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表題作春雨トンネル

滝澤英司,亡き姉の婚約者で整体師
渋谷旭,姉を亡くした高校生の弟

同時収録作品VOICE

日垣,刑事
新田俊,心の声が聞こえる青年

その他の収録作品

  • その後の英司さんと旭くん
  • 描き下ろし4コマ漫画(表紙カバー下)
  • 描き下ろしイラスト(裏表紙カバー下)
  • あとがき

あらすじ

3年前、4月最後の雪が降ったその日、たったひとりの姉が死んだーー。
亡き姉の婚約者だった英司に片思いをしている旭。英司が自分を甘やかすのも、優しくするのも全部姉の代わりだとわかっていた。思いを伝えられなくても、思いが叶わなくても、ただ側に居られるだけで良いと思っていたのに…。
悲しく優しい春の雨のトンネルを抜け、英司と旭が辿り着く先は……?
切なさが胸を締め付ける、感動の恋物語。

作品情報

作品名
春雨トンネル
著者
銀川ケイ 
媒体
漫画(コミック)
出版社
日本文芸社
レーベル
KAREN COMICS
発売日
ISBN
9784537130904
3.7

(18)

(5)

萌々

(4)

(8)

中立

(1)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
4
得点
66
評価数
18
平均
3.7 / 5
神率
27.8%

レビュー投稿数4

何かが欠けて分かること

 旭の姉、真朝と英司は婚約中で、結婚式のことを相談しながらとても幸せそうです。
ところが、真朝は帰らぬ人になってしまいます。

 真朝の弟、旭と彼の義理の兄になるはずだった英司が取り残されるのですが、旭は朝、英司を起こしたりと、まるで本当の兄弟のように、英司の面倒を見るのです。

 英司も旭の向こうに姉の真朝を見ているようなところがあるのですが、私にはそれが少し辛いことのように感じました。

 真朝のことを知るのは、英司と旭、でもそこにはいつも真朝がいる…。だからこそ、素直になれない辛さや、そしてもどかしさや切なさを感じてしまいました。

 二人の関係は難しいけれど、ラブラブではない、静かな愛がとっても切なくて萌えました。

3

長いトンネルを漸く抜けるまでの物語

新刊チェックで粗筋を読んで内容が気になり、
今回は特典ペーパーが付いているということで、
いつものお店で予約して購入しました。

◆『春雨トンネル』
◆『その後の英司さんと旭くん』
◆『(題名なし)』(表紙カバー下の4コマ漫画)
受け視点で描かれているので、攻めに対する気持ちの変化や、辛さ、苦しさ、
受けのお姉さんに対する思いや罪悪感など、とても伝わってきました。
攻めが寝ぼけて受けのことを受けのお姉さん(亡くなった婚約者)と
勘違いした時の、受けの表情から、受けの痛さが伝わってきて、
その描写がとても良かったです。
自分の想いを心の中に仕舞おうとする姿勢や、亡くなったお姉さんのことを
大切に思い続ける受けに好感を持ちました。
その一方で、攻めは心理描写が無かったので、受けに対して義弟としてしか見ず、
受けが事故に遭ったショックで兄弟愛が恋愛感情に突然変異しただけなのか、
婚約者が亡くなってから、受けのお姉さんだけを想い続けていると思いながら
潜在的に無意識のうちに受けへの想いが募っていっていたのか、
いずれにしても攻めの表情や行動から想像するしかないため、
攻めの気持ちの過程が分からず、恋愛に関しては全て受けに
促されているだけにしか見えず、自分から全く行動しようとしないところや、
たとえ無自覚で天然だとしても、受けに対する言動や態度が酷いと感じ、
好感が持てませんでした。
脇役の、受けの友達の千原くんと、攻めの同僚の川岡さんの二人が、
作品の本編を読んでいて良いカップルになるのではないかと
少し期待しながら読んでいましたが、表紙カバー下の漫画を読んで、
その後の二人の展開がとても気になりました。
ぜひこの二人のお話が読んでみたいと思いました。
また、あとがきによると、『春雨トンネル』は10年くらい前からのネタだそうで、
じっくりと温めて、満を持して描いたのかなと思いました。
物語の設定は良かった割には攻めに対する印象が好ましくなかったのが
少し残念に思い、勿体ないと思いました。
機会があれば攻め視点でのお話を読んでみたいと思いました。

◆『VOICE』
読み終わった時、「不思議な作品だな」という感想しかありませんでした。
受けが不思議というか、とにかく謎で謎でいっぱいでした。
攻めに対してだけは何故か心の声が聞こえず安心でき、
攻め以外の人達からは否応なく心の声が聞こえてきて、
常にヘッドホンを装着しても気休めにしかならなくて
辛い思いをしているという受けの苦労がとても伝わってきました。
しかし、受けは攻めに出会うまで一体どのように過ごしてきたのか、など、
ほとんど全てが謎に包まれていて、受けの謎めいたオーラが伝わってきて、
不思議な感覚になりました。
攻めは、適度にお人好しで、受けに向き合おうとする姿勢に好感を持ちました。
年齢は分かりませんが、割りと好みのタイプのオジサンでした。

今回の評価は、あまり迷うことなく「萌」評価です。
物語の内容や展開、人物設定など、適度に萌えることが出来ました。

作品を読み終えて、『春雨トンネル』の作品のタイトルと同じように、
ようやくトンネルを抜けた、という感覚になりました。
また、『春雨トンネル』の受けと攻めにとっても、さらに『VOICE』の受けにとっても、
長いトンネルをようやく抜けられた、そんな物語だと改めて感じました。

6

切なくも優しい時間の流れです

姉の婚約者を好きになってしまったら、そしてその姉が事故でなくなってしまう。
残された物同士がくっ付いてしまう展開ですが、そこに至るまでの時間の流れが
姉を亡くした二人にとって既に別の時間がいつしか流れていたのだと思える話。

切ない系で、1番相手への恋心で葛藤していたのは、弟の旭みたいでした。
ブラコン気味の姉の死が亡くなり、義弟として英司が姉以上に甘えさせてくれる。
そんな風にされたら好きになってしまうのも無理はないと思える展開でした。

いつまでも無き姉への気持ちに踏ん切りがつかない英司。
酔って亡き姉と間違われてキスされる旭を思うと切なくて可愛そうです。
それでもいざ離れようとした時に、英司はいつの間にか亡き婚約者の姿ではなく、
いつも傍にいてくれた旭を思い出してしまう。
3年と言う月日がいつの間にか悲しみを優しい時間に変えていたのかもと思う感じです。
旭を失ってしまうかもと言う危機的状況になってやっと心を決めるヘタレ英司。
ただ、この手の設定は一歩間違うと切ないだけでどこかしこりが残りやすい気もします。

1

超ヘタレな年上攻め

今回も切なげなお話がつまった1冊となりました。

【春雨トンネル】
姉をとても愛していて、その婚約者も大好きで、この二人の幸せを見ているのがとても好きだったのに、姉が式場の下見に出かける時事故に遭い亡くなってしまう。
互いに好きな人を亡くし、立ち直れなかった婚約者を姉の為だからと姉の代わりに励ましていた弟はいつしか、特別な感情を彼に抱くように。
3回忌を迎え、もういつまでも亡くなった姉を介した関係をやめようと弟が決断する時、初めて婚約者だった男は、弟が特別な存在になっていることに気が付く。

亡くなった姉の婚約者と弟という関係のお話の設定としてはとても王道でした。
でも、そこに作家さんの特徴とか見せ方の独自性があるのだと思います。

弟の旭はとても健気です。
彼も最初は大好きな姉を亡くした悲しみから立ち直る為に婚約者である英司を励まして一緒に立ち直るつもりでいたはずだったのに、英司がそれに甘えきっているようでした。
この英司がとてもヘタレです。
旭を大事にすることで婚約者だった姉の真朝への償いのような過保護になってしまっている。
旭も姉を思っている事は知っているけど、いつまでも自分と同じだと思い込んでいる。
亡くなった時は、仕事に遅刻して外へも出ないのはわかるが、旭が自分の気持ちに気が付いてこの惰性の関係をきっぱり捨てなくちゃ!と却って英司の未来の心配をして離れていくのに、それに落ち込んで再び仕事に遅刻したりとか、ヘタレきわまりないのです。(しかも旭の気持ちについて考えが及ばない)
年上なのに情けないねw
こんな男のどこがいいのか、とか思うよりも旭が自分で色々考えて悩んで泣いてあきらめて、日常生活をこなしながら前向きに生きてるのが、英司のヘタレを凌駕してちょっと旭の心情に肩入れしてしまう良さになっている気がします。
本当、いい子だから英司は大事にしなくちゃ!なのですw

描き下ろしではラブイチャ編があるのですが、
旭が思い出が詰まっている英司の部屋でエッチするのをためらっていると英司が「どこならいいんだ?」と聞くのです。
それに「…ラブホとか」と旭が応えると「今から行くか」・・・おじさん(?)そんな未成年をホテルへ連れ込んでは淫行でしょっ引かれますから大人しく部屋でやってください(笑)
いや、いっそ新たな旅立ちで引っ越せばいいのにねぇ~おまけに朝起こせよだってw
何だかやっぱり英司はダメちゃんな攻めだな~とか。。。でも旭には大事な人なんだよね。

【VOICE】
刑事の日垣に「静かだね」と声をかけてきた青年・俊は人の心の声が聞こえるのだという。
そんな彼を部屋に泊めることになった日垣。
俊には他の人々の声がうるさいほどに耳にはいってくるのに、日垣からは全く聞こえなくてとても居心地がよいのだという。
彼を部屋に置くかわりに捜査の手伝いをさせる日垣。
そうやっているうちに俊への愛情がわいていくというもの。

この俊、どうやって生活してる人なんだろう?日垣に宿を頼むなんて。
家はないのかな?そんな疑問もあったりはするのですが、心が聞こえ過ぎて居場所のない孤独な青年が拠り所を得る話としては、ちょっぴり切なさもあり、日垣にオヤジが入ってる萌え要素(自分的)あったりで、ちょっとイイ話だった。

1

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