• 電子書籍【PR】
  • 紙書籍【PR】

表題作上等だベイビー

小田島誠一(建築家)
綾文(小田島の事務所で働く恋人)

同時収録作品sing your life

森高大樹(人気者の大学生)
持田充(地味な大学生)

同時収録作品漂えど沈まねー

遠藤(専門学校の講師)
片桐アキラ18才(専門学校生)

同時収録作品リハビリ中断

真鍋竜史(就活中のアルバイト)
サトシ(レンタルビデオ店のアルバイト)

同時収録作品距離もひとつの愛の法則

ケンジ・地元に残った恋人
知紀・芸能活動をするために上京した恋人

同時収録作品Rainbow man ~虹をつかむ男~

藤堂真也
安藤公二

その他の収録作品

  • カタルビッチの3分間クッキング
  • 欲棒と制服(エッセイ)
  • いちご日記(描き下ろし)
  • 魚魚家々(あとがき)
  • 犯られたい男(私が溺愛した攻めキャラ)

あらすじ

「上等だベイビー」満を持してのセカンドコミック遂に登場!「BOY'Sピアス」「コミックJUNE」掲載の読み切り6作品に加え、品格とボンノー同時進行の描き下ろしコラムもサービス収録!カタル流せつない愛の傑作選!堪能あれ!!

作品情報

作品名
上等だベイビー
著者
語シスコ 
媒体
漫画(コミック)
出版社
マガジン・マガジン
レーベル
ジュネットコミックス ピアスシリーズ
発売日
ISBN
9784906011926
4

(20)

(10)

萌々

(4)

(4)

中立

(1)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
6
得点
79
評価数
20
平均
4 / 5
神率
50%

レビュー投稿数6

ちょっと切なくて悲しいけれど、やっぱり前向き

やっぱりこの本も、やりチンだったり蓮っ葉だったり、いい加減だったりそんな男達がうじゃうじゃ出てくるのですが、
み~んな本音でぶつかり合って、本気で喧嘩して、自分を決して飾ったりしない素直な部分が丸見えになって、本気の恋愛をしているので、実に等身大で自分の分身にさえ思えるほど愛おしい奴らばかりだ。

表題は売れっ子になった建築家と、その彼と専門学校で先生生徒で知り合ってからずっと恋人でいるカップルのお話。
いわゆる”倦怠期”のお話ですね。
忙しくてエッチもご無沙汰な二人に浮気から愛を確かめ合うという、ごくごくありふれたストーリーなのに、語マンガになるとそのやりとりがストレートで二人のぶつかり合いが気持ちいい♪
最後にふやける迄のフェラというオチがついているのが、毎度のことながら面白い。

『sing youe life』
これは後天性免疫不全(AIDS)を扱った話だ。
深刻な話だが、患者である受けの後悔や悲しみを癒すように積極的に明るくポジティブな攻め様の姿がとても感動!
彼が受けちゃんの事実を知った時に泣くシーンはこちらも一緒に泣いてしまいました。
でも、こんな明るく向き合ったAIDS作品は、ひょっとしたら初めて見たかもしれない。
AIDSに対する啓蒙にもなっている。

他に、強姦から愛になってしまうモノや、芸能人になってしまった恋人との遠距離恋愛の話、賢いのかバカなのかそんな傲慢男の思うツボにはまってしまう話。
そんないつもの楽しい話に交じって一篇、とても切ない話があった。

『リハビリ中断』
バイト先で出会った美系の男子が店長と不倫の仲なのを見てしまった求職中のバイト君。
その男子は訳ありで、でも居候されて一緒にいるうちに段々と好きになってしまい。
強姦や暴力が彼らを襲うのだが、彼の手首の描写がはかなげで、それがとても悲しい・・・一体彼はどうなってしまったのだろう。
一時の出逢いの瞬間の場面だったのかもしれないが、それすら過去になっていくんだなという現実が妙にリアルだった。

語さんのマンガは当たり前のように道具やら、強姦やら出てくるのだが、それすらも嫌悪感を抱かせず、余り痛さも感じない。
彼らなりに誠実であるところが、そんな点を補うのに余りある魅力だからなんだなと思いました。

4

愛はここにある

 天才語シスコの2冊目のコミックス。初コミックスの『LOVE&CATASTROPHES』がすごい衝撃だったので、作家にとって2冊目のハードルはどれだけ高いのだろうと危惧するところですが、カタル先生にはそんな心配は無用でした。 
 
文句ばかり言う古女房みたいな恋人とオレ様建築家。
人気者の大学生と彼を騙すHIVに感染している地味な大学生。
恋人とすれ違う専門学校生と彼を強姦した講師。
就活中の男と訳ありのアルバイト。
地元の大学へ通う普通の男と芸能人になった恋人。
同じ男に3度もレイプされた男とレイプ魔の上司。

 浮気、無理やり、強姦、暴力、枕、レイプ、と悪いことのオンパレードだけどキャラたちは逞しく、そこに愛があるため悲壮感はありません。主人公たちのモノローグが怒涛の文字量で一人語りされるカタルワールドは、時にチクリと時にはぎゅっ~と、そしてグサリグサリと心に突き刺ささり、漫画なのに小説のようだったり、映画を見ているような気分になったりするのです。
 収録作の『漂えど沈まねー』の中で、「男と女も、男と男も、まずセックスだ」という台詞があります。それがなければ何も始まらない、心を打ち明けることも出来ないと…。そして「自分で脱げ、それがはじまりだ」と初めて“マトモなセックス”をします。この言葉は先生の全ての作品に通じているのだと思います。初めて浮気をした瞬間に恋人を心から愛していることに気づいたり、騙されても、訳ありでも、枕営業されても、レイプでも、彼等がマトモなセックスをして心を見せあったからハッピーエンドに繋がったのだろうと思うのです。
 そんな中『リハビリ中断』だけはハッピーエンドとは言い難いラストを迎えます。アルバイト先の店長とサトシのセックスを目撃したことから始まった竜史とサトシの関係。サトシが訳ありだとわかっていても止めることが出来なかった恋心。竜史とサトシが二人きりで過ごした最後の夜から、翌朝別れるまでを描いた4ページが、忘れられない大切な思い出みたいに切なくて、儚い夢のように綺麗です。彼らの道は一つにはならなかったけれど、確かにこの夜、二人の心は繋がっていたのだと思います。

4

濃い、そしてはまる

「LOVE&CATASTROPHES ラブ&カタストロフィー」が面白かったので、こちらも読んでみました。

相変わらずバイオレンス多い、レイプ展開かなり多い、ロクデナシも、やばいヤツも、イカレたヤロウも何でもござれの禍々しい設定&属性。
一筋縄ではいかない面々がタイマンばりのかましあいをするんだけど、根底にはどこかピュアな愛があって、切なさが時折胸を締め付けたりする。

濃いセックス描写も多いです。
作中人物が「男と女も 男と男もまずセックスだ それがなきゃ何もはじまんねー 心を打ち明けることすらできねえ」と語ってるように、セックスは切り離せません。
しかし、その他の描写、例えばモノローグも会話も濃いので、わぁエロが突出してる!という印象は受けません。
とにかく濃くて、ガツンときてグサッ、じわっとくるので、精神的に参っているときには少々ヘビーに感じるかも。
特に「リハビリ中断」は連れ去られた後、痛さで気絶するほどのモブ姦、暴力を受けたうえ、ハッピーエンドではないので気分が沈みます。苦手な方は取り扱い要注意です。
作品の中でもちょっと毛色の違う「sing your life」というHIV感染した子のお話が一番好きです。

2000年の出版、今から17年前ということで完全死語「アウトオブ眼中」など出てきて時代を感じるのですが、ストーリーそのものは古臭さを全く感じさせません。

3

フランク

追記:最初の頃は【リハビリ中断】のやるせなさに読むたび打ちのめされていたけれど、そのやるせなさ・哀しみを残した残像のような恋が妙に心に残って
「それでもあの日 君のかざした手とか透けて見えたうすい静脈を 忘れることはできないと思う」というこの一節が琴線に触れるようになりました。

カラダもココロもぶつかり合うんだ

中身濃すぎの短編集。
良くも悪くも、超強烈だ…

「上等だベイビー」
年上の建築士とその恋人。
付き合い始めた頃はペーペーだったが、最優秀建築賞を受賞してから殺人的スケジュールの売れっ子になり、恋人らしき事はすっかりご無沙汰。
愚痴る綾。しかし、オレはテメーの為にもがんばってる!とキれられて大喧嘩。お別れの危機?
しかし、こっからの誠一が物凄い。これが愛だ!

「sing your life」
大学で知り合った森高と持田。普通の友達だと思ってたのに、持田の家に遊びに行った時にいきなり一服盛られて…
この重いテーマで、セックス描写は直接的、でもこの優しさは何なんだ?この透明感は何なんだ?

「漂えど沈まねー」
恋人(♂)とのアナルセックスがちっとも良くないアキラ。口論して夜中に公園を横切ったらそこはハッテン場で、声をかけてきた男にヤリモクと勘違いされて青姦の強姦をされてしまう。なのにその時初めて後ろで感じまくり!だがその男は、という不思議な話。
互いの目を見て呼吸を合わせるセックス、それがなきゃ何もはじまんねー
目からウロコだ…

「リハビリ中断」
バイト仲間に誘惑され、だんだん深みにはまる。だが彼のオトコはヤクザ者で…
2人ともヤクザのモブに半殺しレイプを受けますので、地雷の方は要注意!
その後、生活を改める主人公。あの事を忘れていくだろう。
それでもあの日君のかざした手とか透けて見えたうすい静脈を忘れることはできないと思う
この言葉で〆る語シスコのセンス…!

「距離もひとつの愛の法則」
恋人が芸能人になった。応援してたけど、忙しくなってきて時間が取れなくなってきて、お決まりの喧嘩〜からのお別れ危機。
別の子に心を移しかけたり(←この子がいいキャラです)、芸能界の枕営業などの展開もあり。

「Rainbow man」
これがまたヘンな話!(←一応褒め言葉)
オレの初体験は中学の卒業式だった
…という言葉から始まる。でもそれは同じ中学の知らない奴からの突然のレイプで。
その後すっかりオクテになり、やっと大学デビューしたのに女の子とのデート中にカップル狩りに遭い、その犯人グループにアノ男がいて同じ男に二度犯される。
そして社会人になり、ある日新任の係長がやってきたがそれがまたアノ男で…だが彼は何事も無かったかのよう。
どんな話になるのかな、と思いつつ読むんだけど、彼は虹のように色んな才能があり、捉えどころがないレインボーな男なのだね。非常に不思議な話です。

どの話も短編なのが信じられない世界の濃さ。唯一無二。

1

無理矢理多め注意

ラブラブ、シリアス、やるせないの、バカっぽいの、と語シスコさんらしいバラエティの豊富さでしたが、強姦ネタが多めな短編集でした。

『上等だベイビー』
表題作は男女でもその辺にゴロゴロ転がってそうな倦怠期カップルのお話で、これは面白さがあんまり…
受のアヤが旦那の稼ぎで食わせてもらってる嫁によくいる文句タラタラ系なので無理!
めっちゃ愛されてるのに~
まぁでも愛され慣れてるからこそちょっとでも何かあると不満が出るんだろうけど。

『sing your life』
カッコよくて正義感が強くて誰からも好かれる〔森高〕と、地味でオジ様相手に援交してると噂のある〔持田〕という正反対の二人が、大学で出会って友だちとして仲良くなるんですが、ある日突然、森高(攻)は持田(受)に薬を盛られて無理矢理ヤられてしまいます。持田のこの裏切りのような行動の裏にはかなりシリアスな訳が隠されていて……
悲しくてやるせない…だけど前向きでいいお話。
森高の正義感が男前だ。

『漂えど沈まねー』
自分本意な痛いエッチしかしない彼氏と喧嘩してフラフラ歩いてた公園がハッテン場だと気付いた時はすでに遅し、ナンパしてきた見てくれだけはいい超俺様変態男にめちゃくちゃ気持ち良く犯されてしまう話。
お得意の超絶下品な言葉責めが炸裂しています。
語シスコさんの俺様男ってなんか好き。
最後はちゃんと超ラブラブです。

『リハビリ中断』
これはかなりやるせない。
バイト先で店長ともう一人のバイト君との情事を見てしまったあと、主人公もその子と身体の関係をもって一緒に住み始めるんですが、寝取ってラブラブになって終わりかと思いきや、そこからが思いもよらない衝撃の展開…!
ヤクザとか容赦ない強姦とか出てきます…
超訳アリ男子との幻のような刹那的で哀しい恋を描いた一編でした。

『距離もひとつの愛の法則』
地元静岡の大学に通う〔ケンジ〕と、芸能活動の為に上京した〔知紀〕の遠恋モノ。
環境の違いと距離が少しずつ二人を擦れ違わせていくお決まり展開ながらも、どんどん芸能人になっていく知紀に気後れして、ぐるぐるふらふらし始めるケンジはこれはもうしょうがないよと。
一方の知紀(受)はタフで漢気のあるヤツでした。

『レインボーマン』
中学の卒業式に無理矢理初めてを奪った名前も知らない男にその後も時を空けて二度、三度とレイプされるお話。
馬鹿と天才はなんとやら。
ぶっ飛んだお話でした。

2

この作品が収納されている本棚

マンスリーレビューランキング(コミック)一覧を見る>>

PAGE TOP