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この三ヶ月間、貴方は俺の、嘘の恋人――…
コバルトで05年に出された作品の新装なのですね。
麻生ミツ晃さんの初めての挿絵のお仕事だそうで、中の白黒カットはほとんど手直しなしに当時のまま再掲載だそうです。
一応お話としては悲恋ものになっており、互いに気持ちを残したままの納得づくの終わりになっております。
主人公達がドラマの主役で、しかもそのドラマが同性愛を扱ったもので。
役に入り込んで、本来の素と役柄と本人は見分けを付けているつもりでも、やはりそこに役柄の影響は否めないわけで。
更に芸能人であることという周囲への迷惑を考える部分もある。
なので、彼等が出した最後の選択は彼等の今後の為に必要なものであるとはおもうのです。
しかしながら、この入り込み方と彼等の気持ちに深く感銘と共感と、のめりこんで一緒になって苦しくさせる展開は、実はとても好きです。
どちらかというと、多分に恵のほうが恋愛としての「好き」という意味で、先に拓人を好きだったのですね。
拓人は恵の身体などが、モデルの立場として好きではあったがそういう好きではなかった。
初めての役者経験で拓人を導いていこうという恵の意図もあったのかもしれないけど、役柄が恋人になるという設定であるだけに、彼等の中に、特に役者が初めての拓人には重すぎるほどに役柄の「海」が入り込んでしまう部分が見てとれます。
その中で、初めてのゴシップ写真や、事務所のスタッフの拓人への温かい見守りがあって、拓人は周囲の大事さに気が付くのです。
恋愛感情と周囲への思いやりを同じ天秤に載せることはできないけど、彼等が芸能界で生きて行くには、時としてそれも必要なのでしょう。
特に拓人はまだ17歳。
恵もひと回り以上も年上の大人で、色々な経験や苦しい想いをしていますから、でも、拓人に対する気持ちは決してウソではなかったであろうし、一時的な混同でもなかったはずだと思います。
愛してると互いに言いながらも、二人ともその裏に「さよなら」を秘めていたそのラストは胸が苦しくなる、思わず涙腺を刺激するラストでした。
次が【ラジオ】。
この悲恋で結末を迎えたお話がハッピーエンドになるお話なのでしょうか?
ドキドキと期待が膨らみます♪
ハッピーエンド史上主義な私ですが、朝丘さんの書かれる小説は、たとえ悲恋であっても納得できます。
「実る恋」じゃなくても、気持ちが繋がっていて「結ばれる恋」という在り方も素敵だな、と思わせてくれた最初の作品です。
彼女の小説を読んでいる時は、SEAMOの『マタアイマショウ』が脳内でヘビロテしてます。
作品のあらすじは、上記を読んでください。
朝丘先生の甘々が好きで、読み始めたら早い段階から甘々!
でも、ドラマの役作りの為や、演技指導の為に裕次が仕掛ける甘々なのかがあやふやで、読んでいてキュンとくるのに、「もしかして踊らされている?!」と思ってしまいました。
まさに朝丘先生の手のひらで転がされてました私。
何度も裕次は拓人にアクションを起こしているのに、拓人の解釈違いみたいなので、中々気持ちが伝わらず。
役者さんのお話で、こんなにも作中のドラマを軸とし、主人公達が連動する作品は凄く不思議な感覚でした。役に入り込み過ぎて、どちらが本当なのか分からなくなる感覚。
一緒にいられないけれど、ずっと好きで思い続けている。
2人がちゃんと話し合った上での決断ができて良かった。これが一方的に音信不通になる別れでは、悲しすぎる。
あとがきで、『ラジオ』が続編にあたるお話だと知り、希望が持てました。
朝丘先生の作品は歳の差カップルのお話が多いですが、
こちらのふたりも32歳と17歳という結構な歳の差です。
その年齢を数字だけで見ればギョッとしてしまう部分もあるけれど、読み進めるほどに年齢差は気にならなくなる不思議。
ひとつの作品を共に作り上げる同志として近くなる距離、演技を通して深く繋ぎ合わせていく心。
そこに"恋人役"の枠をこえた感情が芽生えていく流れがとても自然だったからだと思います。
そして彼らの過ごす時間が甘いだけのモノではなくて、芸能人ならではの自由のなさがほんのりビターな空気感を滲ませているのもすごく良かったです。
好きという気持ちだけではずっと一緒に居られないことをお互いそれぞれに受け止めて、
別々に歩むことを選択した彼らの強さに感動。
ハッピーエンドではなくても、愛があればラストシーンはこんなにも輝くものなのだなとしみじみ感じたのでした。
このふたりが今後またどう交わるのか?『ラジオ』も楽しみに読みたいと思います。
憑依型演技を学ぶ役者初挑戦をする高校生モデルのお話、と高をくくって読んだら、のめり込んで、ドラマ収録の終りと同時の恋の終りの場面になると、心情移入して悲しくなって落涙。丁寧な心情描写の小説にすっかり魅了されました。
モデルの拓人に、ドラマ出演のオファーが来る。相手役からの指名だった。
内容は、同性愛ドラマ、ゲイ役の芝居感が掴めないので断ろうと思って、マネージャーを困らせる。
でも、憧れの俳優との共演と知って受けることにする。
憧れの相手役の俳優と、私生活でも一緒にいる時間を増やして、演技の勉強をしながら撮影に取り組む。
ドラマのタイトルは「白の傷跡」
なんとなく夏野寛子さんの作品「25時、赤坂で」と似ている所もあって、ドラマ作りの舞台裏や、役造りの工夫など、共通項探しをしながら読んだら、とても楽しめました。
段々と物語が進んでいくと、剛しいらさんの「顔のない男」や、有名な「紅天女」に出てくるナリキリ演技モードになって行って、「怖い子・・」風に。
ドラマの中で、「父親に虐待される海」が拓人の役。でも拓人は幼い頃に父親を亡くしているので、父親との対応がよくわからない。
悩む拓人へ裕次が告げたアドバイスは、「人は心で生きている」ことを理解する=役を憑依させること、演技の極意らしいです。
終盤、拓人が海役になりきって、海を演じて、海と一緒に岡崎に恋をして、岡崎を通して裕次を愛していきます。
でも二人の交際が、ドラマの人気上昇につれて、マスコミの話題になっていく。このまま続けることが困難になっていきます。
収録最後の前夜、「またここへおいで」と拓人へ言う裕次。
それは、岡崎が、最後のシーンで海に言う台詞で、悩む拓人は、裕次に応える言葉を探せなかった。
・・ドラマのシナリオだと、「またここへおいで」と岡崎が言った日に、ケーキと指輪を買い、海と小さな結婚式を祝おうと思っていた。なのに帰宅すると、岡崎の家に海は居ない。海は自宅に戻り自死していた。海の死で、ドラマは終わり。
この場面を読んで、ドラマの撮影が終了した後、どうやって素に戻るのか不安になりましたけれど、
幕が下りたら、素の自分に戻り、海と一緒に愛した人と離れることを拓人は決めていたみたい。
「離れていても愛している。それだけで生きていける。」と伝えて去る、寂しがりやなのに頑張る裕次はとても大人だと思いました。去り際が綺麗で見苦しくないのは、未来で手に入れる二人の幸せを信じているからかな?
二人のこれからは「ラジオ」を読まなければ、分からない。
引っ張り上手ですよね。読まなきゃ。
