限定おまけ付き
タイトルから想像した内容とは大きく違っていました。
幼馴染みものの王道で、攻めの敦郎が常にクラスで中心の人気ものの陽タイプ、受けの舟が大人しい陰タイプですが、沙野先生なので、一味違う幼馴染みものでした。
最後にアッと驚く秘密が明かされ、小・中・高時代、何故敦郎が舟にああいう態度を取った理由も分かります。改めて小・中・高時代を振り返ってみても、その点どうもしっくりいかなくて。。ブロマンスものなら納得ですが、BLなのでLOVEが重要です。いつの時点で、敦郎が舟にLOVEな感情を抱き出したのか、惹かれた理由も分からず、BLとしては消化不良に感じました。
また地頭は当然良いといえ、高校時代あれだけやりたい放題やっていた敦郎が、難なく某最難関大学に現役合格という設定にも馴染めませんでした。明かされた秘密の件に関しても、自分が敦郎なら、かなりのダメージを受けるし、もっと怒るよなーと思ってしまった。秘密に関わる当事者にも、当然葛藤とかもあったんでしょうが、読者としては文面から推察するしかないので、そこももっと強調されていれば、感情に訴えるものがあったかなーと感じました。
全体に最初から最後まで水彩画のような淡いタッチで淡々と描かれていて、特に盛り上がりを魅せるシーンの演出というのもなく。それでも退屈することなく、最後まで読めたので、一味違う幼馴染みものを求める人には良い刺激になる思います。もう一回読み直すと違う味わいがあるのかもしれない。
自分の理解力が足りないのか、個人的には色々伝わりにくく感じた作品でした。
めちゃめちゃ萌えた、幼馴染みもののお話です。沙野先生のお話の中でキュンキュンさせてくれたレア作品。
医療機器商社で働いている石井舟の母親が亡くなり、近所の幼馴染みだった能登敦朗が焼香のために舟の自宅を訪れた。高校を卒業してから十年振りの再会にもかかわらず、瞬時にかつて親密だったであろう肉欲を予感させるような謎めいた冒頭シーンから、一気に二人の関係に引き込まれていきます。
二人が出会ったのは小学五年生。能登が舟の学校に転校してきたのがきっかけで、能登が舟の秘密を嗅ぎつけて一方的に彼を支配する形で、二人は秘めた昏い関係を高校生まで続けていくことになります。
能登の家は同族経営の製薬会社。裕福な育ちで友人関係も遊びも派手な能登は、学校では地味な舟とは関わらないのに、なぜか舟の自宅の部屋に度々通って来る。しかも中学も高校も同じ学校に進学し、学校とプライベートな舟の部屋でギャップを見せる能登の振る舞いに戸惑う舟。高校生になって自分の気持ちに気づき苦しくなった舟は、大学進学を機に能登から逃れる準備をしていた…
能登の内に秘めた舟への情動がエロスです!自分の気持ちを言葉にできない/しない未熟さや、相手との距離感を無視するような野蛮さに幼馴染み同士ゆえの甘えがチラつきます。一方的にガンガン舟を攻めまくる能登を拒めない舟の恋心にも、なんとなく自分が能登に執着されていると確信している自惚れが覗くのですよ。なのでムリヤリ好きな作者さんのお話でも安心なのですね笑
二人の過去編にとどまらず、再会後もストーリーは展開していきます。終盤、ドンデン返しが待ち伏せていたりもして、大人編でも引き続き攻めのツンデレ具合を堪能させてもらいました。ついでに能登(兄)と檜山で裏妄想…
中学生の時、二人だけで行った初詣の後に能登の部屋で過ごした一夜とか、高校生になってすぐの、夏休み最後の日の不意打ちキスシーンとかもー、素晴らしいです♡
電子書籍で読了。挿絵なし。
がっつりネタバレします。
上記あらすじにあるように、高校生の舟は能登に焦がれていました。でも、私が面白かったのは、小学時代に転校して来てからあっという間にクラスの中心になった能登が、母親から虐待されていて、学校でも出来るだけ目立たないようにしている自分にかまうのかが解らずに「放っておいて欲しい」という気持ちと「見捨てられたくない」という気持ちの間で舟が揺れている部分でした。ここがあるが故に、舟が自分の気持ちに気づいた時の衝撃が、私にも大きく響いたんだと思います。
まあ、あくまでBLというお約束がありますので、読者である私には能登の気持ちが解っている訳なんですが。でも、舟には解らないだろうと思える展開が続く。温度が低くて知的な沙野さんの文章は、読者を煽りません。なのにグッと来ちゃうのは、このお話が舟からの視点だけで作られているからでしょう。
そうだよね、実人生でも相手が何を考えているかなんて解らないですものね。
それでもある日、自分がその人に恋していることに気づく。
ここのドラマが劇的でした。
「エロのチャレンジャー」沙野さんが、このお話でやってくださっているのは「喘ぐ攻め」。
うひゃうひゃ。
これ、私的にはすごくツボりました。
沙野風結子さん作品で
ファンタジーでもヤクザでもない
普通の現代ものって珍しい気がしました。
すっごくよかったです!
ほの暗い小学生時代からのお話もよかったし、
それを踏まえて大人になってからのお話もよかった。
大人になってからのお話は
お仕事BLっぽいテイストなので、一粒で二度美味しい感じ。
濡れ場も美しくて官能的でよかったです。
何と言っても乳首を責められて喘ぐ攻めが最高。
BL界、もっと感じてる攻めを
積極的に描いてもいいと思うんですよね!
過去編は★4、現代編は★2、中間をとって評価は「萌」です。
雨音が聞こえてきそうなしっとりとした雰囲気の中で二人の過去の確執を予感させる導入部から、二人が幼馴染としては少し歪な関係ながらもすぐ傍で過ごしてきた七年間の月日が淡々と描かれていて、惹き込まれました。舟視点で物語が進むため能登の心情は言動からしか窺い知れないのですが、それがまた切なく、不器用な舟がもどかしいほどでした。
それが現代に話が戻った途端に焦点がぼやけてしまったようで残念でした。回収されていない伏線があるようなモヤモヤ感とでも言うのか…。結局、思春期の七年間も会えなかった十年間も、能登が何を考えて何をしていたのかとか、そもそも舟のことが好きだったのかどうかとか、明確になっていないんですよね。特に最後のエピソードなんかすごく駆け足でビックリしました。あれ、必要だったのかな…。