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表題作調教は淫酒に濡れて

宗司一鷹,ワイン事業の実業家,プロ調教師
潤音,ソムリエ見習い,元売り専ボーイ

同時収録作品女王の独白

その他の収録作品

  • 公開調教
  • あとがき

あらすじ

天涯孤独の潤音は、表の顔はやり手の実業家、裏の顔は徹底したSを貫く一流の調教師・宗司一鷹に拾われる。
屋敷に住みソムリエ見習いとして励む一方、夜は拘束された身体を宗司の前に差し出し、彼の巧みな手と淫らな道具で狂おしいほど熱く愛される。
宗司の調教でますます艶やかに濡れていく潤音の身体、官能に啼くたびに深まる二人の愛。
ところが、ワイン事業で思わぬ事態に直面した宗司。
力を貸すと名乗り出た「知人」は、潤音を差し出せと言ってきて!?

作品情報

作品名
調教は淫酒に濡れて
著者
砂床あい 
イラスト
小山田あみ 
媒体
小説
出版社
リブレ
レーベル
ビーボーイSLASHノベルズ
シリーズ
調教は媚酒の香り
発売日
ISBN
9784799727638
4.4

(89)

(64)

萌々

(7)

(13)

中立

(2)

趣味じゃない

(3)

レビュー数
10
得点
389
評価数
89
平均
4.4 / 5
神率
71.9%

レビュー投稿数10

自分の役割を考えられる2人に感嘆

 作品に登場する屋敷の豪華さや主であるQの容貌こそ非現実的であるものの、メインであるSMシーンはけっして現実味を欠いているわけではない、バランスのとれた所がこのシリーズの魅力の1つかなと思います。冷た過ぎず、甘過ぎずな調教は宗司もQも非常に上手い。攻めがSとしての矜持を持っていることがしっかり感じられる、こういう作品はなかなかないんじゃないでしょうか。唯一ハマれなかったのはQが潤音を預かっていた間、彼に女装させていたこと。女装があまり得意でない私は、納得できる理由がないと萌えられませんでした。宗司が迎えに来た時でさえ間抜けな女装姿だったのは残念。ただ、宗司と潤音のお互いを一心に想い合う気持ちの描写は素晴らしかったです。

0

イチャイチャしてないのに甘い♪

大好きな調教は媚酒の香りの続編。
本編「調教は淫酒に濡れて」
ショートで「女王の独白」「公開調教」の2本が入っております。

しかし、あらすじを読むとなんだか不穏な雰囲気(*⁰▿⁰*)
ワイン事業で思わぬ事態に直面した宗司。力を貸すと申し出た知人が潤音を差し出せと言い出して…だと!?
この人が居れば全て大丈夫と思わせる、気高くも愛に溢れた宗司が変わっていたらどうしよう、自分を捨てないと信じられるSの側にやっと居られる様になった潤音が不憫過ぎる……。
戸惑いながらも読み始めたのですが、結論から申しまして、全くの杞憂(*´꒳`*)
最高に良かったーー!

好きなシーンのお話を。
SMにはセーフワードという、Sの責めが行き過ぎた場合ストップをかける言葉を決めておくそうで。もちろん2人にもセーフワードがあるのですが、前作調教は媚酒の香りで潤音はそれを一度も使う事がありませんでした。そんな潤音が今作では、フィスト・ファックの準備をする宗司を見て体が竦み、震えるんです。
ちなみに私も震え上がり(笑)、潤音ー!もう頑張らないでー!セーフワード言ってー( ; ; )と、1人でハラハラドキドキ。
潤音もいよいよセーフワードを使うのかと思ったのですが…。
もうね、潤音の愛の深さと宗司に対する信頼に感無量でした。そのシーン5回は読み返しました(=^▽^)笑

あらすじの通り、今作では潤音は宗司の屋敷を出て2人が離れ離れになる描写が結構続くんですが、互いを思い合う2人の愛が終始溢れていて、なんか離れ離れだった気がしないんですよね。

なんだかんだありながらも、今作もハピエンなわけなんですが、これ以上無いくらいの幸せを詰め込んだハピエンでした(;_;)♡
求めていたのは潤音だけじゃ無かったんだね。宗司もずっと、こうなれる人を求めていたんだね。

おっと。最後になりましたが、肝心のSMシーンの話を。前作より一歩踏み込み、SM中級あたりまで来た感じでしょうか。
しかし、今作でも美しく愛ある描写のおかげで、楽しむ事ができました!

甘いお話なんですが、イチャイチャラブラブはありません。それでも最高に甘いんです。
刺激と甘さを欲している方にお勧めです♪

3

試される主従の絆

私にとっては、SMものへの扉を開いてくれた特別な思い入れのある作品です。
「調教は媚酒の香り」の三年後のふたりを描いた、愛に満ちた淫靡で甘いお話、ぜひ二冊セットで読んでほしい。

冒頭、いきなりフランス語のレッスンをしながらの調教シーン。
前作で恋人同士として結ばれたふたり、もうSMプレイはしないのかな? という心配は早々に吹き飛びます。

宗司は新しい事業に着手していますが、なかなか思うようにいっていない様子。彼に救いの手を差し伸べようとしたのは、前作にも登場した、SMサロン「アントレヌール」のオーナー、絶対的支配者のQです。
そんなQの出した条件は、新しいワインが完成するまでの間、潤音を自分のところに預けろ、というもの。
当然宗司は断りますが、潤音はそれが主のためになるのなら、と条件を飲みます。そして潤音は、Qのお屋敷で彼の調教を受けることに…。

そこからはじまる、Qによる調教がこのお話の肝になります。
あくまでもQは、「宗司の奴隷としての潤音」を見たかったんでしょうね。Sの女王様だから言葉はきつくて、なにを考えているのかわかりにくいけれど、主への忠誠心を試したかったのかも。
このシーン、相当ハラハラしたけれど、無理矢理犯されるというような鬼畜展開もなく、そういうのが苦手な私は、心底ホッとしました。なんだかんだ言って、Qは潤音を気に入っているし、優しいんじゃないかな…。

Qからの苦しい責めを耐え抜く潤音。主と離れている間の彼の様子はいじらしく、胸が締めつけられます。手紙を受け取ったシーンや、晩餐会に呼ばれた宗司との束の間の再会…寂しさをこらえ、一途に主を想う健気さに、なんども涙が出そうになりました。
けれど、結果的に離れていたこの時間は、ふたりの絆をさらに強固なものにしたことは間違いありません。

それにしても、宗司が持つ主としての愛情はスケールが大きく、今回も読者の予想を超えてきます。
前作で、彼は潤音に居場所と仕事を与えましたが、今回はそれを上回ったのでは…。
物語終盤、ようやく完成した純国産ワインを飲ませてもらう潤音。そのラベルに隠された、自分へのメッセージ。愛する人に祝ってもらう、初めての誕生日、そして…。

いやあもう、Sなのに、こんなに甘くていいのかな?っていうくらい、宗司は甘いです。
彼は溢れる愛情を、言葉じゃなく行動で表せる人。ちょっと、スーパー攻め様すぎやしませんかね。文句のつけどころがないんですけど。

さらに、前作のレビューで宗司はムッツリだと書いたのですが、やっぱり今回もそのムッツリぶりは健在。
どんなにクールぶってても、やっぱり潤音のことが心配でたまらなかったっていうのが伝わって、萌えて萌えてしょうがなかったです。
言葉の端々にQへの嫉妬が見え見えだし、「指一本入れられてないし、射精もしてない」とわかった後は……もう、このムッツリが!と言いたくなるがっつき具合でした。
潤音は本当に、いいご主人様に巡りあえてよかったなあ、と思います。いつまでもお幸せに。

巻末にSSが二編。
「女王の独白」は謎めいたQの生い立ちに触れた一編。
「公開調教」はサロンで潤音のお披露目をします。M奴隷として、とっても優秀な潤音です。

3

本格的SM純愛ラブストーリーの続編

調教は媚酒の香りの続編です。
一作目のお話しで、ラブラブに結ばれた一鷹と潤音。

お互いがSMのマスター(主人)とボトム(奴隷)の関係でありながら、恋人同士。

前の方々のレビューでSM調教の様子は書かれているので、あえてお話しに重点を置いて、レビュー書きます。

容姿、地位、経済力、愛情と完璧な主人の一鷹に愛され、幸せに蜜月を過ごす潤音ですが、一鷹に仕事上の事で危機が訪れます。

その危機に手をかしてくれると名乗りをあげたのが、前作で登場した会員制SMクラブの女王様Q。

このQはただの女王様じゃなくて、すごいセレブで経済界などにも顔のきく人物。

一鷹の事業に手をかす条件が、愛奴潤音の貸し出しです。

当然、一鷹は断りますが、一鷹に今までの恩を返して力になりたい潤音は一鷹に嘘をついてまで、Qのもとへ行く事を決意し、一鷹を説得します。

愛しあう夫婦に割り込み、お金を条件に妻を借りる富豪、そんな設定の映画があったけど、まんまですね。
その映画は最後に夫婦はギクシャクして別れたような結末だったけど、一鷹と潤音はお互いを信じきっていてQの妨害にも負けません!

安心して読めるというか、妨害にあってもお互いの信頼の気持ちや行動で、乗り越えていく様子に読みながら萌えまくりです。

最後は無国籍だった潤音に誕生日を与えて、籍を同じにして(マリアージュ)、まさにシンデレララブストーリー展開に、最後まで萌えまくりです。

潤音は生い立ちが大変だったけど、純粋で一途で可愛い良い子だし、一鷹もスパダリなのに愛情溢れてて一途で頼れる攻めって感じ。
2人のキャラが良いので、応援して純粋に楽しめる作品です。

そのお話しにQのお屋敷の「人間家具」や調教、食事会、など本格的SMの濃い世界観が加わって、王道ラブストーリーですが、飽きさせないのが流石です。
Qのお屋敷は、ルイス・キャロルの不思議の国のアリスの、不思議の国に迷い込んだようでした。

女王の独白
SMは歯止めがきかないと恐ろしいことになるなと思いました。
Mを殺してしまったSのお母様が、精神的に病んでいくのが、リアルで悲しいです。

公開調教
潤音のマスター当て、ブラインドテイスティング。
読んでて潤音の一鷹への思いが溢れていて、萌えました。

5

受け攻め両方とも一途さにキュンとなります

前作が良かったので続編出て嬉しいなって思って読みました。宗司さんと潤音くん、あれから幸せになったのかなあ?って思っていたけど、SM関係のまま幸せな生活を送ってくれてて良かったな、と笑)

さて今回はそんな二人の関係に危機(?)が訪れるんですけど。
まあ危機ってほどの危機ではなく、最終的にはハッピーエンドでしょうってわかりきってる感じのストーリー展開なんですが、それでも引きこまれるこの不思議さ。潤音くんのマスターに対する純粋な気持ちが、読んでいてきゅんとなりました。

読み切りショートの2つも良かったです。SMなのに幸せな読後感を味わえる、ほんとに不思議な作品、大好きです。また続編読みたいです。
あと、私としてはQがすっごく気になるんですけど…。Qの話とかでないのかな?ぜひ出てほしいですね。

小山田あみさんの挿絵も、前より艶っぽくなってる気がしてゾクゾクしますっ!

6

マスターだけを愛す。潤音という男

甘々すぎるSM物語。
類い稀な嗅覚と記憶力でソムリエとしての才能を見出され、宗司一鷹の元で修行を続ける潤音は今、淫らなフランス語のレッスンを受けていた。
それは、一鷹がいずれ北ローヌに移住し、潤音をフランスで学ばせようと考えていたから。しかし潤音は「無戸籍」だった……
ならば、と山梨のブドウ畑を買い上げたが、日本の農業委員会との軋轢で資金繰りに困難が。
この二つの問題を私の持つ人脈で解決してやろう、ただし条件がある。それは潤音を私に預けること…
このQの申し出を、潤音は一鷹に逆らって承諾します(ここで懲らしめプレイあり)。自分のために北ローヌでシャトーを造る一鷹の計画を邪魔することは出来ない、と。
さて、Qの元でも数々のSM調教が続きます。主に女装させられての緊縛や、一部始終の撮影、吊るし、木馬などなど。(詳しい描写は初回の調教場面のみ。ただし潤音の失禁ありなので注意)
預けられている間は主はQなのだけれど、潤音はどんな調教を受けても一途に一鷹をマスターと慕っています。そしてQの所蔵している希少ワインの勉強も怠りません。とにかく一鷹さまのために…
潤音はもうただの一鷹の飼っている意志のない奴隷、愛玩されているだけのペットではなく、自分の信じる愛と信頼を持って彼の役に立ちたいと一途に、頑固に、強情に思い続ける存在です。
一鷹もかつての「プロ調教師」の顔はどこへ?潤音だけには甘くて甘くて、最早SM的なシーンはどこかHのスパイスのような。
ハードなSMや支配と服従の本格的なものをお求めの方には、少し甘すぎかもしれませんね。
小山田あみさんの挿絵が本当に素晴らしいです。

「女王の独白」
Qの生い立ち。なぜQがQになったかが語られます。
そして、一鷹に潤音を引き合わせる事を決めるその瞬間も。

「公開調教」
潤音のお披露目会。
目隠しした潤音がマスターを見分けられるか、のSMゲーム。当然よくできました。


7

幸せの進化

1作目もものすごく濃厚でよかったですが、こちらはさらに甘さアップしたこってり濃厚な面白さ。すでに出来上がった状態なので安心して読めますし、ティータイムにピッタリなデザート作品でした。最初のシーンで「ああ、こんなお話だったな」と世界観をしっかり思い出させてくれるので前作を読み返さなくてもすんなり入れるあたり、読者にやさしい作りになっていました。

潤音に初めてのおともだちができる?という部分があったため、やや庶民的になった感はあります。このシリーズはSM作品の中でもなかなかに上質なので純粋にSMを求める人には不要な部分かもしれませんが、そうでない人には少し親しみやすくなった…のか…?と思います。
プレイは相変わらず濃い。でも、淫猥さよりも二人の絆の確認に重きが置かれているので、趣向は違ってきています。前作もハッピーエンドでしたが、はっきりとした言葉を言わない一鷹がついに潤音を心から安心させてハッピーエンド後のさらなるハッピーエンドになっていて、読者としては満足感ばっちりでした。

3

生きてる意味を考える

SMを扱った作品は大好きですが、この1作目を読んだときは、単にハードなプレイが好き、というくらいでSMとは何かという知識をほとんど持ってませんでした。
攻めが受けに痛々しいプレイを強いる…くらいに思ってたんですが、このシリーズを読んで、SはMのために存在する、MがSを選ぶ権利がある、、本当に嫌な時はプレイを止める合言葉がある、などいろいろ知ってSMの奥深さに感動しました。
その続編ということでとても嬉しいです。

これ一作ではまったくわからない、ということはないと思いますが、やはり前作を読んだこと前提の内容になっていると思います。
身寄りのない潤音は、Mとして調教されるという名目で一鷹に預けられますが、二人は恋人になり今では幸せに暮らしています。
前回から3年後というお話で、潤音を一鷹に預けたSMクラブのマスター・Qがやってきて、一鷹に取引を持ちかけ、その取引に応じ、潤音はしばらくの間Qのもとに預けられ、2人は離れ離れに・・というお話です。

一鷹視点は一切ないのですが、潤音の主人・鬼畜なSという役柄なのにめちゃくちゃ潤音を可愛がって大事にしている、溺愛しているのは伝わってきます。
ストレートにデレるような台詞はほとんどなくて含みのある物言いが多いのですが、何故かものすごく溺愛心が伝わってきました。

すでにくっついているカップルなのでお話の起承転結は前回ほどでも…という感じです。
冒頭から2人が引き離されてしまうので展開としてはどうなるの?という不安いっぱいな感じだったのですが、Qが意外と優しかったのと、Qにアレコレされるもののめちゃくちゃ酷いこともなく、他の人に抱かれるなんてこともなかったので、安心半面、けっこうライトに難なくさらっと終わってしまった感じもします。

一鷹が潤音の手の届かないところにいるのに、所々に現れては潤音を助けてくれるし…。Qのボトムであるスペードが潤音に意地悪をしてきますが、それも本当に「意地悪」程度なのでそれほど酷いと思うこともなかったです。
せっかくなので、人間椅子など、潤音が連れて行かれた先にあった「理解できない世界」というのをもっと掘り下げて書いてくれたら面白かったなーと思います。
あ、あと個人的にフィストが見たかったです^^;扱っているBL作品が極少なので…途中でやめてしまって残念!
潤音に始終女性のドレスを着せているQの趣味(?)はなかなか面白かったです。

内容は意外と前向きなものだと思ったんですが、やっぱりぐっときたのは何のために生きているのか、という事を、潤音が一鷹のもとにきたときから考えていて、その答えを今はっきり持っている事だと思います。
前は潤音の事については曖昧でしたが、潤音って戸籍がなかったんですね。勿論本名も年齢も国籍も不詳・・。
一鷹は潤音に戸籍を与えるために奔走します。どんな複雑な手続きがいるか想像できないんですが・・・。

「自分に何かあったときのため」という一鷹の真剣さや、「一緒にいるだけでいい」と思っていた潤音だけど「一鷹は宝物で命そのものだ」という言葉と、今はちゃんと役に立ちたいという願いから互いに本気で心から、自分の命と同じかそれ以上に相手を思い、大事にして、向き合っているのが伝わってきます。

こういう作品を読むと本当に「同性だから」という事は本当に頭に入らないというか…こういうカップルを生み出せる事って本当にすごいと思います。
戸籍をもらってこの世にやっと誕生したという事が胸にずしんとくるというか、あなたに与えてもらってばかりいるという潤音の涙につられて涙を誘われます。
悲しいとかせつないという、じ~んとくるシーンは何度も体験していますが、嬉しさに涙を誘われるという感動を久々に味わった気がしました。

おまけでQの裏側をえがいた短編と、前作の特典ペーパーが再録されています。
Qの裏側はなんだかすっごく…やっぱりSMの世界って奥深い・・・と思うものでした。
この2人のお話はもっと読みたいけど、幸せになってくれたのならこれでよかったと思います。
BLを読む上で出会ってよかったなぁと本当に思う作品です。

12

お互いを想う二人に萌え

『調教は媚酒の香り』の続編。前作を読んでいなくても何とか理解はできると思いますが、出てくるキャラたちの関係性は前作を読んでいたほうが理解できると思うので、未読の方は前作から読むことをお勧めします。

さて内容はすでに書いてくださっているので感想を。

紆余曲折を経て恋人同士になった前作。すでに甘々な二人なので今作はどんなストーリー展開になってるのかな、と期待しながら読みました。

ワイン事業がうまくいかず窮地に立たされている一鷹。そんな一鷹に、経済的な面でも物理的な面でも救済の手を差し伸べてくれるのはSMサロン「アントレヌール」のQ。
ただし、その見返りとして潤音を期間限定で貸してほしいと言うQで。

潤音を駆け引きの道具として使いたくない一鷹。
一鷹を助けるためにQの元へ行くという潤音。
なんというか、よくある設定ではありますが、お互いを想う二人の気持ちにぐっと話に引き込まれました。

今作は潤音がQのもとでボトム(奴隷)として仕えるシーンがメインなので一鷹の登場シーンはさほど多くないのですが、それでも一鷹が潤音に対して行うSMシーンはかなり本格的で濃厚でした。フィスト・ファック(作中では未遂ですが)って、初めて知ったりした私はまだまだ未熟モノなのでしょうか…。

一鷹と離ればなれの間、過去の『ご主人さま』(というにはおこがましい最低男ですが)から捨てられた記憶から潤音が精神的に不安定になったり、Qの「家具」のスペードからいじわるされたり、Q主催の食事会で潤音がピンチに陥ったりするシーンも多く大丈夫かなあなんて心配しながら読みましたが、そのたびに助けてくれるのが一鷹で、二人の絆がより一層深まっているのがとてもよかった。

Qに憧れ彼に仕える、「人間家具」たち。
一鷹を愛し、信頼し、自分のすべてを一鷹にゆだねる潤音。
自分の「Qの元にいたい」という欲求のみでQに仕える「家具」と、「相手のために」という気持ちから行動する潤音の違いがくっきり描かれていて、そこも非常に良かった。

あとQの過去の話が書かれた番外編もすごく良かった。Qにも、自身のすべてをあずけられる相手がいつか見つかるといいなと思いつつ。

小山田さんの挿絵は今回も神でした。特にQのスーツ姿のカッコよさと言ったらなかった。
ただ、このタイトルに、この表紙。リアル書店では買いづらい…(爆)。もう少しマイルドな表紙でもいいんじゃないのかな、とか思ったりしました。

相手を愛し、信じているからこそできるSM行為。痛い行為は数多く出てきますが、二人のお互いを想う気持ちがあればこそのストーリーが非常に良かった。

文句なく、神評価です。

16

愛あるSMシリーズ第2弾

SMBL「調教は媚酒の香り」の続編。
相変わらず、互いへの愛情を前提とした過激なSMプレイの数々にゾクゾクさせられます。
SMサロン創始者Q(クイーン)の番外編も必見。

あらすじ:前巻で宗司(攻め)に身請けされた潤音(受け)。
ある日、宗司の友人でSMサロン創始者のQ(クイーン)が、宗司のワイン事業を助ける代わりに潤音を差し出すよう言ってきて…

物語冒頭は、いきなり目隠し+指示棒で乳首グリグリプレイから始まります。
ただのプレイではなく、潤音のためのフランス語レッスンという点が重要。
五感と記憶力に優れるも、集団生活になじまない潤音のためプレイとしてソムリエに必要な知識を伝授しているという点に宗司の愛を感じます。
その後の人間家具プレイも、互いへの愛情を前提とした主従感が伝わってきて萌えました。

そんな相思相愛の二人ですが、潤音は宗司の仕事のため自らQのもとへ行くと願い出ます。
そこで怒った宗司に蝋燭でお仕置きされるシーンがまた強烈。
フィストはさすがに未遂に終わりましたが、物語の前半でここまで濃いプレイが2回も捩じ込まれているのが凄いです。

さてQの所有する山中の洋館にやって来た潤音。
アヌスに薔薇を刺された男など"人間家具"がそこここにいる屋敷でQによる責め苦を受けます。
チェーンで吊るされ、ニップルジュエリーをつけた乳首を電マで刺激され…
感じつつも宗司への貞節を守ろうと射精をこらえる姿が健気(失禁はしますが)。
宗司は宗司で、Qと潤音がキスしたことに嫉妬する等、離れていても互いを想い合う二人にキュンキュンします。

二人と対照的な存在として描かれるのが、Qに心酔する使用人のスペード。
潤音に嫉妬し嫌がらせする彼は、Qを愛しているのではなく虐げられる自分が好きなだけのエゴイスト。
彼のそんな一面を見抜き、君はただのエゴマゾだと一刀両断する潤音がカッコよかったです。
宗司の新作ワインにも潤音への愛が込められており、何だかんだラブラブに落ち着いたラストに安堵しました。

同時収録作は、Qの過去編。
両親共有のボトムで真性Mの美青年・雪生(仮名)の痴態と悲惨な末路はインパクト大です。
前巻でQが潤音を宗司に引き渡した背景にはこんな想いがあったのかと納得。
雪生を超える相手に巡り会えない彼はある意味孤独ですが、そんな過去が彼をより魅力的な人物にしているのだろうと思います。
出来ればスピンオフ等はなしで、ずっと独り身のまま宗司と潤音を見守り続けてほしいかもw

前巻の特典ペーパー「公開調教」(利き酒ならぬ利き調教師の話)も収録されており、かなり充実の内容でした。 

ラブラブなのにプレイは一貫して過激という関係性が面白く、大好きなシリーズの一つです。

18

この作品が収納されている本棚

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