• 電子書籍【PR】
  • 紙書籍【PR】

表題作金の小鳥の啼く夜は

高塚英彬
半身に火傷を負った元オペラ歌手
菊川雪乃
オペラ座で働く盲目の少年

その他の収録作品

  • 夏の訪れ
  • 戯曲
  • 夜の王
  • あとがき

あらすじ

※発売日が2/27→3/27に変更になりました。

無理だとわかっているけれど、あなたのお顔を見てみたい――

名家である高塚家の双子の兄として生まれ、逞しい体躯に端整な顔立ちを持つ英彬。
しかしオペラ歌手としての才能を花開かせようと留学した先で、
不審な火事にみまわれた英彬は左半身にひどい火傷を負い、夢を諦めて帰国することに。
火傷の痕を革の仮面で隠し生活をしているものの、外に出るたびに
人々の好奇な視線に晒されて、日々苛立ちながら暮らしていた。
そんなある日、高塚家の持ち物である劇場で働いていた盲目の少年・雪乃と出会う。
ハーフであり天使のような容貌とやさしく素直な性格の雪乃に英彬は癒され、
逢瀬を重ねるようになる。英彬は雪乃に歌の才能を見いだし、
自分の名前や立場を知られないよう教育をほどこしていくが、
いつしか二人は惹かれあうようになり――。

作品情報

作品名
金の小鳥の啼く夜は
著者
かわい有美子 
イラスト
金ひかる 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
リンクスロマンス
シリーズ
金の小鳥の啼く夜は
発売日
ISBN
9784344833661
4.1

(45)

(19)

萌々

(15)

(10)

中立

(1)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
9
得点
186
評価数
45
平均
4.1 / 5
神率
42.2%

レビュー投稿数9

BL要素もっと薄めでも…

いいお話だった。
互いが互いのかけがえない存在となり、一緒にいられれば他に何もいらない盲目の受けと、そんな彼の純粋さに癒され救われていく攻めのお話。

世界名作劇場みたいな空気を感じて、いやこれBL要素なくていいよ…と失礼なことを思ってしまいました。
一般書で出会いたかった気がしなくもない(笑)

前レビューでも見かけましたが、私も親子に近い愛を二人に感じました。
そんな二人が体を重ねるところがどうにも唐突だった気がします。
せめてじゃれるようなキスまで程度だったら引っ掛かりませんでしたが、果たして性欲を抱き行為を必要とする二人だったのか…私のイメージにはなかったです。

攻めの双子の弟がほんとーーーーにできる男で人間完璧すぎて、やたらと感動してしまいました。

1

大正時代の帝国オペラ座舞台

かわい先生の過去作品読み。こちらは2005年ごろの同人誌作を改稿して出された2015年作。同人誌作と気付く、独特の雰囲気なお話がありますが、こちらはあとがきまで全く気付けませんでした。音楽ものが好きなので萌2より萌です。オペラ座の怪人モチーフの本編220P弱+小編3編+あとがき。

帝国オペラ座でこまごまとした仕事をしながら面倒を見てもらっている10歳の盲目の雪乃。「椿姫」の素晴らしい舞台が終わったある日、既に明かりの落ちたはずの舞台から溜息がでるほど美しい声が聞こえてきて・・と続きます。

攻め受け以外の登場人物は
嘉彬(よしあき、攻めの二卵性双生児の弟)、劇団の女性陣少々、攻めの家の使用人少々といったところ。嘉彬がナイスフォローです。よく出来た弟だ!

**攻め受けについて

欧州留学中に才能を妬まれてか放火され、大やけどを負い、結局デビューできずに終わった声楽家さん。魔王のような迫力のある良い声をなさっているようなのですが、火傷で顔も半分酷い状態になっているため、世を疎み引きこもりな生活を送っている方でした。

受けは幼い頃の高熱で視力を失った、青い目をもつ孤児。ひねくれた要素は何一つなく、心の目でまっすぐ物事を見ているようで、誰とも分からない攻めさんに、歌だけで懐いていく天使ちゃん。

見えないからということも相まって、歌を介してどんどん二人が心を通わせていくところが良かったです。最後、固く強張っていた心をほどいて、仮面付きではありますが攻めが再び舞台に立つところも良かった。自分の音楽を見失っていたわけではないけれど、人に心を開いて歌う事ができたのは嬉しいものです。

捻り無しストレートなお話なので、音楽もの、特にオペラ座の怪人が好きな方でしたら手に取ってみてもよいのではと思いました。

2

ファントムに恋した盲目の少年

「オペラ座の怪人」をかわい先生がBLにしたら、こんなに優しいお話になるんだなあ…。穏やかで心が洗われるようで、とてもよかった。一途に英彬を慕う雪乃がピュアで癒されるし、自分の正体を明かさず、盲学校に行かせてやったり、歌を教えてやる英彬もあしながおじさんのようで萌えた。

6年間もの長い間、ほぼ毎晩劇場で秘密のレッスンをしていたというシチュにも萌えるんだけど、劇場側のスタッフなど本当に誰も一度も気づかなかったんだろうか、とちょっと不思議には思った。二人がすんなり結ばれるのが物足りない気もするので、そのあたりでハラハラするような一波乱があったら神評価にしてたかも。

でもお互いを思う気持ちがこんなに、どちらに対してもプラスの方向に向かう、というお話は、読んでいて素直に気持ちがいいのでこれはこれで。英彬は雪乃に救われてよかったなあと、読後、暖かい気持ちになれた作品。

2

オペラ好き、必読

電子書籍で読了。挿絵なし。
今回は私がオペラ好きということもあって、挿絵がない故に、勝手にビジュアルを想像する楽しみもありました。イラストなし電子書籍ってこんな風な楽しみ方もあるのね。新しい発見。

かわいさんが感じていた疑問は舞台や映画で「オペラ座の怪人」を見たことがある乙女なら、皆が感じることではないのでしょうか!乙女かどうかは別にして、私もそう思ったもん。
「本来、こうあるべき」な「オペラ座の怪人」がここにある。

ちなみに、私の高塚はずっとアルバレスの声で歌ってくれていました。

3

あなたに会えるだけでいい

たとえあなたの顔を見ることができなくても…。盲目の少年と元オペラ歌手の身分&年の差ラブストーリー。「オペラ座の怪人」をモチーフに描かれた時代物です。ああ、久しぶりに萌えたというよりきゅんきゅんしてしまいました。やっぱこういうお話に弱いのって年齢かなぁ。

裕福な年長者がいたいけで不憫な子に目をかけて護り、同時に才能を開花させて支援する。おまけに両者とも見目麗しいときちゃ、懐かしの少女漫画脳が活性化せずにいられませんです、はい。美丈夫の双子の青年が登場するオープニングからして妄想が膨らみ、先が知りたくなって一気に読んでしまいました。

劇場に住み込み、雑用係をしている十歳の少年・雪乃。彼が公演後の後片付けをしていると、舞台の方から男性の美しい歌声が聞こえてきた。その日を境に雪乃は彼から歌を教えてもらうようになるのだが…。

男の雪乃に対する愛しさに溢れる様子や、彼にただ会いたいと切望する雪乃の思いがひたすら純粋で美しい。雪乃が成長して行き、男との間に官能的なものが芽生え始める瞬間に悶えつつも、雪乃が子供だった頃の二人の関係に一番癒されました。かわい先生のお話は品があって本当に素敵。

同人誌に発表した作品を改稿した作品なのだそうですが、先生の表現をお借りするとこういう「夜のお伽噺風」なお話、大好きです。あとがきを読むにつけ、ミュージカルやオペラ鑑賞が趣味だったらもっとお話の世界に入り込めたのかもしれないのだけれど、代わりに昔触れた芸術映画や近代小説なんかを思い起こしてイメージを膨らませ、自分なりにひっそりと楽しませてもらいました。『人でなしの恋』と少しリンクしているそうなので、そちらもぜひ読んでみたいと思います。

5

救われるファントム

オペラ座で雑役夫として働く盲目の少年・雪乃(受け)は10歳の頃、誰もいない舞台で歌う美声の男(攻め)と出会う。
以来、謎の男は雪乃に毎晩歌を教えてくれるようになり……

男・英彬(攻め)と雪乃の視点が交互に入れ替わる構成。

男(英彬)は元天才オペラ歌手。
その才能を妬んだ何者かに、ウィーンの下宿所に火をつけられ、顔と体の半身に酷い火傷を負ってしまいます。
以来、人前では常に顔の半分を仮面で隠すように。
世を憎み人を憎む彼ですが、純真で美しい雪乃を愛し愛されることで、オペラ歌手として再び花開いていきます。

雪乃は、異国の血を引く青い瞳が印象的な美少年。
オペラ座の雑役夫として一生を終えるはずだった彼ですが、声の美しさを英彬に見出され、やがてオペラ歌手の代役として舞台に立ち、一躍注目の的に。
目の見えない彼が、聴覚や触覚を頼りに英彬の人となりを想像し、愛していく様が心を打ちます。

オペラ座の怪人に着想を得て書かれたという本作品ですが、展開としてはあしながおじさんやシンデレラ、美女と野獣にも近いような?
恵まれない境遇の主人公が、謎の男に歌を教わり、匿名で援助を受け学校にも行かせてもらい、やがてオペラ歌手としても成功。
雪乃と英彬のそれぞれの境遇故に冒頭は切ない物語という印象でしたが、読み終えてみれば非常に順風満帆なサクセスストーリーでした。

二人の微笑ましいやり取り、登場するオペラなど楽しめましたが、もっと紆余曲折あってもよかった気も。
雪乃が英彬の弟を謎の男と勘違いして英彬とすれ違ったり、ラウル的な立ち位置の青年と三角関係になったり、かつての英彬のように才能を妬まれ火事に遭ったり……
良くも悪くも、俗っぽさやドロドロ感のない、どこまでも爽やかな物語でした。

3

Angel of Music

ミューオタでもあり特に「オペラ座の怪人」が好きなワタシとしては読まずにはいられませんでした!
作家さんと同じくクリスがファントムを選んでほしい派なので、この物語に気持ちよく酔えました。

時代は大正。この時代背景もなんかそそられます。
ウィーンに留学していた英彬は、東洋人にもかかわらずオペラ歌手としてたいへん期待されていた。だが嫉妬にかられた何者かに放火され半身に火傷を負い日本へ戻る。
顔には革の仮面をつけ自室に閉じこもる日々。
ある日、弟に連れ出されて「椿姫」の公演を観に劇場へ赴くがそこで10歳のハーフで盲目の少年雪乃と出会う。

英彬は自分の歌声を聴かれてしまった雪乃に毎日のように歌を教えるようになる。雪乃が愛おしくなった英彬は点字を教え、盲学校へも行かせます。
この辺はあしながおじさんを想像させますね。

雪乃は成長し、劇場でコーラスとして舞台に立つようになりますが、ある日主役が喉を壊し舞台に立てなくなってチャンスが巡ってきます。
その時に初めて、雪乃は英彬の正体を知ることになりますが…

雪乃が10歳から17歳になるまでの長い長いお話。
ふたりのお互いへの深い想いが甘く切ないです。えっちシーンがなくても良いくらいふたりのお互いへの愛情が伝わってきます。
英彬は歌の師として経済的にも雪乃を支え暖かい愛情を注ぎ、雪乃は英彬の閉ざされた心を癒してそして同じように障害を持つ者として英彬を深く理解します。

英彬はオペラ歌手として認められていく雪乃を手放そうとするところは切ないです。でも離れる方が雪乃には辛いのです。
その想いをすがりつくように告げるのですが、雪乃からの告白はとても大人っぽく感じられて感動的でした。

英彬の二卵性の双子の弟の嘉彬は、雪乃がそばにいることで兄が癒されているだろうことを理解して見守りそしてふたりで一緒にいられるように計らったりするところにも胸を打たれました。

いろんな要素が個人的にツボ過ぎて幸せ気分いっぱいです。
最高の演出で舞台を観た気分にさせられました♪

11

純粋無垢な受けに救われる

あしながおじさん、マイフェアレディ的なストーリーです。
将来を期待されていたオペラ歌手の攻めが酷い火傷をおってしまい、夢も希望もなくなって排他的になっていたところ、純真無垢な盲目の受けに出会って救われていきます。
カタルシスです。
親子のような関係性だったので、萌えはあまり感じませんでしたが、純粋に良い話でした。
幼い受けが攻めに学ぶことの楽しさや人としての喜びを教えてもらう場面では、思わずうるっときました。
大正時代の懐かしいような世界観も良かったです。

3

オペラ座の怪人

「人でなしの恋」と少しだけリンクしている作品だそうです
自分は読んでいないので、主人公以外でフルネームでの登場人物だったので
あれ?と思っていましたが・・・
最後の最後でこういうことか!とリンクしている部分に感心です

半身に酷い火傷をおって顔には仮面をしている攻め様と
どこぞの外国の血を半分持っている盲目の受け様。

オペラ座の怪人のお話を知らない自分なので、どちらかというと・・・
あしながおじさん的で、幼い受け様に教育を援助したり
夜の2人だけの秘密の歌の授業などをしていくうちに
徐々に惹かれ合っていきます
惹かれるも歳の差の問題もあるし
お互いの身体の事とかいろいろ悩んでくれてますw

劇場の雑用として一生終わる受け様の才能を見出していく攻め様
出会いが受け様が10歳の頃からなので7年の間ではぐくんできた愛です!

2人がむすばれた後、目の見えない受け様が攻め様の顔が
見えたような錯覚のシーンは本当にぐっとくるものがありました

もう少し甘さが欲しい私でしたが、楽しめた作品でした

7

この作品が収納されている本棚

ちるちる評価ランキング(小説)一覧を見る>>

PAGE TOP