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異形の者が叶える、最期の願いとは――?
コミック
読み切り型の人情噺、気のいい2人組、根無草の旅…その上BL作品!好きな要素が目白押しです。今はもうすっかり一般紙で活躍されていて、かつ高い評価を得ているような作家さんがBL作品で世に出たという事実。痺れる。しかし岡田屋先生の真に描きたい作品はBLレーベルでは描けなかったのかもしれない。あとがきでも彼らの謎にもっと踏み込みたかったことが描いてあるのに、結局は解明されることのなかった伏線だらけで宙ぶらりんの2巻で終了。う〜ん悲しい。
筋骨隆々髭月代侍も商業BLがかなり多様化した今なら受ける気がする。
あ〜昔に萌評価だけつけちゃってました…今は「神」だってば!変えられない…あーもうっ
時代物で、超常ものでもあって。
輿入れの姫の行列に用心棒として雇われた武士・草薙は、姫に付き添う当道座(芸能をする盲人)の千載と知り合う。
この姫の輿入れには裏があり、自分の命が利用されると千載に聞かされた草薙は、姫に扮している姫の弟・虎千代を助ける助太刀をする…
…という始まり。
千載は人ならざる能力を持っていて、命を賭した願いを「契約」として聞き入れる存在。
偽の同盟のために騙されて死んだ虎千代の想いびと・辰芳。
神楽舞に奉納された神のものである少年に恋し、永遠に罰せられている包保(かねやす)。
欲にまみれて山を食い物にしようとする人間に命をもって対峙する天狗、その裏で愛を引き裂かれた1人の男…
彼らの「情」が、「業」が、胸に迫るのです。
天を衝く龍になって、
夜叉に降り注ぐ桜になって、
空を覆う天狗の群れになって。
妖しい千載の魅力、背中に刻まれる契約、草薙の逞しい体、千載への温かさ…
今まで独りきりで人の怨み、念、死を賭ける想いたちを背負ってきた千載に、今草薙という道連れができた1巻目。
次巻「螺旋の錠」に続きます。
非常に読み応えのある構成で、世界観もしっかり作り込まれており、満足度の高い作品でした。メインは剣豪・草薙×座頭・千載なのですが、千載は人の願いを叶える代償に魂を喰うというキャラですから、決死の覚悟で千載と契約を交わした者と、その者が一番大事に想う相手との話、もしくはその周囲での話も描かれます。この巻では千載は3人と契約するので、草薙×千載と同時に3組のCPも登場することになります。
どのカップルも甲乙つけ難いほど素晴らしかったです。複数CPが登場する作品の場合は、いつもお気に入りのCPだけに絞ってレビューするのですが、3組ともそれぞれに相手への想いが想像を絶するほど深く、抜粋するのが難しいですね。千載に魂を喰われるということは、今世で自分が生きたという証を失い、誰の記憶からも消え、さらに来世に転生することもできなくなる、まさに無になるということと同義。それでも構わないから願いを叶えて欲しいと千載と契約する者は皆、自分のためではなく愛する誰かを守り、救うために願うんです。そのあまりにも深く尊い愛に、すっかり魅了されました。
そして、さらに素晴らしいのが、契約を交わした者もしくは交わそうとしている者だけでなく、彼らの想い人も同じくらい、いやそれ以上に彼らのことを想っているというところです。契約した者の身を投げ打つような愛を受け入れて、その愛に応えようと救ってもらった命を全うする者もいれば、自分も同じ覚悟であると示して契約を阻止する者もいる。けっして一方的な愛なのではなく、契約を考えた者もちゃんと想われていることが分かり、より1つひとつのストーリーに引き込まれ、愛の美しさを感じました。最後は千載の孤独にも触れられ、メイン2人の今後にも期待が高まる終わり方になっていたので、続きが楽しみです。
長く積み本箱に沈んでいたのを発掘。
どうしてこれ今まで沈めちゃっていたかな。
ガッツリした絵で描き込まれた時代物ファンタジー。
まず、この絵だけでもくらくらしちゃうくらい萌える。
千載の人間を超越した美しさにも萌えるし、草薙主税のこの立ち姿にも裸体にも萌えるよね。
収録されているお話は3話と短い描き下ろし。
千載は、魂と引き換えにその者の願いを叶えながら、いつ始まり、いつ終わるとも知れない旅を続けていて、魂と引き換えの依頼を受諾すると千載の背には依頼者を表す彫り物が表れます。
第1話が二人の出会うきっかけとなった龍とお国争いの話。
第2話が夜叉と芸能の話。
第3話が八咫烏と天狗の話です。
がっちりと筋肉がついたゴツい侍と線の細い美しい座頭が登場する、時代考証がどうの〜…というような世界ではない、往年のエンターテインメント時代劇映画のような作品です。
私はそもそも時代劇が好きなのですが、いつもある種の「ファンタジー」だと思って見ています。(徹底的に考証をしてリアリティを追求するタイプの作品もありますが、それはまた違う世界)だから、この「千」のような時代物×ファンタジーのストーリーは大好物。
設定自体は、洋モノの「ヴァンパイヤもの」にも通じますが、和物ならではの滴るような色気がたまりません。はー、着物って色っぽいなー、褌って官能的だなー…。
小さい頃に再放送の時代劇で、組んず解れつする二人の影がろうそくの炎で障子にゆらゆらと揺れているシーンを見た時に感じたようなちょっとイケナイものを見てしまった感。たまりませんね。
こういう世界のお話、もっと見たいです。