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天禅先生の作品って、最後のページの言葉でどっかーんと萌え度が上がるものが多い。
この作品も例に漏れず、最終ページで「おわー!」って鳥肌が立ちます。
担任の先生からいきなりダブりの比嘉の勉強を見てほしいと頼まれた(脅された?)野波。
面倒だと思っていたのに、いざ話してみると比嘉といるのは案外居心地が良くて…。
訳あり優等生と訳ありダブりくんです。
2人とも抱えている闇が結構深い。
野波の方は、幼い頃に両親が離婚、母親の再婚後に子供ができて育児放棄、そこから父親に引き取られるも、父は「友人」(男)と暮らしていて…、と波乱万丈な人生。
比嘉の方も、親が借金の連帯保証人になったせいで一家離散。しかも諸悪の根源である借金した女性に片思い中という…。
ここがどうにもよく理解できない。
恨むなら分かるけど、好きってどういうこと?って思いませんか?
でもそこは天禅先生の作品らしく、特にこの女性と比嘉過去の回想なんかは出て来ません。
察しろ、ということなんだろうけど、息子が恋愛対象にするような若い女性の借金の連帯保証人になる親もどうなんだ。
そういう微ツッコミポイントはあるものの、父亡き後、父の友人である保と2人で暮らす野波と、見つかる当てもない女性を探し続ける比嘉が、お互いの心の空を埋め合うように惹かれ合うのは分かる気がします。
2人とも縋るものが不確か過ぎるんですよね。
自分とは血のつながらない、父の恋人と暮らすしか居場所がない野波も、基礎がない建物に住んでいるような不安定な状態。
両親を騙した女性に恋焦がれ、探し続ける比嘉は、その女性への感情が家族を裏切っているも同然だけど、感情は理性や論理ではどうにもできないもので。
しかもどこにいるかも分からない女性を探すのは、自分たちを騙したわけじゃないと信じたかったからなんだろうな、と思う。
とはいえ、この辺りの2人の心情<えろすににめり込む2人なので、すべて深読みですが。
信じたいものを信じられない不安定さ。
自分が疎まれて然るべき存在だと思い込む脆さ。
そういう覚束ない足元をしっかり繋ぎ止めるように、お互いの体を必死で抱き締め合うように思えて、心情<えろすでも気にならないどころか、2人の不安な気持ちがその瞬間だけ満たされるような描写が良いです。
海で溺れた野波が比嘉に助けられるシーンから出てくる「光」というキーワード。
これがラストにバシッと効いてくるのが痺れます。
深読みしながら読むと、とてつもなく萌えます。
天禅先生の作品は提示された情報の処理が中途半端というものが多いけれど、この作品はわりとしっかり決着がついているので、足りない部分はぜひ深読みで脳内補完を。
うまく深読みができた分だけ萌え度があがって、ラストに酔いしれることができるはず。
萌2に近い萌評価。もっと読みやすい青春ものをイメージしていましたが、読み進めるにつれ、比嘉も野波も高校生が背負うには結構ハードな家庭事情を抱えていることが見えてきます。かなり早い段階から体の関係を持ち始める2人ですが、後から考えてみると、そういう複雑な人生を歩みつつもそこから逃げ出したりせずに、凛とした姿でしっかり立っているお互いに、無意識に惹かれ合ったんんじゃないかな、なんて思いました。相手のことが気になったのは、2人ともそういう雰囲気が滲み出ていたからかも。
親の死、ゲイの親、借金取りと借金を背負わせた女。2人を取り巻く事情は殺伐としていながらも、この作品の中で2人は精一杯の青春を送っています。2人きりの世界に閉じずに、2人のことを心底案じてくれる友人に囲まれていたところも、人の温かさを感じて嬉しい気持ちになりました。野波の父代わりの保も、野波のことを家族として心から愛していたんですね。そんな彼に、野波の方からどれだけ大切に想っているかを伝えたシーンはすごく良かったです。子供の方から歩み寄ることが、大人にとってどれほど救いになり、糧になるか。血縁のない2人きりの家族でも、これほど強い絆はないと思います。そして、比嘉のことも婿であるかのように受け入れた保。いろんな垣根を超えて繋がった3人に、家族という形の多様性がもっと広がっていくといいな、と思いました。
不器用でどこか投げやりで、とても純粋な野波。
明るく人当たりがよくて、どこか強引でだけど一途な比嘉。
まだまだ未熟な二人の、曲がり道、寄り道だらけの恋。
体を重ねてはいるものの、二人の気持ちはチグハグですれ違っていて。
でもお互いがお互いを必要とし、そしてこの二人だからこそ、野波も比嘉も前に進むことが出来たんだと思います。
主役二人ももちろんいいんですが…おいしいところをかっさらっていったのは保な気がしてならない(笑)
最初こそなんだコイツと思っていたのですが。
保の葛藤や苦悩、そして彼もまた不器用な部分を持っていて。
そんな彼がいじらしく、『幸せになってもらいたい』と強く願ってしまいました。
最後はみんな笑顔で、ほっこりです。
野波と保の仲の良さに当分比嘉はヤキモキするんだろうなぁと思わずニンマリしてしまいました。
不揃いな、不格好な、こっけいな。
タイトルの意味の通りの恋だけど、眩い『光』で溢れていたお話でした。
優等生と留年して1つ年上の、高校生同士の切なくて一途さが愛しくなるラブストーリーです。
明るくて皆に人気があって、留年してクラスメイトになった比嘉。その比嘉に勉強を教えることになった、クラスで一番頭のいい野波。2人に接点は全くなかったのに、育ってきた家庭環境の複雑さが似ていて、気付けばお互いに惹かれていきます。
すれ違いながらも、想いを深めていく2人の不器用さにキュンとなります。だけど、子供だからこそ非力で何もできないジレンマもあって…。
このまま幸せな日が続くと思ったら、突然やって来た悲しい別れに胸が痛かったです。思い出の場所でずっと待ってる野波が切なくてキュンとなります。
だから、再会して義理の父親と3人で暮らしてる幸せそうな姿を見た時は、胸が温かくなります。2人がお互いに影響されて悩みながら変わっていく様子も、思春期ならではで良かったです。
できれば、野波の義理の父親にも幸せになってもらいたいです。
天禅桃子さんの作品は全部既読しています。
今までの作品の中で一番は、フラッターでした。あっちが大人の社会人としての恋愛を描いているとしたら、ドッガールは高校生の恋愛と、大人にはなりきれない…高校生にはどうにもならない家庭の事情も描かれています。
もどかしくて、やりきれなくて、でも今を大切にしたくて、今一番良い状態を2人で見つけていきます。
友達2人が良い。留年してる比嘉への気遣いや助言、野波へのアドバイス。
1人は男同士の恋愛に、ちゃんとドン引きしてたし(笑)
野波の父の恋人で、父亡き後も保護者として同居している保との微妙な関係もお互いに分かり合えたのも良かった。
話の終わり方も、可愛くてすっきりしたハッピーエンド。
読んだこちらまで幸せな気分になります
(≧ω≦)bおすすめ