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表題作アンフォーゲタブル

和久井冬梧
明光新聞社勤務,25歳→42歳
有村望
真秀製薬勤務,25歳→42歳

その他の収録作品

  • アンスピーカブル
  • アンタッチャブル(とあとがき)

あらすじ

新聞社勤務の冬梧。製薬会社勤務の望と出会いやがて惹かれ始めるが、思いがけなく身体を重ねることになった後、望の電話は繋がらなくなり……

作品情報

作品名
アンフォーゲタブル
著者
一穂ミチ 
イラスト
青石ももこ 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
幻冬舎ルチル文庫
シリーズ
is in you
発売日
ISBN
9784344830615
4.1

(158)

(85)

萌々

(38)

(15)

中立

(9)

趣味じゃない

(11)

レビュー数
21
得点
631
評価数
158
平均
4.1 / 5
神率
53.8%

レビュー投稿数21

運命について考えたくなる

突拍子もない出会いから、あそこまで大きな出来事に発展し、かつ切ない経緯を辿ることになるとは。十七年を経て再会後、やっと二人が自由になり、初めて真っ直ぐ向き合える状態になれた結末に泣いた。

シリーズ作品で、時系列でいえば前三作のずっと前のお話(他を読んでなくても問題ないと思う)。新聞記者の冬梧と製薬会社勤務の望。一見、ただの偶然で交流が始まった二人に見えたが、二人だけでなく、関係する多くの人の人生に影響を与える出会いだった。

亡くなった想い人を忘れないままの望に翻弄される冬梧は、ふわふわした恋心を自覚するかしないかのタイミングで、衝撃的な事態に陥る。人と人との運命について考えたくなるような展開。これが決してロマンチックな意味でないとこがすごく好き。

あんなことになってしまえば、冬梧の中に望がより一層強く刻み込まれるだろうし、人生が一変したと言えるかもしれない。望に出会わなければ、冬梧の人生は全く違っただろうし、無難に結婚もしていたかもしれない。そうした因果に感動を覚える。

十七年後の再会は、劇的でも運命的でもない。ただ、望が支えて来た人たちの協力あっての結果で、それは望の十七年の成果でもあるのかと思った。

巻末の望視点の短編では、シリーズ四人目のバツイチ男が完成しそうな気配。あっちでもこっちでもよく離婚するシリーズ。まあこちらは円満離婚だし、可愛い親バカぶりは継続しそうでほっこりできた。

毎度思うが、一穂さんの作品は読後の感情を言語化するのが難しい。確かなのは、良かった好きだったということくらい。ココが好き、という点もあることは分かるのに、ぴったりの表現が見つからない。だから次も読みたくなるのかもしれない。

0

”17年分”の思い

「泣ける小説」が無性に読みたくなり、色々調べてこちらの
作品にたどり着きました。

新聞記者の攻め視点の物語。
「新聞社」シリーズ4作目とのこと、シリーズはまだ『is in you』しか
読めていませんが、他作品も絶対読もう…!と決意させてくれました


夜読み始めて、この時間まで一気読み。
実は涙こそ出なかったのですが;

報道のあり方。
17年分相手を想い続けた二人の想い。
どうしても連絡を取るわけにはいかなかった事情、
和久井に託した望の覚悟...

そういったものに思いを馳せ、
物語に没入する2時間でした

まず何よりも、一穂ミチ先生の文章の美しいこと…!
読んでいて、季節や景色の色が見える。
揺らぐ心が、ありありと見える。

そして喜怒哀楽をあまり前面に出すことのない望が
感情を見せる時の、表現。

”静かな自制の閾値(いきち)からわずかにはみ出した感情の色を見るのが
楽しい”

もう、個人的にこの一文の美しさに衝撃を受け、
夜中にしばらくぼうっと分を見つめたり、声に出して読んでみたり...

なんて素敵なんだろう…と、文章を読んで
いちいち立ち止まっては感激し、衝撃を受けました

物語の大きなテーマとなっている、「報道のあり方」についても
心抉られ考えさせられることが多く。。

読み手を満足させるため、
”犯人らしい”写真を撮るがために暴言を吐く記者。

自分のスクープ一つが、一つの家庭を壊してしまった事実。
自分の知らないところで、広がる枝葉のように
もっともっと多くの人、家庭、事象にまで影響が広がっているであろうことー

それでも、「伝えない」という選択肢はない。

ただ、それが愛しい人と会うこととの引き換えに与えられる情報だったなら、
俺はいらなかったよー

和久井のその独白が苦しくて、切なくて
胸を刺すような痛みを感じるシーンでした


そんな二人の再会に、一役も二役も買った未帆ちゃん。
どちらかというと、普段”BLに女性キャラはちょっと…”と思っている派では
ありますがこの未帆ちゃんには親指たてて「グッジョブ!!!!!」と伝えたい。

大好きなキャラになりました

報道をする側の覚悟と責任の大きさ、
その在り方…

そして17年もの長い時を、会えずに過ごさなければいけなかった
二人の恋の行方。

並行する2点のテーマに心惹きつけられ目が離せず、
一気に読み切った一冊でした。

すっかり”親バカ”状態になっている望の様子が可愛かったな...

そして、17年もの別離の間、特派員記録(かな?)として
書かれる和久井の記事を追い続けていた望の健気さにも心撃ち抜かれました。

長い長い別離を経ての、再会。
骨太な夜明けの物語、これから何度も読み返したいと思える一作です。

1

再会ものが好きな方におすすめ

新聞社シリーズ、どれもいいのですがこれも再会もの。

25歳の時に知り合った二人が企業の内部告発者とスクープした新聞記者という立場になり、会ったことさえ隠さなくてはならなくなり、本当に連絡が途切れます。

そのまま時間が経って気にかかったまま、互いの仕事を続けて、17年後に再会することになるのですが、大人の男たちのお仕事小説でもあり恋愛小説でもあり。

現代もの社会人BLが好きな方に刺さる、とても萌えるストーリーでした。

0

これから読んじゃった

シリーズものというのを知らず(ここを見てたら良かったんですが)、図書館にあったのを手に取りました。

期待せずに読み始めたのですが、イイ!
なんとも25歳からその17年後という時間の流れがイイ!
42歳になっているわけですよ。ちゃんと結ばれるまで。

それだけの間、お互いの思いをちゃんと確かめた訳でもなく、理由があって離てしまう、離ざるを得ない、そんな二人の気持ちが切なくて。
オヤジンスキーなのでたまらないですね。

新聞社の人たちの立ち位置が前作を読んでないので読みきれないところがありましたが、この作品だけ読んでも大きな問題はありませんでした。きっと読んでいたら、冬悟の周辺に深みが出たのかもなって思うので、これから読み始めたいと思います。

1

硬派な事件で目が覚めました

明光新聞社のシリーズ4冊目。
今回のメインキャラは読みながらどうも二人とも掴み所がなくて、入り込めないなあイマイチかもなあとぼんやり思っていたのですが、中盤の事件が大変な事態で、(私の)目が一気に覚め、そこから貪るように読みました。

再会物とはいえ、こんなに間が開くのもすごい。17年です。
「is in you」の再会も13年で長期と思ったけれど、「アンフォーゲタブル」の方は事情も事情だし、わくわくという感情とは無縁の状態で二人を見守りました。
やはり、ここまで拗れてしまうと、(本人達の感情ではなく事態の大きさが拗れた原因) 普通にはまとまらず、ここでは未帆ちゃんという無垢な存在がキューピッド的な役割を果たしているのですが、そういうキャラを登場させないと難しかったのかと。
個人的にはそこが残念なポイントでした。

0

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