限定特典と割引が充実!
すれ違って終わった高校時代と、社会人として再会し、三角関係を経て関係を築き始める二人のお話。一束の設定が興味深く、相手役の圭輔も魅力的で良かった。社会人編は香港の描写が楽しい。当て馬にしては強烈な佐伯のキャラも好きだった。
一束は香港からの帰国子女で、それゆえに疎外感を抱いている。同じ帰国子女の中でもいろいろある、という視点は勉強になった。個人的に一穂さんに驚かされるのは、少ない文字数で人物を分厚く描写できるとこ。これ本当に意味が分からない、すごすぎて。
圭輔は高校生とは思えない人を見る目を持っているとこに感心した。二年半付き合ったせいもあるだろうけど、自分の彼女を冷静に評価してるな、と。社会人になっても、善良でイイ奴と強く思わせる様子が変わってなくて良かった。
香港の紹介をしながら、昔を思い出し懐かしみ、過去と現在の違いを実感していく一束が良い。ただの観光シーンでありながら、回想と切なさが混じり合う描写に引き込まれる。デートシーンを楽しめる作品は貴重で嬉しい。
一束と不倫中の佐伯は、飄々としているかと思いきや、あまりにも人間だった。そして寂しがり屋でもある。ああいった無様な姿をさらけ出すそれなりの年齢の大人を見ると、なぜか泣きたくなる。イイ人とは思わないが、好きだな、と思う。
ほんのり運命を匂わせる圭輔が、もし結婚していたとしたら、その後に一束と再会していたらどうなっていたんだろう、とか考えてしまう。とはいえ、佐伯から奪おうとする必死さは最高に萌えたので、フリーのときに再会できて良かった。
巻末の里帰り編は、まだ打ち解け切っていないカップルのもだもだがもどかしく、同時に、二人はこれから、という明るさもあって微笑ましかった。読み返したくなる作品。
先生買いです。順番が前後したけど、新聞社シリーズが好きで、読んでいます。
今回もストーリーがとても面白く、登場人物の心の揺れが深掘りされていて、とても良かった。
高校時代、孤独だった一束に、屈託なく、先輩面することなく、すっと並走するように仲良くなった圭輔。
興味を持って、相手の話しを聞く。
しっかりと鍛えられた圭輔の身体と、自分の身体を比較、コンプレックスを抱える一束。圭輔が自分の不安な気持ちに共感してくれた。
不安、プライド、迷い、後悔、2人の間には確かに好きという気持ちがあったはずなのに、離れてしまう切なさ。
再会してから、ジリジリと気持ちを確認しながら距離を確認する2人のやり取りなど、すごくドキドキして好きだった。お互いが知る昔の面影を確認しながら話す。一束と同じタバコを吸う圭輔。
本当に良かった。
竹を割ったような性格の美蘭が好き。
最後のほうで、一束を助けようとするところには泣けた。
口が悪いけど、佐伯も良い。冷たいようで、優しく、そこにも愛はあったんだろうなぁと思う。執着なさそうで、嫉妬してるとか最高。
シリーズ読破したいです!
ふたりが旧校舎で過ごした時間には
高校生らしい軽さやドキドキがあふれ
単なる先輩後輩の付き合いとも違う関係だからこそ
生まれた恋心にも希望があって、
明るくて甘さすら感じる雰囲気もあったのに。
そこから少しずつ歯車が狂ってガラリと空気が変わるという、
メリハリのある展開に引き込まれっぱなしでした。
香港で再会したあとも、表面上はとり繕えても
心の内側に不穏さは引きずったまま。
同じ気持ちを抱えているのに同じ場所には立っていないような、切ないすれ違いは続きます。
一束の閉じた心となかなか見えない圭輔の本心、
そのどちらにもハラハラさせられたし
佐伯もうまい具合にかき回してくれるので、
ふたりが交わる道はないのかもしれないと
何度も思いました。
ですが。"諦める"という選択肢を捨てた圭輔が動いたことによってふたりの心は重なり、
13年越しの恋がようやく実ることに。
両想いになっても喜びに満ちた空気感にはならないですが、
それぞれの強い想いは伝わるので
ふたりらしく気持ちを通わせられたことに胸が熱くなったのでした。
スピンオフも読むのが楽しみです。
高校時代に先輩後輩の関係な2人の再会愛。
一束には、身体的に問題がありそのことがコンプレックスを持っていて、健やかな圭介に憧れや羨望があったのかな?
のびのびしている圭介を眩しい思いで見て少しずつ恋に。
高校時代には上手くいかなくて、途切れた2人の関係が13年後香港での再会。
高校時代の圭介の言葉通りだったのが嬉しかった。
忘れたわけではなくて、2人とも心の箱の中で大事にしていたのだろうと。
他の作中人物もいいキャラでした。
個性的で何かが欠けていて人間らしい。
完璧ではないのが愛せます。
新聞社シリーズ、第一弾、楽しみました
なんでもっと早くこの本を読まなかったんだろう、と思うほどに心震える一作でした。。読み終わったばかりですが、読後の余韻に浸ってぼうっとしています。
タイトルの「is in you」の意味、そして旧校舎のダイヤル鍵の番号「1997」を圭輔がなぜ当てることができたのか、その数字に隠された意味。
明かされていく秘密(?)にたまらなくワクワク、どきどきしました。
高校時代に出会い、そこから13年という長い年月を経ての、香港での運命的な再会。
一束(いつか)が圭輔の部屋で高校時代の自分の走り書きの紙を見つけるシーン、本当にああ…と胸がいっぱいになって喉から変な声が出そうでした。。
13年の間、どれだけ圭輔が一束のことを忘れられずにいたか。黄色い紙切れの描写からひしひしと伝わってきて、きゅーっとなりました。
最後の圭輔視点のストーリーも、タイトルの”is in me”からして最高だし、内容も言わずもがな、で貪るように読んでしまいました。
大切に読み返したい小説コレクションが増え、嬉しい限りです。
