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表題作フォルモサの夜

三島宗造,35歳,元刑事の汚れ専門私立探偵
関谷俊明,20歳,京劇役者志望だった大学生

その他の収録作品

  • あとがき(水原とほる)
  • あとがき(周防佑未)

あらすじ

大学生の俊明は休暇で台湾に行った際、高級クラブの京劇ショーに代役として出演することに。そこで事件に巻き込まれた俊明を助けてくれたのは、片足をひきずった元刑事の三島という男で――!?

(出版社より)

作品情報

作品名
フォルモサの夜
著者
水原とほる 
イラスト
周防佑未 
媒体
小説
出版社
海王社
レーベル
ガッシュ文庫
発売日
ISBN
9784796403894
3.1

(36)

(7)

萌々

(11)

(6)

中立

(5)

趣味じゃない

(7)

レビュー数
8
得点
102
評価数
36
平均
3.1 / 5
神率
19.4%

レビュー投稿数8

No Title

シーモアやKindleなどではあらすじに"手付金代わりに凌辱されてしまう"とあるのですが、凌辱=無理矢理キスでした。
創作で凌辱と書かれたらもっと激しいことを想像するだろう(笑)
完全に拍子抜けしました。
そのままセックスに雪崩込むことも無くその場は解散。後日完全に同意で行為に及ぶので強引な攻めキャラが苦手な方でもわりと安心して読めると思います。

主人公も攻めも好きなキャラクターでしたが、周辺キャラとの絡ませ方が苦手でした。
それぞれに当て馬のようなキャラクターが居るのですが、ストーリー上の役割が中途半端だったかなと思います。

攻めのことを好きなミノルくんは殆どモブキャラで、ストーリー上で主人公に嫉妬させる為だけに存在しているように思いました。
攻めのミノルくんへの接し方も中途半端でちょっとモヤりました。

主人公に恋する志明は主人公の幼なじみ。主人公の帰属意識含めて全く無意味な存在だとは思いませんが、恋愛部分では当て馬というより攻めとの比較対象として存在しているだけの様に思えて残念でした(性格を比較している訳では無い)。
主人公はゲイであるという前提のもと、志明のことは好きだけど肉体関係を持ちたいとは思わない、しかし攻めにはそういう意味で惹かれてしまう、とモノローグで引き合いに出される回数が多かったです。
主人公は最初から志明に恋愛感情を持たず、志明は台北、主人公は日本にいる状態でメインストーリーが進むため奪い合いのような展開にもなりません。

主人公は台北で志明から告白をされたあと脈が無いにも関わらず返事を有耶無耶にして日本に帰り、最終的に日本で何かがあった(恋人が出来た)事を匂わせるような発言をして遠回しに相手を振るので印象が悪かったです。
志明に対して兄弟愛のようなものがあるはずなので、そこをもっと強く押し出して欲しかったなと思いました。
攻めが主人公にとって特別な存在であると表すために志明が用意されているように感じてしまいました。

私は当て馬が苦手なので何のかんのと並べ立てましたが、それ以外の部分では攻めも主人公も良かったです。
特に主人公が誘拐された後の攻めが騒がしくて面白かったです。
主人公が敵キャラと駆け引きしている際、拘束され手出し出来ずにいる攻めがワーギャーとヤケクソに主人公への愛を叫んでいて可愛いなと思いました。

その後のバディっぽい二人をもっと見たかったなと思いました。

0

--

文庫本で読了。


周防佑未 のイラストだと、
美人受の設定だけど、汚れ顔で綺麗に見えないのが残念だった。
京劇や、中華街が好きな人向け。

1

コンビ結成のその後が激しく読みたい

受けがDVなど酷い目に遭うような作品と、そんなこともない作品(男前受け率高し)に大別される水原作品(最近は後者が多い?)。

今回は、そんなこともない作品の中でも特に、受けの魅力が際立っていました。
持ち前の洞察力・交渉力で危険を切り抜け、攻めに抱かれてても主導権を奪う機会をうかがっている男前女王様受けが魅力的です。
また細かいことですが、水原作品の「ひぃっ…」という受けの喘ぎにどうしても笑ってしまう私は(すいません)、今回それがなくてエロシーンに集中できて本当に良かった。

台湾と日本という二つの国にバックグラウンドを持つ大学生・俊明(受け)は、
他人だけでなく自分自身に対しても常に一歩引いた見方をしていて、語り手として非常に優秀です。本編がマフィアとの対決やアクションシーンなどで香港映画に近いノリを見せたり、中国語にン?となる所があったりしつつも物語としてテキトーな感じがなく、ちゃんと台湾を感じさせるのは、俊明が自分のアイデンティティについて冷静に分析しているためだろうなと思います。
また、同胞や友人を非常に大切にする情の熱さもあり、ちょっと出来過ぎ?と思いつつも人として好感を持てる人物です。

そんな俊明のバックグラウンドの一つで、本編でその身を助けることにもなる京劇。
二大流派の北京・上海ではなく、台湾で京劇を習う…って意外性のある設定ですが、
特定の国や生き方に固執しない俊明のニュートラルな一面が表れていて興味深いです。
物語の主な舞台は日本ですが、俊明の目や記憶を通して語られる台湾の街・人々はとても生き生きとして魅力的で、日本で暮らす俊明が、生まれ故郷・台湾も深く愛していることが伝わります。

そして、第二の故郷・日本で俊明が強く興味を覚える存在・三島(攻め)。
元刑事の探偵で、ヘタレを装いつつ俊明を翻弄する侮れない人物です。
刑事だった頃に同僚と片足の自由を失った過去があり、死を覚悟した者特有の寒々しい空気感をまとっています。
俊明は三島の孤独な姿に、二つの国を行き来しつつどこにも属していない自分に近いものを感じて惹かれたのかもしれません。
また、過去に大切なものを失った三島も、自分の幸せは自分で決めるとキッパリ言える俊明の強さに惹かれたんだろうなと思います。「おまえがいてくれたら、なんか生きていけそうな気がする」という三島のふざけているようで真摯な告白にはグッときました。
依存・干渉し過ぎないという点では糖度の低いカップルですが、俊明の母親のような包容力や互いへの信頼感にチラ見えする甘さがいいです。絡みもしっかりエロイv

二人が事件をきっかけに知り合い、一緒に色々切り抜ける過程で恋人になり、探偵コンビを結成?したところで終わってしまった本作品ですが、是非ともシリーズ化してこの二人の活躍を色々見たいと激しく思いました。

6

もしかして似たもの同志の二人

面白かったです!

初めて「受け」様が「攻め」様の探偵事務所を訪ねたシーンなんて、
二人共、最初なんも喋らないんですよ!お互いの観察に忙しくって。
いざ喋りはじめたら、食うか食われるかって感じの腹の探り合いで・・・。

「受け」様は典型的なツンデレですね。
あー言えばこう言う、でも別れ際には甘い一言。
「攻め」様が翻弄されているのが目に浮かびます。
でも、ただのやさぐれ探偵ではないからこそ
人間観察の厳しい「受け」様も惹かれるんだと思います。

一回りほど年は離れているけれど、二人の魂は対等です。
最後の方なんて、「受け」様の方が母親のようです。

台北で「受け」様を想う、京劇のハンサム男優も出てきて、
いろいろ妄想が広がります~♡

4

中華モノとして初めての納得作品。

中華モノ(台湾・香港・中国大陸ふくめ)というのがしばしば適当な書き方されているBL小説で、はじめて見ましたマトモな中華モノ!
ということで、神評価。
いやだってビッグネームな作家さんのモノでも
さっぱり調べてないのがわかるぐらいテキトーなのがあったり・・・(涙)
ファンタジーだからいいだろとは言えないレベルで。

日本に置き換えていえば、
京都へ行ったらトイレは全部和式でっせぐらいのムチャブリ描写があるのが中華BL。
正規・非正規でそっちらへんの国で翻訳されちゃったりしてる現実考えると、正直、
どうにかしろと思っていたところ。

なぜに台湾で京劇なのか(京劇はやはり北京が本場)というツッコミはあるにしても、
テキトーなことは書いていません。
ムチャな中国語が出てきたり、発音表記があやしいのはあるにしても、目をつぶれる範囲です。
難をいうならば、台湾の猥雑でカオティックな空気がもっとあってもいいかなってのはありますが、真摯に書いている点は好感持てます。
もーこういうところはとりあえず神評価つけちゃおう~。

さらに、水原とほる先生の作品てのはどうにもこうにも痛いのが多くて、
文章がうまいわりにはなかなか入れないものを感じていましたが、
これは恋愛と事件のシーソーゲームを突き放した寒々しさで書いていて、
なかなか読みごたえもあります。

ストーリーは、オリジナリティはあるにもかかわらず、
「あれ?なんかこの雰囲気・・・なんかあったな」という妙な既視感が。
しばらくウニャウニャと思いかえしていたら、ふた昔まえに大流行したウォン・カーウァイの映画みたいなんだな。
そこのアナタ!
その昔、「ブエノスアイレス」とか「天使の涙」とか「恋する惑星」とか見ましたよね?(笑)
シーンを乱暴にぶったぎりながらも、離れられない運命をなんとなーく感じるってあたりがウォン・カーウァイ映画みたい。

最初はハードボイルド風に進行するのかと思ったら、そうでもないです。
むしろ、お互い持ちつ持たれつで恋に落ちていくさまがかわいらしい。

7

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