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始まりは、偶然と好奇心――部下×上司、カラダから始まるリアルラブ。希代のストーリーテラー・麻生ミツ晃の待望作!
麻生先生の描かれる作品が大好きです。
BL作品を多数読んできて、久しぶりに何か原点に立ち返ったような気持ちになりました。
BLには世間の目、家族や友人の理解、子供のことなど乗り越える高いハードルがいくつもあって、迷い、葛藤、覚悟をもってのり越えることで生まれる絆と深い愛情に、たびたび心を動かされてきたことを思い出し、心に刺さりました。
リアリティ溢れる2人の苦悩が切なくて、無心になって読みました。
上司である真木と、その部下であり常務の息子の須藤。
ゲイであることを隠し、特別な人を作らないという真木。
真木は最初から須藤に惹かれていた。
周囲に素性や本心は見せられないから、注意を払って他人とは距離を取る。
自分は臆病者だと言う真木。確かに、ゲイを隠して生きることも、公表することも
しんどい。
ゲイ同士にゴールなんてないのだから、深入りしないように、自分が壊れないように守っている真木。
付き合ってもやがて須藤が離れていくのはわかっているし、傷つきたくない。須藤の経歴にも傷はつけられない。自然とできる壁は傷つかないための自衛手段。
最初から諦めていたかのように、きれいに去ろうとする。
超えることができなかった2人の関係。
それぞれが本心に蓋をして、別れるところが切ない。
背負うものが大きくて、それと戦うでもなく、諦める。
他人と距離をとり深入りしなかった真木が、これまでびくともしなかった独りの寂しさを知る。離れて、はじめて本気で愛していたことを実感する。
電車の吊り革を掴みながら、本音を言うところが辛すぎた。
それに対して、どこか飄々として気持ちが掴みにくい須藤。
自分だって凹むと、自分の弱さを見せてくる。
「本気で俺と付き合ってくださいって言ったら、主任どうします?」
真木に委ねるような聞き方がとてもズルい。
でも真木だけではなく、須藤も追い詰められていたことがわかる。
須藤の本心は、あまりよくわからなかった。
でも諦めて固めていた決心が、真木の涙で一気に崩れていく描写がとても素晴らしかった。
須藤が、父親に正直に話すところは、涙がでた。
ずるいと思っていたけど、そうせざるを得ない重圧と、須藤の苦しみがわかったような気がした。
そして須藤は、真木を諦めた時の気持ち、計算、打算、決められず真木に結論を委ねたことを正直に真木に伝えた。
最後の最後で、弱いところを真木に見せてこなかった須藤の苦悩は、真木のそれよりも深いものだったのかもと思いました。
心理描写もストーリーも素晴らしかったです。
素敵な作品をありがとうございました。
ゲイである事を社内で噂されても否定も肯定もせずにやってきた真木。ある日2丁目で遊んでいるところを部下の須藤に見つけられ、体の関係を持つように。それだけの仲と割り切ろうとするけれど、お互いにもっと深い想いがあって⋯。
御曹司で将来のある須藤のため身を引く真木。好きなのに自身の抱えてるトラウマや恐れもあり、そうするしかないのだけれどもう切なすぎる!(泣)
何が本当の幸せで何が一番大切なのか、2人の出した結論に涙が〜!!
古い作品だけどめちゃめちゃ胸に刺さって、これまで読んでいなかった事を後悔。名作です!!
アンリミにて読了。麻生先生の作家買い(買ってはないけど)です。
麻生先生の作品は、どれも一つ一つのシーンが印象的で、漫画なんですけど映画を見ているようなきれいさがあり、静かであまり表情に出ないタイプのキャラでも表情がとてもキャラの心情を表している気がして、とても好きです。この作品も、もれなくそうでした。
お話は、特定の相手を作らず、寂しい時にだけ二丁目でその晩限りの相手を探して抱かれている会社員、真木と、その真木の会社の常務の息子で、真木がお目付け役を担っている須藤の2人のお話。
2人だけの関係ではなく、会社のためにお見合い・政略結婚のルートを選ばざるを得ない状況の須藤。反発はしているけど、真木にもそれを強いるだけの痛みを与えたくない。真木も自分が身を引いたがいい。それゆえに一度離れて婚約までしてしまったときには、もうここから復縁ルートはないのでないかと思うくらいにせつなっくて苦しくて辛かったです。
でも最後の真木の告白シーン。あの真木があんなに自分の想いをハッキリと、大きな声で須藤にぶつけているシーンが、本当にきれいで素敵で心揺さぶられるめちゃくちゃいいシーンでした。
あんなに嫌な感じだった須藤父も、最後はやはり子どもを想ういい父親であって良かったです。。
CDを聴いたので久しぶりに再読。
ほとんど記憶から消えていて、新鮮な気持ちで読みました。
11年前の作品で、いろんなことが現代と違い、それが物語の展開に生きています。
ゲイに対する考えや態度、社内の噂話の一斉送信、など、時代を感じます。
ゲイなのを隠しもしなければ否定もせず、仕事はきちんと、社内の人間関係は最低限で過ごしてきた須藤。
常務に頼まれて息子、真木のお目付け役、補佐、になり、密かに思いを寄せるものの、隠して、二丁目で発散していたのを、真木に見られてしまいます。
見つける経緯もその後のおいかけ、せまる様子もそれらの言動は、今だったら人権だ、差別だ、と問題になりそうなものです。
しかし、それがいいです。物語、だし、そのころはそうだったのだろうし。
興味本位だと言いつつぐいぐい迫ってくる真木の求めについに応じてしまう須藤。
それ以降の、好きだから言いなりになってしまう、須藤の顔つき、言動の変化に驚きます。
ネタバレになるので割愛しますが、この後、一波乱、二波乱ありますが、真木の変化や言動は応援したくなるし、須藤の本来の表情の愛らしさには胸が苦しくなります。
告白シーンも圧巻でした。
場所も景色も、須郷の言葉も、真木の言葉も、全てがすばらしく、心が震えました。
登場人物の言葉が多くて、とても丁寧に物語が綴られているのも、素敵でした。
両思いの2人なのに、親の意向によりお互いあきらめて、辛くなるくだりが、わかるし切ないけど、正直ちょっと長いかなと思ってしまいました。すみません。
でもでも、くっつく場面がすばらしかった。
しかも、伏線回収の上、視点を変えてタイトル回収されたのが鮮やかでした。
さすが麻生先生。
本作が1cpのお話をまるまる1冊描かれるのが初めてとは思えないです。
あと、キスや絡みの時の絵がやっぱりいいですね。
美しいし、色気があるし。
表情も構図もコマ割りもいい。
なので、短くても満足感があります。
にしても、ゴシップか社内メールで飛び交う会社って嫌ですね。
須藤父もやだわ〜と思ったけど、子どもはいいぞ、と息子に言ったのが親心で、まあそっか、となりましたw
ちょっとしんどい面はありましたが、納得のハピエンでした。