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一番最初に購入した秀先生の作品がこの本でした。
実は初読のときは萌えなかった。
でもちるちるを知らなかったおかげで、評価もレビュー欄も無傷でした。バンザイ。
子供の頃はスーパーヒーロー、大きくなったらふつうのひと。
というのはよくある話で、幼稚園時代に人生の最盛期を迎えた健太郎は、悪いことを引き当てる運ばかりが強い、さえない大学生になっていた。
そんな彼が新たに引き当てた「悪いこと」、それは霊に取り憑かれたことで…。
自分の記憶が曖昧なことが増えて、気付いたらイケメンの家。
いいですね、目が覚めたらそこにイケメン。天国かと思いそう。
2週間前に亡くなったイケメンの彼女の霊に取り憑かれた健太郎は、彼女の霊の思うままにイケメンと過ごす時間が増えていって…。
練り練りされたプロットが素晴らしいです。
ただ初読のときはそこに気付けなかった。
そこを「え、ご都合主義?」と思ってしまった。
BL初心者すぎたばかりに、理性的かつ現実的に健太郎とイケメンくんを遠くから観察しすぎて、健太郎の気持ちの変化にいちいち「なんで?どうして?なんでなんで?」と立ち止まって考えてしまった。
恋心というのは説明できるものではないのです。
それをいまだにきちんと理解できていないせいで、人の感情を分析して解説しようとするから、多くの方が「良作!」と萌え倒している作品で萌えることができず、ホゾを噛むこと数知れずなわけで。
最初に幼稚園時代の輝かしい日々を見せた理由は何だったのかと。
単純に健太郎の人となりを紹介するだけのエピソードではなくて、壮大な伏線。
1冊まるまるかけて、秀先生が読者に仕掛けた罠だったんですね。
その罠を「ふーん」とスルーしてしまうと、「萌えぬ…」というラストを迎える結果に。
ただこれ、初読じゃスルーしてしまいますよね。
分かった状態で読み返して、初めて「よし!ここ、引っかかっておこう」って思うレベルの、すごーく小さな釣り針なんです。
その釣り針に貪欲に引っかかりに行くと、健太郎が自分を消してもイケメンくんを喜ばせたいとまで思う気持ちに萌える。
三つ子の魂百まで。
幼い頃に喜んだ顔を見たかった相手のことは、別々に過ごした年月に埋もれて行っても、笑顔を見たときの嬉しかった気持ちはどこかに残っているんだなあと。
深読みしすぎでしょうか。
喜ばせたいと思うのが、自分の気持ちなのか、彼女の気持ちなのか。
イケメンくんを喜ばせられるのは、自分なのか、彼女なのか。
イケメンくんから向けられる優しい笑みは誰に…。
と、いう辺りはふつうに萌えます。
余分に萌えるには、プロットを把握して読み直し必須。
初読で「うーむ…」だった方、試してみてください。
ちょうど十年前に発行された秀良子さんの初単行本だそう。
確かに今の作画よりやや可愛めのキャラクターな気がします。
線もやや太い感じかな?独特の間合いなどは今もそのままですね。
さえない大学生健太郎が、気絶したり眠っているうちに亡くなった女性に取り憑かれて、彼氏に会いに行ってるというお話です。
何故男の健太郎にとり憑いたのか、女性とは誰なのか、その彼氏真柴とは何者かが最終話で明らかにされます。
あー、そうなんだ!ってスッキリしますよ。
確かにBL感はかなり薄めで、4話の終わりくらいからじわじわ来る感じです。じれったいというよりBLに発展しそうな前の段階ですね。
少女漫画でももう少し早いBL展開のものもありますもんね。
お話は面白いし、作者さんの描く漫画が好きなので私は物足りないとは思いませんでした。
先生の初単行本なんですね。
健太郎(さえない君)の体に光(イケメン君)の亡くなった彼女が憑依するお話。
健太郎がほんとにさえなくて…気の毒になるくらいそこまで卑屈にならなくていいのにと。
不思議な出会いから少しずつ心を通わせ合っていく…うぶBLな感じかな。
健太郎が意識を失っている時だけ憑依されそこは描かれず。
意識が戻った時、彼女として光と過ごしていた延長上に突如(健太郎目線で)場面転換するのがおもしろい。
光がイケメン君なだけあり顔がいい(眼鏡ないダイヤのAの御幸先輩に似てる)。
ラストがほんわか✨
絵やコマ、余白がきれいでさらさらしている。
B Lかといわれると違うかもしれません……
でも、恋の始まる予感という意味ではそうなのかもしれない……
健太郎の身体を借りて恋人の真柴に会いに行く真柴の亡き彼女。
霊となってまで大好きな真柴に会いたい彼女は、健太郎の意識がない時だけ現れることができる。
彼女を通して真柴といる時間が増えていく健太郎は、いつしか真柴自身が気になるようになる。
真柴もまた、彼女が好きなのか健太郎が好きなのか分からなくなっていき……
実は、3人には共通の思い出があった。
だからこそ、彼女は健太郎の身体に入れたのかもしれません。
二人が惹かれ始めていることを知った彼女は、健太郎に真柴を託して……
それぞれの思いが切ないです。
この後、健太郎と真柴がどうなっていくのかは分かりません。
だけど、3人がまた会えるその時まで2人の関係が続いていって欲しいです。
さすが秀良子さん、とても儚くて美しい物語でした。
BLに女の子が出てくるのは嫌いじゃないのだが、この作品の場合、彼女の気持ちを考えると辛くなってしまってしんどい。だってすごくいい子なんだもん。
ラスト、なぜ主人公に取りついたのかの種明かしを読むと、よりいっそう辛さ倍増。
BL成分が薄くてもじゅうぶんいいお話だけど、いっそBLじゃなくて彼女視点の少女マンガだったらしっくりきたのかもと思う。年齢とともにリアルでもう二度と会えない人が周囲に増えてくると、マンガと言えど人の死を扱ったものは本当につらくて。
商業BLを本格的に読み始めたばかりの頃に手に取った作品なのだけど、せめて憑依モノだと分かりやすいタイトルにしてほしかった。最初に対称的な男の子ふたりのほのぼのラブだと思って読むと、思いがけず心にズシンと来る。当然萌えるどころじゃないです。