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表題作クライ、くらい夜の終わりに

寺岡行靖
20才、須田と大学で再会
須田真市
20才、小学校の時の記憶が無い

その他の収録作品

  • 夜が明けたそのあとに
  • あとがき

あらすじ

「俺のこと、覚えてない?」
大学の教室で須田にそう聞いてきたのは、見たこともない男だった。幼なじみだと言い張るその男、寺岡を人違いだと突っぱねたものの、実は須田には子供の頃の記憶がない。その後も人懐こい笑顔でやたらと構ってくる寺岡の優しさに、須田を少しずつ心を許していくが・・・。
(出版社より)

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作品情報

作品名
クライ、くらい夜の終わりに
著者
佐田三季 
イラスト
麻生海 
媒体
小説
出版社
心交社
レーベル
ショコラ文庫
発売日
ISBN
9784778111267
3.4

(58)

(9)

萌々

(24)

(13)

中立

(8)

趣味じゃない

(4)

レビュー数
16
得点
188
評価数
58
平均
3.4 / 5
神率
15.5%

レビュー投稿数16

No Title

ネタバレになってしまわないように、回りくどい言い方になってしまうのですが、特定の苦手な設定、描写がある方にはおすすめできないお話かもしれません。苦しさがあるお話なんですよね。でも、心理描写が秀逸で主人公たちの繊細な心の葛藤を感じたい方にはぜひ読んでもらいたいです。

このお話は過去を探っていく要素があるので、先を想像しながら読んでいましたが、想像以上のダークさでした。
それから、攻めはまともで常識的と思っていましたが読み終わって考えてみると、弱さもあるし、ズルいところもあるし、不安定なんですよね。

ハッピーエンドの結末は良かったと思いますが、もう少し甘いところを見たかったです。訳アリのこの2人がくっついたわけですからね。

0

陰惨、のち…

執着の果てを見せてくれる作者様として有名な佐田三季先生作品。意を決して読みました。
噂にたがわず。すごかった。
主人公は人嫌いの大学生・須田。
ある日、大学で隣の席に座った男・寺岡にまじまじと顔を見られ、「俺のこと、覚えてない?」と必死に聞かれる。
しかし、須田は子供の頃の数年間分、記憶が抜けているのだ…
…という設定。
須田は毎日毎日悪夢にうなされており、須田の過去に関するイメージは非常に陰惨で、ホラー的なテイストも感じられる。
須田は他人と馴れ合わず、バイトに明け暮れて疲れ切り、金は足りず。
何度母親に抜けた記憶の事を尋ねても教えてもらえずにイラついている。
そんな時に出会ってどうやら須田の過去を知っているらしい寺岡は、度を越した好意を須田に示してくる。
寺岡に素っ気ない須田と、諦めずに構ってくる寺岡のやり取りはなかなかの緊張感がある。
須田の見る悪夢の断片で過去何があったのかは予想でき、そして実際思った通りの出来事が起きてしまっていたが、その根底には子供の地獄・「いじめ」が大きく横たわっている。
そしてそこには寺岡も関わっていて、すべてを思い出した時に寺岡に復讐心を持つ須田だったが…
この作品は登場人物が男性2人で、友情とその裏切り、罪悪感と表裏一体の強い恋愛感情、存在の不安定さに負けて男の愛のようなものを受け入れてつかの間安らぐ心を抱く須田を描いて確かに「BL」として読めるけれど、消えた過去を探っていくサスペンス的な要素と、何か恐ろしいことを暴くホラー的な要素も大きく感じた。
さて、ラストは須田を好きだ好きだと言い募る寺岡にどうしてもすがってしまう須田の姿で終わり、この後の2人はどう関わっていくんだろう?と思わせたのだが。
続く書き下ろしの「夜が明けたそのあとに」では須田が寺岡にはっきりと「そばにいてほしい、離れていくのは嫌だ」と伝えている。
これは非常に苦痛に満ちた過去に苦しんだ2人に訪れたある種のハッピーエンドで、まあ良かったねという展開なんだろうけれど、2人がどうなったのかわからない、という結末のままの方が良かったのではないか、という気がした。
この結末になった以上、寺岡は一生をかけて須田を包み癒し愛すべき。そう感じる。

4

むなくそ悪い。

けっこう高評価を得ている作品なので、一票くらい「しゅみじゃない」があっても良いよね、という気持ちで、素直な感想を書かせていただきます。

今までに読んだBLのなかで、いちばん胸くそが悪い作品でした。
受けの幼少期に起こった事件とトラウマ。この時点ですんごい気分が悪い。
その事件には攻めも責任があるんです。

とにかく、なんで受けがこの攻めといっしょにいる事を選んだんだ?
いっしょにいなくちゃいけないんだ?
そんな気持ちでいっぱいでした。
受けにはただただ同情し、攻めには(大人になってからの攻めにも)一切魅力を感じませんでした (恋する暴君の森永ですら地雷だからなぁ……受けの事情お構いなしにグイグイくる自分勝手な攻め。しゅみじゃないみたいです)

木原音瀬さんのFRAGILEもまったく「しゅみじゃない」だったので、
私がこういう作風とかストックホルム症候群のような関係性がニガテだ
ということなんだと思います。

2

三重苦というか、設定てんこもり

佐田さん2作目。
前回がとっても良かったので期待値高すぎたのかも……。
とはいえ、とっても楽しく読むことができました。
トラウマに記憶喪失と、BLでも使い古されたこの設定をどう消化するのかと読み始めたものの、序盤から受の過去について何となく分かってしまう……。
そしてその過去に絡んでくる攻の執着っぷりが怖い。

執着攻とほだされ受を書かせたら、本当に凄い作家さんだと思います。
受が過去にどんな目にあったか知っておきながら、強引に迫るという攻のアホっぷりが、何だか腹が立つといいますか。
受じゃないけどぶん殴りたい衝動に駆られます。
中盤までそんな感じで攻にイライラしてたんですが、後半戦に突入すると立場が逆転。全てを知って記憶を取り戻した受が、攻に対して強請って集って、攻の身ぐるみ剥がしちゃいます笑。

攻ざまぁw

と思いながら最初は読んでたんですが、何だか途中から攻のボロボロっぷりが哀れに……。
な、なにこの感情。
前作でも感じましたが、受の方が被害者であるはずなのに、気がつけばほだされてます。読んでる私もなんかほだされてしまって、畳みかけるようなラストにあれれれれ?と……。

納得いかない展開ながら、奇妙に惹きつける魅力のある作家さんです。
受の過去があまりに痛すぎて、萌があったかというと疑問なんですが、今後に期待して。

4

受けがかわいそう……

 私は基本、切ないお話が大好きなのです。でも、この作品は読んでいてとても苦しくなったので、評価を中立にしました。
 受けが、かわいそうすぎるんです……

 この作品のキーワードは「いじめ」だと思います。この「いじめ」が、酷いんです。作品全体を重苦しいものにしています。
 昔にいじめで辛い思いをした分、受けは幸せになっているかと言えば、そうでもない。全体的に理不尽で、現実的な雰囲気の作品だと思います。

 酷い攻めは好きなのですが、ここまでくると、罪が大きすぎますね。ただ、その罪を必死で償おうとしているところが、良いところではあると思います。

1

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