イラスト入り
「COLD HEART in TOKYO」の続き。
大人子供モンスターと自称大人の恋物語は、前巻でいろいろな問題を孕みながらもなんとなくハートウォーミングな結末を迎えたかのようでしたが、続巻である本書は嵐でした。疾風迅雷。絶句です。
木原先生特有ともいうべき展開に胸をかき乱される270ページ。一冊まるまる、のたうち回りました。
いやあもうこれは、なんといいますか。……読んでください!
とはいえおいそれとは勧められない内容なんですけどね。
前巻のレビューでは、メイン二人のことを、「同じ言語で会話しているのに噛み合わなくてどうにも意思の疎通ができない」と書きましたが、本書の場合、それどころではないというか、秋沢は完全に理解を超えた行動をするし、楠田は可哀相過ぎるし(身も心も痛い)、これを地獄絵図と言わずしてなんというか。
器官の機能的に仕方ないのでしょうが、性行為における男性の快感と、女性の快感は全然違っていて、このことはいわゆるエロマンガにおいても男性向けと女性向けとでは描き方が大きく異なっていることからも明らかというか。
足を開いて男性器を受け入れること自体、屈服であり屈辱、ましてやBLの受けの場合は尚更、本来排泄器官なのに相手に晒して女性器の代わりにされるので、肉体的にも精神的にも相当負担だと思っています。
相手への愛情だとか恋愛感情だとか、そういうもので相殺してこの抑圧をのりきっていたと仮定したら、本書で楠田が受けたことは、人としての尊厳を踏みにじられ、心をずたずたにされ、命にも関わるような大事件です。
起こした行動も最低最悪ですが、このときの秋沢が楠田に向けた言葉のひとつひとつが尚もおそろしい凶器でした。
楠田がどれほどの傷を負ったか、読んでいるこちらもひどく揺さぶられ、一緒に暗闇に落とされた気持ちでした。
半分読んで、ページをめくったら3年が経ち、まさかの秋沢視点のお話が繰り広げられるというのにも驚きました。
正直やめてほしかった。でも、秋沢がどういう精神状態で、どんな気持ちであんなことをしたのか、どう感じているのか、単純に知りたいという好奇心が勝ってしまい、読み進めるのをやめられませんでした。
それで、いろいろ思うところはありましたが、一番思ったのが前述の性行為における男性の快感の話です。この子は攻めだから(男性側だから)、所詮凌辱される側のことなんて1ミリだって想像できやしないんだなということでした。
何かが欠落している秋沢も、仕事をしているし生きているので、人とは程度は違うけれどもそれなりに成長をしている。
楠田のために、我慢を覚えた。これは相当大きなことだと思いました。
また、彼の周囲に人が増えました。意見を言う人が増えた。これも大きな変化です。
ちょっとずつではありますが、秋沢は変わって行っています。
木原先生はあとがきで、二人の今後について述べられていますが、私は楠田のことが心配でなりません。
シリーズの本はあともう一冊。心して見届けます(続編にあたるお話があるのかは不明)。
けれども読むのをやめられないどころか物凄いスピードでページをめくっていました。
読み終えて改めて表紙を見ると胸がギューーーーっとなりますね。
人の本質はそう簡単に変わらない…だからこそ秋沢が秋沢のままでいる限り彼の望む未来も絶望的かと思っていましたが……この終わり方で本当に良かったです。
あとがきでは木原先生が辛口と称していますが、in TOKYOが可愛すぎましたね…
NEWYORKは心殴られ続ける展開で頭から食われた気がします(笑)
空港のトイレのシーン、秋沢の部屋でのこと……忘れられない内容に今回も私のシリアス好きな心が大満足しました。
語りたいのに満たされすぎていて…何も言えねぇ…それより読むか読み直すかしてくれ~という気持ちでいっぱいです。
COLDシリーズやっぱ半端ないですね!!素晴らしい!!!
さすが木原先生の書かれるお話、所々秋沢にぶちギレつつも続きが気になって仕方なく、TOKYO~NY一気読みしてしまいました。
しかし読了後どうしても秋沢楠田カップルを好きになれず…(主に秋沢)。
COLD3部作の透も傍若無人でしたが彼の背景を思えば納得できましたし、ドン底から這い上がろうとする姿は痛々しいほどで、ボロボロになりながらそれに寄り添う藤島さんには何度も涙しました。
秋沢も秋沢なりに努力はしている様子ですが、楠田が彼女がいると嘘をついていたことに対して癇癪起こしたときには…いやあなた自分がやったことを思い出しなさいよと…
それから更に反省したとはいえ楠田も許してあげちゃいそうな雰囲気で、人が良すぎると感じました。
読み物としての熱量はありますが萌え視点で言えば趣味じゃないです。
年下陵辱攻め好きだし~!時間あるから気になってたしコールドシリーズでもよむか~!って軽い気持ちでポチったのが昨日の昼間。(電子版)The FInalを残して5冊分一気読みしました。電子版the Finalは3日後ダウンロード開始なので今週末に読みます...ハイ...。
何なんでしょう...陵辱攻めとかって簡単に言葉にしてはいけないものだと思い知りました。とにかく痛い...痛い...痛い...早く楽になりたくてページを進める手が止まりませんでした。
覚悟して読んでください...
木原作品は色々読みましたがこの作品が一番好きです。というか今まで読んだBL作品で一番大好きな、私にとって大切な作品です。
秋沢は楠田に浮気、暴力、レイプと、あまりにも酷いことをしてしまい、楠田も秋沢に酷いトラウマを植え付けられる。
もう一緒にいるのは無理、秋沢とわかり合うことも共に生きることも絶対に無理。楠田はそれを充分なくらい思い知らされたはずなのに…。
正光の前で泣きわめく秋沢の声を聞いた楠田は、なぜかボロボロと涙を流してしまうんですよね…。そして「死にたい」という秋沢の言葉に対する「海斗が死んだらどうしよう」。
私はこの台詞が苦しくて辛くて愛おしくて仕方がありませんでした。
あんなに酷いことをされたのに、なんで楠田は秋沢のことを憎まないのか、なんで死んでしまえと思わないのか。
自分が秋沢の死ぬ原因になったら後味が悪い、というのもあると思いますが、楠田はどんなに秋沢が怖くても、心の深い部分が秋沢にどうしようもなく惹かれてしまっていたんだと思います。悲しいくらいに…。
楠田は秋沢の才能に惹かれて、そんな才能溢れる秋沢が実はすごく子供っぽいところが可愛く思えて、そして自分に対して一途なところが嬉しくて…単純に、楠田は秋沢のことが本当に好きだったんだと思います。
ただ、あまりにも楠田が人の気持ちを理解できなさすぎて、このまま一緒にいたらずっと傷つくから、離れることを選んだのに…。
物語の終盤、秋沢は楠田の気持ちをやっと理解し始めて、ようやく諦めようとします。
しかし、楠田に手紙を送るのを辞めろと言われて、それを秋沢は拒否する。
自分のことを忘れろと言う楠田に「忘れたくない」と言う秋沢。
ここで秋沢が楠田のことを忘れようとして、手紙を送るのも辞めたら、二人の関係はキレイに終われたんだと思います。
しかし秋沢は最後の最後まで楠田に対して一途であり続ける。迷惑をかけない形なら、楠田を想い続けたいと執着する。
楠田が秋沢の指に勇気を出して触れたのは、そんな秋沢の気持ちが捨てられなかったからだと思います。あんなに酷いことをされたのに、あんなに自己中心な男なのに、あんなに傷付けられたのに…それでもやり直したいと思ってしまっている。
楠田もまた、秋沢に対して一途すぎるなあと思って泣けてきます…。あんなに酷いことをされたのに、まだ好きだなんて…。
このあたりの楠田の気持ちはCOLD THE FINALを読むとよりよくわかります…泣けます…。
お互いに無いものを持ちあっていて、だからこそ惹かれあって、だからこそ理解しえなくて、だからこそ酷く傷付きあって…そんな二人が最後の最後で一歩関係を前進させられる。そんな苦しくて切なくて愛おしい二人の話でした。
前作の透、藤島さん、もちょいちょい出て来ていい感じです!透も結構やばい奴だったのに、楠田のよき理解者になってて感慨深いですね…。あと谷口一瞬出て来てて嬉しい。
あとごく普通のリーマンな楠田が、秋沢のセックスに溺れて滅茶苦茶エッロくなるのは興奮せざるを得ないかったです…。in TOKYOの後半〜in NEWYORK前半の楠田えっちすぎてちょっともう…秋沢が惚れるのもわかる…(笑)
人を選ぶ作品かもしれませんが、私にとってはほんとうに大好きな、最高な作品です。出会えて本当に良かったです。