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小宮山ゆき先生の新刊が気になったので、デビュー作を読んでみました。コミックスには当てはまらないのですが、小説だと作家様のデビュー作で自分との相性がなんとなく測れるんですよね。結果とても好みでしたので、新刊を買ってみようと決めました。
丁寧な心理描写と淀みないエピソード展開にじわじわと掴まれてしまいました。視点が攻めと受けの交互になっていて、二人の心情が同時進行でわかります。交互視点だとコメディー?すれ違いのケンカップル?なんて予想しがちだけど、本作はピュアな初恋物語。とても新鮮でした。
多作な有名小説家と作家を目指す青年のカップリング。大学を出て一年ほどバイトをしながら作家を志す優人が頼りなさすぎて、大丈夫かなぁこの子?と心配になりました。でも、優人のその未熟な出発点こそが重要なポイントなのかも。
小説家の乃木が訳あって宿なしだった優人を自宅に泊めたことがきっかけで、作家とアシスタント的な半同居生活を送ることになった二人。始めはオドオドして恩返しに必死だった優人も、乃木の仕事や生活ぶりに触発を受け、少しずつ視野を広げていきます。二人が一つ屋根の下で生活しながらも、互いに距離感を保ちつつ仕事とプライベートを行き来する絶妙なバランスが、読んでいて心地よかったです。
優人のキャラクターが好きでした。いつも笑顔。争い事が苦手だから人が嫌がることを率先して引き受ける。相手に迷惑をかけるのも申し訳なくて、すぐに謝ってしまう。キャパオーバーになるとすぐに知恵熱を出す…。本来ならこういったタイプはメチャ苦手なんです。なのに優人に好感を持てたのは、彼が経験したことを大事にして、あらゆることに消極的だった自分を変えようと努力していくから。優人を見ていると、なんか励まされちゃうんですよね。
乃木は優人が書いた原稿をチェックをした時、優人は書くことは好きでも、書きたいものがないのだと察します。乃木は盛んに優人に遊べとアドバイスをしますが、おぼこい優人にはいまいちピンとこなくて…笑
優人は人生経験の少なさから、それまで自分がいかに恥ずかしいことをやらかしてきたかを徐々に思い知ります。それは初めて人を好きになって開いた扉でした。10冊の本を読むより、本気の恋をしなさい!(by 瀬戸内寂聴)を地で行ったわけです笑
本気の恋については乃木にも言えることで、彼はセフレだった彩美に対して酷い仕打ちをしてきたことに気付かされます。この彩美というキャラがなかなか刺激的でした。ヒールなのはわかってるけど、彼女が乃木に復讐するために、優人と寝て二人とも傷つけてやりたいという思い、倒錯的すぎて萌えました。もし彩美が男だったら、途端にリアリティを失って興醒めしそうな気がします。このエピソードが女性を挟んだ三角関係が好物なわたしにとっては萌えるクライマックスだったとしても、女性キャラがダメな方には受け付けないかもしれません。なので、妙なレビュータイトルは地雷避けで。
優人が乃木の優しさを知っているのは彼と一緒に生活して同じ仕事をしていたからでしょう。都合のいいセフレだった彩美にとってそこは知りえない、好きな人の姿だったんだろうなぁと深掘りすると、俄に生々しくなってきたので自粛します…
いやー、彩美じゃなくて優人みたいなのが魔性の女なのかも(戦慄)
小椋ムクさんのイラストがピッタリでした!優人の髪型や表情が文章のイメージどおりで、挿絵でも存分に楽しませてもらいました。
お初作家さんだったんですが、読みやすくてあっという間に読んでしまいました。
いやぁ、こう言う作品に出会えるので、bl小説を読み漁るのやめられないなぁ…!
受けの優人は天然系です。ただ、自分のことは天然だと気づいていない、しかもなんとかしようと努力する健気系天然君で、これが私のどストライクでした。
攻めもいいですね。すぐに手を出すことなく、優人の無防備な姿に理性で抗い葛藤する様子はかなり萌えました。
お話としては、優人と攻めの乃木の恋愛模様、優人の人間として作家としての成長が描かれているのですが、どれも面白かったです。
優人の書いた作品、読んでみたいなぁ笑
女性がお話にかなり影響する形で出てくるので苦手な方はご注意を。
挿絵もお話の雰囲気にピッタリで良かったです。
いやぁ、面白かった。
人気作家と作家志望の青年とがちょっとしたきっかけで出会い、
作家はどこか危なっかしい青年がイラつきを覚えながらも気になりいつしか弟子と
言う立場で半同居しながら、どちらもかなり不器用な、それでいて、苦しくなるくらい
恋をしているような、タイトル通りの作品でした。
受けになる作家志望の優人は、本人は普通だと思っているのですが、
周りからみたらかなり危なっかしいタイプで、更に衣食住や感情面において
かなり天然気味な淡泊さんなのです。
情緒面がどこからか育っていないのではないかと思うくらい感情の起伏が少ないけど、
真面目で優しくて人当たりは良かったりするのです。
そんな優人が酔って財布も無くした時に偶然出会い、特に面倒見が良い人では無い
作家の室井は、顔色も悪かった優人に声を掛け、はっきりしない物言いが面倒になり
このまま凍死されるのも目覚めが悪いと思った理由で自宅に一晩泊め、
面倒ついでに自宅まで送るが、そこで優人を待ち構えていた半ストーカー女性と
もめている現場を見て、またしてもイライラしながらもお節介のように
自宅に連れ帰ってしまい、そこで初めて室井が人気作家で自身も作家を目指していて
いきなり弟子にして下さいと頼みこむことから始まる付き合いです。
この二人、特に優人にとっては無自覚天然でいつの間にか恋が育っていた感じで、
そこまでいくにも、かなり遠まわりしながら、人に言われて気がつくくらい自身の
感情にもニブイ人なんです。
それでも真面目で料理でも壊滅的に下手なのに、それでも一生懸命頑張る姿に
室井は初めはイラつき怒り、次第に呆れから同情、絆される感じで、
懐き始めた雛みたいな気持ちから次第に肉欲を含む思いになって行きますが、
相手が男で小説家志望と言う事もあり、可愛い弟子だと思い込む努力をしてます。
どちらも不器用なので、すんなり相愛ハッピーになるまで双方とも遠まわりして、
相愛になったと思った後も、優人の「好き避け」なんて行動ですれ違ったりします。
でもこの「好き避け」って何となく解りますよね、好き過ぎて相手が気になるけれど
傍に寄られ過ぎると逆に逃げ出したくなるくらい恥ずかしい思いを抱いたりする。
初恋にはありがちな現象の一つだとニヤニヤしちゃう展開で楽しかったですね。
ハイスペック攻め×ヘタレ健気受け
表紙買い、タイトル買いなどはあるのですが初めての帯買いでした。
タイトル通り、とても「不器用な恋のあらすじ」でした。
おふたりの出会いから思いが通じ合うまでが細かく描かれていて
読んでいてずーっとキュンキュンしました。
怒りっぽいけど器の大きい攻めさんも素敵だし、
計算のない純粋さでいっぱいの受けさんもかわいかったです。
恋愛は相手あってのもので、障害もたくさんあるけど頑張らないとね!
という所をすごく丁寧に表現されていたと思います。
個人的に、思いが通じ合った後のラブラブ+アルファがもっと見たかったので
萌*2で。
最初から最後までドラマチック!なBLではなく、なんというか本当に『AさんがBさんに恋をした』でいい意味で締めくくれる穏やかな作品。
受けが稀に見るピュアっぷりで、この子はよくここまでこの純粋さを維持できたなぁと、こりゃ、攻めも対応に慎重になるはずだわ…という感想です。
中盤から受けが攻めを好きだという描写が多く、あれ、これ、受けの片想いをひたすら追っていくのか?と思ったのですが、きちんと攻めの心理描写もあったので、両片想いだなぁ、可愛いなぁ、襲っちゃえよ攻めさん、とにまにましました。
最後までスルスル読むことが出来、日常に疲れて荒んだ気分が温かくなる作品でした。