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表題作描くのは愛

天才贋作師 阿久津脩平 26歳
画廊勤務の鑑定士 的場幸洋 28歳

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

的場幸洋は父の汚名を濯ぐため、天才贋作師である阿久津修平の元を訪れる。すべてがうまくいくように思えたが、完成品の存在しない作品を描く代作だということから事態は一転する。まだ見ぬ作品のために、自分にできることならなんでもすると決めた幸洋だったが、なぜか修平にキスされ押し倒されてしまう。やらせるのが仕事を受ける条件だと言われた幸洋は何も言い返せず……。
出版社より

作品情報

作品名
描くのは愛
著者
剛しいら 
イラスト
朝南かつみ 
媒体
小説
出版社
心交社
レーベル
ショコラノベルスHYPER
発売日
ISBN
9784778108250
3.1

(12)

(0)

萌々

(3)

(8)

中立

(1)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
6
得点
37
評価数
12
平均
3.1 / 5
神率
0%

レビュー投稿数6

天才タイプの年下攻め

肌色な表紙なので艶っぽいお話なのかと思ったのですが、しっかりとしたお仕事もの、業界もののお話です。
贋作作家という犯罪性のあるお話ですが、知らなかった世界がなかなか興味深く描かれていました。
主人公の幸洋は面倒見のよい年上美人というキャラクターです。

対して相手の脩平は天才贋作作家ですが、しっかりしているのに年下の子供っぽさのある不思議なキャラクターでした。
幸洋は脩平親子の身の回りの世話をすることになるのですが、この父親も変わっていて、二人の関係の間に入ってきます。父親を挟んでの三角関係だったらちょっと苦手な展開だなあと思ったのですが、特にそういうこともなく…萌えとはちょっと違ったのですが、この親子はかなり奔放で不思議な魅力のあるキャラクターでした。

絵画の世界に興味があれば楽しめる、加えて年下攻め好きのかたにはオススメだと思います。

0

帯って大事だよねと思った作品

帯って大事ですよー、表紙の際どいところを隠せたり出来ますし!
でもその帯がさらに際どいってのはどうなの……と遠い目をしたくなります……

表紙と帯から
「とんでもない傲慢親父攻めに、仕事を盾にいろいろされちゃう繊細受けのお話なんだ…」
なんて思った自分を殴りつけてやりたい。
脩平(攻)は天才贋作師で大型ワンコのような年下だったし、
幸洋(受)は繊細は繊細だけど肝の据わった年上でした。

失踪した父親を探すため、その父と一緒に無くなったポイズンの絵の片割れを作り出そうとする幸洋。
現在ポイズンの絵を誰が持っているか調べて、父の行方を捜そうとしているのです。
その仕事を脩平に依頼しに来ました。
この最初のコンタクトで脩平と脩平の父親は存分に「変人」ぶりを発揮しておりますw
どんだけ食にも人にも飢えてるんでしょうこの人たち……
最初こそ唐突に「やらせろ」なんて迫っていますけれど、幸洋はかなり賢く、際どいところで受け流しまくっています。
強姦のような始まりはあまり好かないので、この二人が結ばれる流れは良かった。

まぁとにかく脩平は破天荒です。
元の無い絵は描けないと最初は突っぱねるのですが、幸洋の失意や熱意に負けて依頼を受けてからの行動が凄い。
数少ないポイズンの絵を求めて、文字通り世界中を飛び回ります。
そして絵の癖などを見て盗む!
そして実際に製作にかかると、リアルイタコさんになってしまいます。

終盤は絵が見つかったり犯人(共犯者)が見つかったりと大盛り上がりです。
贅沢を言えば、自称幸洋の婚約者だった彼女が最後どうなったかが知りたい。

最初度肝を抜かれた真っ裸二人の表紙なのですが、これが実に作品の内容と合致しています。
ポイズンの描いた(と思われる)2枚の絵を再現しているのですね。
読み終わってから表紙を見ると、「ナルホド!」と唸らせられます。

4

ネットでポチっとな

着衣率0%の表紙イラストといい、
帯に一言「やらせろ」って、でっかく書いてあると事といい、
書店手にとって、レジに持って行くには、かなりハードル高い本ですが、
中身は、全然怖いことはなかった。

メインのストーリーは、画商に勤めている幸洋が、病気で余命の短い母のためにも、なんとしても父の汚名を晴らそうと、画家ポイズンの贋作を餌に、父と共に行方の知れなくなったポイズンの作品「青い薔薇の男」を探す話。

表紙の雰囲気と、この粗筋とでは、とってもお耽美な話が展開するのかと思いきや、
これが、ぜんっぜん、耽美でも、隠微でもない
まず幸洋が、目的のためには手段を選ばない、ってしっかり腹をくくっていて、ポジティブだし。
いきなり、「やらせろ」とか言う修平も、言葉こそ粗野だけど、根はまっすぐで、真摯に愛を求める健全な男。
その二人が、ちゃんと愛し合ってて、
ポイズンの作品も見つかって、父の濡れ衣も晴らせて、
オマケに、お母さんの具合まで良くなって、
めでたし、めでたし

エロなシーンは、この表紙に見合うくらいの、それなりの分量はあるけど、でも、お互い愛し合って、求め合ってのこと。
よもやこの表紙の本の中に、こんなに健全で、ポジティブな、おもしろい話が詰まっているとは思わなかった。

で、この作品中に出てきた画家ポイズンとパトロンのハンプトンウェル卿の話が同人誌になっています。
たまたま、同人誌の方を先に読んでしまったのですが、ポイズン自身の話を知ると、また、おもしろさがぐっとアップします。
さらに、雑誌「小説ショコラ2009,11月号」にもサイドストーリーが載ったようなので、これも探して読んでみようかな。

4

表紙に怯まないで

表紙はこれでもかってくらいエロいですけど、中味はそうでもありません。自分の計画を実行するために、カラダを要求されますが、「はい、どうぞ」と進んで差し出したわけでもないし。
愛情を感じ始めてからは、自分から乗っかっちゃうというシーンもありましたが、大人なんだから当然だよねって感じですし。

潰れたペンションを買い取り、そこで父と飼い犬の二人と一匹でひっそりと暮らす脩平。そこで贋作を作り出していたんです。
そんなところへやって来た幸洋は、仕事を引き受ける代わりに家事一切、住み込んで世話をしろと条件を出されます。その条件の中には、もちろんカラダのお世話も含まれていて。
これが、親子揃って元気溌剌で。脩平は父にも敵意丸出しで威嚇するから、可愛いって言うか。

依頼を引き受けたあとの脩平は行動的でした。本物のポイズンを見に行くために、海外とかササッと行っちゃうんですもん。新婚旅行とか言って。笑
制作に入ると、寝食忘れて没頭する。だんだん窶れていくのが、すごくリアルでした。
脩平が描いているというよりは、ポイズンが憑依して描かせているといった感じなので、余計に窶れていくのでしょうか。
没頭する余り、放っておかれる幸洋がちょっと切なかったです。寝るために作業部屋から出てきた脩平に、自ら乗っかっちゃう幸洋。それくらいやってもいいと思えるほど、脩平のことを好きになってたんです。

幸洋父の持ち逃げ事件も無事濡れ衣だと証明され、事件は解決。
余命半年と告知されていた幸洋母も、退院出来るほど元気を取り戻し、軽井沢の家で同居することになりました。
その母も、なんだか脩平父とうまくいきそうな雰囲気。あのケダモノのような父が、母を見ては頬を染めるって。
あっちこもっちも丸く収まって、ほのぼのとしたラストが良かったです。幸せ感が漂ってました。

2

複雑なのに読みやすい

それでなくても肌色率が高いカバーイラストですが、帯がないともっと恐ろしく購入しづらい状態になりますね。(そこまでエロじゃないのに…)

贋作師・脩平と美術品鑑定家・幸洋のお話。

父親の汚名を雪ぐため、伝を頼って脩平に贋作製作を依頼しに来た幸洋ですが、お話のはじめの方では、なぜ大金を払ってまで贋作を用意しなくてはならないのかが、いまひとつわかりづらかった気がします。
しかし、幸洋の背景や脩平の背景がはっきりしてくるに従って、展開が俄然面白くなってきました。

脩平の父、幸洋の母、幸洋の勤務する画廊のオーナーの女など、周囲のキャラクターもただ単に脇役ではなく重要な役割を担っています。

贋作製作の一部分や美術品のオークションの仕組みもちょっとだけ覗くこともできました。

優秀な贋作師である脩平がとんでもないお金持ちなものだから、先立つものがなければできないような思い切った行動もあっさりとできてしまうのが、ファンタジーな気もしますが、こうなったらいい人はみんな幸せにならないとって思うと、それでいいじゃんって思えちゃいます。
(贋作師がいい人かどうかはこの際棚に上げましょう。但し、脩平の行動を読んでいると、悪いことをしているようには見えないから不思議です。)

そういうわけで、めでたく父親の汚名を雪ぐことができました、チャンチャン、なのですが、製作にあたり家事一般と脩平の相手をするのが契約の条件だというところが、このお話がBLである所以であります。

最初はビジネスとして関係が始まり、次第に「ポイズン(作中の寡作の画家)に呼ばれた」と運命を感じるくらいになる二人は、絵の制作を通して少しずつ心を通わせていきます。
エロシーンも結構ありますが、今までどこか壊れていた二人がお互いを支えあい事件を解決していく姿の方に魅力を感じます。

それぞれの父親や母親のフォローもきちんとされていて、納得のいく終わり方でした。内容が濃かった割りに読みやすかったです。

2

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