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表題作積木の恋

加賀谷聡
32歳,大学の研究室勤務
五十嵐蓮
22歳,恋愛詐欺師

その他の収録作品

  • 積木の恋 CHRISTMAS BOOK
  • 積木の恋 NEW YEAR'S BOOK

あらすじ

これが「好き」という気持ちだろうか──
恵まれない生い立ちから恋愛詐欺師となった蓮は、恵まれすぎている男たちの金を巻き上げることに、なんの罪悪感もなかった。次のカモにと狙ったのは、総合病院の長男である医者の加賀谷。呆気なく騙され蓮に夢中になる加賀谷を、内心馬鹿にしていた。なのに──生真面目で真摯な愛情、穏やかな逢瀬。加賀谷と過ごす優しい時間に、知ることのなかった感情が湧き起こるが……。

(出版社より)

作品情報

作品名
積木の恋
著者
凪良ゆう 
イラスト
朝南かつみ 
媒体
小説
出版社
プランタン出版
レーベル
プラチナ文庫
発売日
ISBN
9784829625163
4.1

(325)

(182)

萌々

(72)

(41)

中立

(10)

趣味じゃない

(20)

レビュー数
47
得点
1331
評価数
325
平均
4.1 / 5
神率
56%

レビュー投稿数47

加賀谷の大きな愛に感動

作者様買いです。
評価が高い名作、やっと読むことができました。

個人的に好きだった場面は、
蓮が加賀谷のところでハウスキーピングのバイトをしている時、
普段は仕事に集中して、話しかけても全く気がつかない加賀谷が
部屋から出てきて、蓮にキスだけして戻る場面。
キスだけして、戻っていく加賀谷の行動に驚き、翻弄される蓮がかわいい。

親からの絶対的な、盲目的な愛を注がれることがなかった蓮にとって、
盲目的に自分に尽くす加賀谷の気持ちが理解できない。
たくさんの愛を注がれているにもかかわらず、
加賀谷を失うかもしれないとずっと疑う蓮が切ない。
失った時に傷つかないようにしている。
積み木のようにある日突然崩れるのではないかと、ビクビクする。

そんな蓮に対して、愛されている自信が持てない蓮を理解し、
包み込む加賀谷の愛がすごい。
加賀谷は蓮に安心して、揺るがないことをわかって欲しい。

そして最後の章で、加賀谷視点で語られる蓮への深い想いが、本当に良かった。
じわじわと心が温かくなりました。

0

幸あれ。

何度も再読している作品。

相手を騙すつもりが、いつしか本気の恋に落ち……というミイラ取りがミイラに……という時々見かけるパターン。
それを凪良さんが書くと、こんな心にしんと響くような話になるのかぁと初めて読んだときに思いました。
生まれ育った環境は全く異なるけれど家族の愛に恵まれなかった点は共通している二人の地道な恋愛というか、蓮は加賀谷の深い深い愛情に包まれて生き直すといった感じかな。生まれ変わるじゃなくて。

いくつか好きなシーンがあります。

●詐欺師として逮捕された蓮は、服役中ずっと加賀谷を騙した事を後悔し続けてもう二度と嘘はつかないと心に決めた。
それなのに、出所の際に迎えに来た加賀谷に対して嘘をつくところ。

●多くの人たちが『平凡』とか『普通』と思っているものは、実はすごいバランスの上に成り立っている。とか、
アドベンドカレンダーをめくるのを楽しみにしているところか、クリスマス過ぎてもそれを捨てずに大切に取っておいてるとか、蓮がいじらしすぎてキュウウウウっとなる。

●クリスマスの夜。
生まれて初めて乗った観覧車から眼下に広がる夜景を見て「一粒一粒に誰かの暮らしがあって、その全てが完璧な幸せで作られているわけじゃない。でもとてもきれいだ。」というところ。
そして、あの蓮が初めて願いを口に出せたところ。

確かに一章、二章は蓮視点は切ないし苦しい。
服役して更生しても前科持ちということで色眼鏡で見られてしまうエピソードは苦しいけれど、仕方ないかなと思うんです。
読んでてすっっっっっごく悔しいのだけどね。
理解ある懐深い夫婦の元で働けてハッピー!万事OK!みたいなご都合主義ではないところがいいと思う。

そして三章の加賀谷視点が、ご褒美ターンというかとにかく愛に溢れていて好き。
かなり自制心の強いお方だと思っていましたが、クリスマスツリーは2本買おう!とか、時折タガが外れてしまってる様子が微笑ましい。
そして「勝手に色々なものを贈ろう」と密かに決意なさいましたね!
「もう!聡、買い過ぎ!!!」って蓮に叱られるくらい、あれこれ何かと買い込んでほしい。

3

裕福な医師×恋愛詐欺師の恋 かなり切ない作品

先生の「美しい彼」「未完成」「全ての恋は病から」「累る」などが好きな作品。
こちらはしばらく積み本となっていたのですが、やっと読みました。

不幸な生い立ちの末恋愛詐欺師となった蓮と、そのターゲットになった裕福な医師加賀谷の恋を描く作品。

本編は全体の真ん中くらいまで。

蓮が加賀谷を嵌めていくんだけど、加賀谷の誠実さや一途さにだんだん絆されていく。

蓮がかなり辛い生い立ちで、孤独でやさぐれている描写が切ないです。
紆余曲折あって、本編最後に結ばれる二人。
最後は加賀谷の一途で深い愛に、胸が締め付けられました。


後半の『CHRISTMAS BOOK』は、同棲し始めた二人のお話。
一緒にいても、この生活がずっと続くとは信じられない蓮。低い自己肯定感はそんなに簡単になくせない。それで時々ギクシャクしてしまう二人。

加賀谷にお見合い話が来たり、蓮が仕事を見つけても前科者のため雇い主とうまくいかなかったり。
単純に幸せとはいいきれないお話が進んでいきます。この辺はちょっとお話が重たくて、なかなか読み進むのが難しかったです。

加賀谷の見合い相手として登場した万里は、明るくてさっぱりしてて、蓮と友達になる様子もほっこりしてよかったです。こういう女子でいい子が出てくる作品、好きです。

最後はようやく本音でぶつかり合えた二人が、ロマンチックに仲直り。こんなふうに、時々衝突しながらも、ずっと一緒に過ごしていって欲しいなぁ、と感じさせるラストでした。

最後のSS『NEW YEAR’S BOOK』は、初めて二人で過ごすお正月。とにかく甘々な短編。着物を着たままの濡れ場がエッチでした。

濡れ場は数回あるんですが、普段は優しくておとなしい感じの加賀谷が、その時はちょっと強引にグイグイ求めるのが、ギャップ萌えで良かったです。

後書きによると、本編は文庫デビュー前に書かれた作品に加筆修正し、後のニ編は書き下ろしとのこと。かなり初期の作品なんですね。

本編は、この先どうなるのか、とどんどん読み進んだのですが、後半の書き下ろしはちょっと内容が重かったからか、あまり没入感は得られませんでした。
先生の作品は、もう少しコミカルさのある方が好きみたいです。

シーモア 挿絵付き

0

胸にくるものがある(¯―¯٥)

じんわりと胸にしみる。
基本的に甘々が好きですけど、こんな甘いだけじゃないお話もやはりいい。

受け様は、男専門の恋愛詐欺師の蓮。本名は透。
今回新たにターゲットにしたのは、大病院の息子で医者の聡。

詐欺師とカモ、という出会い。
でも、聡から対価を求めない掛け値なしの愛情を向けられ、罪悪感を覚えるように。
「好き」という気持ちを自覚して葛藤する透。
透の気持ちに引き込まれて、私も苦しくて切なくて。
とてもリアルで胸にくるー(¯―¯٥)

CHRISTMASのお話もとても好きです。
罪を償っても、世間や人の気持はハイそれでおしまいって訳にはいかない。
頑なな透が歯がゆい聡。
普段は穏やかな聡が、透が欲しくてままならなくて激昂するのが嬉しい。

NEW YEAR'Sのお話は聡視点で、ご褒美みたいな気持ちで読みました。
聡の透への気持ちはよく伝わってましたけど、やはり攻め様視点はいいわ~。
聡の着物フェチも知れましたしね。
いや~聡もちゃんと男なのねぇ( ´∀`)


積木のようにいつ崩れてもおかしくない不安定さ。。
一つ一つ、愛情や約束を積み上げていく2人の姿が、本当にとても好きです。

また、凪良先生の言葉選びが美しくて秀逸。
もちろん、朝南かつみ先生のイラストも儚く美しくて、もう新しくは見れないんだな、と改めて残念に思います。

2

崩れ落ちても積み直せばいい

作者買いです。
開業医の長男と、その資産狙いの恋愛詐欺師の物語でした。

最近読んだBL小説の受けがどれも不幸な生い立ちの子ばかりだったので、またか思いましたが不幸な受けが幸せになるお話は好みですし、まあまあと思いながら読む。

辛い暗いシーン多めなので、加賀谷がひたすら蓮に甘々なのが救いでした。

加賀谷が好きだったという後輩や、お見合い含めた家のアレコレ、公園でで会ったおばあさんの件についてはもうちょっとその後が知りたいと思いました。

それと、生まれ育った環境の違う2人がやっていくには、愛だけではなかなか乗り越えられないものもあると思うので、完全にハッピー!って感じに思えなかったのは私だけでしょうか?

何度崩れ落ちてもその度に一つ一つと積み木のピースを積み直せる2人であって欲しいです。
攻め目線のNEW YEAR'S BOOKが好きです。
蓮が子供時代に味わえなかった幸せな時間を2人で取り戻そうとしてくれる加賀谷の優しさに癒されました。

2

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