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シリーズ7冊目で、現在新装版も発行中ですが、現時点時系列では最後の話になります。
1人の女性が殺害された所から事件は始まり、被害者の女性を取り巻く2人の男性とその周辺を、クラークは調査します。
それと同時に市長選挙が始まり、スラム街だったミラクルロードが再開発でなくなるかも…という話が浮上。
恋人のアンソニーも大学院生活途中で一応の就職を叶える…とクラークの周囲では静かに確実に変化が起こっています。
舞台は70年~80年のアメリカ西海岸の架空の都市ですが、作者さんがこのシリーズを一度中断したのは、この架空の都市の矛盾を整理するためだとあります。街の構造自体にシリーズと切っても切り離せないお話の根底があるようで…このシリーズの収束に向けて動きだした…という感じの巻でした。
この街がなくなるとここでしか生きていけない住人たちはどこに住むのか?という問題が上がる一方で、これまでの事件で被害者側だった子供達が成長し、犯罪多き街の未来について語り始めています。
これを読んでいると作者さんは果たしてこの街を無くならせたいのかそのままにしたいのか…。
主人公・クラークは妻と子供を亡くし、職を亡くし、この街に住み着きました。恋人のアンソニーが来てから生きる希望を見出しますが、アンソニーも親に捨てられ、身体を売って生活し、でもバイトしながら学校に通って町で一番有名な弁護士事務所に就職します。
それをスラム街の住人は「住む世界の違うほどの努力をした」と言って羨むこともせず祝ってくれます。
奇跡が起きないと抜け出せないスラム街「ミラクルロード」を、アンソニーはまさに自分で軌跡を起こして飛び立つという回でした。
これより後は刊行されていませんが、構想自体はあるようなのでいつか日の出を見ればよいなぁと思います。
ただ、1つの都市をまるまる建て直す構想となるとかなり大規模なストーリーが待っていることでしょうから、安易には行かないかもしれません。
今回は甘々さが少ない気がしたのが残念ですが、最早一緒に居るときはべったりな2人なのでもしかしたら自分の感覚が少々マヒしているのかも…。