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表題作嘘つきなドルチェ

吉木康平,総合商社海外総合産業部の商社マン,27
藤倉佐紀,三ツ星リストランテの副料理長,27

その他の収録作品

  • お料理はお好きですか?
  • あとがき

あらすじ

合コンで出会った女性に手料理を披露することになった康平は、10年来の友人でシェフの友人・佐紀に料理の特訓を頼むが…。

作品情報

作品名
嘘つきなドルチェ
著者
雪代鞠絵 
イラスト
金ひかる 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
幻冬舎ルチル文庫
発売日
ISBN
9784344834309
3

(28)

(5)

萌々

(8)

(4)

中立

(4)

趣味じゃない

(7)

レビュー数
5
得点
73
評価数
28
平均
3 / 5
神率
17.9%

レビュー投稿数5

書き下ろしの方が長かったです

「雪代鞠絵さんの新作小説が読みた~い~~~!!」
と、心の中で叫んでいたら(出版社に手紙を書けよ! …いや、それは会社さまにお送りする文面を書ける筆力に自信が無くて……ダメ人間)
本書が出ました。快哉!
私の記憶では(間違っていたらごめんなさい)、新装版以外のオリジナル小説の新刊(マンガ原作と超訳の新刊はありましたけどね)は、2008年の「純白の条件」以来じゃないでしょうか。私も執念深く待ったものです。

本書は、「お料理はお好きですか?」(2008年雑誌掲載を加筆修正)と、今回書き下ろしの「嘘つきなドルチェ」の二話構成になってます。
しかし、書き下ろしの「嘘つきなドルチェ」の方が長いです。
「お料理はお好きですか?」は康平視点(攻め視点)、「嘘つきなドルチェ」は佐紀視点(受け視点)で描かれます。

<ここから盛大なネタバレになりますので、ご注意を!>
…………………………………………………………………

主人公二人は27歳、高校から10年来の同級生同士です。

「お料理はお好きですか?」
大手商社勤務のサラリーマン・康平と、イタリアンの名店の副料理長・佐紀は、高校時代から10年来の親友同士。
康平は失恋するたびに、佐紀のマンションに押しかけ、佐紀が作る美味いつまみを肴に飲んだくれる。
康平には悪いクセがあって、佐紀いわく「八方美人」。ついつい恋人より仕事を優先してしまう朴念仁である。
ある日康平は、合コンで好みどストライクな女性に出会い、うっかり彼女に手料理を振舞う約束をしてしまうのだった。…

私は後半の「嘘つきなドルチェ」の方に強く心惹かれました。
真性ゲイの受けが、本来ストレートの攻めに愛されることが、心の中でいたたまれない、というのはよくある話です。
が、ズバリ言おう、直腸洗浄や肛門性交の「男同士のセックスの現実」なんて「汚いから知ってほしくない」と、想い通じても半年も隠し続ける受け! という設定に、新鮮!つか、斬新!な思いを抱きました。すごくソフトなんですが直腸洗浄の描写なんて、久しぶりに読みました。
でも、佐紀が康平に本当に隠したかった「汚さ」は、自分の中にあったのでは?
ごまかす口は自然に嘘をつく…。
康平は失恋するたびに佐紀の自宅に押しかけ、酒飲んでクダをまきまくっていたので、自分の弱さを昔から佐紀にさらけ出してきた。
ところが、佐紀は高校時代から「康平への恋心」という最大の秘密を抱えていたので、康平に愚痴ひとつこぼしたことがない。
このアンバランスさに、30代の建築家である美食家・麻生が、つけいるすきがあったわけですな。

雪代さんの文章は、少し文体が変わったでしょうか。
でも、ラストの激しいベッドシーンになだれ込むジェットコースターな展開は変わらず。私は「先へ先へ」と本を、ものすごいスピードで読んでしまいまして……。またゆっくり味わって二度目を読みたいと思いました。
濡れ場の翌朝、ベッドで「美味しい」と康平が作ったフレンチトーストを味わう佐紀。和みます。やっと食べ物を味わう余裕を取り戻せたんだね。

金ひかるさんの挿絵は、雪代さんの文章と相性がいいと感じました。

12

久しぶりの新作ということだったのですが

少し前に超訳で新作を出されていましたが、新刊は本当に久しぶりの作家さんです。昔から大好きで既刊本はほとんど読んでいますが、今作は作風を変えたのかなという印象を持ちました。
10代や学生の可愛らしく健気な受けがとても魅力的な作家さんなのですが、今作は少し年齢も高く純真無垢な健気というよりは強がりで一人で突っ走るタイプの健気な受けでした。
ラストのベッドシーンも、以前は良い意味でBLらしいファンタジーに溢れるものだったのですが、今作は下準備や後処理など少し現実実のある描写が多かったです。
長く活躍されている作家さんなので文章などが変化していくのは当たり前のことなのですが、本当に久しぶりの新刊だったので、少しだけ期待から逸れてしまいました。
ただ、数々の素敵な料理の描写や間男の襲撃は相変わらず面白いので、これからもずっと新刊を待ち続けることは間違いないです。

7

もう少し甘さが必要です

攻め 商社勤務のエリートサラリーマン。
受け 有名イタリアンの副料理長。

前半「お料理はお好きですか?」で、受け 佐紀の可愛さに頭を抱え、ケナゲさに身悶えしました。
その対比で、攻め 康平の鈍さに何度顔を掻き毟ってやろうと思ったことか。


高校からの同級生で、27歳の社会人になっても付き合いのある友人同士。
モテる康平は、彼女と別れるたびに佐紀宅を訪れて慰めてもらいます。
美味しいプロの手料理と、毒舌だけど思いやりのある言葉に励まされて、康平は毎回次の恋へとリスタートする、という。

慰め役が、実は片想いパターンは「あるある」ですが、この佐紀の恋情がね。
読んでいて、はっきりとは書かれていないのに、ダダ漏れなんですよ。
こういうの本当に上手ですよね、雪代先生は。

だから、自然に佐紀に肩入れしてしまい、康平の無神経な発言に苛々ムカムカさせられます。
失恋の痛手直後の合コンで知り合った女性のことを「ひとめぼれ」だの「最後の恋にしたい」だのと佐紀に告げ、挙げ句、彼女のために料理を教えろ、だと‥。
途中でツラくなりすぎて、読むのをやめようかと思ったほどです。

この前半部の佐紀のキャラが、好きで好きで。
容姿はキレイなのに毒舌、人嫌い。家族思いで仕事には真面目。康平を一途に想い、自分の恋心は殺すケナゲさの持ち主。
気持ちが通じ、ホッとし、わーこの子の幸せな場面を読めるんだわーと期待していた後半「嘘つきなドルチェ」。

全然幸せじゃねぇー!!(叫)

佐紀が、めんどくさい感じになっていました。
男同士の恋愛に対して鬱屈を抱えるというのはわからなくもないけど、こんなに一人でぐるぐるしなくても良いのでは、と思いました。
いや、確かに前半部から、ナイーブで自己犠牲精神な面を出してはいましたよ。
でも康平視点だったから、表面化してなかったように感じたのかも。

できれば、ほんわか幸せモードな二人をもう少し読みたかったです。
あともう一つ。
佐紀の料理に対する愛情云々のくだりが、モヤっとしました。

畑山に料理好きじゃないと指摘される→麻生にも言われる→自分でも向いていないと思う

佐紀という人間を構成する重大要素として、最初からあった「料理人、料理好き」を衝撃的に覆しておいて、康平に「いや、オマエは料理好きだ」と言われたら、その後さらーっと流され…たのか…な?
過去、弟妹たちに作ってあげていた食事の描写などから、料理への愛は揺らがないでいて欲しかったな。


雪代先生のお話としては甘さ控えめでしたね。
オーダー 砂糖増し増し、でお願いします。

0

ちょっと残念かな・・

本屋さんで何気なく手に取りタイトルに惹かれ購入。
初めて読んだ作家さんです。

大筋の内容、何を言いたいのかは理解できました。
好きすぎる相手への想い、ゲイである自分ともともと女の子の好きな彼。
恋人になってからも、離れて行くこと最悪なことばかりを想像し
嫌われないようにと努力を惜しまない
それが本当の自分ではないとしても。
その辺まではなんとなくわかりました。
男女のそれとは違って、いろいろ準備が必要なことも
ことが済んだ後も、いろいろ面倒なこともあり
受けの身体に負担がかかることも、ゲイの世界では医学的な意味で
常識なのかもしれません。
だけど、やっぱりこれは作られたお話であって
読み手側の気持ちからいうと、もう少し夢がある表現でもいいのかな。。と
難しいですね・・

私の場合、一番最後のベッドシーンがダメでした。
あれじゃぁほとんど強姦でしょう。
いくら今までたまったものがあり、怒り爆発だとしても
よくよく話も聞かないであれはないでしょう。
大好きな相手にあんなSEXされるなんて、考えられない。
愛しているからこその激怒だったのかもしれませんが
愛情って、一歩間違えるとこんなふうになるのかと恐くなりました。
学生のころからの親友で、ずっと好きだった人。
そして、彼から恋人の話を聞かされ、時には彼女に振られた彼をなぐさめ
自分の気持ち隠して、彼の幸せだけを考えて生きてきた主人公。
意地っ張りで頑張りやで健気な主人公の複雑な気持ちは
理解できましたが、最後にあんな形で彼に抱かれるとは・・
それでも愛おしいと想ってしまうのは、惚れた男の性ですかね。

また、当て馬的に出て来る女の子が何人かいましたが
どの子もなんだか中と半端で、想像しにくい感じでした。
最後に出てきた麻生さんも、最終的には胃癌というかたちで
二人の前から消えますが、それまでかなり押せ押せだった麻生さんが
突然そういうことになるのが、なんだか違和感感じました。
今まで他の作品を読んだことがなかったので、比べることはできませんが
次回の作品に期待したいです。

5

期待していた分、落胆も大きい。

雪代さんの久しぶりの新作ということで、とても楽しみにしていました。発売を待ちかねて買って読みましたが、期待外れもいいところでがっかりしました。

正直、受けの佐紀の年齢だけで興味半減でしたし、どちらのキャラクターも魅力的とは感じませんでした。
しかしそれ以上に、とにかく書き下ろしの表題作の洗浄だのなんだので嫌気が差しました。
私が読みたいのはファンタジーとしてのボーイズラブで、ゲイのリアルなんかじゃないんです。

リアルを追求するような作家さんは最初から読みませんが、好きな作家さんにこんな不快にさせられるとは思ってもいませんでした。

読んではいけない・損をすると言うつもりはありませんが、私個人は雪代さんの作品としては読まなければよかったとしか思えません。私が雪代さんに求めるものは何もありませんでした。

今の時代、雪代さんお得意の(そして私が期待する)可愛い少年ものは難しいのかもしれませんが、もし今後もこの作風で書かれるのなら、もう雪代さんを読むことはないでしょう。

自分がレビューを書くことなんてありえないと思っていましたが、これだけはどうしても言っておきたくなりました。

7

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