イラスト入り
下記全部ネタバレです。
初見の方にオススメできるのかという点で見るとやや微妙。
97年本誌掲載作の改稿とのことで、もとは約20年前、大層に言わせてもらうと四半世紀前の作品ということらしいです。違和感はほぼないですが、発売延期が続いたところを見ると、リメイク作業が結構大変だったのかなあと思いました。ラストがあまりラストっぽくないというか、ここで止めておかないとまたずるずる続いてしまう;という畏れから打たれたピリオド、っていう感じで、前後編の前編を読み終わったような印象に近いです。続きがぜひ読みたい。長野視点で。個人的にこの長野という人物がよく掴めず、熱い人なのか冷めた人なのか、どこまで冷静なのかとか、本当はどんな性格の人なのかが最後までわからなかった。ただ、尊敬している元カノの事ですら、絶対最後まで苗字か名前か知らんけど「さん」付けで呼んでいたに違いないのに、達也の事は「お前」なんだ。ってフッと考えた時にすごく萌えた。あと、「好きな人としかしたくない」っていう乳臭い主張を笑われ、換気扇の下に煙草を吸いに行った時って何考えてたんだろう?とか。その煙草を吸う姿が「そこそこ様になっていた」っていうのも萌える(是非井戸先生のイラストで見たかった)し、煙草なんて吸いそうにないのを「……たまに」吸っているのは、やっぱり達也が忘れられなくてなの?って考え始めるとたまらないですよね。センチメンタルフレンドの小田っぽいかな?とも思うのですが、あそこまで支配的なタイプでもなく達也が荒らした部屋の中で平然と弁当を食べる…器量が狭い人なのか大きい人なのかわからない。マイペースなのか合わせる人なのかもわからない。このわからなさ加減が絶妙ですごく興味をかき立てられるキャラでした。あと、怒り方がすごく自分の好みでした。「……話した?」ってところとか。それからヴィジュアルがすごい好きなのかもしれないです。作中では会話?とかダセェダセェ言われてるけど、身体的にはスタイルも良くて、後頭部の形とかもいい人なんだろうなあ、と。確かに喋りは「であるがしかし」みたいな固さがあり、頭でっかちかな?って思うと、作中にもあるような大人の返しを唐突にしてくる。そういう計り知れない部分が魅力的でした。カッチカチに喋ってたり、「そう」「近くで寝てるから、具合が悪くなるようなことがあれば起こして」って、「起こしてくれ」まで言わない「起こして」で終わる感じもあって萌える。
ハートつながりで言うと(正確にはhurtとheartで何も繋がってないですが)コールドハートももう10年近く前の作品になってくるわけで、いや、この前読み返して感じ入ったばっかりなので、そういう作品が光を失わず私たちを引きずり込む力を持ち続けているというのは本当にすごいことだと思いますね。全然とりとめがなくなってしまった
評価のとても難しい1冊。主人公の受はクズとしか言いようがなく本当に性格が悪い。何か困難があるとその原因を他者のせいにして、心から反省するということがない。つまり共感しにくい人物であるということ。
対して攻は寡黙で少し言葉足らずな部分があって、これまた理解をしにくい。
それでも物語には魅力があり最後まで一気に読み終えた。結末もはっきりと白黒ついたモノではないが私はその曖昧さが良いと思った。主人公が人生で初めて必死になって求めた物が得られると私は信じたい。
皆様のレビューを先に見てしまい発売日に購入したにも関わらず尻込みしてしまい1ヶ月後の本日読み終えました。
さすが、と思うのは作品の吸引力!止めることが出来ず1日で読み終えてしまいました。途中で止める所がありませんでした……
クズだクズだとの噂通り、受けはクズでした。ただ、前半のクズは高校生独特のものかな、と思いますがそこが後半のクズ具合より遥かに私は嫌悪してしまいました。
高校という箱の中の限られた物しかない空間で勉強、友達、恋愛は三種の神器みたいなものだと思うのにそれをどれもグシャグシャにされてしまった攻めが酷く切なくて。まぁ、友達に関してはやや自分の早とちり等のせいでもあるんですが。頑張ってた勉強も手に着かなくなる程の恋愛に振り回されてしまった彼は学生にありがちですが、彼のバックボーンも相まってとても辛くなってしまいました。
そんな彼が努力して夢を叶え色々な武器を手にし趣味?なのか海外のサイトを見たり砕けた話し方が出来るようになっていたのに感動してしまいました。君の努力の賜物だよ、と。
努力をしなかった受けとのコントラストが読んでいて面白かったです。
人は努力なしでは変われない。それをまざまざと見せていただけました。
私は基本、攻めに酷いことをされなければ他者からどんな責め苦をされても大丈夫なので、後半のクズへの暴力レイプシーンは受け流せました。攻めがとても優しく愛してくれたからなおのことです。
酷いことしかなかった時に優しくされそれが嬉しかった、そんなの当たり前のことです。こいつしかいないと思うのも当然です。ただ、優しいのもあいしてくれたのも嬉しかった、すがりたい、で終わるのではなくそこから昇華させていってね、と受けの最後の言葉を読み、ささやかながら応援したくなりました。
あとがきに二人が暮らすとありましたが、それを物語で読んでいないので想像に終わりますので、やはり最終的にどうなったか気になります。対クズ受けになると、どうしても強く踏み込めない攻めはきっとなし崩しに面倒を見てしまう気もします。懐疑心を抱きながら。それをどのようにして受けは返しいくのか気になります。
このような終わり方に文句も何もありませんし、素晴らしいと思いますが……やはり続き……下さい!!
いつになったら受けが改心するんだろう?と思ってページをめくり、めくり、めくり、あれ?もう残り少ないけど・・・となり、結局いいところ無しで終わってしまいました・・・( ̄□ ̄;)
あとがきを読んで、特に次の刊が出るわけでもなさそうな雰囲気なので、「ちょっと待って」って感じです。
受けもやればできる子だと思います。
木原先生、お願いですから受けに挽回のチャンスをあげてください。
そして長野を幸せにしてあげてください。
お願いします!!!
こんだけクズで憐れな受でありながら、ちゃんと読ませる展開に持ってこれる木原先生はやっぱり神です。でもラストは受け入れられない人も多いと思うので、安易にオススメはできません・・・。
木原慣れしてる人には「いつも通り嫌な奴が出てくる痛い木原小説だよ」って伝えます。
木原小説読んだことのない人には、「木原先生なら、他の読んでからこれ読んでみよっか?まずは『美しいこと』とかどお?」ってさりげなく話題逸らしたくなる、そんな作品です。