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イシノ先生にしては普通(と言っては語弊がありますが)に好きになる瞬間とか、心情描写がしっかりされていてわかりやすかったです。
(他は絵で語り余白が多く、好きの気持ちを読者が汲み取りにいくような作風なので)
近江が竹花を好きで、そのお話が続くのかと思いましたが違いましたね。
表題作は義理の兄弟のことだったとは。
遊び人の笹岡先生と付き合うことになった近江だけど、あんなに好きだった竹花をあきらめた描写がないのがいっそ清々しくて好きです。
こういう所がイシノ先生らしいかな。
チャラ男に見えて実はマジメな近江が、ちゃんと好きだから付き合うというのが好感持てます。
笹岡先生が意外にも近江にメロメロなのが萌えました。
こういう描写もイシノ先生お上手ですね。
「僕は傘が欲しかったんじゃない」の場面がよかったです。
モノローグ、表情、大ゴマの流れが効果的。
その後の流れ、そでの先生の言葉と「オマケのオマケ」まで、これぞBL!こういうのが好き〜と喜びました。
『厚塗りとヒヨコ』も好きです。
健一がかっこいいし、実はかわいい。
実がハサミを手にした時、健一はもちろん厳しい先輩がすかさず止めに入ったのが微笑ましかったです。
イシノ先生は絵と描き方が好きでして。
痛いお話も中にはありますが、私は本作のようなシンプルに萌えるタイプが好みです。
(ちなみに椿だよりがいちばん)
イシノアヤ先生の作品はなんかBLの王道から少し外れてる感じがあるんだけど、そんな所もお洒落な作画も好きです。
本作はある大学を舞台にしたオムニバスっぽいストーリーと、他の世界線の短編で成り立っております。
何人かの同性に恋をする男子が登場人物なんですが、どのキャラも可愛い。
どのキャラを贔屓にするかで視点や感想は変わってくるお話なのかなぁ、と思います。
私も読みはじめは近江視点で読んでいたので、竹花への想いが成就しなかったのはちょっと寂しかったですが、その後笹岡先生となんだかんだで上手くいってくれたのでスッキリしました。
お気に入りのカプは左官先輩後輩です。
今どきのダメ後輩ちゃんが一人前の左官職人になる将来も見たかったです。
竹花昌人(大学生,圭の6つ上だから20歳かな)
竹花圭(中学2年生)
近江(キヨ,長髪,ヒゲ)中2の近江可愛い
笹岡(大学講師)
◾︎表題*竹花兄弟
ドライヤーシーンフェチです。こちらは正面からか〜。ソファー上下が大好きだけど正面もいいですね。
あとがきで描かれてる数年後の竹花兄弟がクリティカルヒット
◾︎笹岡×近江
成就しなかった恋がサラッと描かれてるところに好感。
傘を貸して欲しいんじゃなくて、本当は雨の中一緒に走りたかった笹岡センセ。一緒に家から出たり、歳の差があって始まり方も真っ当ではなかった相手(近江)との関係を作り上げあぐねてる笹岡が愛おしい。トレイを買うし、目玉焼きは難しい。こういう直接的ではない表現で愛の進展を描かれるとグッときちゃう。
ご褒美リバが…!!!
イシノアヤさんて、オシャレ絵柄でリアルな揺らぎを描く、というイメージがあります。
本作は、前半に登場人物がリンクする連作、そして短編が2作の収録です。
「I'm your friend」
「スメル」
まず「I'm your friend」の表紙絵が「スメル」の内容を表しています。この彼・近江は、大学で知り合った竹花がだんだん好きになっていきます。でも、過去に親友に告って友情も無くしたことがあって、竹花には告らないと決めている。でも溢れてくる、耐え難いくらいに。
こらえている近江に、寒いよ、とマフラーをかけてくれる竹花。マフラーは竹花のにおいがする…
ところが、近江のお兄さんが何も知らずにそのマフラーを洗っちゃうんですね。
「恋などとうに成就してた」
視点は竹花の弟・圭(義弟。親の再婚で兄弟に。)です。
兄の昌人(竹花)は毎週毎週帰省してきて、なんだかウザい。なのに珍しくバイトが入って帰ってこれないと言われ、自分が昌人の部屋を訪れる。
洗面台の扉にびっしりと貼られた自分の写真にビビる圭。
ウザいしキモいし、でも、でも、昌人は俺が好きなんだろ⁈
…この話が表題作なんですよね。ということは、誰かの恋が成就している。でもこんなに執着してる昌人だけど、別に禁断の兄弟愛BL!というわけでもなく。圭が昌人にほのかに感じていた気持ちなのかしら…?
「アイル・オープン・ユア・アンブレラ」
近江は、大学の講師・笹岡と付き合っています。ここで、タイトルの「恋などとうに成就してた」が近江と竹花の話ではない、という事がはっきりとする。
思ってたカップリングとは違う恋愛関係で、え〜?と思うんだけど、これぞよくある話でしょ、と感じるわけで。
竹花は鈍感で、ブラコンで、ノンケで。
逆に近江とくっつく方がおかしい。
この話の時間軸では、近江は竹花への片想いはすでに吹っ切って、笹岡と付き合っている。笹岡は自分も遊び半分で近江に手を出したのが始まりだったくせに、近江がまた竹花に恋心を抱くのでは…と疑心暗鬼、嫉妬心。
…なんで近江は竹花を諦められたんだろ〜と思う。ノンケへの恋よりもバイの講師の方が偽らない自分を出せるから、なのかな…その辺バッサリ省略されてるから逆に余韻があるのかも。
「名前をつける」
幼馴染の親友を意識するようになってしまって1人でギクシャク。でも相手は屈託無く接してきて…ただの鈍感?でもそこに救われる。
「壁塗りとヒヨコ」
左官さんの弟子同士のカップル。先輩の健一は真面目で職人の上下関係をきちんと守っている。一方実はいかにもイマドキで、技術も態度もふらふらと定まらぬ。
でも、健一も周りも実の事とっても大事に思ってるんです。実、頑張れよ。
巻末のオマケまんがにて、近江と笹岡がリバった事が明かされます。イイネイイネ!
最初の話を読んだ時は、おお!こうくるか!と思いました!
これは賛否が分かれるなぁと。
でも一冊まるっと読み終えると、結局皆幸せじゃんvと、
すとんといいところに収まりました。
私的には気持ちいい読後感。
近江くんも幸せそうじゃないですかv
そう、イシノさんの作品はガツンドカンと衝撃は無いのですが、
じわじわと侵食される感じで、
その世界にいつのまにか引き込まれています。
多分、このイラストのテイストで暗い話を描かれたら立ち直れない……
反対に幸せそうな笑顔はじんわりと深く身体中に染み込んできます。
どこにでもありそうで、どれも不思議と印象に残る作品たちで、
評価は神寄りの「萌×2」で。