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表題作カミナリの行方

黒羽・獣退治を依頼された四神格の守人
草弥24・森の奥の小さな村の守人

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

守人の草弥は村を守るため、四神格の黒羽に力を貸してくれるよう頼む。
しかし黒羽はその代償に草弥の夜伽を要求してきて…。

作品情報

作品名
カミナリの行方
著者
海野幸 
イラスト
南月ゆう 
媒体
小説
出版社
二見書房
レーベル
シャレード文庫
発売日
ISBN
9784576130699
4.1

(15)

(6)

萌々

(5)

(4)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
3
得点
62
評価数
15
平均
4.1 / 5
神率
40%

レビュー投稿数3

お前がいなくなったら俺の守るものがなくなるそうです(^-^)

ファンタジーものです(^-^)。
守られたいと望み、守りたいと望むそんな話です。

山間にある森の奥にある小さな村での話で、山には獣が住んでいて、狼や猪、そして太古の昔から山を司ってきた人より大きな獣…その獣から村を守るべく組織された集団を『守人』という。

草弥(受)は、村の守人であり、守人の年長リーダとして獣から村を守ってきた。しかし、村の付近で珍獣の雷狐が出没し、都から最上級の守人である黒羽(攻)が派遣されてきた。
しかし、黒羽は雷狐を退治する依頼を受けているが、村や村人を守る依頼は受けていないと、村を守ってほしい草弥の気持ちを拒否する。
そして、村が牙狼の群れに襲われ、自分達だけでは村を守れないと判断した草弥は、黒羽に力を貸してほしいと頼むが、黒羽は、「…滞在する間、夜伽の相手をしろ」と条件を出す。

内容は、あまり書きませんが…。

優しい村長や村の人に守られ、幸せに暮らせてきて、村や村人を守りたいと望む草弥に対し、…
小さいころから悲惨な経験をし、他人に守られたこともなく、守りたいものもないという黒羽。

そんな対照的な2人が、次第にお互い守るもの、守られるものとして心を通わせていく。
そして、雷狐との戦い…村に生きる草弥と都で生きる黒羽の別れと……と話は進んでいきます。

黒羽は、夜伽をしろと草弥に命じますが、実際は手を出しません…手を出すのは最後の方ですね。その時は草弥も望んでいるので合意の上ですね…草弥が初々しいです…(^O^)。

受けとしての要素は、草弥より小太郎の方があると思うかな。
でも、孤独な黒羽の心を癒せるのは、温かく優しい草弥しかいないのでしょうね。
草弥が夜伽の相手をさせられたと思いこみ、草弥の身を案じる、村長や左近と右之助や小太郎にちょっと笑ってしましました(^-^)。

萌×2に近い萌えです。

4

守りたいもの

海野さんのファンタジーものは、とても素直でわかりやすいですね。
この作品もとても表現したいものが明確で、その目標に向かってまっすぐとお話が展開されるさまがいっそすがすがしい。
ひねってない、複雑にしないというのもシンプルです。
鎧・具足・太刀など、時代設定は昔ながら、カタカナ語がないだけで口調は現代風だし、イラストも。
変にかしこまらなくていいフランクさが見えます。

森に囲まれた山あいの小さな村。
その周りの森には獣が棲み、時としてとてつもない力を持った大きな獣が現れる。
人々に害をなすものだけを退治する、そんな獣から村を守っているのが守人と呼ばれる存在。
親を亡くし村人に拾われ育てられた草弥はこの村が大好きで、村人達をこの村を守りたいと強い思いでこの守人の仕事をしている。
30年に一度現れて以前村に甚大な被害をもたらした雷獣が村を再び襲ってくる気配があるということで都からやってきた四神格の守人・黒羽。
ただ、獣を退治すればいいだろという態度の黒羽に自分の守りたい気持ちを訴える草弥。
こうして、目を覚まさせられた黒羽が互いに守りたいものとして、獣退治を行う中で気持ちが芽生えていくというお話。

まったくもって草弥の一途でまっすぐで、素直な性格。
彼のこの心は村そのもののようでした。
黒羽のとても冷めた態度に最初は反感をもつものの、いいところを見つけたいという気持ちが働くんでしょうね。
詭弁ではありますが、最初の赤猪から守ったことを盾に取り、守られたことがないという黒羽の心の変化を促す。
女では体力が云々で、嫌がらせのように草弥に夜伽を命じたのも酔狂だったのですが、素直に来たことで、黒羽は拍子抜けと彼の真摯な想いを知らされるのでしょう。

黒羽も今まで人の優しい心に本当に接していなかったのかどうかはわかりませんが、この村で初めて体験する草弥によってもたらされた、人を好きになるという気持ち(グローバルな意味で)そこから、はじめて「守りたい」という気持ちの源を知ることになるのです。

互いが互いを守りたいから強くなれる。
守るひとが守りたいものがあるから強くなれる。
その行きつく先に、特別な感情があってもそれはとても素直なものだと思いました。
本当にわかりやすいですw

萌え?と言われるとう~ん、、、なんですが、この人々の優しさや健気な気持ちや勇気がとても居心地のよいお話だったということで。
この先、きっとワヤワヤしながら、時に怒らせたり怒ったり、意地張ったりツンデレたりする黒羽の姿が想像できて、これが番外にあったらちょっと楽しかったのにな、とそれが惜しいかも、です♪

4

独りぼっちの攻めが初めて得た感情

大型のイノシシや獣がいる時代のお話で、その獣から人々を守る為に出来た守り人。
小さな村には受けの草弥と幾分年下の守り人が村を獣から守っている。
そこへ現れた赤猪、旅人が襲われていると駆け付け、その人に自分が守りからと
云いながら必死で戦い追い払うのだが、なんと助けたと思った相手は都の守り人。
それも都の守り人組合が下・中・上といる上級守り人よりも更に上の四神格と呼ばれる
最高位の守り人の黒羽で、草弥は守るからと言った言葉が恥じ入る程驚愕する。

しかし、その黒羽は態度がかなり横柄で村の周辺に現れた珍しい30年に1度現れる
雷狐という大型の獣を退治する為にきたが、微力ながら手助けを申し出た草弥に
邪魔だと一言で終わらされる。
出会いは最悪で、その後も意思の疎通が出来ない感じなのですが、ある日大群で現れた
狼に危うく村まで侵入されそうになった時に草弥達だけでは無理だと黒羽に助けを乞う。
しかし黒羽は役目は雷狐を退治する事で村も人も守る契約にないと一蹴。
それでも草弥が何でもするから守って欲しいと言う願いに村にいる間の夜伽をするなら
助けると言われ、草弥はそれを苦渋で受け入れる。

かなり傲慢な守り人かと思われた黒羽なのですが、その日から夜伽に向かう草弥は
次第に黒羽の育った環境や待遇のせいで、単に人と係りあうのが不器用で解らない
だけなのだと知るようになると、黒羽をどこか子供のように純粋なのだと思うように。

まるで、草弥と出会った事で初めて人との係りや、守ると言う事を覚えた子供みたいで
四神格と言われる守り人には見えない可愛さを感じます。
初めて自分を守ると出会った時に言われた言葉が次第に黒羽にとって意味を持ち始める。
草弥と話すようになり、次第にどこかで成長が止まったままの感情が動き始める
そんな感じのストーリーでした。
守る者守られるもの、守りたいもの、そこから愛情が育っていくまでを獣退治を背景に
描いたどこかほのぼのさせる作品だったように感じました。

4

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