• 紙書籍【PR】

表題作ロスト・ソウルズ

緑の瞳の吸血鬼・ジラー 他
吸血鬼の血をひく美少年・ナッシング・15歳 他

その他の収録作品

  • 謝辞
  • 訳者あとがき

あらすじ

母親の肉体を引き裂いて生まれてきた、ヴァンパイアの血をひく美しい少年。つきまとう孤独を埋めるために、彼は魂を揺さぶるパンク・バンド『ロスト・ソウルズ』のメンバーが住むミッシング・マイルを目指す。そして、さすらいのうちに出会った、緑の瞳の酷薄な青年ジラーに血と官能を教えられ、心奪われてしまう。―享楽の夜々。その果てにもたらされた恐るべき真実とは…。精神と肉体の境界を越えた濃密な愛を描く耽美ホラー。

訳:柿沼瑛子

作品情報

作品名
ロスト・ソウルズ
著者
ポピー・Z・ブライト 
媒体
小説
出版社
角川書店
レーベル
角川ホラー文庫【非BL】
発売日
ISBN
9784042681014
5

(1)

(1)

萌々

(0)

(0)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
1
得点
5
評価数
1
平均
5 / 5
神率
100%

レビュー投稿数1

一味違う耽美な吸血鬼モノ

80年代ニューオリンズ。
セックス、ドラッグ、アルコール、パンクロック・・・
長すぎる寿命と怪力に任せ、
インモラルの限りを尽くす吸血鬼たちが魅力的で大好きな作品です。

当時の音楽や風俗についての描写がやや冗長ですが
吸血鬼と人間の織り成す群像劇、命のやり取りはかなり読ませます。
吸血鬼×少年、少年×少年など、数ある耽美な濡れ場も読みどころ。
(男女の絡みや、吸血鬼を出産するシーンのエグさなどは人を選ぶかも)


ナッシング(無)と名付けられた、人間と吸血鬼のハーフの少年が
自分の居場所を探して旅に出る。
ようやく出会えた仲間(吸血鬼)と人間との間で揺れ動き、
最終的には自らの手で居場所を選びます。

ナッシングの成長物語でもあり、
吸血鬼と闘おうとするロッカーのスティーブとゴーストや
仲間もなく300年以上生きてきた吸血鬼クリッシー、
娘(ナッシングの母親)を探す老人など、
孤独で行き場のない者たち(ロスト・ソウルズ)を描いた切ない物語でもあります。

彼らと対照的なのが、ナッシングの仲間の自由奔放な吸血鬼たち。
ナッシングの身も心も魅了する美青年ジラー。
ジラーの子分(?)の双子、モロカイとトウィグ。
吸血鬼としては若い世代(100歳以下)の彼らにあまり悲壮感はなく、
とんでもない美貌と、残念すぎる品のなさのギャップが面白いw
好きなシーンは
血にアタってリバースする彼らを、先輩クリッシーが説教する場面。
その後の開き直り方といい、どこのDQNですかとw
その前後の展開は、因果応報とは言えとても悲しいのですが、
こうしてシュールな場面を挟んでくる緩急がうまいと思います。


グロテスクなのに美しく、懐古趣味なのに現代的、退廃的なのに生きる希望を見せて終わる、多層的な魅力ある作品です。(うまく良さを伝えられないのがもどかしい。。。)
一味違う耽美な吸血鬼モノ(挿入描写はないので、BLとまではいかない?)を求められる方は、ぜひぜひ読んでみてくださいv

2

この作品が収納されている本棚

マンスリーレビューランキング(小説)一覧を見る>>

PAGE TOP