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表題作凪子の話

あらすじ

真面目で品行方正な海原和也。
派手で少し軽いところのある山治浩平。
幼なじみで親友のふたりは、高校でも目立つ存在だった。
和也と初めて会った瞬間、凪子は彼に恋をしていた。
だから、彼の幼なじみの浩平が
和也に恋していることに気づいてしまう。
そして、和也を好きだからこそ、
彼の心が誰を想っているのか気づいてしまう。
交差する想いの行方は……

作品情報

作品名
凪子の話
著者
後藤 
媒体
漫画(コミック)
出版社
大洋図書
レーベル
H&C Comics ihr HertZシリーズ
発売日
ISBN
9784813031383
4

(174)

(110)

萌々

(23)

(10)

中立

(9)

趣味じゃない

(22)

レビュー数
25
得点
681
評価数
174
平均
4 / 5
神率
63.2%

レビュー投稿数25

怖い面もある

女子中心なのはタイトルで示されていたので、凪子視点なのはBLへの伏線だと思って読みました。

凪子がやさしく健気でいい子だけど、自分のエゴを貫いて、罪悪感から「ごめんね」と言い、和也の思うようにしてほしいと書き残す。
私はこういうのがいちばん怖いんよな〜とずっと思ってしまいまして。ひねくれているからかもだけど。
一見善人で常識人だけど自己中で周りを傷つける。
凪子が偽善者に見える時があって。あの笑顔に隠された本音が見え隠れするから。それをわざとああいう笑顔に描かれているんだろうなと。
や、本音を隠すのは悪いことではなく普通なんだけども。

回想の場面が長く、コマ外が黒いのが不気味で。
3人とも笑ってはいるけど目の奥が笑っていないのも怖くて。
残酷な話よな。これも人間よなと思いました。

かわいい絵柄で無垢な笑顔が並び(逆に怖い)祖母の狡猾さとか、善人に無自覚に潜む陰湿さを描かれるのがお上手だなと感じます。

最後の最後にやっとBLぼくなって、これが見たかったんだけど、それまでが長いのは、作家さんはタイトル通り凪子の話を描きたかったからだろうと。
凪子がいなかったら逆にくっつかなかったかも…てことでもあるんかね。

ラスト、浩平が
「俺ばっかりお前をこんな風に一人占めして 凪子ちゃんに怒られないかな」
「どうなんだろう」←
「やっぱ凪子ちゃん怒ってんのかなぁ…」
「そうかもな(笑)」←
和也、そこは否定するとこではー?!とツッコミました。ボケで言うてはるの? からかってるの?

0

大切で美しい

ひとり対ひとりの恋愛のお話ではなく
その結末に辿り着くまでの長い道程を
3人それぞれの目線で描かれているというのが斬新だなと思いました。

浩平、和也、凪子、誰の目線になっても切なく苦しい部分があり、それぞれに葛藤もあって
想いが強くなるほどにその切なさも増すので読んでいて辛いところはたくさんありました。
でもそれだけではなく、辛さと同じくらいの幸せを彼らは確かに感じていたんでしょう。
好きな相手と両想いになることがゴールならば、もっと脆い関係だったかもしれない。
そうならなかった彼らの絆を感じられるお話だったなと思いました。

0

良かった

面白かったです。

賛否両論ありますが凪子が死ななかったら、この男子二人は確実にくっつかなかったと思います。凪子が死んだ上で二人に一緒になって欲しいと背中を押したので、やっとこさ腹を括れたのかなと。
凪子が死を理由に結婚を迫るって所で、個人的には凪子は自分の罪を十分理解して苦しんでいるように見えたし、なによりやはり死期を分かっている者にしかわからない苦しみがあると思いました。
あと凪子に対しての気持ちは恋じゃなかった、と作中で言い切ってるのも良かった。ここでちょっとでも凪子に恋心があった….となればあまり受け入れられなかったかもしれないけど、そこはブレずにBLしてくれてて安心しました。

ただ1つ気になったのが作画です。絵柄も大変素敵で折角画力も申し分ないのに勿体無いな、と思ったのがキャラの省略顔が多かった所。ほぼほぼ1ページに1コマ、多い時は2コマ、主要キャラがモブ顔、というかのっぺりした顔に目がチョンチョンな描き方になってしまったので重要なシーンでも感情移入しづらくなってしまいました。作者様のクセなのかもしれませんね。
全体的にはまるで1つの映画を見たような気分で、とても心に残る作品となりました。かずやとこうへいくん、幸せになってや!

1

秋穂ちゃんも可愛い

評判がよくて、かつ実写化するということで気になってたこの作品。BLに女性が絡むのも嫌いではないけど、結果凪子に想いを寄せられなかったのでハマれず。
凪子が悪い人間ではないのはわかるが、自分が死ぬことが分かっていて、今付き合ってるわけでもない男に結婚してほしいと言える根性が、どんなシチュエーションであれ私の好みではなく。これはもう仕方ないことです。自分の人生があと2年で終わるからと、人生を既に誓い合った仲でもない男の人生を奪う形にさせるのは酷いと、少なくとも私は思う。その男が優しいから拒まないと知っているならより一層。

一方でBL部分を取り出した時の和也と浩平の関係性や幼少時代のエピソードはとっても好きでした。祖母や崖の怪我のくだりなど。幸せになってほしい。

中立〜萌

2

少女漫画とBLの良いところを取った感じ

今の気分が「泣けるBL・エロなし」だったので、その観点からちるちるのレビューを探して見つけました。随所随所に泣ける要素があって私が期待していた話でした。
ただ、男性同士の絡みが萌かというと微妙かなと思い、神にはしていません。BLというより青春ものだったような気がします。でも、すごく良い話なので「女が出てきた時点で地雷」「BLは男同士の絆の話じゃないと無理」という方でなければ一読していただきたいです。少女漫画のような、BLのような・・新しいジャンルに出会った気持ちになると思います。

以下ネタバレになりますが、BLとしてはハッピーエンドです。
凪子は最後までモブ女ポジションを貫き、個人的には彼女が望んだハッピーエンドでもあったのかなと思います。私も女キャラは基本地雷ですが、凪子の人間臭さやずる賢さ、罪悪感には共感できました。結果的には捨て身のキューピットだったと思います。
ちょっとしたことが恋のきっかけとなり、学生時代の思い出が積もり積もって愛情に変わる場面が丁寧に描かれていて良かったです。疲れた時に読み返したくなる話だと思いました。

2

3人が出会えて良かった

 表紙とタイトルからとても気になっていた作品でした。唯一女性である凪子がどういう風に絡んでくるのかなぁと楽しみにしていましたが、苦しさや悲しみが色濃くて、胸にずっしりと残る読後感でした。誰が悪いわけでもなく、誰が鈍感なわけでもない、不毛で息苦しい三角関係。それでも、この3人が出会ったことは、出会わなかった場合よりもずっと3人それぞれの人生を豊かにしてくれたことは間違いないだろう、と私は確信を持っています。

 近しい関係になればなるほど、打ち明けるのが難しくなっていく想い。凪子や浩平ばかり苦しんでいるようにも見えますが、早い段階で諦めたらしい和也も、彼らより幼い頃に気持ちを封印しようとしたのはとてもしんどいことだったんじゃないかなぁと思います。一番傍にいる存在を諦める、絶望。2人に想われた和也は、けっして2人より幸せだったわけじゃないと思います。かといって、浩平も和也も同情や薄っぺらい気持ちで凪子と共にいたわけではなく、2人とも心底凪子の存在を愛していたのはこの作品における救いでもありました。苦しいばかりじゃない、3人で築いた思い出は本物で、幸せな青春だった。浩平と和也のその後をもっと見たいなと欲が出ましたが、この終わり方も余韻の残る悪くない締めだったと思います。

0

買うべき!

ほんとによかったです!
3人のお互いが大好きだって感じが伝わってきてよかった

0

優しくて切ない

BL的には中立かと迷ったけど、お話の構成や凪子を始め3人の想いは神評価。朝っぱらから読んで涙腺も思考も大変なことになりました。

幼なじみで親友の2人と素朴な女の子(凪子)、三者三様、今の関係を壊したくない、相手の幸せを思って伝えられず切なくて苦しくて苦しいっ!!BL的萌は少ないけど、胸いっぱい。

冷静に考えると凪子はずるいような….あの状況じゃ絶対断れないでしょ。けど、これまで壊したくなかった関係や航平の気持ちを考えると勇気のいる事だし、凪子の行動がなければ2人の気持ちも動かなかっただろうし、でも…ってグルグル。和也→凪子の愛はなんだったんでしょう。loveなのかlikeなのか…滋味深い愛?ふとした時に泣いてしまうほど大切に思ってた気持ちとそれでも航平が好きという気持ち。なかなか理解するの難しい。

pixivにたくさん小話あって、和也と航平の寄り添う気持ちやイチャイチャにはトキメキ、3人の友情には癒されました!ただ、凪子の友達が葬儀の後に「凪子は和也に愛されてたんだね」って話すシーンはちょっとモヤモヤ。和也から凪子への愛はLOVEではないのにそう思われてるのが。(と勝手に私が思いたいだけなんですが)
噛み締めれば噛み締めるほど胸がぎゅーーーとなる作品でした。

2

再読してまた泣いた

個人的にはBL漫画で女の子が絡んでくるお話は嫌いじゃないです。
どうしても女の子が出てくるのは嫌だという方にはオススメできない内容です。
所々に女の子が出てくる話はよくありますが、こちらはがっつり凪子目線で前半が語られますので。
死ネタやバドエン(こちらはハピエン寄りのメリバ?)はあまり好きではないのですが、たまに泣けるBLを読みたい気分になる時もあって、選んだ作品でした。

幼なじみの和也と浩平に、高校から友達になった3人の隠れた三角関係。
同じ人を好きだから、その視線に気づいてしまうって事ありますよね。
大人になっても付かず離れずでやってきた3人でしたが、凪子が不治の病に侵されていることを知り…というお話です。

初めて読んだ時はもちろん、再読する度泣きます。
3人のどの目線になってもせつなく、辛い気分になります。
最終的に和也と浩平は想いを伝えあってハピエンなので救いはありますよ。

1

考えすぎて、ただただつらい

しんどいです。
読み終わってから、読んだことを後悔した作品は「苦いのテーマ」以来。

6才からずっと一緒だった浩平と和也。
高校で2人と知り合った凪子。
3人の想いがそれぞれの視点で描かれたのち、現在へと話が繋がっていきます。

誰も想いを告げない、告げて終わりが来るよりもただ一緒にいることを願う。
その均衡が崩れる出来事があって、物語が動いていくわけですが…。

男子2人に女子1人という構図は「モアザンワーズ」を彷彿とさせるような。
それ以外でも以前にこういう設定の作品を読んだことがあったのですが、タイトルは忘れてしまいました。
命の期限を切られた側が一歩踏み出す場合、その願いを叶えないという選択肢はもう用意されていないに等しいんですよね。
それで誰を不幸にしようとも、ただ最期の時間はしあわせでありたい。
そう願って行動に出たはずの凪子が、病床で友人2人それぞれに「ごめんね」というのがつらすぎて。
でも凪子の決断がなければきっとその後もなかったはずで、結局凪子ありきなんだけれども、どうしても蟠ってしまう。

うーん、つらい。

作品を読んだ後に「どういう選択をしていればベストだったのか?」といつまでも考え続けてしまうのは、本当にしんどいです。
どのキャラクターの気持ちも分かる。
みんな臆病で、踏み出せなかった。
踏み出したひとが違ったら、全く別の未来があったはずで、浩平と和也のどちらかが踏み出していたとしても凪子を支え続けたとは思うけど、踏み出さなかったんだろうなとも思うし、凪子が踏み出さなかったら、やっぱり何も変わらなかったんだろうと思うし、ここまでいろいろ考えさせられるとは、しみじみプロットの妙だと思うのです。

萌え、という杓子で測れる読後感ではなかったので「中立」を選んでしまいましたが、BLという括りではなく、良質の小説を読んだ後のような気持ちになりました。
ただ、3人それぞれに感情移入しすぎてつらい。
感情移入過多な方は心の準備を十分にしてから、入り込みすぎないようにお読みください。

7

とにかく素晴らしくて泣ける

一言でいうと、素晴らしかったです。
女の子が出てくるお話ということで敬遠していましたが、ただの読まず嫌いでした。
評価は、文句なく神中の神です。

高校で出会った凪子が幼馴染同士の和也・浩平と仲良くなっていき、その3人の視点でお話が進んでいきます。
とにかく、悪人が1人も出てこない。
全員が優しくてそれぞれを大切にしているからこそ、切なくて苦しかったです。

物語は凪子の3回忌の話から始まるので凪子の結末はみえてしまっているのですが、全てが伏線になっており後に繋がります。
最初のカラー絵すら意味があるのです。
一言では言い表せないくらい、隙がなく素晴らしい作品です。
読まず嫌いはもったいないと断言します!

pixivで番外編のような形のショート作品集が読めます。
そちらを読むと、楽しかった3人での日々や和也と浩平のイチャイチャがみられて癒されます。

0

神をつけたいところだけど……。

少女漫画強めのほんのりBL要素が入った作品。話が悪かったわけではありません。とても感動しました。ただ、視点がころころ変わるわりに内容は似たり寄ったりで、中盤あたりは中弛みがある。過去の更に過去の話に内容が飛んだと思ったら、突然別な過去のシーンに飛ぶので、じっくり読み込まないと過去のいつの話をしているのかわからないなど読みづらい点がありました。少女漫画を読んでいるみたいで私的には面白かったのですが、BLなのでもう少しその要素を入れてあげてもよかったのではないかと思いました。

2

正直読み手を選ぶ作品ですが読んでもらいたい

ほかの皆さんがレビューされてるように、女性が大きく関わってくるので好き嫌いがかなりあるかと
数々のBLを読んできましたが、ここまで女性に焦点を当てた作品はなかったのではないかと思います
凪子は過去できごと(凪子視点)や回想の中でしか登場しませんが、存在感が半端ないです
でもだからこそ受攻の苦悩や行動に感情移入できるし凪子を嫌いにはなれない
むしろ凪子がいないとこの作品は成り立たないんだと思います
読んでて楽しいお話ではありませんが一度は読んでもらいたい作品です

3

良い三角関係だった【ネタバレあり】

人物一人一人の気持ちの流れが分かりやすくて、見ていてスッと落とし込めました。ありきたりといえばありきたりな三角関係からの最終的に男の子2人がくっつく展開ですが、こうやって丁寧に描かれていれば爽やかです。

ただ、最初の数ページの導入部の話で、凪子が病気になり、どちらかと結ばれていたが死別し、その後彼女の言葉に背を押されて片方の子に思いを伝えることを決意する話なんだ、ということまで予想できてしまうのが少し残念でした。
そうやって展開が予想できるからこそ、予測のつく凪子の死までの話よりその後の話をもっと読みたかったです。

1

それでも恋をする

 切ない!とにかく切ない!!
 めちゃくちゃ泣けるのに、読後は嬉し泣きの後のような、すっきりとした温かい気持ちになれます。
 この作品に関しては、あまり先入観を持たずに読んで頂きたいので、ネタバレしない範囲で述べると、登場人物は幼馴染の和也と浩平、そして高校で出会って和也に恋をする凪子の3人です。三角関係というよりは、全体を通して3人の友情物語のような雰囲気ですし、女の子視点で話が進むし、エロシーンも皆無です。それでも、やはりこれは"BL"だと私は思います。この3人の関係は、NLでは表現できない世界観だと思います。ここで名前を出していいのかわかりませんが、江○香○さんの『き○き○ひかる』という代表的な小説を思い出しました(あれよりも今作品の方がピュアな感じですが)。

 痛みを抱えながらも、一途に純粋に、人を想いやる3人の生き方に、胸を打たれます。
 あまりこだわりがなくて、切なくて泣けるBLをお探しの方には、是非ともお勧めしたい作品です。

2

色々な意味でBL漫画の域を超えてる

この作品はタイトルから見て取れるように、女の子が主人公のような立ち位置です。

最近のBL漫画は一昔前と比べると、女の子が重要な立ち位置で出てくる作品が増えてきています。
でも、この作品ではいよいよ主人公になっているのです。

この時点で「BL」に女子は必要ないという考えの人は手に取らないでしょうが、この作品はそれだけではないのです。

本作の前半は少女漫画に毛を生やしたような展開です。このぐらいだったら普通の少女漫画レーベルでも出せるんではないかというほど
でも、それだけでは終わりません。
後半からは主人公『凪子』の存在によって心揺らめく2人が描かれています。
この展開はBLならではのものなのですが、新食感といいますか…すごい衝撃を受けましたね。
女の子1人いるだけでこんなにも変わるのかと

本当はもっと感想を書きたいのですが、あまり書くと感動がうすれてしまうので、私はこのぐらいにしておきます。

とにかく、「blに女はいらない派」の方以外はとても楽しめる作品だと思います。
とくに、腐女子歴が長い、色んな漫画を読み漁ったという方には新しい発見があって尚更楽しいかと
オススメの作品です。

12

BLというカテゴリだけに収めるのは勿体無い。

"BL漫画"と言うとやはり、ニッチなジャンルというイメージ(実際そうなのですが)がついてしまうので、もっと一般の方にも読んでもらえるようなカテゴリ分けがあると良いんですけどね、と日々思っているのですが…。
この作品もまさに、BLという枠には収まらない良作と思います。
LGBTの要素を持つ人間ドラマという感じ。
タイトルにも登場する凪子は主人公の1人です。和也、浩平、凪子の3人が主人公で3人の絆を描く漫画。
BLに女子はいらない!という主義をお持ちの方でも、これはもう萌え漫画ではないのでぜひ、純粋に話を楽しむ漫画として読んで頂きたいです。

あらすじから3人の三角関係のお話かと思いましたが、実際はそんなチープな関係ではなく、もっとお互いに深い絆があって素敵な関係性です。


とにかく凪子が良い子…だけど神格化されてないという程よいバランスが感情移入するのに丁度良くて…切ないくて胸に沁みました。

浩平と和也の幼少期の話は、ちょっとありきたりかな〜と思ったのと、それまでの流れに対してBL・BLし過ぎてるかな…というのがちょっぴり気になりましたが、そこは描き下ろし部分なのでまぁ、ファンサービス的なプラスアルファ部分、ですかね。

3

じっくり読んで泣きたいときに

私がトピ立てした「ちるちるのランキング圏外だけど、心の琴線に触れた作品を教えてください」
http://www.chil-chil.net/answerList/question_id/4967/#IndexNews

で教えていただいたのがこちらの一冊。
以前からちょっと気になっていて、欲しい本登録はしていたけどずっと躊躇していました。

というのもタイトルから判るように女性・凪子が重要人物として描かれている。
そして電子の試し読みの段階で、その凪子は死んでいてもう三回忌を迎える、というところまで判る。
女性が絡む三角関係を描いているかもしれなくて、しかも死ネタが絡んでいる・・・
うわー、滅茶苦茶ハードルが高いなぁ・・・って怯んでましたが、せっかくの良い機会なので読んでみました。

最初は凪子・女性視点でお話が展開されます。
女性視点のBLって珍しいと思う。
ちなみに凪子はとてもいい子です。読んでいて苦々しくなるような性格ではありません。
だからこそ、辛くて切ない。彼女が嫌な女だったらここまでこの作品で泣く事はなかった。

三人ともみんながみんな他人の幸せをずっと考えているんですよね。
でも凪子だけ最後の最後に自分の気持ちを優先させたけど、限られた命の最後の切ない我儘だった訳で。誰も凪子を責められないと思います。
お話はハッピーエンドで終わるんだけど凪子は罪の意識を抱えたまま死んじゃってるし、かと言って生きていたらハッピーエンドは成立しないし、笑っている事が彼女への供養に繋がる訳だし、でも凪子のうえに成り立つ幸せみたいな構図がどうしても手放しでは喜べなくて・・・・と途中かなりグルグル考えされられました。

けれど最後に墓前に供えられた二つのバラのブーケ。
性差を超えた人間に対するの深い愛を感じられるこれ以上はない終わりでした。

凪子視点、和也視点、浩平視点と三人の視点で語られるので、全てどのように考えているか、考えていたかが良く判るので、どーしてそこでそういう選択をする?!といった置いてけぼり感が全くありません。
じっくり読ませてくれる作品でした。


13

基本、bl に女子は求めていないけれど

bl 作品における女子(女性)は私は、パセリのようであってほしいと思ってます。率直に言って生々しい部分はノー!サンキュー、メインを引き立てるパセリ的存在なのが理想かなぁ。やっぱりbl は「男」たちが主役ですから。
その点ではこちらは異色のbl といえるかも。「凪子の話」のタイトルどおり、正に凪子という女子が中心、彼女抜きにはは成立しないbl です。以下、ネタバレするので一行開けます。

真面目で品行方正な和也と少し軽いところがある浩平、プロローグはもう男子ではない彼らのたわいもない会話でいて、凪子の不在が描かれています。凪子は既に亡くなっているんだな、それでも二人には大きな存在なんだと分かります。
そこからの「凪子の話」前・後編は凪子の視点。素朴風女子、凪子が和也と浩平に出会い、和也を好きになります。恋しながら二人の男子を見続ける凪子。大学も三人同じですが、そこで和也に彼女ができて思いを打ち明けぬままに失恋。
凪子の切なさが分かるのは意外にも浩平で、ある日凪子は浩平の和也に寄せる思いを知るのです。
後編は、社会人になった凪子ですがその体は病に侵されていて、「命の期限」を告知されます。
それで、凪子は和也と結婚するのです。浩平を裏切るような形になってしまっても。
続く「幼なじみ」前・後編は和也と浩平の視点で彼らの子供時代から繋がるキズナと凪子への思いが描かれます。
ラスト間際にbl 色が強くなりますが、やはり二人の間には凪子がいて、だからこその沁み入るようなエンディングです。三人の心理描写がしっかりしていて、どこか文芸作品を読んだときに通じる読後感がありました。

ダラダラとあらすじを書いてしまいましたが、これは素朴でいて果敢に攻めているように私は感じました。表紙見返しのカラーもね、和也たちではなく凪子一人なのですよ。
そして、私に映った凪子は普通の女子。目立たないけど周りに流されない強い子でもあります、手作りマドレーヌを和也にあげるとことか、ちょっとあざとさもあって、他の女子の反感なんか気にしない面もある。ウジウジしてないところは好感が持てました。
bl なのに敢えて「凪子」を貫いた作者、後藤さんは何となく独創的なものを見せてくれそうな・・・。期待大な方です。



8

つらくて、愛しい作品です

もともとpixivの方で閲覧していて、大好きな作品でした。
書籍化されるにあたり、浩平、カズちゃんの過去の話、それぞれの視点を知ることができ、すべて読み終わった後に最初の凪子のカラーを見たときには全てが繋がりまた涙があふれてきました。

ずっと近くにいたいからこそ言えない浩平、同情だと分かり切っていても一度だけでも自分だけを見て欲しいと願った凪子。人間の狡さ、弱さ、優しさがギュッと詰まっており、胸が締め付けられる思いをしつつ読みました。
言ってもしょうがないことですが、凪子には生きている内に心から幸せになって欲しかった…。

7

胸にずしんときてジーンとする作品です

切なくて胸にずしりと重くのしかかりました。
BLの胸キュンというよりは、女の狡さのようなものを感じてしまい、考えされられます。
凪子は本当に優しくて良い子であんなことでもなければ絶対に言わないであろうワガママ。
仕方ないけれど、やっぱり狡さも感じてしまい、なんとも言えない複雑さでした。
やっぱり和也には浩平と幸せになってほしかったから。。
和也の真っ直ぐで清らかな精神がキラキラしていて、眩しいくらいで、それにみんながどうしようもなく惹かれたのだと思います。
小学生の頃、浩平を守るためにお祖母さんに泣きながら立ち向かった姿にはジーンと心打たれました。
賛否両論あると思いますが、私は優しくて真っ直ぐな和也がとても好きなので、この作品が好きです。

2

台詞以外の文章が多くて漫画らしくない。

ネタバレなしの感想を。
あらすじから心切ない漫画なんだろうと思い、本作を手に取りました。
漫画の魅力って、人物の心の機微だとか、あらゆる事柄を絵で表現することだと思うのですよ。それらを台詞以外の文章でたくさん説明してしまったら漫画であることの効力って半減しますよね。
まさにそんな感じでした。
このお話は、心理描写や過去の出来事をつらつらと長ーくながーく台詞ではない文章で書かれていて、全体的に説明っぽすぎるというか…。文章が進行のメインになって、そこに寄り添うように絵がある。
もう少し文章を削ってそれらを絵で表現してくれれば、漫画の魅力が出たんじゃないかなぁ。先生の力量の問題なのかな…
題材が悪くないだけに、漫画を求めていた私には少し残念な気持ちになる「漫画」でした。

11

皆さん読んでください

私はこれまでに数々のBLを読んできましたが、断トツで1番好きな作品です。
漫画本なのに、その世界の音や登場人物の声、話し方が読んでいて想像させられ、まるで映画を見ているようでした。
ひとつひとつ、とても丁寧に描かれています。
素晴らしい作品に出会えて良かったです。

3

堅実なお話

「凪子の話」という題を打つだけあり「ボーイズ」の部分はさらっとしていますが、どの部分をとってもしっかりと描かれていて読み応えのある作品でした。
あまり感情移入できる部分が無かったのですが、読後にこの物語は凪子が行動を起こさなければずっと3人は平行線のまま過ごしていくことになると考えたとき、全てが繋がったように思いました。
凪子がやっと最期は好きな人と過ごしたい、と普段は絶対にしないような我を押しつけてしまうくらい(それでもとても優しい条件で)追い込まれている状況があって動き出し、凪子の手紙で決まった二人の関係。
凪子がいなければお互い大切な人のために譲り合い、まるで成り立たないという堅実なお話で、現実的で面白かったです。
個人的には冒頭の凪子亡き後の現在の二人の描写が少なめで、現在の二人のイメージが曖昧なまま読んでしまったので現在の二人の気持ちのイメージをはっきりさせたまま過去の話に行きたかったなという気持ちです。
後藤先生のこれからの作品も楽しみにしています。

2

心にしみる作品でした

素晴らしかったです。
読み終わったあと涙が止まりませんでした。
誰が悪いわけでもないのにどうしようもなく切なくてとても暖かい気持ちになりました。

BLに女の子が出てくる作品(しかも女の子視点)は苦手だったのですが、全く嫌悪感がありませんでした。むしろ凪子の思いも痛いほど理解出来たので、女性が出てるなら……と考えてる方も大丈夫かと思います。

ちなみにハッピーエンドです。

是非読んでみてください。

この作品に会えてよかった。

14

この作品が収納されている本棚

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