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禁煙出来たらキスしてあげる
煙草もの、リバに惹かれて読みました。
どっちの要素も表題作のみで、リバも他のお話挟んで最後の書き下ろしでサクッとリバるので、リバに至る過程をもだもだ読みたかったな…という気持ちもあるけど、サクッと受け入れるのも、上になったけどタジタジなのも面白かったんですけど!!
表題作は恋を仕掛けるかけひき、他作は恋を自覚する、これから恋になる?と、想いが通じてハッピーは控えめ、ちょっと気持ちの移り変わりや意図が分かりにくいなぁ…ってとこもあったけど、そこに含まれるものをじんわり噛み締めると味わい深い。
精液をタンパク質って食事と一緒くたにするあっけらかんとした津川や、「死ぬわけじゃない」って楽観主義な南雲さんに押されてくのも、面倒なおじさんの可愛さ。
会話もウィットに飛んでて、特に「はつこい」の男子高校生の感性が可愛くて微笑ましい。
エロシーンは控えめでも舐める描写や、食べる姿がエロくてそれをエロいと思うのがエロくて、ちょっとしたとこが効いてます。
南雲さんはちょっとマイペースすぎて苦手な部類だけど、アキオが心底嫌そうな顔してもういいやってなってくのはエールを送りたくなる面白さがあり、恋愛恋愛してない等身大の男を短編集も良いものがあります。
絶対においしそうな食べ物がたくさん出て来るはずだ!という確信のもと購入。
好きなものは後に取っておく派なので、一緒に買った「恋ひぞ暮らしし雨の降る日を」を先に読みました。その完成度の高さに期待度がますます上がる。
いざ、いただきます!というくらいの勢いで読み始めました。
うーむ。
最初に出てきたキャベツとアンチョビのペペロンチーノはおいしそうでした。
だけどそれ以降に出てくる食べ物が何だか分からない…。同時収録もたい焼きのみわかったけれど、回鍋肉はフライパンのでかさが気になっただけ。描き下ろしに至っては「スペアリブとパクチー餃子、浅漬けと混ぜご飯」と言いつつ浅漬けと混ぜご飯だけのコマ、でかい餃子が一個のみ。
いや、分かってます!そういう目的で読むものではないと!
だけど残念で…。
表題作+描き下ろしと4つの短編が収録されていました。
① 愛煙家のライター×元喫煙者で現在は嫌煙家のシェフ
② 元いじめられっこの大学生×いじめを助けてくれたことがきっかけで仲良くなった幼馴染
③ 編集者×筆を折って書店で働く元作家
④ 好奇心旺盛な高校生×孤高でミステリアスなクラスメイト
⑤ 空回る対人スキルのない新入社員×コミュ力激高でだらしないけど有能な教育係
実際にえろす有りなのは表題作だけなので、あとは攻め受け不明です。
表題作は時系列とか諸々ちょっと分かりにくかった…。
おすすめは②の「金の鉛筆」です。かたや学生、かたや工場勤務。環境が変わったことでずれていく生活の中、何とか一緒にいる時間を作ろうとする大学生と、そっけない工場勤務くん。工場勤務くんのそっけなさの理由が切ないです。
④の「はつこい」もなかなか面白かったです。「1割の男子はゲイ」「この学校にも40人くらいいる」「俺だって立派に40人の仲間入りじゃねーか」この辺りの感性が好きです。
「恋ひぞー」を読んで繊細な言葉選びをする作家さんだなあと思っていたのですが、こちらは初コミックスのせいかその片鱗が見えたのは「金の鉛筆」と「はつこい」(④です)だけだった気がしました。
他の作品も読んでみたいと思って調べたのですが、サイトも閉鎖されていてヒットするのは違う漫画家さんばかりでした。もしかしてもう描かれていないのでしょうか…。そうだとしたらすごく残念です。
エロよりも心の動きを描くのに長けていらっしゃるのでエロ重視の方にはオススメしませんが、作風が好きな作家さまです。今も創作活動されているんだろうか。
短編ばかりを集めた作品集。後に出された『恋ひぞ暮らしし雨の降る日を』もよかったです。
どの作品もメインカプの心の距離間や関係性、その詰め方が嫌味がなく巧みなんですよね。ラブに至るまでの心理に萌えるので、そこに焦点をあてて描かれている作品に出会えると嬉しい。
表題作はナイスミドルのライター(ゲイ)と年下オーナーシェフの、禁煙を賭けた取引ラブ。リバの予感…。年上の男を可愛いと思うのって、そりゃもうオヤジ受け萌え一直線ですよね。大人なカップルだけどお互いが可愛いと思うツボに共感。指しゃぶり。。。
「金の鉛筆」
小学生からの同級生、箕輪と八尾の物語。子供の頃は相手が自分より小さくて守ってあげていたのに、大きくなったら立場が逆転する成長萌え。可愛いカップルです。同じテーマで他の作品もあるので作家さまのツボなのかな。
「アンダーカバー」
断筆中のワケあり小説家と彼の再起に燃える若い編集者のお話。言葉や文章にすることの影響力について、編集者の小林が語るセリフにうるっと来ました。憧れ、ファン心理が恋心と紙一重なところが描かれていて、ちゃんと押さえてるなーと。
「はつこい」
萌えました。初恋に限らず、気になる人ができた時の心理を上手く描いてくださっているなと思いました。その人が興味を持っているもの全てが知りたい。その人に影響を与え、形作ってきたものに触れたい。その人が見ている世界を覗いてみたい…。高校生のお話なので、同性愛へのハードルがさらっと描かれているところも好感触。BLだからといって男女垣根がない前提はちょっと気になってしまうので。
「Whatever!」
リーマンもの。人付き合いが苦手な新人と、人タラシなお気楽先輩のちょっと変わった新人指導の日々。南雲先輩がカワイイです。実は作家さまの弟さんがモデルらしい。
絵が時々がっさりしていることもあるんですが、結構顔が好きなんです。新しい作品になるにつれて少しずつ見やすくなっており、もし描き続けていらっしゃるならば変化に期待しちゃいます。
あとがきで作家さまの人となりが伝わってくるものですけど、作画中に流す音楽のお話が出てきて、作家さまが新居昭乃さんをお好きだと知り、それだけで大好きになったワタクシです。もちろん、作品も大好きですよ。
タバコを吸う男と、コックコート姿のシェフがテーブルに横たわり、頬を寄せ合う表紙絵。
タロットカードを連想させる意味ありげな構図と、ビタミンカラーを効かせた食欲をそそる色遣い! この表紙の吸引力は凄いです。
すももさんの最新刊(同じく東京漫画社)を読む予定が、思わず2冊まとめ買い。
表題作は、チェインスモーカーの雑誌ライター・津川(表紙絵下)×シェフの梅田(表紙絵上)。(描き下ろしでリバあり)
料理を生業とする人にとって、やっぱり喫煙は悪なんでしょうね。
自分自身は勿論、自分の料理を味わう人にも、できれば味覚を鈍らせるタバコは遠ざけてほしい・・・腕に自信のある人なら、そう思うのも自然。
喫煙者と料理人――そこに浮かび上がって来る、煙草をめぐる対立。
このちょっと捻じれた対立の構図を切り出したところがまずはGJ!
帯コピーの「禁煙出来たらキスしてあげる」という言葉通り、ノンケの梅田がもちかけた賭けから、2人の付き合いが始まります。
ゲイなのは津川のほう。一目惚れしたのも津川。
表面上は津川の一方的なアプローチを「禁煙できたらキスしてもいい」と冗談めかしてかわしただけのように見えるけど、それにしちゃ梅田の禁煙の勧め方が強引なのは何故?
本人は無意識であれ、梅田も実は・・・?
ちょっといい雰囲気からのスタートです。
しかしこれ、考えてみると随分、津川にとっておいしい話だなと。
梅田は若くしてオーナーシェフだしイケメンだし、なんでも持ってるわけですよ。
しかもノンケで間口も広い。彼と付き合えば、おいしい手料理にもありつける。
一方の津川。ライターと言えばカッコいいけど、生活は不規則だし、忙しくてプライベートではガサツなイメージ。
現に津川はセフレを連れて梅田の店に行ったり。かなりの無神経男なんですねぇ。
その上中年だし、ヤニ臭いし、ゲイだし。
これど~考えても梅田が津川に惚れる理由が分からないんですが、何故かノンケの梅田はこのくたびれオヤジを、可愛いと思っちゃう。
恋愛ってほんと、最後は理屈抜きですね。
や、ほーんとは梅田ってゲイでしょ?とひそかに疑いながら読んでたんですが・・・単に積極的なノンケ君だったようで。
ついでに、禁煙ゲームも気がつけばうやむやに。
さらっと楽しめましたが、欲を言えば、禁煙をめぐる料理人VS愛煙家の構図を、かっちり全うしてほしかったかな。
同時収録作品は、幼馴染みもの「金の鉛筆」・大学時代の先輩後輩のその後「アンダーカバー」・DKもの「はつこい」・リーマンもの「WHATEVER」の4作。
どれも、恋が始まりそうな予感、つまりおいしい匂いがしてきたところまでを描いた作品です。本体は妄想で味わいましょう、的な。
人物の表情や動きが少し硬いせいか、特に濡れ場はちょっとぎこちない感じがします。ストーリーも起伏少なめ。
ただ、さりげないところにウィットが効いてて小洒落た雰囲気。
どの作品もあれ?ここでおしまい?という終わり方にもかかわらず、心地よい読後感が残りました。
表紙だとわかりにくいですが、中の絵はもう少し個性的でクセがあるので、好みがわかれるかもしれません。
個人的に目の描き方がちょっと苦手だったので、どのキャラもあまり魅力的に写らなかったのが残念です。
あと、コマによってキャラの描き方がブレたり、キャラの描き分けがやや曖昧なので、ちょっと読みにくかった…
短編の作品にによって好みが分かれたので一概には言えませんが…
ひきだしを沢山持っていて、いろいろな設定やシチュエーションを考えるのが好きな作家さんなんだろうな、という印象を持ちました。
頑張ってオリジナルのものを作ろうという努力が感じられる話たちです。
ただ一方で、まだ多少作為的なところが見え隠れしておりキザというか…カッコつけすぎだな~…という印象を持ったりもしました。
語彙力や表現方法のバリエーションをお持ちなので、これからがとても楽しみです。
■嫌煙家のテーブル
表題作。
洋食店の若きオーナーシェフ(ノンケ)×愛煙家の雑誌記者(ゲイ)
取材を通じて仲良くなり、自分をタイプだと話す男に興味もったノンケの攻めから「禁煙したらキスしてもいい」という取引を持ち出し、なんやかんやあって打ち解けあい付き合うことに。
年下のノンケのくせにゲイ相手に物怖じせず煽るような条件出す一方で、受が他の男同伴でお店を利用するとヤキモチやいたりする攻キャラをかわいいと思える人は楽しいかもしれません。
個人的には年下攻めやキザっぽい会話、ノンケのくせにすぐにセックスできる男などがタイプではないのでいまいち盛り上がりに欠けました。
■金の鉛筆
イマドキ風の大学生と、町工場に就職した幼なじみの同級生の話。
学生と社会人という環境の変化から距離ができ、ギクシャクした時を経て両想いに。
どちらかというと大学生の攻めの方が関係維持に積極的で、幼なじみの家にも足繁く通うのだが、大人しくてあまり自己主張しないタイプの受けになんとなく壁を作られて凹む…というどことなくよそよそしさのある微妙な二人の距離感がうまく描かれている。
この短編の中では好きな方でした。エロなしです。
■アンダーカバー
こっちもエロなし。
若手の編集者×過去一世を風靡した元作家の新古書店店員。
作家時代の受けのファンという攻めが、偶然見つけた受けに再度執筆を依頼し、通いつめた末に恋も発展させるという話。
作家が筆を置いたきっかけになった出来事とか、攻めが作家のファンになるきっかけになった出来事などがちょっとうさんくさいというか…こじつけっぽい。短編のページ数に盛り込むにはムリがあるのかも。もう少しページ数使って丁寧に描いたら違うのかもしれないな~などと思いました。
■はつこい
この短編の中で一番好きだった話。
好奇心旺盛で思ったことをあまり考えず口にしちゃうような裏表のない高校生と、読書が趣味で独特の物の見方をするちょっと変わった高校生の話。
ちょっと変わってんな~と思って近づいて、接してみて意外と普通じゃんとか思ったり、新しい発見をしたり。自分と違うけど似てるとこもある他人に興味持って仲良くなるうちに好きになっちゃったり…という思春期の恋愛特有の空気感がステキです。
あと、高校生たちの適当さのあるナチュラルな会話が好きだった。
「俺お前のこと好きなのかな~」
「やほう知恵袋とかに相談してみれば」
「…他人事じゃねーぞ」という会話がツボでした。
表題作のキャラたちの会話には作家の作為を感じましたが、この短編ではあまり感じなかったので、同じ作家の作品とは思えないような違いがある。
ちなみに、こっちの短編のほうが古いので微妙な気持ちです。こっちの路線に戻ってほしいと思うほどこの作家さんを知ってるわけじゃないし……
今後の動向を見届けたいと思います。笑
■Whatever!
これもかなり好きな短編でした。
テンション低めだけど責任感の強い新人君とチャラいけど仕事できる先輩社員の話。
人付き合い苦手で基本ローテンションだけど責任感強くてついでにプライドも高いので「NO」が言えずストレスを溜め込むタイプの新人と、
楽観的でチャラチャラしてて押しが強くてやや鬱陶しいのに、なぜか人の輪の中心にいる人気者タイプの先輩社員がドタバタしながら強引に同居生活をする。
先輩のチャラさ加減やムカつき加減の絶妙さと、断ればいいのになんか悔しくてハッキリ「NO」をいえない新人の苛立ちやストレス具合が非常にコミカルにバランスよく描かれてるところが面白いです。
すんごいムカつくんだけど嫌いになれないラインの線引きが上手いんですよね~。新人君は終始ムカツイたり呆れたりゲッソリしたりしてるし、最終ページに至っても本気で嫌がってるのがすごくツボ。なのにこの子は結局先輩を心のどっかで受け入れちゃってるんだよね。顔には出さないけど。これぞ究極の『ホダされ愛』だと思います。
この作家さんはこの短篇集しかまだ知りませんが、絵もストーリーも過去の作品のほうが断然好きでした。あと、あとがきの作家さんのテンションもすき。こういう方は薄っぺらい話は書かないだろうなと感じさせるものがある。
エロは得意ではないようで、唯一エッチシーンのある最新作である表題作は内容が微妙だっただけに、ムリしてエロ要素入れないくていいから、古い作品にあったような独特のコミカルさと雰囲気を楽しめるような作品を沢山描いてほしいと思いました。今後に期待です。
《個人的 好感度》
★★★★・ :ストーリー
★・・・・ :エロス
★★★・・ :キャラ
★★★・・ :設定/シチュ
★★★★・ :構成