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村上は一旦堕落し、ズルイ男でもあったけど私は嫌いじゃない。
あの一連の境遇で目の前の享楽に逃げてしまい、
何もかも自ら無くしてしまうというのは十分有り得ることだなと思う。
宇野のお陰ではあるんだけど、
最後の1万円に手を付けず立ち直っていった村上は十分賞賛に値する人間だと私は思う。
恋愛に対しても本当は至極まっとうで、
昔の恋人のことを忘れられなくても、
その恋人が自分を欲してると知っても立ち止まれた村上はいい男なんだと思う。
自分を見捨てなかった大事な宇野。
だけど男を愛せるのか?と考えた、村上の人としてのリアルさと、
宇野のファンタジーさがものすごく際立っていました。
そして、それを何よりよく分かっていて自己完結してしまう宇野の方に、
「言いたいことは言わなくっちゃ!」という気持ちと、
先が見えてるからこそ綺麗にフェイドアウトしたいという気持ちも分かるし・・・
とずいぶん「あぁ!宇野くん!」
と同じ職場だったら飲みに行って存分に愚痴を聞いてあげたい気持ちになりました。
自分を責めなかった宇野が村上に手を握り
「君はとても強い人だ」
「君は優しくて、強くて、正しい人だ。もう何があっても道を誤ったりしない。君は誰よりも幸せになれる」
「幸せになってください」
と祈るように言うシーンで宇野を愛してるとは認めてはいないけれど、
ほとんど村上は落ちたんでしょうね。
そして240ページ後半からの宇野の今まで心の内に秘めた感情の発露を、
村上は愛しいと感じ、「愛せないかもしれない」と言いながらも自覚したんだと思う。
「とうとう言った!宇野くん頑張って!」
とゾクゾクしながら読みました。
でもって、「人でなし!」
すごい。
滅多に口にすることはない言葉だけに効き目あり。
「人でなし!(でも好きでしょうがないんだ)」
こんな愛の告白をされたら可愛くなっちゃうと思う。
これから先、
「これは愛なのか?」と悩んで同じことを繰り返すこともあるんでしょうが、
今は村上に「たぶんこれも愛ですよ」と教えてあげたいと思う。
木原さんは「痛い」BLで有名だが、最近は普通の恋愛の話やファンタジー色の強いものが多かったので、油断していた。
雑誌「泣けるBL」に掲載された前半部分の最後では、体の関係ができて、なんとなく恋愛が成就されたところで終わる。
ところが後半は、宇野とは体の関係もあり付き合っている体なのに、動機は寂しいから・感謝しているから愛するようになりたいからだという。
そして理性とは裏腹に、感情の部分では以前付き合っていた女性を想ってしまう。
なんと救いのない話なのか。
そして、村上は本当にひどい。感情の部分は仕方のないと思いけれどひどい。
あとがきで木原さんが村上の地の部分がひどいから書き直しましょうと言われたとあったが、書きなおしてもあまりあるひどさ。
でも色んなものを通り越して憎めない人間のリアルがある。
最終的にはハッピーエンドに近い形で終わるのだが、最初に読んだ時は、モヤモヤして、誰かに話したくて仕方がなかった。
もう読みたくないというモヤモヤではなく、その生々しいひどいところがすぐにまた見たくなる。
最後、本当にこれで良かったのかしら?別の道も幸せとは限らないが。
円満ハッピーエンド、もしかしたら有るかも!とちょこっと期待してたんだけど
やっぱりそうじゃなかったわね~。
ムカムカさせるのが木原マジック!わかっちゃいるがやめられない!それがファン。
まんまと罠に引っかかって最後まで読破しました~。
不安解消ストレス解消の為だけにエッチ。
捨てずに見守ってくれた男だからノンケでもエッチが出来たっていう…なんだかな…。
心のバランスが耐えられるかしら?それで心のスキマって埋めれるものなのかしら?
BLのラブの場面。ラストにうっすらと光が差し込む。
宇野(受)を好きって事にほんの少し気が付く村上(攻)を垣間見れただけでも良しとするべき物語なのかも。
だって所詮女性が好きなんだもん。
宇野(受)も寂しさを紛らわせる為に彼女作ってたし。ゲイじゃないから。
結局、どっちもどっちな似たもの同士だったのか!
幸福か不幸かは本人達にしかわからないからね…。読者はエライ振舞わされ…。
いやはやスッキリしない。そこがクセになるんだけどね。
読み終わっていろいろ考えてしまう話だったから【神】評価。
自分の思っている事を相手にうまく伝えられないもどかしさ、人間の嫌な部分を隠さず前面に出してある作品でした。
穏やかなふたりだけの生活。
しかし、宇野は分かっていた。
心を取り戻した村上が、いつまでも自分のところに留まっているはずがない、と。
一年後の約束をするのも、なんとなく気が引けていた。
そして、仕事を始め、疎遠になっていた友人たちとも交流を取り戻す村上。
その中には、過去酷く傷つけた元恋人・雛乃もいた。
未だに雛乃と別れた事を後悔していた村上は、雛乃に再び惹かれていく。
雛乃に対して抱いている「愛情」と、宇野に対して抱いている「安らぎ」
ふたつの感情の中で揺れる村上。
そして、
お前じゃ無理
二人の未来は、想像できない。
愛せない。雛乃のように好きにはなれない。
それが村上の答えだった。
君は優しくて、強くて、正しい人だ。もう何があっても道を誤ったりしない。
君は誰よりも幸せになれる。
幸せになってください。
ふたりの未来は、交わることができるのか。
BL作品といえど、これは純文学と言えるのではないか。特にラストの方の宇野くんのセリフ。これにこの作品の全てが凝縮されているような気がする。
「好きだって言ってる僕の横で、他の人がいいって泣くのに。僕はどうすればよかったんだよ」
私が特に切ないと感じたのは、村上が立ち直り始めた後半のカフェのシーン。
村上、雛乃、未来、加々美と宇野くんが勢ぞろいのカフェで、加々美が悪戯で村上のコーヒーに砂糖を山盛りにする。
それが昔のギャグだとは知らない宇野くんが、村上に替えてあげようかと提案する。
村上はそれを拒絶する。あの頃、宇野はそこにいなかった。という描写からも、この辺から村上が宇野くんを、だんだんと疎ましく思い始めているのが手に取るようにわかる。
更に、雛乃の前で、恋人ぶるな。
無言の圧力を宇野くんにかけて…。
元恋人やかつての友達の前で、恋人として紹介してもらえない。こんな、屈辱…普通、耐えられるか?
そして、だんだんと影の薄くなる宇野くん。村上の語りなので、村上自身がそんなふうに思い始めているからなんだろうけど…。
BL作品で、ここまで受けの影が薄くなる描写があるのは本当に珍しい。BLはファンタジーなんて言われているけど、木原作品に関しては、これがリアルで、心をえぐる。
この場では雛乃が泣いていたが、一番泣きたいのは宇野くんと読者だろうよ…。
好きな人が、自分と同じように自分を好きでいてくれない。自分が蔑ろにされる。
そんなの、リアルだけで充分だ。それでも、この物語に惹きこまれて読んでしまうのは、木原マジックなんだろうな…。
ラストの「斉藤さんが相手だったら、絶対にこんな酷いことしないくせに。言わないくせに。」という宇野くんのセリフも、涙を誘う。
村上は、雛乃の幸せを祈って身を引いた。雛乃のことを無理に、抱こうとはしないだろう。
でも、宇野くんの幸せを祈って身を引かなかった。宇野くんに関しては、自分の欲望を優先する。
その差が、宇野くん的には辛いんだろうな。
でも、こうも考えられないか?
村上にとって、雛乃はなりふり構わず手に入れたいと思えるような相手じゃなかった、と。
結局、過去を美化しているだけで、無い物ねだりにすぎない。と。
そう考えて、私的にやっとこの作品に萌を感じられた。
余談ではあるが、宇野くんのことを、本当に理解している人物がこの世にいるのか?という疑問に至った。
なんか、読後感がもやもやすっきりしないのは否めない。それが、木原作品を読む上での醍醐味なんだけど…。
あまりにも宇野くんが気の毒すぎる。
女友達、もしくは会社の先輩、なんでもいいから出てきて(オネェでも可。笑)
「そんな男、こっちからフっちゃいなさいよ!あんたにはもったんない!つーか、雛乃って女もなんなの?!今更、でてきて、村上が1番辛い時に支えられなかったくせに!その村上の仲間たちだって、村上が1番ひどい時に救いの手を差し伸べようとすらしなかったくせに、裕貴のこと、ないがしろにして!!でも、1番、腹立つのは村上よ!助けられた恩も忘れて、一体なんなの?!何様?!かわいそう、裕貴!!」
的なことを、捲し立ててくれるキャラが出てきたら、まだ、読者の怒りを代弁してくれるので、読後感が違ったものになるのかも…。
でも、こんな強烈なキャラがでてきて、宇野くんの気持ちを代弁しちゃったら、名作が台無しですね。
今後、村上がなかなか表現できない宇野くんの気持ちをくみとって、理解できるようになれたらいいなあ。
このノベルズのイラストを描いている、糸井のぞさんがコミックの後書きで、「この2人にはイチャイチャより、お互いを理解するためにたくさん、話し合って欲しい。」と書いていた。
私も、そう思う。
イチャイチャも大事だけど、それよりまずは、お互いを理解しあってほしいな。心と心で繋がってほしい。
個人的に、当て馬的にされた、宇野くんの新恋人、加奈ちゃん?
「お前に合ってないよ」と言った村上の言葉は正しいと思う。(笑)なんか、すごいファンキーすぎ。。
心より、宇野くんの幸せをお祈りします…。
レビュー笑わせていただきました。オネェの代弁者にスッキリしました!(笑)
ファンキーな新恋人にも同感です…
