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ああ、楽しかったなぁ。
五十嵐の近くにいられた。彼を見ていられた。話ができた。
五十嵐のことが、好きだなぁ。
「うなじまで、7秒」がとっても好きだったのでこちらも。正直タイトルと表紙は微妙なんですが、試し読みから最後までずっと好みな作品でした。
自暴自棄になっていたところを、労るように愛おしく触れてもらって、自分を大切にすることを始める。
側にいない間ずっと相手のことを考えている。側にいられればずっと嬉しい。
些細な優しさを見せてくれた人がずっとそのままで居てほしいと願う。
しみじみと相手を好きな気持ちを感じたり、実生活で自分の立ち位置を見つけたり、恋がとても素敵なかたちで書かれていて、両片思いすれ違いのもだつきや切なさや萌よりも、ほっとするような気持ちで読めます。
ナツ之さんの書く濡れ場も本当に好きなんですが、この作品では2回で少ないながらもやっぱりとても好きでした。
10万円で買ったという最初がめちゃめちゃ長い。二人とも敬語で、「ここは苦手で」「分かりません」と淡々と話していたと思えば無意識に誘い文句を口にしたりする深井と、五十嵐の優しい愛撫と溺愛っぷり、二人の独特で甘い雰囲気が最高でした。
五十嵐はラグビーをしていた体格で無骨さのある性格だけど、海外出張で共にすることになった深井をアシストしたり顔色を見ていたり、優しさやスーツ姿が目に浮かぶようでした。
深井目線のお話ですが、最後に五十嵐目線での短編があり、こちらもとても良かったです。
自分のセクシュアリティに土足で踏んでくる人を軽くいなした深井、彼の清々しい性格ずっとそのままでいてほしいと願う。それなのに会社都合でボロボロになって…と深井の不憫さと可愛さ愛おしさが五十嵐目線で溢れてました。
もっと二人の続きが読みたいです。
タイトルとあらすじから売春系?と勝手に予想していたのですが、意外と純愛でした。
表題作は深井(受)の視点。五十嵐(攻)に一晩10万円で抱かれたのですけれど、初対面でムリヤリというのでなく、仕事で関係もあり、優しくて、事後、恋愛なのかもとほんのりしたのに、その後、音信不通になってショックを受ける。その二年後、再会し、一緒のプロジェクトをやる。という恋愛に悩みつつきちんと仕事もする話でした。
同時収録の「おまえを攫うそのまえに」は五十嵐(攻)の視点。出会いから毛布をかけるまでの短編。その先が分かっているので、思わずうふふとなってしました。
五十嵐は溺愛というほどではないのですが、毛布かけたり、カレー作ったり、さりげなく気遣いが、愛情を感じて良かったです。読み終わってから表紙イラストを見るとなお素敵でした。
封筒の中を覗いたらこんな誤解は生じなかったのでしょうが、主人公の見たくないって気持ちがすごく理解できましたし、名刺なら封筒の上から触感で感じたかもしれないけれどメモ紙ならそれも難しいし。と、ストーリーの肝となる部分がすんなり受け入れられた分、楽しく読めました。
悪い人が出てこないので、読みやすいと思います。社会人カップルが好きな方にお勧めです。
「お金がないっ」系のお話というよりも、異国で育まれる二人の心の通い合いを描いた作品。
ナツ之先生らしいしっとりした作風はままで、安定して読めました。
CPに体格差があって、攻めが男らしくかっこよかったところが個人的に好みです!
もうちょっとエロが入っていたらなお嬉しかったな~。
舞台が途中からアラブになるのですが、アラブものじゃないです笑
身売りものでもあるんですけど、そちらに重点が置かれている感じでもない。
色々設定はあるものの、純粋にお仕事リーマンのすれ違い両想いラブです。
そして二人が堅実なんですよ。地に足がついていて、一生懸命で、まっすぐで。
序盤の10万円で一晩を買われるシーン。想像以上に甘々で濃厚で、楽しいです。本当の恋人のよう。読み手の気持ちも盛り上がってきますが…その後のすれ違いが結構壮絶。偶然の重なりで音信不通になってしまっただけなのですが、お互い真っ直ぐすぎて、良識がありすぎて、思い込みが激しすぎて、捻じれに捻じれてほどけない。
この二人じゃなかったら二年も苦しまなかっただろうに、と哀れみすら感じます。それでもお互いがこういうお互いを愛しているので、乗り越えてもらわないと!と応援しながら読み続けました。
アラブ現地の女性たちの暮らしぶりや深井くんのペイント仕事の様子などなど読み物としては退屈しない作りですが、なんせ途中のラブが足りない!!すれ違い>>>ラブの比重です。内容は優しいですが、構成としては辛目ですね。そこが他と違って印象に残るポイントでもあるのですが。
すれ違いお仕事ものが好きな方には一読をおすすめします。
本編(深井視点) + SS(五十嵐視点)
2年間頑張ってきた仕事を理不尽な理由でクビになり自暴自棄になっていた深井諒太(受け)は取引先の営業だった五十嵐(攻め)に10万円で身体を売ることになります。五十嵐は深井を「前から好きだった」と言い、大事に優しく抱いてくれたのですが、次の朝目覚めると五十嵐はおらず、それ以来音信不通になります。
ショックを受ける深井でしたが、会社を辞めた後何も考えられなくなっていたのがウソのように周りに連絡をとり再就職し営業として仕事を楽しいと思えるようになります。
そんな時、体調を崩した元上司に代わり、中東での3社合同プロジェクトへ参加することになります。そのプロジェクトで偶然、五十嵐と再会するのです。
深井は無欲で偏見もなく相手のために頑張り、間違ったことは間違っていると誰にでも言える人です。ただ、そのせいもあって会社を追われることになるのです。ダメになっていく会社のために身を粉にして働いた挙句のこの仕打ちに、生きる気力もなくしていたのですが、心配した五十嵐が声をかけてきて、どうなってもいいと思っているなら抱かせてほしいと言われます。冗談だと思って10万円ならと返事をすると、五十嵐は本当に10万円持ってきて、そのままホテルへ行くことに。
タイトルから、お金に困って身体を売ることから始まる話だと思っていたので、いい意味で拍子抜けしました(売春は苦手なのでこちらのほうが断然いいです)
お互い、この一夜を過ごしたことで恋が始まったと思っていたのに、連絡が取れなくて(後で理由がわかりますがここから長いすれ違いが始まります)お互い相手はなかったことにしたかったのかと落ち込みながらも忘れることができなかった二人でした。
再会してからも、余計な情報が誤解を招き、やはり心はすれ違いが続くのです。再会してからの深井は、自分の心に残った恋の芽を何とかしようと五十嵐に何度も話をしようとするのですが、絶妙なタイミングで邪魔が入り確認することができず、もやもやがずっと続くのですが、諦めなかった深井は頑張ったと思います。深井の頑張りがなかったら、すれ違ったまま五十嵐と別れることになってい
たことでしょう。
ただ、女性としか付き合ったことごない深井が全く葛藤を感じてる風でなかったのはちょっと疑問でした。
本編は深井視点なので、五十嵐の態度が謎でずっと不審に思っていたのですが、五十嵐視点のSSで明らかになり、読み返すと納得できるようになっています。
これについてはネタバレしないほうが二度おいしく頂けると思います。
最初の絡みは描写がしっかりとしていてp40くらいあります。
その後は深井の奮起から二人の再会・中東での仕事の描写と続き、本当に最後のほうまで両想いになることはありません。深井視点なので、五十嵐の態度がころころ変わり、それに振り回される深井が切ないです。とはいえ、五十嵐は五十嵐で思うところがあり、辛い思いをしていたのでお互い様でした。
長い両片想いの末やっと両想いになった二人の話をもう少し読みたかったので、もう少し先まで読ませて欲しかったです。