。
余談ですが、美大卒の知人が、彫刻科の人はみんなイケメンでスタイルもいい、と言っていたのを思い出しました。