囚われたのは……私なのか?

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表題作僕の悪魔-ディアブロ-

クラウディオ・ガゼッラ,マフィアのボス
白瀬里玖,17歳,母親の愛人に売られた少年

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

目覚めたらそこは、見知らぬ異国の地だった。憶えているのは、義父と飛行機に乗ったことだけ。異国の言葉で話しかけてくる美しい男・クラウディオに、里玖(りく)は心を奪われる。温かで強引な彼の家族にもてなされ、愛情に飢えていた里玖は束の間の幸せに浸る。次第にクラウディオに惹かれていた里玖はある日、彼を想いながらした自慰で達してしまう。彼を穢したことに落ち込む里玖。だが、クラウディオがマフィアのドンで、自分は取引の為の生け贄だと知り!?
(出版社より)

作品情報

作品名
僕の悪魔-ディアブロ-
著者
成瀬かの 
イラスト
穂波ゆきね 
媒体
小説
出版社
笠倉出版社
レーベル
クロスノベルス
シリーズ
僕の悪魔-ディアブロ-
発売日
ISBN
9784773099744
4

(107)

(48)

萌々

(32)

(15)

中立

(8)

趣味じゃない

(4)

レビュー数
20
得点
421
評価数
107
平均
4 / 5
神率
44.9%

レビュー投稿数20

言葉が分からない究極の〝すれ違い〟

あーーー…もう、最高すぎる!
言葉が通じないからこそ生じる〝すれ違い〟がもどかしくて、焦れったくて、切ない…けど萌える!!!最高のすれ違いBLでした。

可哀想で健気なリク(受)が愛おしくて仕方ない……!
虐待により成長が止まってしまい、実年齢17歳の割に言動が幼くて、12歳前後の〝合法ショタ〟な印象です

状況が分からずに怯えていたリクが、初めて与えられる愛情により素直に甘えるようになり、徐々に懐いていく様子は正に、拾われたばかりの子猫のよう…

敵対するマフィアへの交渉材料として利用しようと考えていたクラウディオも、リクの健気さに絆されてしまう変化が堪りません……!
情が湧かないよう一線を引いていたのに、自分を犠牲にしてファミリーを守ろうとするリクの姿にノックアウト

そりゃ、非力でか弱い癖に全身全霊で自分を守ろうとする健気な生き物とか、可愛くて仕方ないよね……!!と、メロメロになっちゃうクラウディオに激しく同意でした。

もう、俺のモノにする!!リクを犠牲にしない!!!と決意の『I love you』なのに、敵対する変態マフィアに売られる〝商品〟だと思い込んでるリクは、自分を宥める為の『I love you』だと勘違いしてしまう……

お互いに想い合ってるのに、片や日本語、片やイタリア語。カタコトの英語でのやり取りが微笑ましくも焦れったくて、本当に伝えたい事が上手く伝わらないもどかしさ……
更には言葉の壁だけではなく、マフィアの若きドンと虐待の末に売り飛ばされた少年という、立場の違いからも徐々にすれ違っていく2人に、切なさMAXで悶えました。

裏社会の血生臭いシーンもありますが、ファミリーの仲間達は本当に優しい人ばかりで、傷ついたリクの全てを受け入れてくれる無償の愛情に癒されます。

電子書籍だとイラストは表紙のみで挿絵無し。
書籍でも欲しいので、是非とも新装版をお願いします!

1

冷酷な世界の中にあるあたたかさ

再読です。
こちらの作品が成瀬先生のデビュー作なんですよね。
読んでいてぐっと来る健気さを持った受けを描くのが本当に上手い作家様だなと思います。
個人的に、言葉が通じない者同士の物語がすごく好きで。
僕の悪魔〜シリーズはそんな、言葉が通じないからこその良さや、焦ったさともどかしさが詰まった一作です。
入手が難しいかもしれませんが、穂波先生の素敵なイラストも楽しみたい方はぜひ紙本で。
番外編同人誌も多く出されているので、今作と続編を読んで気になった方はそちらも併せて読まれるとより楽しめるかなと思います。
ヒリヒリとした世界で生きるマフィアの男たちが「マンマ」と言うのが妙にかわいらしくてたまりません。
以下、大きなネタバレはなしのレビューです。


いつかきっと…と、母からの愛情だけを信じ、何人もの「おとうさん」が通り過ぎていく複雑で酷く辛い環境で育った里玖が主人公。
やがて、何人目かの「おとうさん」によって、日本から遥か遠いイタリアのマフィアへと売られてしまう絶望感溢れるシーンから始まる物語。
穏やかさの中に冷酷さと血生臭さが共存しているマフィアファミリーの中に、存在意義を失って愛情に飢えていた里玖が欲しかったものがすべてあるという皮肉ったら。

年齢設定は17歳だけれど、辛い家庭環境からくるものなのか、時を止めてしまったかのように外見も中身も幼いままの里玖。
キスとハグは日常茶飯事で、家族皆で食卓を囲み一緒に食事をする。
今までの人生の中でこの生活が最も幸せだと、見知らぬマフィアファミリーの中で愛を欲してやまない必死な姿があまりにも健気で幼くて庇護欲がそそられてしまうのと同時に、トラウマからくる不安・自己犠牲・諦めだったり、幼さの中にどこか達観したものが垣間見えるのが切なくてもどかしい。

そして、今作の攻めであり、若くしてマフィアのドンとしてファミリーを束ねるクラウディオ。
一見優し気にも見えますが、他家族よりも一歩引いて物事を見ているような…見ようとしているような印象を受ける、マフィアらしい冷淡な部分も持った人物です。
そんなクラウディオを焦がれ慕ってやまない里玖の図がなんだかもう…良いんですよ…
里玖視点+言語が通じていないがゆえにクラウディオの心情の変化がわかりにくくはあるのだけれど、じっくりと読み返すときっとここかなと。
初めに書いた通り、日本語が話せない・イタリア語が話せない攻めと受けだからこその良さが効いています。
好みが分かれそうなタイプの受けかもしれませんが、愛し愛されたい里玖の無垢さは、ファミリーにとっても、私にとっても非常に好ましいものでした。

マフィアものとしての描き方も深すぎず浅すぎず、里玖の心情をメインに持ってくるのならこれくらいがちょうど良いのかも。
ファミリーの面々もそれぞれキャラクターが立っていて愛さずにはいられない。
疑問が残る点もあるけれど、心理描写が好きで何年か経ってふと読み返したくなる作品のひとつです。

0

受けが可哀想で健気

受けが可哀想だし、健気だしで何度も読んでも、泣きそうになる作品です。

受けは17才で、17年間ずっと親に愛情をもらえずに育ちました。なので、とあることから攻めの家に暮らすことになり、攻めの家族たちに17才よりも年齢の低い子供と勘違いされますが可愛がられることが嬉しいので、17才であることを伝えません。それほど、愛情に飢えています。
そんな受けの相手は、マフィアのドンです。最初、攻めは受けを利用しようとしています。それも、淡々と冷酷に利用すると仲間に告げています。

そんな攻めですが、受けに惚れます。ドンであり上に立つ立場である攻めは、「好きになりたくなかった」と言っているのですが、それでも惚れてしまうほど受けが魅力的なんですよね。そりゃ惚れるわって、納得です。だって、健気でかわいいうえに、誰かを守ろうとする強さもあるんです。魅力的すぎます。
両思いになるのですが、受けは攻めが自分を好きだと気づかず、受けは悲しい思いを抱えながら日々を過ごします。
ここの場面は受けが可哀想すぎて泣きそうになります。何度も読んでますし、攻めが受けのことを好きなので、ハッピーエンドなのはわかっているのですが、、、

健気な受けが最後幸せを手に入れる、そんな作品を読みたい方におすすめです。

0

マフィアのドンとAngel(´ω`)

『囚われたのは…私なのか?』
帯の言葉に、マジそれな!と、ニヤリです(´^∀^`)


受け様は、実母からのネグレクトと義父からの暴力に晒されてきた里玖。
義父に無理やり飛行機に乗せられ、目覚めたら1人、日本ではないどこかの部屋で寝ていて。

そこへ現れたのが攻め様であるクラウディオ。
シチリアのマフィア、ガゼッラファミリーのドン。
マフィアのボスとして、冷徹なところもあるけど、あまーいオスの魅力にあふれてた(≧∇≦)

敵対マフィアの大物ジジィへの貢ぎ物として、里玖を手に入れたクラウディオ。
マンマや妹のキアラをはじめとするファミリーに家族のように迎えられ、愛に飢えていた里玖には、夢のような日々。

助けてくれたクラウディオを一心に慕う里玖。
分かっているけど、ファミリーの為には非情な判断をしなければならないドンの立場な訳で。

どうやってクラウディオは絆されるのかな、とハラハラでした。

クラウディオが『私の天使』と離さない事を決めても、それを信じられなかった里玖とのスレ違いは、胸が痛かった。

切なくて、それがとっても萌えました(*´ω`*)
そしてまたクラウディオが『私の天使』だと受け入れたら、腕の中に囲い込むような溺愛を見せてくれるのもよかったです♡

イラストは穂波ゆきね先生。
穏やかで甘いクラウディオがまさに!って感じでステキでした。
里玖も可愛くてピッタリだなぁ、です( ^ω^)

2

受けがものすごく合わなかった

不憫受けが幸せになる話。里玖を哀れみ同情すれば楽しく読めたんだろうか。里玖は無知で気弱で頭の悪さばかりを強調され、男でも女でも人間でもなくBLの受けという必然的に救われる二次元のキャラクターでしかなかった。

子供に見える十七歳というだけでなく、何らかの病名をサクッと出してくれると少しはマシだったかも。幼少期から辛い目にあってきたわりに精神が未熟で、諦めてるわけじゃないのに生きる知恵を身に付けようとしないキャラに共感はない。

もっとも受け付けなかったのは、自分はこんなに酷い目に遭ってきたんだ……と自分に酔っているかのごとく独白する里玖。それまでにも謙虚アピールが甚だしいのに、やってることはそうでもないのが引っかかる。
たまに気の強さを見せる場面は子供の愚かさが出ており、ついには癇癪まで起こし始め、どこまでいっても里玖には不快さしか生まれなかった。
ついでに性に疎いといいながら後ろに入れることだけは友人との猥談で知っている意味不明さにモヤモヤ。友人がいて猥談を振られるキャラだと印象がブレる。

クラウディオも里玖のどこが良かったのか知らんが、くっついても里玖は嫌われただのとウジウジしていて卑屈さにうんざりした。

里玖が幼児ならまだ読めた。十七歳でこの甘やかされて育ったような中身は、虐待される自分を守るためだとしてもただの思考放棄か賢さ不足。今後もただ守られるだけのBLの受け以上の何かにはなれなさそう。

お話は完全に趣味じゃない。が、この作家さんの他の作品は読んでみたいと思ったので中立にした。シーンそのものは合わなくても描写で楽しめるところがあったので。

3

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