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『頬にしたたる恋の雨』を読んだらこちらも読みたくなりました。
栗梅亭真寿市の初代が、思い出話の中に登場していて、ここから始まったんだなぁ、なんて感慨深いものを感じてしまいます。
受け様の山川椿丸は、明るく賑やかな舞台が人気の落語家。
栗梅亭から飛び出した師匠について出て、今では山川流の人気藝人。
攻め様の栗梅亭真吾は、めっぽう話がうまいと評判の人気上昇中の藝人で、年下攻め様。
没交流の2つの流派ながら、人気藝人の2人を同じ舞台でやらせたい、との提案で知り合った2人。
まずは椿丸視点なので、真吾のはなしぶりに惹かれ、人柄にも惹かれていく様子がとても可愛らしく、微笑ましく見守っちゃう。
真吾の方は、ひとめぼれやろって丸わかりな初々しさ。
当時の藝事のあれこれにへぇ〜となったり、椿丸と師匠の絆にほっこりしたり。
色恋ごと以外も面白かったです(⌒‐⌒)
恋人になった後は真吾視点。
椿丸にベタぼれなのが筒抜けで萌えでした。
椿丸から、しばらく色事はしない、と言われて、何でもない風を装いながら大ショックを受けてる真吾はかわいくてにやにや(≧▽≦)
子供のように無邪気な椿丸が本当にかわいらしゅうて魅力的でした。
古い大阪言葉も艶っぽくていいなぁ(*´ω`*)
本作は「頰にしたたる恋の雨」の関連作、というか前日譚の位置付けですが、「頰に〜」に出てくる真寿市師匠がまだ駆け出しの頃の、真寿市(当時は真太)の兄弟子真吾の恋模様です。
より昔(明治中期)の時代で、言葉も柔らか。今のTVで見る芸人さん達の使う言葉とは色々と違います。
見た目は地味だけれどじっくりと噺を聞かせる上手い真吾と、華やかで明るい芸風、出てくるだけで目を引くような椿丸、そんな個人の持っている資質の違いと、属している流派の仲違いによるロミジュリ的設定もあり、男同士の事など考えたこともなかった椿丸が真吾から突然抱きしめられてキスされ、自分でも真吾への恋愛感情を自覚するくだりは、畳み掛けるような萌の攻撃、のようでした。
椿丸はかなり直情的な性格なんでしょうね、自分で恋に飛び込んでいきます。
もちろん真吾もがっしり受け止めて、2人は恋をしながらお互いに自分の芸、自分の落語を高めていきます。
当て馬や危機や失敗などのマイナス要素は無く、恋も芸も上手くいく展開で安心して物語世界に浸れます。
Hシーンは柔らかな大阪の言葉での乱し乱される濃密な時間。萌えます。
神寄りの「萌x2」です。とても良かった!
久しぶりに、脳みそが湧くような萌えを感じる作品に巡り会えました。関西弁と時代劇(明治後期)に抵抗がない方には是非とも手にとって欲しい作品です。
タイプは違えど上方落語界屈指の人気若手噺家である椿丸と真吾。実力のある二人が、噺家としてそれぞれ研鑽しつつ、相手の芸、そして人間性に惚れ込み、虜になっていく様子がとても艶っぽく、切なく、温かく描かれています。
会話劇としての面白さもありました。100年ほど昔の大阪を舞台にしているので現在耳にする言葉とは違うのですが、とてもテンポがよく、この作品自体、落語のように聴いて楽しむことができる作品のように思います。落語っていいですよね~。佐々木久美子さんのイラストがなんともいえない素敵な雰囲気です。
半分ほどは現代人の勝手なノスタルジーでしょうが、この時代は現代よりも色んなことがシンプルで、小賢しい駆け引きなしに惚れた腫れたと言えちゃう(そういう展開でも無理を感じない)魅力があり、それがとても上手く効いているなぁと感じました。
あとがきによると、この作品の一年半ほど前に出版された「頬にしたたる恋の雨」(イラストは志水ゆきさん)とゆるくリンクしているそうなので、いつか読んでみたいと思います。というか、椿丸と真吾のお話がまた読みたいです。それにしても、同じレーベルの関連作品でもイラストが違うことってあるんですね…。
落語家のBLというと剛しいらさんの『座布団』を思い出しました。
あの話には笑いあり涙ありで最後はしんみり泣かされたという記憶があり、ふとこの作品はどうなんだろうなと思い手に取りました。
それにカバーのイラストもとても奇麗で色合いに惹かれました。
実は昔も今も落語にはあまり興味はなく、登場人物の設定として萌えるものではないのに、なぜか毎回好きになるのは不思議です。
噺の技術は今ひとつだけど、愛嬌と舞い姿の艶やかさは上方落語界一と評判の山川椿丸と、じっくり聞かせるる噺では若手随一と言われている栗梅亭真吾の二人を同じ高座に上がらせたいという演芸場の主人の発案で二人が引きあわされることになったのが出会いです。
しかし、この二人の師匠たちが昔同門であったにもかかわらず仲違いをしたため同じ高座に立つことがなかったが、一度お互いの芸を見た時その技術の高さを認め人柄も気に入った二人はこっそりと会うようになるのですが、やがて師匠にばれ大事に…
ということでロミジュリ的な二人が出会い一目で気に入りいつしか恋に落ちているのですが、展開が早くて二人が思いを自覚するまでスピーディーで上方落語界の話や明治時代の落語家や芸人の話も興味深く楽しめました。
あらすじをちらりと見た時には現代ものだと思ったら明治時代のお話だったんですね。
古い言い回しや独特の言葉がいい感じに時代感や世界観を表現し自然にその作品の中に取り込まれてしまったような気がします。
イラストの室内の様子もその時代の落語家さんの家はこんな感じかもと思わせる雰囲気で、衣装や普段着もノスタルジックな香りのするものでした。
二人は初めから甘い雰囲気で溺愛する真吾と甘やかされますます艶めく椿丸がどんどんいい方に変化して行くのが読んでいて楽しかったです。
お互いへの思いが芸に磨きをかけるきかっけにもなり公私ともにいい出会いだったんだなと思ます。
人が成功して行く姿を見るのはいいものです。
この作品の2年ほど前に発表された『頬にしたたる恋の雨』が登場人物がリンクしているそうなので興味を持もちました。
時系列はそちらの方がこれからだいぶ後の時代のようです。
受けの椿丸こと恵二郎は見た目に華があり、明るい噺や踊りが上手なことで人気を集める噺家でした。
攻めの真吾こと理平は見た目の華やかさはないものの、しっとりとした人情噺が上手な噺家さん。そして、お互いの師匠はそれぞれ栗梅亭真寿市のもとで学んだ兄弟弟子だったのです。
しかし、椿丸の師匠、藤之助は真吾の師匠である真楽(真寿市の名を継いだのでこのときは2代目真寿市師匠になってます)を嫌い、栗梅亭を出て自分の流派、山川一門をおこします。もともと栗梅亭一門だった椿丸は藤之助の落語が好きだったことと、心配で放っておけない思いから藤之助についていき山川一門の山川椿丸となります。
藤之助の栗梅亭嫌いはなかなかしつこく、椿丸は人気の栗梅亭真吾の落語に興味を持ちつつも、真吾の落語を聞いたことはなく、また真吾と付き合いができると師匠の藤之助が拗ねて暴れだすので真吾や栗梅亭の人との付き合いもありませんでした。
そんな二人が一緒に落語をしたらきっと面白いことになる!と真吾と椿丸を合わせたのが席亭の瀬島でした。その話に椿丸は師匠が許さないから無理だと言っていたけど、真吾の落語を一度聞くと、その良さに素直にほれ込み真吾の落語を聞かない人がいるなんて勿体ない!と自分のなじみの女にまで真吾の自慢をしてしまうほどになり、一緒に落語会をする話は置いておきつつ一緒に食事をしたり、椿丸の家に行ったりと付き合いは続きます。
椿丸が落語の噺を自分で作っていることを知った真吾はその噺を読んでみたい、やってみたいと言い出し、より二人の仲は深まっていきます。
藤之助師匠に隠れて親しくしていることに不安を感じつつ、どんどん真吾に惹かれていく気持ちが抑えられない椿丸がかわいかったです。
久我先生の作品は基本的に関西弁が使われていますが、今回は昔の大阪ことばが使われているところがまた、普段とちょっと違った味になっていて楽しめました。
椿丸は、本当に真っ直ぐで謙虚で人から愛される存在としてキラキラしていました。藤之助師匠が椿丸にかまってもらえなくて拗ねてしまうのもわかる気がします(笑)
落語に対する真摯さや、それを応援する周りの人々など明治の空気間が暖かくて微笑ましかったです。
もちろん真吾の椿丸のラブラブっぷりも久我さんの作品を読んでいる人なら、納得の満足度になっていると思います。