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「まったく、こんな難儀な奴を愛してしまうなんて…」
BL福袋から失礼いたします。
昨年10月にBLにハマったもので知識もないままひたすら読みまくり、お正月にたまたま某サイトで販売していたBL福袋を購入したのですが、こんなに買って良かったと思えたことはありません。
単体で購入する際には電子も紙媒体も表紙が好きか嫌いか、食べ物の気配がするかのみが判断基準、えろすはない方がいい派なので、この作品はスルーしていたと思うのです。
この度たまたまわたしの手元に届いてくれてありがとう、という気持ちでいっぱいです。
全部で4組のCPが出てきます。
リバ、無理矢理、輪姦が苦手な方はご注意を。
表題作の腐れ縁風ヤクザとカリスマ美容師。
「ほんと報われない」の食品開発会社の上司と10才年下の部下。
「糸シリーズ」の男やもめの小説家と、小説家の娘がつれてきた元育児放置児のリーマン。
「花影、ゆれる」の教育実習で再会する元友人。
表題作と糸シリーズが良かったです。食品開発は内容の軽さ的に箸休め、最後の「花影ー」は重過ぎてまともに食らうとしんどい内容でした。
表題作のテーマ、胸が鷲掴みで潰されそうになるけれど結構好きです。
ずっと片思いしていた腐れ縁の友人。ノンケで女たらしだから気持ちを伝えられずにいたのに、そういうノンケが軽いノリで男に興味を持つor男とヤってみた。これ、ほんっとうにつらいですよね。
「軽蔑されたくなくて黙ってたのに、男もいけたんかーい」とハリセンで横っ面張り倒すくらいのツッコミを入れたくなります。木下けい子さんに多い設定。想像するだけで本当に泣きそうになります。だったらこんなに悩まなかったよ?ってなるし、悩んでいた年月がすべてばからしく思える。さらには結局「自分が女だったら」とかいう問題ではなく、そもそも「恋愛対象として眼中にない」と引導を渡されたような気持ちになりますよね。つらい。徹底的失恋。
このテーマで進む1話目も良いのですが、2話目で急展開。受けのつらい過去、それにまつわる攻めの暗い過去が出てきます。1話目のノリとは全く違う鬱展開。ふつうだったら2話ものでここまで重い設定は作家さんの手に余ることが多くて収集がつかなくなっていることが多いのに、すっきりまとまってますよ。すごい。広げた風呂敷、ちゃんと畳めてました。
ただそこまできれいにまとまっていただけに、このCPで1冊でも良かったなあと思いました。
糸シリーズもストーリーテリングが絶妙でした。複雑な関係を読者に理解させるのに必要な情報はきちんと与えるけれど、語りすぎず。ちょうど良い分量で回想シーンも切り上げる。説明的になりすぎない台詞で自然に情報共有。すごく読みやすかったです。
リバには抵抗がないので、この可愛らしいカップル(夫婦?)が上下バランスを取りつつ、末永くしあわせでありますようにと思えた作品でした。
最後の「花影ー」は重いです。まさかそんな展開だとは。
同級生に告白されるも「友達でいたい」と答えた高2の夏。夏休み明けに同級生は転校していて…という再会もの。ここまでなら「わりとある」で済むのですが、この後から別の「わりとある」設定が入り組んできて、最終的にはさらに別の「わりとある」結末になります。
言うなれば「甘酸っぱい初恋が拗れた再会もの」→ピアス系の「先輩におもちゃにされた僕…」→「金持ちのダーリンは万能!」という流れでした。濃かった…。
堪能しました。
こういう出会いがあるから雑食読みはやめられません。
ノンケ×強気ゲイが読みたくて、ちるちるで詳細検索したら…見覚えのある作品が。
こちら、確か表題作が「ノンケ×強気ゲイ」だったっけと読み返してみました。
表題作関連【スワール】【光木八尋の甘美な憂鬱】は「南美隆輔の傲慢な生餐」のスピンオフですが、未読でも大丈夫です。私も内容忘れてたけど大丈夫でした。
(途中の二人の会話で出て来る、南美さんに嫁みたいなやつがきて、まさか俺が男相手に勃つなんて…というあたりが「南美隆輔の傲慢な生餐」で描かれています。)
幼馴染もので、巨大暴力団会長の息子・豪太郎×美容師の八尋
豪太郎のことをずっと好きな八尋なんだけど、昔、「俺はホモが大嫌いだ」という豪太郎の言葉を聞いた事があって当然、思いを伝えられる訳もなくひた隠し。
それなのに男相手に欲情したっていうのを聞いて逆上して、剃刀片手に豪太郎に乗ってしまうんです。
そして八尋にはこれまた辛くて絶対に豪太郎に知られたくない過去があって、豪太郎にも八尋には絶対知られたくない過去があって、実はそれが重なっていた、そして豪太郎の「俺はホモが大嫌いだ」発言は、八尋を苦しめるようなホモは大嫌いだという意味だった事が判明。
深井さんの描く受けにしてはなかなか気概があって、確かに「強気」でした。豪太郎の「嫁になれ」発言にも嬉しいと思いながらも「女じゃないから嫁になるのはごめんだ だけどそこまで言うなら友達から彼氏にしてやってもいい」とか言っちゃう。だけど攻めに抱かれて萎えている事を指摘され、「感じてなくても演技できる女とばっかり遊んでるから、おれがどんだけお前とヤれて気持ちいいか わかんないんだ」と泣いちゃったりする。
強気で意地っ張りで限界まで頑張るんだけど、我慢しきれなくてポロっと泣いてしまう、そこがとっても魅力的なキャラでした。やっぱ強気受けいいわ。
そしてヤクザの息子の豪太郎よりも怒らせたら本当に怖いのは八尋かもと思わせてくれるようなラストがクスッとさせてくれて好きです。
【糸も半ばの物語/糸、各の物語】
忘れてた!これリバってた!しかもいい感じのリバでした。
「せっかくお互いにいいものを持ってるんだから使わないのはもったいない」んだ!んだ!賛成っ!!
【花影、揺れる】
再会もの。輪姦された過去を持つという深井さんの作品でときどき見られる不幸受けのお話ですが、「花影に揺れる~」といった忘れがたい、忘れたくない思い出に伴うイメージがなんとも綺麗で、「揺れる」という文字が心が揺れるさま、そして涙で視界が揺れるさま、大好きな男に揺さぶられるというのに繋がっていてとても良かったです。
しっとりとした風情が漂う素敵な作品でした。
深井さんの作品は好きで本屋でたまたま見つけて作者買い。
4つのお話が入ってる短編集。
深井さんの作品は絵も好きだし、丁寧に書かれてるし、心理描写が上手いから結構好きな作品が多い。設定は結構ハードだなーと思いますけど、最後は救われるというか、心から救われるような、光がすーっと射してくる感じと言いますか、そういう感じが好きで、またそういう時の登場人物顔の表情が好きで、大好きな作品が多いです。
でも今回のはそんなではなかったかなー。なんか短編だからか、お話が雑な印象を受けました。好みもあるかもしれないけど。
今回は最後に収録されてる「花影、揺れる」が好きでした。
高校時代に告白された時、最初私も遠回しに断ってしまったのかと思ってたので、最後のネタばらしの時はびっくり&なるほどと。ちょっと悲しいですね。でも最後報われて良かった。いつもの心から救われる感じがして好きでした。
深井さんの作品は設定がちょっとハードだったりするから好みが分かれるかな?と思います。まだBLあまり詳しくないので、そんなでもないかもしれないけど。なので今回も人によっては好みが分かれるかもと思いましたが、最後のが好きだったのと、作者さんが好きなので「萌」評価です。
前巻「南美隆輔の傲慢な生餐」のスピンオフ作品。若頭豪太郎のお話。
深井さんにしては、今までの受とは少しタイプが違うような、開き直った強気の受。
2作品だけですが、八尋の魅力は十分に堪能できました。
釣られて、豪太郎のバカ素直な男心も可愛らしくて(前作のイメージから)好感度UP。
リーマンもの。大学生もの。
麗人作品にしては、エロが少なかった感じがしますが、深井さんらしい作品。
年の差。続きもの2作品。
まさかのリバ!両方Hシーンあるのも珍しくて新鮮でした。
娘まりんの男前ぶりが最高。
複雑な心情込みで、全てダダ漏れな2人とのやり取りが楽しかった。
表紙の煽りがヤクザものだったので、流血ものかなと期待薄だったのですが、レーベル疑うほど全体的に明るくて爽やかで読みやすかったと思います。
でも別に違和感なかったので気になりませんがね。
ということでそちらの感想から。
小さいころに自分の娘が連れてきた男の子(和兎)とのお話で
その子に告白され、一緒になるお話。
ここに出てくる娘が結構いいやつでして、女性キャラなんだけど好感持てます。
そんな娘は和兎の気持ちを知っていたけど、一応初恋相手。
自分の父親と初恋相手の本番見ちゃって、ちょっと引き気味…
ま、みんな幸せということで!!
表題作は南美隆輔のスピンオフかな。
お互いが相手に言えない秘密を隠し持ってて
相手に知られないように友人関係を続けてる。
が、とある一言で関係が狂いだしたというか、先に進み始めたというか
秘密(南美がかかわってくるヤクザらしいこと)というのが、
あっけらかんに話せる内容じゃなかったけれどそれだけ大切だったんだよね。