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表題作ゴクラク305

沖旺介(みーくんの恋人・大学2年・305号室住人)
広井三宣(おーすけの恋人&同級生・305号室住人)

同時収録作品ゴクラク305(第6話~最終話)

砂木はるま(寮管理者)※攻め受け設定ナシ※
樹圭人(旺介&三宣の後輩)※攻め受け設定ナシ※

その他の収録作品

  • おーすけとみーくん(描き下ろし)
  • 樹くんと砂木さん(描き下ろし)
  • みーくんといとこちゃん(描き下ろし)
  • すなきさんのナゾ(描き下ろし)
  • ペンタゴン(描き下ろし)
  • カバー下あとがき(描き下ろし)

あらすじ

高校時代からお付き合いしている恋人・みーくんとの仲は、大学寮のこの部屋の中だけの秘密―幸せだけどもどかしいおーすけは……?

作品情報

作品名
ゴクラク305
著者
三崎汐 
媒体
漫画(コミック)
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
バーズコミックス ルチルコレクション
発売日
ISBN
9784344836402
4

(25)

(13)

萌々

(6)

(1)

中立

(3)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
5
得点
95
評価数
25
平均
4 / 5
神率
52%

レビュー投稿数5

いつかこの秘密を言えるときがくる?

こちらの作品...感想などを書く前にとりあえずハミガキしなきゃ!って思うんです、なんとなく。表紙右側のやさしげな彼(おーすけ)が歯医者の息子で、毎日ハミガキ重視なんですがこれが毎度可愛くて~。カバー下もみんなかわいかった♡何度眺めても飽きないんですよ。※以下もネタバレあり

高校の頃から付き合い出して3年、地元を出たおーすけ&みーくんは大学男子寮で一緒に暮らしています@305号室。小学校からの付き合いで、お互いの家のこともよく知っているふたりは仲良しカップルなのだけど、恋人関係であることは「絶対誰にも言わない約束」。いつも周りに話すおーすけの彼女、その設定はみーくんのお姉ちゃんのやつでカモフラージュ。部屋の中ではラブラブベタベタなのに、玄関ドアを開ける瞬間につないだ手を離さなくちゃいけない。これをもどかしく思っているおーすけだが、彼の前になんとライバルが出現。しかも305号室に一緒に住むだなんて!どうしよう…。

【登場人物の紹介】
・表紙右:沖 旺介-おうすけ(おーすけ)
やさしくてイケメンくん。周りの反応からすると、かなりキラキラしたオーラがあるようです。実は思ったことはほとんど心の中でしゃべっており、会話がとても苦手。父は歯科医師、自分も歯のケアに熱心。世界はみーくんで回ってる、みーくん命。カバー下に"ぽやっとした"と表現されていました。

・表紙左:広井 三宣-みつのり(みーくん)
しっかり者、みんなにやさしくてオカン気質。6人兄弟の上から3つ目。自分の髪はボサボサなのに、準備の遅いおーすけの髪を朝ドライヤーでセットしてあげる。おーすけのことを誰よりも知る人。

・樹 衣都子-いとこ(衣都子ちゃん)
近々大学寮に入る弟のことがなにより心配な極度のブラコン。ある時おーすけを一目見てこの人になら!と思い、以来「弟のことをよろしく」とたびたび頼ってくる。ワイロも忘れない。見る目があるお姉さんです。

・樹 圭人-けいと(樹くん)
もともと3人部屋である305号室に、おーすけ&みーくんと住むことになった人。衣都子ちゃんの弟。

・砂木 はるま(砂木さん)
主人公たちが住む寮の管理人。実は彼らのことをよく見ている。

己の同性愛を受け入れられない現実、葛藤…家族を思う気持ち、怖さ。その裏にある相手を好きという今はたしかな気持ち。秘密を誰かに言いたい、見せたいわけじゃなかった。自分たちのなかに、秘密が、怖さがあったんだ。この305号室に閉じ込めていたものを、彼らの意思で解放できるまで…。

第2話で本格登場するライバルがただのライバルではなく、このカップルが今まで逃げてきた、悩みのぶつけ合い&向き合うきっかけを作っているところがよいです。そしてこのライバルくんの恋も後半に向けて展開していきます。恋に、愛されたい気持ちに素直になれない彼のお話もすごくよかったな。トータル240ページほど、じっくりと彼らの心に入って読みたい一冊だと思います。読後の疲労感と充実感、そのバランスがとても心地よいです。

あとでレビューが書けたらと思い先に評価のみ入れておりましたが、さきほど二読目で萌2→神に変更いたしました。

9

部屋の中にしかないゴクラク

高校生のときから付き合っていて、同じ大学へ進学し、寮の同室に住んでいるおーすけ(攻め)とみーくん(受け)。ふたりはとても仲の良い恋人同士だが、みーくんの意向により、周りの誰にもカミングアウトはしていない。305号室の中だけが恋人同士でいられる空間だ。
信用できる人には自分たちの関係を伝えて、外でも手をつないだりしたいおーすけと、絶対に誰にもふたりの関係を知られたくないみーくん。少しずつすれ違うふたりの部屋に、みーくんに気のある様子の下級生が新たに入居してきて…。


恋人だと言えないジレンマを抱えているところに、受けに想いを寄せる人物が出てきて「受けを落とすので邪魔するな」宣言されちゃう攻めです。
これはきついなー、と思うし、受けに対して「男らしくカミングアウトしちゃえよ」とも思ってしまうのですが、彼にもいろいろトラウマや事情があるのです。友達にカミングアウトしようかなーと思った途端に「ホモ気持ち悪いよなー」的なことを言われたり。弟のケンカが「兄ちゃんがホモだってからかわれた」という理由だったということもありました。
まあ事情はわかるのですが、カミングアウトをかたくなに拒むことによって、恋人を深く傷つけるのは本末転倒だなぁ、と思います。攻めのおーすけくんがめちゃめちゃ健気ないい子だもんで、余計にそう思うのかも。
読みごたえのある、いい話ではありました。前作の「やさしいやちよ」は個人的には今ひとつだったんですが、今作はよかった。

上記カプの受けに片想いしていた下級生くんの話が収録されていました。
表題作は、くっついている状態から始まり、紆余曲折はありつつも一応一直線にハピエン、という話でしたが、こちらはなかなか難しい話でした。下級生くんのお姉ちゃんのイトちゃんがいい味出してました。いいお姉ちゃんだなぁ。
評価としては、表題作が神寄りの萌×2、同時収録が萌くらいです。

2

タイトルの意味が切ない

高校時代からこっそり付き合っている恋人同士。
一緒に大学に進学して、寮の305号室に二人で住んでる。

二人が恋人同士なのは305号室の中だけの二人だけの秘密だったけど、新たな入居者・樹がみーくんを好きだと言い始め、つい「みーくんは俺の恋人だから」と言ってしまうおーすけ。
それ以来、おーすけを避けた挙句、みーくんは305号室を出て別の部屋へ転がり込んでしまい……。


何でそこまでみーくんは、そこまで極端な行動に出るのかなと思いつつ読むわけになるのだけど、みーくんの気持ちもわかるんですよね。

多感な時期に過去2回ホモネタ絡みで嫌な思いをして(しかもそのせいで弟が喧嘩&怪我をする羽目になり)、おまけにおーすけ母の「将来の嫁楽しみ」発言でとどめを刺され……。

だからみーくんが言う「怖さ」が胸にズーンときました。
「そういう人もいるらしい」ではなく当事者になる怖さや、認められない自分……。
どうしても認められない卑怯な自分が、いくらおーすけの事を大好きだとしても、おーすけをしばる資格はない、おーすけを手放さなくてはと考えたんですよね。
(おーすけはみーくんさえいれば極楽なのだから思いやる方向がかなりズレているのだけど、みーくん流にきちんとおーすけの事を考えているのです)

そもそもみーくんはノンケだし、おーすけの「好き」を友達の好きだと勘違いして受け取ってしまったところから始まったわけで。
「勘違い」とも言えず突き放す事もできず、ある意味絆されて一緒にいるうちに、少しずつ好きになって、そして大好きになって…と長い年月かけて友情から恋愛への変化や段階を経ている訳です。
だからみーくんにとって、ラスボスみたいなことだったんだと思うの、「男が恋人という自分」を認めるのは。

そして、もし全世界が305号室のようであったなら、みーくんもそこまで怖さを感じる必要もなかったのになぁって切なくなります。
これから二人にとって305のような場所が少しずつ増えていけばいいなって願うし、二人でいればそこは少しだけ305みたいな最後にじんわりきます。


後半は、305号室に入ってきた当て馬・樹のお話に移ります。
高校時代、初恋相手に「目が覚めた」と手痛くフラれて以来、ちょっぴり拗れてしまっている男子。
そんな彼が元カレとヨリを戻しそうになりつつも幸せを見つけるという救済話です。
お相手の砂木さん、バツイチ子持ちのユルそうに見えつつも鋭いお方で、ちょっと謎。


1

苦しさの果てに

 三崎先生の繊細な心情描写が存分に活かされていた作品でした。とある大学の寮という非常に狭い世界で繰り広げられる物語。メインのおーすけとみーくんの関係性は過去のこともあって少し複雑で、恋人が男であることをなかなか受け入れられないみーくんの葛藤がリアルでした。臆病なのは悪いことじゃない。でも、臆病であることで得られるはずの幸福な瞬間をたくさん逃しているかもしれませんよね。おーすけを失うことの重さを実感し、最後にやっと勇気を出したみーくん。きっと彼の不安はこれからもなくならないでしょうけれど、1人で抱えなくてもおーすけと共有すればいいのだということに気付いてくれたらいいなと思います。

 メイン2人の同居人の樹の話も共感の余地が多分にある物語でした。人に恋愛的な意味で好きになってもらうにはどうしたらいいのか。周りが幸せそうにする中で、自分だけ愛されないんだという孤独。自分で自分の欠点も分かっていて、でも、生き方ってそう簡単に変えられるものでもないからどうしようもない。ぐるぐる考えてたら、いつの間にか自分を好きだという人がいて。結局恋は理屈じゃないということですよね。恋愛が人生のすべてではないので、気長に待てばいいんだと思いました。

0

予想外の重さとすっきりしない感

ほわほわした表紙の印象から、周囲にほのぼのと見守られつつ愛を育むふたりの優しい恋の話かなと思って購入。
おっと。
全然違うどころか真逆でした。

ゲイであることを受け入れられない男の子。
恋人の態度のせいで「みんなの中の1人」から抜け出せない自分に自信が持てない子。
昔の恋のトラウマに今も苛まれている子。
三者三様悩みが重い!!

幼馴染で高校から付き合っているおーすけとみーくんは大学の寮でも同室。
ゲイカップルであることを公表していない2人にとって、この部屋の中だけが恋人として過ごせる空間だった。
そこへ新しい住人が加わって…。

何度も読むのやめたいと思いました。
だけど何かすっきりすることがあるんじゃないかと信じて読み続け…、読み終わり…。
「さっぱりしすぎてるよね」と周囲から言われることが多い方はこの作品はやめておいた方が吉です。全く理解できることがなくて、ただただ不快感が増すばかり。
こういうタイプの子たちってたしかにいるのです。
みーくんは自分のことばっかりで相手の気持ちは1ミリも思いやれない子。一緒にいて楽しいから友達はいっぱいいるけど、ひとが自然に寄ってくるから相手の気持ちを考える必要がなかったのかな?と嫌味を言いたくなるくらい自己中。
おーすけは好きな人のことしか考えていない子。たとえば自分が大好きな食べ物が一個だけあったとして、好きな人が軽い気持ちで「いいな」と言ったらあげちゃうようなタイプ。それで「あんまりおいしくない」と言われてもへらへらしてるような。典型的なダメンズメイカーにしか見えず。自分がない。ただただみーくん好き、みーくん好き。それだけ。
樹は高校時代に付き合った相手に「目が覚めた」とフラれて以降病んでいて、自分に優しくしてくれそうな人にすぐ惚れる。その相手に再会して、また自分を見失う。だけど寮母(父?)のおかげで自分を取り戻すことに成功するので、この樹の話がなければ「しゅみじゃない」でした。

恋ってこんなにしんどいものかなと思うのです。
人を好きになるって片思いが一番楽しいってよく言いますが、たしかに妄想や空想の中の好きな人は、自分の思い通りに動いてくれるから楽しいですよね。
両思いになった途端に相手がリアルになって思いもよらなかった部分が見えてきたとき、そこを自分が我慢して見て見ぬ振りをするのか、ぶつかって話し合って改善していこうとするのか。結局話さなければ「そこが嫌だ」とおもっていることすら相手に伝わらないから何も変わらないんですよね。
この作品ではみーくんは自分しか見えていません。流されるようにおーすけと関係を持って、「自分は同性愛者じゃない」と線を引いている。おーすけが喜ぶようなことをしてあげたいという気配すらなくて、やきもちや焦りを感じるおーすけに気付かない。その上自分に不利益なことが起こったらさっと逃げる。卑怯な子としか思えず。みーくん目線のモノローグのところでも高校時代には全くおーすけに恋しているようには思えず、樹の策略で嫉妬したり、他の友人と罰ゲームでキスすることになって「おーすけじゃないといやだ!」と気付いたりはするけど、全く伝わってきませんでした。「好きな子にフラれた」というのも、「話のネタで盛り上げるために言っただけじゃ…」と邪推してしまうくらい嫌いな子…。見た目と表面的な性格が可愛いだけに、裏側とのギャップがきつかったです。もっとみーくん目線のエピソードが早めにあったら違ったかも。
おーすけは病気かなと思うくらいみーくんを好きという感情に依存してる感じで、やっぱり好きになれず。
何だかんだで丸く収まって、「部屋の中だけだったしあわせが部屋の外にもちょっとずつ…」なんて外でこっそり手をつないでいるコマがあったものの、全然すっきりしませんでした。
絵が好きなタイプの絵だったので、どっちかを好きになりたかった…。
最初は気持ち悪かった樹姉が一番好きかもしれない。

長くなりましたが、物事にはっきり白黒つけたい!という方や、自分がないひとは見ていられないという方は要回避です。
絵はいいのに…。この絵でほのぼのふわふわしたカップルの話を読みたかった…。

1

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