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表題作深呼吸

谷地健司
43歳,弁当屋でバイトのリストラ社員
榛野佳久
34歳,外資系企業の元上司

その他の収録作品

  • 深呼吸2
  • あとがき

あらすじ

谷地健司は20年近く勤めていた外資系の会社をリストラされてしまい、40歳を過ぎて弁当屋でアルバイトを始めた。
リストラのショックが癒え、穏やかに過ごしていた彼の前に突然、榛野が現れる。
榛野はアメリカの大学院を卒業したエリートで、谷地に冷酷に解雇を言い渡した年下の上司だった。
無能と宣告されたような気持ちを思い出すので二度と会いたくないと願っても、彼は毎週末やってきては弁当を買って話しかけてくる。
その真意は…?

(出版社より)

※電子版もイラストが収録されています。
 尚、イラストは紙書籍と電子版で異なる場合がございます。ご了承ください。

作品情報

作品名
深呼吸
著者
木原音瀬 
イラスト
あじみね朔生 
媒体
小説
出版社
リブレ
レーベル
ビーボーイノベルズ
発売日
ISBN
9784862639066
4.2

(137)

(73)

萌々

(44)

(10)

中立

(3)

趣味じゃない

(7)

レビュー数
28
得点
574
評価数
137
平均
4.2 / 5
神率
53.3%

レビュー投稿数28

2話とも終わり方がとても好き

イエ電と文通が現役だった時代のお話?谷地の何事もスローペースなキャラもあり、現代とは違う空気を楽しめる作品。榛野が人間らしい感情を知るまでの物語でもあるかも。こんなに情けなくなるか、と圧倒される人間描写が素晴らしかった。

会社をリストラされた谷地は冴えないおじさん。セリフ・行動・モノローグの全てが本当に冴えなくて、なんとなく生きてる感が伝わってくる。それでも人並みの感情やプライドはあり、ますます没個性なキャラって逆にすごい。

榛野は谷地視点の前半はロボットのような印象。谷地に執着し、ペースを崩して徐々に空回りキャラになっていくのが面白い。榛野視点の後半は、あまりに恋にのめり込んでいて驚いた。いつか仕事でも大きなミスをしそうでヒヤヒヤする。

榛野が告白しても、谷地が返事をしないまま関係が続いていき、曖昧な状態が結構長い。この間はずっと榛野視点で一喜一憂する様子が描かれ、榛野と同じ目線で谷地の気持ちが分からないと悩める感じがとても良い。

それにしても冷静に谷地をリストラし、仕事のデキる男だったはずの榛野が、ここまでダメダメな姿を晒してしまうのは呆気にとられる。さすがというかなんというか。

榛野が谷地に惚れたきっかけのエピソードを聞くと、人の心に触れた衝撃が忘れられなかったのかな、と思ってしまう。榛野の情けない姿の数々は、人間になるまでの工程の一つのような。

中だるみを感じたのは、榛野視点で前半の話をなぞるところ。一度見たエピソードを別視点で、というのが少々くどく飽きてしまうところがあった。時間を空けて読めば気にならなかったかもしれない。

「深呼吸」「深呼吸2」と2話収録されており、どちらも終わり方がめちゃくちゃ好き。最後の一文がじわっとくる温かさ。読後感も最高。

0

良い…

攻めも受けも人間らしくていいな思いました。特に受けの性格が気に入りました。生真面目白黒はっきり思考のデキる男と思いきや性関係はだらしないしシンプルにミソジニストだなと。嫉妬が混じってる、というか大部分を占めてるし本の中のキャラクターなので可愛く思えます。料理するシーンが好きでした。きのこの切り方をネットで調べてきます。って…可愛すぎました。切るのに失敗したきのこを捨ててしまいたいだとか、逃げ出したいだとか、子供っぽくて感情的で可愛いです。本人は「子供っぽくて感情的な人間?嫌いです。」とか言いそうですけど…笑

0

いい

搾取とかDVとか、安易な不憫要素は一切なし。実直な恋愛小説。BLに求める胸のヒリヒリが詰まっている

0

木原先生の描く受けってなんでこんな刺さるんですかね..

ちるちるの質問箱で、美しいことの松岡さんと似た受けが出てくる作品を質問したところこちらを教えてもらいました。
まず、リストラされた×リストラしたの組み合わせ本当に最高です。私は受けがステータス高い作品が性癖で普段から強気受け、高飛車受けを好むのでクリーンヒットでした。

でも、それだけじゃないです。やっぱりなんていうんですかね、、。木原先生の描く受けってなんかもう本当にいじらしくて可愛いんですよね。自分が攻めに嫌われたと思うと、電車から飛び降りて死にたくなる、みたいな思考回路とか。普段受けはそういうキャラじゃないのに凄く健気に攻めの事を好きでいて、恋するってこんな感じなのかな、、って凄く目頭熱くなっちゃうんですよね。感情移入させるのがとっても上手いなって思います。


攻めの谷地もゆったりした温厚なキャラで良かったです。やっぱり、40すぎて年下の上司にリストラ勧告食らうという屈辱も勿論持ち合わせているし、卑屈になったりもするけど、少しずつ榛野を受け入れていく様子も徐々にだからこそ読んでてなんだか心温まるものがありました。

最後のロンドンでの5日間も良かったですね。谷地はノンケなのにわりとスルッと男同士のあれこれを受け入れてましたね。もともと榛野の自分に対する好意は気づいていたから心の準備の時間が確保できてた分拒絶したりすることがなかったのかな。木原先生の作品は攻めが絆される事が多いと思うんですけど、私はそれが大好物です。

木原音瀬先生の作品は4作品くらいしか読んだ事ないですが、木原先生にしてはかなり優しい作品だと思います。おすすめです。

3

漂う空気感が好き

リストラされた職場の元上司が自分のバイト先に通い詰めているところから物語は始まります。
いい大人同士なのに、くすぐったくなるような初々しさ。
そこに猫がプラスされ素敵な時間を共有できます。


受けの榛野は情に流されず効率重視で動ける有能な男。
それは日常生活でも同じなはずが、谷地が絡むことにより歯車がズレていく。
相手を意識するほど、胸を張れるいつもの自分らしさがおかしなものに変わっていく。それに動揺し恥じる姿が可愛かった―。

谷地はゆったりとした独自の空気感、居心地の良さがこっちにまで伝わってきました。

注目すべきはラスト。

イギリス生活が終わる時は進展したどころかベストな関係になったにも関わらず、榛野があじわった喪失感のようなものに、こちらまで悩まされました。
幸せなはずなのにとんでもなく寂しい!!
それだけ谷地の存在を色濃く感じさせてくれたんですよね。
ハッピーなのに切ない!!
絶妙な塩梅の終わり方が新鮮でした。

イラストもベストマッチだったと思います。
谷地の容姿を見て某走り屋を思い浮かべたのはきっと私だけですよね(笑)
でも所々無意識ながら三木さんボイスで変換されていた気がしてきた(笑)

二人の空気感を身近であじわえる読みやすいお話でした。

1

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